つれづれなるマンガ感想文3月前半

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一気に下まで行きたい



・「週刊少年チャンピオン」16号(2001、秋田書店)
・「YOUNG キュン!」4月号(2001、コスミックインターナショナル)
・「週刊漫画アクション」13号(2001、双葉社)
・「月刊少年チャンピオン」4月号(2001、双葉社)

・「週刊少年チャンピオン」14号(2001、秋田書店)
・「月刊コミックビーム」3月号(2001、エンターブレイン)
・「パチスロ7 4月号」(2001、蒼竜社)
・「女王様ウォーズ」 乾はるか(1993、秋田書店)
・「週刊漫画アクション」12号(2001、双葉社)
・「コミックまぁるまん」4月号(2001、ぶんか社)
・「月刊ヤングマン」4月号(2001、三和出版)
・「週刊少年チャンピオン」14号(2001、秋田書店)
・「ヤングキングアワーズ」4月号(2001、少年画報社)
・「週刊漫画アクション」11号(2001、双葉社)





・「週刊少年チャンピオン」16号(2001、秋田書店)

今週は、マッタリとまんべんなくイイ感じなんじゃないでしょうか。

「黄泉の影郎」堀口哲也は、新連載。 江戸時代、盗賊に村を皆殺しにされ自らも殺された男が、高僧の「反魂(はんごん)の術」で蘇る。 連載第1回目なのでまだ様子見。江戸時代なのにめがねをかけているところだけが気になった。比較的リアルな絵なので。
「バキ」板垣恵介は、愚地独歩の切り取られた左手首がなぜつながっているのか、の説明だが、これは「バキ」として再スタート以来、「空師」の男が「冥土の土産に教えてやろう」みたいにして自分の技を延々と説明し、それを以前戦った渋沢剛気がまったく知らなかったエピソードと同等かそれ以上にムリがある。ドリアンの催眠術で「手首が切り取られたように見えた」のかと思ったが。さすがにそれはなかったようだ。
「おまかせ! ピース電器店」能田達規は、今までに出てきたアイテムが再登場したり、とにかくすごく盛り上がってるんだよ。あえて言うなら映画版ドラえもんみたいなノリかな。たいへんにすばらしい。
今週の「迷探偵史郎シリーズ」芹沢直樹は面白かった。ちゃんと探偵ものになってるもん。イイね。
「ななか6/17」八神健はやはり面白い。不思議設定を使って人間ドラマをマイルドな感じで読ませるという意味で、矢野健太郎のテイストを継ぐ人かもしれん。本人たちにとってはどうでもイイことだと思うが。旧作も読んでみるかな?
「チキンハートに火をつけて!」新海加寿斗は読みきり。気弱な野球部員と女の子とのラブコメ、パンチラ多しという感じか。「女の子の太モモを太くしてみた」ということだが、確かに下半身のムチムチ具合がイマイチという気がする。「ファントム零」などを読んでいると。
(01.0315、滑川)



・「YOUNG キュン!」4月号(2001、コスミックインターナショナル)

成年コミック雑誌。個人的にお気に入りの連載作品の最終回および最終回に近づいてきたモノがある号なので、あらすじをいちいち書くことはしない。今月ははるきゲにあがアナルものを描いていた。東・京都が読みきり。この人、ずいぶんひさしぶりに読んだけど絵柄変わったなァ。

・「さらくーる」 みた森たつや

「SFおしかけ女房」ものカテゴリ。そんなに器用な感じはしないんだけど、主人公の独白で進めていくストーリー展開にはじわじわとせまってくる迫力がある。ドラマづくりの底力のようなものを感じる。

今までのお話についてはここ参照。

・「アナザー・レッスン」最終回 毛野楊太郎

監禁調教マンガ。うおお、こ、これがオチか……。
毛野楊太郎と師匠の矢野健太郎のマンガは、一見オーソドックスでありながら物語自体をひっくり返してしまったり、主人公たちの置かれている立場そのものをチャラにしてしまったりといった作品がときどき見られる。でも投げやりさとか、意地悪さとかはあまり感じなくて(短編なんかにはえらい後味の悪い作品もあるが)、かといってわざと深みを持たせようとか通常のマンガのドラマづくりからはみ出したモノを描こうとか(便利に使い回している表現を使えばエヴァンゲリオンのテレビ版最終回のような)いう気もないみたい。
なんというかねえ。そこはかとなく登場してくる人間の「業」のようなものを感じますね。

いきなりジャンルばなしになるが、SMマンガでは「偉大なるマンネリ」を好む層と、肉体改造・肉体破壊しすぎてわけわかんない領域に到達するものを好む層(いわゆる「鬼畜系」ってヤツか?)とあるが、何にしてももっと毛野楊太郎評価しなきゃダメだ! こうした心理戦って、意外すぎるがニッチなものになってるでしょ。

それと繰り返し書くが、私自身がSM調教モノに詳しいわけじゃないのでメンドクサイことをいちいち聞いてこないように。団鬼六も「字がいっぱいあるから」って投げ出しちゃったもん、おれ。
(01.0315、滑川)



・「週刊漫画アクション」13号(2001、双葉社)

今週は全体的にまんべんなく面白くてとくに描くことナシ。めずらしく私が律儀に毎週レビューを書いている雑誌だが、毎週書いているとこういうことが起こるのね。

「魔獣狩り」夢枕獏、木戸嘉美が新連載。人間の心の中に入っていくことのできるサイコダイバー・九門鳳架を主人公とした伝奇アクション。鳳架は原作では「鳳介」という男だが、本編では美少女になっている。「魔獣狩り」(とくに第1作目の)は、面白いことは面白いのだがおそらく執筆以前に考えていたプロットを筆のいきおいによってねじまげた感があり、キャラクターの配分が少々妙なバランスになっていた。具体的に言うと肉弾アクションとサイコダイビングの部分とのバランス。それと九門鳳介ともう一人の主人公・文成仙吉とのバランス。そのことを考えると、サイコダイバーが美少女であるというのは多分正しい。

「オッパイファンド」 山本よし文は、次号ついに最終回。コレも展開がまったく読めないよくわからないマンガであった。そして祝・単行本化! 人気面では「ぷるるんゼミナール」に水を空けられたかと(勝手に)思い込んでいた矢先に嬉しい報。本作と「ぷるるん……」を、以前「花山薫とスペックの戦い」と讃えたが、展開的にはむしろ「柴千春(暴走族)とマイク・タイソンみたいなやつ(名前忘れた)との戦い」にも似たさわやかな展開であった。

そして来週からは「むっ尻(ちり)娘」のさつき優が本誌の「尻担当(?)」として「しりけん」というマンガを始めるらしい。「ひたむきに『尻』を追う犬太郎の青春物語」だそうだ。

「日本人」柳沢きみおは、第4回目。あいかわらず面白い。第一、先がどうなるのかまったくわからない。
(01.0315、滑川)



・「月刊少年チャンピオン」4月号(2001、双葉社)

けっこう読みでありますわ。この雑誌。

・「花右京メイド隊」 もりしげ

アニメ化で巻頭特集。スペシャルブックも発売されるらしい。声優6人によるメイド服コスプレグラビアが載っているとのこと。世の中終わってますね。どんどん終わるべきだ。

本編は、タカビーお嬢様のリュウカが再び花右京家にやってきて騒動を起こすという話。お側御用大隊の制服を着たリュウカがカワイイ。

・「香取センパイ」 秋好賢一

新連載第2回。ケンカはメチャ強いがバカで人望もない男「香取センパイ」が騒動を起こす、というヤンキーマンガ。今回は人望もないくせに後輩(要するに舎弟)がほしい香取センパイが浅知恵をめぐらすというもの。う〜ん第1回がけっこう気に入っただけにわずかに今回いまひとつかな〜と思ったけど、こうした「人望のあるカリスマヤンキーがのし上がっていく話」の逆というかパロディは大好きなので今後も期待したいです。

・「未来人間GO GO GO」 佐藤まさき

ギャグマンガ。レギュラーキャラである校長が、南の島で遭難し原住民に勇者と祭り上げられる。ありがちな話だけど、原住民の言葉とそれの訳の対象がバカバカしくて面白い。

・「ドラゴンスクリュー」 井深英記

ブレイクダンスのマンガ。ストリート系文化をマンガや映画にするのはなかなかむずかしくて、ホントにブレイクダンスやってるコがコレを読んでいるかどうかはわからないんだけど、とりあえずこうした未知の領域の勝負モノは好きなので続けてほしい。

・「シルス」 歳脇将幸

外見は人間そっくりだが、特殊能力を持つ生体兵器「シルス」に脅かされる人々。そしてシルスから不思議な、水を鋭利な刃物に変える力で人々を守った男・ゼロ。その戦い。
今回は、両腕がコウモリの翼になっているシルスとゼロとの戦いが描かれる。「シルスは人の命令しか聞かない(臨機応変に動けない)」のがバトルのポイントになっている。近未来の話なのにヤンキーテイストが横溢しているのはチャンピオン文化というか。「フルアヘッドココ!」なんかを思い出させる。

・「知的生命体たかしくん」 ベイブリッジ・オカノ

コンスタントにいいネタを出してくる4コマ。どっちかというと非シュール系に入るのかな。

・「いちばん」 小沢としお

不良が野球をやるマンガ。のびのびしてていいんだけど、「フジケン」に比べるとちょっと大味かな。

・「21世紀探偵」 うづき秋彦、和同たけし

読みきり。学園の個室トイレで、全裸で頭に金ダライをぶつけて失神した男子生徒が。文部省が設置した「学校探偵」大黒哲也がこの事件を解決する。

面白い。金ダライは水を流したときに落下する簡単な機械トリックだが、「なぜ生徒が全裸だったのか」、「学生服を脱がすことができないことがアリバイ」というところがポイントの推理ギャグマンガ。

これ、小説のプロットにしてはくだらなさすぎるので、マンガだからこそここまでの面白さが出た好例かもしれない。推理マンガが定着した昨今、「トリックスター まじんポくん 別冊コロコロコミック 4月号」 石井達哉(2000、小学館)みたいなわけのわからない作品も出てきているし、推理マンガの可能性はギャグにあるのかもしれない。

ただひとつ破綻があるとすれば、「金ダライに当たって失神した男」が目を覚まして証言すれば事件はほぼ解決してしまうのではないかという点だが……。まあ小問題でしょう。

・「最速!!」 松田尚正

レースマンガ。個人的にカートを題材としているので珍しくて(ホントは珍しくないのかもしれないがレースマンガのことをよく知らん)面白かった。

・「Rock’n爆音」 古沢優

ブサイク系ヤンキーマンガ。んん〜なんかちょっとアンビエントな感じだなあ。

・「ためしたガール」 山田こうすけ

男子キャラが狂言回しにしかすぎない不思議なHマンガ。まあ完全にエッチまで突入してしまえば普通なのだが、少年誌なのでそのラストはあらかじめ剥奪されている。

ところで、巻末の作者コメントに「今の担当は頼れる。できれば企画段階から仕事がしたかった」って書いてあるんだけど、じゃあ前の担当が頼れなかったってコト……?

(01.0314、滑川)



・「週刊漫画アクション」8号(2001、双葉社)

「レディ・フィアー」 岡田ユキオは新連載。小さい頃、性交中に女が男を殺す場面を見てから、通常のセックスには興味がなくなってしまった男が主人公。サイコサスペンスものか?「ぷるるんゼミナール」 ながしま超助は「プルァイド・2」。男とエッチにからむのが目的でレスリングを続ける菜々美。やっぱり登場、グレイシー一族がモデルの呉石先輩。で、次回に続く。「おさなづま」 森高夕次、あきやまひできは前からやってる人気作品だが、「めぐみのピアノ」映画化騒動がどんどん転がっていってだんだん面白く感じるようになってきた。同じく「キラリが捕るッ」 高橋のぼるも、毎号読むとハマる。

(01.0207、滑川)



・「週刊少年チャンピオン」15号(2001、秋田書店)

別に宣伝料もらっているワケではないが、私は現在のところ少年チャンピオンがかなり好きだ。作家の実力や作品の面白さはもちろんだが、企画がそんなにあざとくないのがいい。「こういう企画会議してんだろうなー」とか、ウソでも何でも想像されたらもうオシマイだからね。

「フジケン」小沢としおは、「ヒッチハイクで沖縄に行く」と言って旅立ったフジケンがヨソの土地でケンカに巻き込まれる話の続き。この展開にまったく必然性がないところに、「フジケンらしさ」があるのがいいねェ。いつぞやの「勉強会が飲み会になり、さらに翌日勉強会だったことをだれも覚えていない」とかあの辺のノリを思い出させる。まあちょっとマッタリしすぎのきらいはあるが。
「バキ」板垣恵介は、愚地独歩の「虎殺し」伝説の真偽が明らかに。独歩の「虎殺し」スタイルは、大山倍達が牛と戦っているところが映っているフィルムのときの格好に近い。
「浦安鉄筋家族」浜岡賢次は、ちょっとマッタリした内容。やっぱり「フジケン」と「浦安」がパワーないと、チャンピオンって少しマッタリしちゃいますね。
「ななか6/17」八神健はななかの秘密を知ってしまった雨宮が、ななかが普通に学校生活が送れるように協力してくれ、と稔二に頼まれる。しかし雨宮はななかへの嫉妬でそれを断ってしまう。……というようなことより、精神が6歳児であるななかに雨宮が嫉妬するという恐さだよ。 これ少年誌的にはギリギリだと思う(作品的には優れていると思う)。映画版「裸の大将放浪記」(テレビ版よりもずっと、山下清に対する差別が明確に描かれている)を見たときのようにダークな気持ちになった。今日は酒やめようと思ったけどけっきょく、飲んだ。
「がんばれ酢めし疑獄!!」施川ユウキは、ある意味トンデモミステリでしょ。もっと言っちゃえばアンチミステリだ。おれマニアでも何でもないけどそう断言する。おれは施川ユウキを支持する。
「おまかせ! ピース電器店」能田達規は、どうも最終エピソードになるらしい。なんとケンちゃんの出生の秘密(そんなのがあるとは……)が明らかになりそうだし、50年代SFのもっとも良質な部分を現代の筆致で見せてくれそうで、とてもワクワクです。
(01.0310、滑川)



・「月刊コミックビーム」3月号(2001、エンターブレイン)

「幽玄漫玉日記」 桜玉吉は創作同人誌即売会コミティアに同人誌を出そうという話の続き。ダラダラと日常を描いた作品かと思いきや、「即売会に本が間に合うか」などのお約束の展開もあるものの、「バッジを本のオマケに付けるとき、速やかにお客に渡す法」などがいくつも提示されたりして思わず引き込まれてしまう。逆に言えば、こういう案を次々と出せるから出版関係の仕事とかできんだよなーこの人たち、とか思った。はっきりいって私のやってるサークルは事務作業においてボンクラの集まりですからね。これが一流と三流の違いなんだろうねえ(嘆息)。

あ、そんなことでウツになってどーする。おれ。

毎号読みきりを2本くらいずつ載せてほしい。でないとお話を読んでもなかなか入っていけない作品が何本かある。今回も「よみきり▽もの」(竹本泉)「オトナの漫画」(ダークマスター、泉レッドマン)「ザッパー」(小林哲也)と3本入っているのだが、前の2本は既知の作家のせいか、何かの続きを読んでいるような気になるから、まったくの読みきりをもっと。

「かねひらだもの」 金平守人は自殺テーマで、自殺・殺人・犯罪などをギャグっぽく推奨するというのは若い頃に描きがちなパターンなので色眼鏡で見てしまったが、おそらくこの人しか描けないであろう微妙なスタンスの面白い作品になっていた。
(01.0310、滑川)



・「パチスロ7 4月号」(2001、蒼竜社)

「ランブルアイズ」 石山東吉

涙がでるほどいい。敵の大ボス・の必殺技、「ナックルGボム XX(ダブルエックス)」は、カリスマスロッター和暮の「ナックルGボム」をはるかに凌駕し、自分の技として磨き上げたものであった。それをまたたく間に聞きつけた不良たちが、バイクだの何だのでパチスロ店に押しかけてきちゃうのである。
あまりに素晴らしいが、次号で最終回らしい。

本誌の感想を書いていていつも断り書きをしているのだが、私はパチスロをやらない。別にキライとかそういうんではなく「たまたま」なハナシ。しかしこういう自分がパチスロ雑誌のマンガの感想を素で書くのもどうかと思うのて、他作品についてまとめて感想を書いてしまうと、全体的に非常に読みやすい作品が多く、物語とパチスロ攻略の部分とがうまくマッチしていると思う。それだけに、「ダメ系」というかかつての麻雀マンガにあったようなやさぐれた雰囲気を味わいたい人などには物足りないかもしれないんだが。
(01.0310、滑川)



・「女王様ウォーズ」 乾はるか(1993、秋田書店)

SMの女王様同士が勝負するマンガかと思ったら、ヒロイニックファンタジーだった。でも女王様テイストだけど。

伝説の魔剣、ローズ・ソードを携えて旅をする美少女戦士レイア・アミュレットは真の女王になるために旅をしている。その行く手をはばむのが、すべての男を奴隷にしてしまうという「黄金のハイヒール」をはいたマンドラゴラの女王、ゴールディ・ゴッデス。レイアは馬に変身できる男の奴隷を連れて、足舐めをさせる魔女だの人間をラバー・フェチにしてしまう女だの、次々と変態チックな敵を倒していくのであった。

なんつーかファミコンっぽいファンタジーに、女王様変態テイストをブレンドした作品。当然レイアをはじめ出てくる女は巨乳で巨尻で網タイツをはいたりなんかしている。山口譲司もそうだけど、この人の作品はやることはアホらしくてわりとぶっとんでいるけど、キレイにまとまっている。
(01.0307、滑川)



・「週刊漫画アクション」12号(2001、双葉社)

「シスターBT」 山口譲司は4週集中連載の第1回。昼間はシスター、夜は「黒いチューリップ」と呼ばれるセクシー女怪盗のマンガ。このヒトの「いつものやつ」って感じで気軽に楽しめます。
「ぷるるんゼミナール」 ながしま超助はアマレス編「プルァイド6」。呉石(グレイシーがモデル)と戦う巨乳の白鳥先輩、戦っているうちにオンナに目覚め、実によくわかんない必殺技で勝利。先週は「フツー」だったけど今週はわずかにつきぬけたね〜。この「わずかに」ってのがこのマンガの特徴かな。
「日本人」 柳沢きみおは、第3回目。働きづめの日々から心臓を悪くし、いつ死ぬかわからないと宣告された男と愛人を殺してしまった男が、ひょんなことから出逢い、お互いの名前も素性もわからないまま旅をすることになる。これ、かなり面白いなー。中年男の「もうダメだ」という気持ちと「まだできる」という気持ちの揺れを描かせたら柳沢きみおは天下一品かもしれん。
「オッパイファンド」 山本よし文は、もしかしたら終盤っぽい展開なのかも。もしそうだったとしたら、スゲエ戦いだったよ。もちろん「ぷるるんゼミナール」との戦い(勝手に決めてる)。
「おさなづま」 森高夕次、あきやまひできも途中から読んだんでよくわかんなかったんだけど、最近は面白いと思えるようになってきた。自分の仕事の方法論を確立している編集者の小松とまったくそうではない杉村の対比ってのは面白いよな。顔も「いかにも」って感じでグー。
来週から夢枕獏の「魔獣狩り」がはじまる!(マンガは木戸嘉美というヒト) 予告を見るかぎり、九門鳳介が「九門鳳架」という女になってる。物語のバランス的に、なんとなくそれは正しいと思う。絵柄から言っても。
(01.0307、滑川)



・「コミックまぁるまん」4月号(2001、ぶんか社)

巻頭グラビア、浅田りょう。16歳でFカップ。

・「GO AHEAD 昇龍伝」 英福真美、押山雄一

21日に単行本が出るというのであらすじが載っていたのだが、由緒ある家系の主人公が当主となるために女100人斬りを命じられる、というマンガだそうだ。

今回は知り合いの風俗店にやってきたやくざと主人公が、「M女をイカせた方が勝ち」というSM対決をするというヘンな展開だった。
(01.0304、滑川)



・「月刊ヤングマン」4月号(2001、三和出版)

創刊当初からの連載陣がそれぞれのパワーを発揮していて、どんどん波に乗っているイイ感じ。あとはギャグマンガが1本欲しいのと、ときどきでいいからイキのいい読みきり作品を載せてくれたりするともっとウレシイ。

「燎子の極道」 工藤かずや、内山まもるは、やくざの組長の娘に一目惚れした新人サラリーマンが会社を辞めて極道の世界へ入ろうとする。新連載かと思ったら読みきりだった。でももしかしてシリーズ化するつもりかもしれない雰囲気の終わり方。工藤かずやは別のマンガを本誌では中断したままだが、どうするつもりなんだろう。
「どろろん艶靡ちゃん」 永井豪はもうこの調子で行っちゃってくださ〜い! ってイキオイで絶好調。毎回出てくる妖怪の名前がその回のプロットに関係してくるので書かないけど。
「東洋鬼」 原麻紀夫、唯上拓「爆音THE80」 古沢優もあいかわらず好調。「東洋……」は明らかに「不夜城」などの新宿を舞台にした小説(すいません未読)が元ネタだが、「外国人の天下になった新宿を奪い返す」というから綿密な計画と大胆な行動を描く話になるのかと思ったら、沖縄出身の主人公と中国人の敵がイキナリ沖縄空手と蟷螂拳で戦ったりしてそれはそれでイイ。……と思ったら来月最終回か。「爆音……」はようやくタイムスリップものの面白さを出してきた。
「メガパンチャー」 南方ゴング、井上いちろうも、だんだん面白くなってきた。ただのボクシングマンガではなく、主人公がボクサーになることに謎の陰謀がからむ。
「ハイエナの夜」 夢枕獏、松久由宇は表題「ハイエナの夜」後編。「クマを探し出してくれ」という奇妙な依頼を受ける主人公が山に入ると……という話。コレは一種のトンデモミステリで、原作「ハイエナの夜」の中で個人的にいちばんお気に入りだった作品。プロットが妙なので面白い作品に仕上がっている。原作のネタも尽きてきたためか来月で最終回。
(00.0304、滑川)



・「週刊少年チャンピオン」14号(2001、秋田書店)

「バキ」 板垣恵介は、最大トーナメント編でパターン化されてしまった「登場人物の過去の因縁」→「戦う理由」をいかに変則的に描くかが物語上のポイントになっていると思う。今週であまりにしつこく追い続けてきた死刑囚・ドリアンの過去の因縁が明らかになった。当然、板垣恵介のパターンというのは確立されているしそうでなきゃいけないとは思っているが、それをまた崩そうという意志が感じられてやっぱり面白い。「ななか6/17」 八神健では、読みきりだか以前だかに出てきた、「幼児退行したななかを、周囲の同級生たちはオトコに媚びていると誤解している」という展開がまた出てきた。前回の誘拐犯がピュアなななかがピュアなだけに「バカにされている」と感じてしまったり、ドラマの「裸の大将」やなんかではあまり描かれなかった、人々の「イノセントなものに対する反応」が描かれていてそこが面白いと思う。後は「おまかせ! ピース電器店」のロボットがかわいかった。ド派手な作品ではないが毎週ツブが揃っていて職人って感じ。
(01.0304、滑川)



イキナリですが、どうにも読むのと感想書くのと追いつきません。「おすすめコーナー」に矢野健太郎と毛野楊太郎のコーナーをもうけたいし、冬コミの同人誌、オタク系(アミーゴス系)の書籍なども取り上げていきたいんだけど、なにしろ読むのが遅いんでスイマセンという感じです。

・「ヤングキングアワーズ」4月号(2001、少年画報社)

まあ3カ月ぶん読んだから(もちろん買って)、私の感想の発言権はあるでしょう、ってコトで。
イチオシから書いていくと吸血鬼アクション「ヘルシング」 平野耕太、ブラックジャック的伝説のアシスタントの物語「コミックマスターJ」 田畑由秋、余湖裕輝、この2つがすぐ物語に入っていけて読みやすく、いきおいがある。
次に内容はまだつかめていないけどコマ割りのたくみさとわかりやすさで「カムナガラ」 やまむらはじめ「トライガン・マキシマム」 内藤泰弘もまとめて読んだら「面白そうな感じ」はする。そういう意味では次に来るのは「エクセル▽サーガ」 六道神士、次に「ジオブリーダーズ」 伊藤明弘か。
「夜の燈火(あかり)と日向(ひなた)のにおい」 鬼魔(きま)あづさは、単行本を読んでみたい。

読みきりの「TWELVETIPS〜サライ特別編〜」 柴田昌弘は前後編の後編だが、あまりのショッキングな展開にビックリ。少女マンガ出身だということが念頭にあるためか、このヒトのマンガはときにすごくエッチで残酷に思えるときがある(むろん抜群のストーリーテリングを誇っているのだが)。ソッチ方面からだれか評論書いてくれないだろうか。そしたら読む。
もうひとつの読みきりは「燃えろ! 癒し男」 小野寺浩二。例によって、強引に人を癒しては金をとるという奇妙な男が登場するギャグマンガ。最後の自爆オチも結果論だがイイと思う。
なぜなら「癒し」を否定するものは、即座に「ビッグ・トゥモロウ」的な、あるいは自伝を出しちゃうイケイケ社長的な価値観と自分は違うということを表明しなければならないからだ(断言)。少年マンガ・青年マンガは、実は(と断らなくてもいいのか?)このイケイケ系思想とずらしたところの作品を出すのはギャグ以外にはかなりむずかしいものと思われる。自分の設定した枠外のことができるのか。「癒し」とアンチ「癒し」は、そのような問題を顕在化させる性質を持っているのだ(そんなに大げさでもないが)。

そういう観点で「コミックマスターJ」や島本和彦を考察してみるのも一興かもしれん。

あ、それと数ヶ月読んで思ったが、雑誌全体としてギャグが少ないスね。
(01.0301、滑川)



・「週刊漫画アクション」11号(2001、双葉社)

わたし的には、今回はわりとフツー。

祝・単行本化の「ぷるるんゼミナール」 ながしま超助は、まだアマレスをやっているが「男とくんずほぐれつしているうちに男ギライの女の性が目覚めて……」というんでこの作者にしてはわりとフツー(エロコメにおけるフツー、ってコトね)の展開。「日本人」 柳沢きみおは、社内のリストラを続けていた男が病に倒れ、自分が最後のリストラの一人になると希望。今後の人生を考える。まだお話は転がっていないが、とにかく冒頭2ページのインパクトがすごい。1ページ目、カラーでムンクの「叫び」みたいな顔がいくつもいくつも、デカい字で「人生を返せ……」って書いてあってショッキング。「レディ・フィアー」 岡田ユキオは暴力によって快楽を得る少年と、謎の女が出現するエロティック・サスペンスだが面白くなりそうなところでしばらく休載だそうだ。「なんでもあります(笑)いしいひさいち商店神楽坂店」 いしいひさいちは、最後の4コマの意味がわからん……。弱った。私はバカなのだろうか……。
来週から山口譲司連載。
(01.0301、滑川)

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