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ワークショップ第二部は、漫画家や漫画評論家、編集経験者など、主に漫画表現の現場に従事するパネリストから報告がなされ、最後に第一部第二部を総合した質疑応答の時間がもうけられた。 会場の半数を越える席を埋めた聴衆は、各パネリストの報告に真剣な面持ちで耳を傾けつつ、あるいはうなずき、あるいは首を振りながらも、ときおり会場を笑い声で包む場面などもあり、全体は対話的な雰囲気の中で進行した。 以下はパネリスト報告の発表順による要約である(司会進行は築山尚美(文学研究者)による)。 |
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米沢嘉博(漫画評論家・日本マンガ学会理事) 「CSECにはもちろん反対だが、マンガはCSECではないことをここで訴えたい。 戦後日本で独自に発達したマンガは、愛と死それに性など人間的諸活動の総体を主題として扱う、文学や映画に並ぶ表現文化として、世代を越えた読者に愛され定着している。 また、なにより子どもの人間的成長を育み、また子どもが自己を見出す表現としても、マンガは日本において重要な文化となっている。子どもの人権のためにも、マンガ文化全体を害し狭隘な表現としてしまうような絵の規制などはしないよう、どうか文化的多様性の原則のもとに誤解なく適正に扱って頂きたい。 また、マンガ制作者たちがユニセフの活動にさまざまな形(たとえば募金活動など)で協力できるような方法も模索していきたい。」 蓼野絵理子(漫画家) 「女性の生と性現象をテーマとした、主に成人女性向けのマンガ(レディースコミック)を描いている。 現代の日本のマンガは少女マンガの成果に多くを負っているが、女性は今なお子どもと同様に性的商業的搾取の標的となっているわけで、マンガはこうした暴力や性をも含む人間の在り方を、女性や少女が虚構をもってして主体的に表現できる貴重なジャンルとなっている。 むしろ女性、少女の人権を表現するものがマンガであり、絵の規制はこうした人権をそこなうもので、反対せざるをえない。私たち女性作家は、表現と社会との関係を考えていくためにも、「女性表現者ネットワーク」の結成を予定している。」 藤間紫苑(作家) 「小説とゲームシナリオを書いている。こうしたジャンルでも絵は重要な表現要素となっており、子どもの絵が規制対象となれば、性的であるか否かを問わずそもそも子どもを題材とした作品自体が困難になるだろう。それは、子どもの読者にも疎外感を与えるばかりか、逆に子どもが自身を物語に託して表現する機会をも奪うことになる。子どもや私たち女性といった社会的弱者は、むしろマンガやアニメ、ゲームを作ることを通じてはじめて自由に自己表現できる場所を得たといえる。 これらのジャンルに不可欠の表現要素である絵を規制対象とすれば、物語を通じた被害の告発の機会すら奪われるだろう。」 関根玲(小平市市議・元漫画編集者) 「日本は性をタブー視し過ぎるあまり、性暴力に対する自衛法をも含めた性教育のための社会制度の形成が遅れ、 かえって不安や被害を増やす結果になっている。この状況を変えなければならない。 自分はかつて性表現を含む青年向け漫画誌の編集をやっていたが、その仕事を通じて女性編集者の活躍や作家たちの誠実な創作姿勢を知る一方、選挙時には対立陣営にはその経歴を執拗に誹謗中傷されるという性差別的なまでの職業差別を受けた。 こうした差別といった間違った行為もまた、私たちの社会が性を直視してこなかったがためのものだろう。 子どもの、そして女性の人権を守るためにも、性教育やメディア教育を確かに推進すべきだ。そのためこそ、マンガだけでなく、性についての表現活動を規制すべきではない。」 砂(漫画家) 「女性の性的権利をめぐりエロティックな描写のあるマンガを描いている。 自分の描くキャラクターは明らかに大人であり、児童ポルノとして規制対象にはならないだろうが、大人も子どもも区別なく「子供っぽく」描くことが文化的伝統となっているマンガ文化全体の危機と思い、絵の規制には反対する。また、マンガと性犯罪の関連性がきちんと実証されないままに、わずかな例や風聞をもって、マンガを児童ポルノ呼ばわりされることはまことに遺憾である。 そこで私たちのNGO「AMI」は、マンガ文化と反CSECの双方に有益であろう提案として、マンガを読むことと性現象との関係を誤解なく明らかにするような、広く信頼性のある調査(アンケート等)を行うことを予定している。 AMIはその他にも社会貢献策を持つが、それは続く山本夜羽氏に説明して頂こう。」 山本夜羽(漫画家) 「自身の描く典型的マンガ絵が、目が大きいながらも大人にも子どもにも見えること、すなわち人物絵と年齢設定は恣意的関係にあって確定不能であり、子どもの絵だけを確定して規制することは不可能であることを、スクリーンに投影してデモンストレーションした後、AMIの発起人としてその結成と活動予定を報告する。 「マンガはCSECではないのか」といった誤解を解くだけでなく、むしろ積極的にマンガ製作の側がCSECなどの社会的問題にコミットするために、私たちはNGO「AMI」を組織した。AMIは募金活動、表現による援助活動、諸調査などによって反CSECに貢献できるものと考えている。」 |