| 2003/05/10 | [ami-ml 2538] 児童買春児童ポルノ法改正骨子案について | 山咲梅太郎 |
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児童買春児童ポルノ法改正骨子案について (1)骨子案の全体の印象について 児童買春児童ポルノ法改正骨子案ですが、罰則の強化ばかりが目に付き、肝心の被害児童の保護が疎かになっているような印象を受けました。 また、国外犯に対する措置や人身売買条項の改正等の、本来取り組まなければならない筈の事柄にあまり触れられていない事も気にかかりました。 (2)追加するべき罰則について 追加された罰則に関しては、「実在児童のポルノ画像」のメール送信や譲渡等は、児童保護の観点から、ある程度の規制は在って然るべきだと考えます。但し、特定少数者譲渡罪は他の罪に比べ軽い物とし、譲渡が常習的或いは悪質であった場合に、処罰加重するのが良いと思います。 また、撮影者と被写体間のみで行われるような当事者間譲渡や、学術研究・告発目的による限定的な範囲での譲渡は、児童保護の観点から除外規定を設ける必要があると思います。 (3)単純所持の違法化について 画像の単純所持違法化に関してですが、「具体的人権侵害」である実在する児童のポルノ画像の配布・販売などと違い、具体的人権侵害とは言えない「単純所持」を罰則なしとはいえ、違法化することは問題があると思います。 考え方としては「名誉毀損」と同じなのですが、児童ポルノ被害者が感じる「児童ポルノ単純所持によって、自らの虐待の記録を、他者に見られるかも知れない」と言う不安は、名誉毀損被害者の感じる、「名誉毀損記事等の所持によって、不名誉な記事が他者に読まれるかもしれない」と言う不安と、原則的には同じものだからです。 このように、ある者にとっての不名誉な情報を「流す行為」は具体的な人権侵害ですが、ある者にとっての不名誉な情報を「知っている事」は人権侵害とは言えません。 さらに、特定・少数者への譲渡を処罰することによって児童ポルノを合法的に供給する道は絶たれるので、単純所持の違法化・処罰化は必要がなく、単純所持の違法化は、過度のプライバシー権の侵害を発生させる可能性を増すだけであり、人権の観点からも問題があると思われます。 (4)単純製造罪(特定譲渡目的製造罪)について 単純製造罪についてですが、単純製造行為が、仮に性的虐待・搾取であるならば、ある程度(※)は(児ポ法以外も含む)現行法で取り締りが可能です。 単純製造罪が法案に盛り込まれた経緯は、撮影者と配布者を分業化して行う児童虐待・児童搾取者がいるからだと思われますが、これはメール送信罪や特定少数者譲渡罪を設けるならば、取締りが可能です。 また、譲渡罪等があれば、当事者間以外に画像を渡した場合に罪とすれば良いので、単なる「分業業者」を取り締まるだけでなく「恋愛関係を隠れ蓑に性的搾取を行う者」の取締りも可能です。 従って、単純製造罪は不必要であり、児童のプライバシー権侵害の可能性が高い単純製造罪の設置は、児童の権利条約の見地からも、問題があると考えます。 但し、明らかに譲渡目的であったことが明白な事例の場合(既に譲渡がなされていた事が明白な場合等)は、処罰加重規定として「特定少数者譲渡目的製造罪」を適用するのは問題ないと思います。 ※現行法での取り締まり範囲を「ある程度」としたのは、現行法で取り締まれない性的搾取行為(児童による着衣の性的画像の販売配布)が存在するからです。このような「抜け道」を無くす為に、改正法では児童ポルノを「性的虐待の記録物」と再定義し、さらに「性的虐待・性的搾取の定義」を、もっと深く議論するべきだと思います。 (5)「児童に姿態をとらせて児童ポルノを製造する行為」の違法化について 「児童に姿態をとらせて児童ポルノを製造する行為」を、単純に違法化してしまう事は、児童のプライバシー権侵害の可能性が高く、児童の権利条約の見地からも問題があると思われます。 従いまして、「対価の供与や対価の供与の約束、又は親権の行使、その他権力の行使等があった場合」、若しくは、「特定少数者への譲渡を行った者」に限り、「児童に姿態をとらせて児童ポルノを製造する行為」を違法化する事が妥当だと思われます。 (6)法改正への要望等 根拠のはっきりしない厳罰主義は、同法に人権上の問題を内包させる事になりかねず、結果として児童の権利への理解が遠ざかる可能性がある為、他の刑事罰等とのバランスの取れた量刑であるかどうか、もう一度考え直す必要があると思われます。 また、子どもの権利条約と子どもの権利条約の選択議定書の条文に則って、被害児童の非処罰原則を明示し、人身売買関連条項の改正などを盛り込んで頂きたいと思います。 また、今回の改正案では、指摘されていた問題点である、保護法益の曖昧さが解消されていません。この為、児童の権利保護の為の法律としての機能が損なわれる可能性があります。従いまして、本来の立法趣旨に立ち返り、保護法益を「実在する児童の権利(個人法益)」に一元化すべきだと思います。 山咲梅太郎(マンガ家) 参考リンク http://j.peopledaily.com.cn/2003/04/29/jp20030429_28411.html |
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