子供は何でも命がけ

「コロコロ・ボンボン小学校」もくじに戻る
一気に下まで行きたい

・「4v4 嵐」(1) こしたてつひろ(2000、小学館)
・「爆転SHOOT ベイブレード」(1) 青木たかお(2000、小学館)
・「爆転SHOOT ベイブレード」(2) 青木たかお(2000、小学館)
・「爆転SHOOT ベイブレード」(3) 青木たかお(2000、小学館)
・「爆転SHOOT ベイブレード」(4)〜(12) 青木たかお(2000〜2004、小学館)
・「デュエル・マスターズ」(1)〜(2) 松本しげのぶ、テクニカルアドバイザー/中村聡(1999〜2000、小学館)
・「PaPiPuペット」(1) ウィズ、姫野かげまる(1999、小学館)
・「PaPiPuペット」(2)(完結) ウィズ、姫野かげまる(2000、小学館)
・「カードダス少年団」(全3巻) 細井雄二(1990〜91、講談社)
・「少年ビックリマンクラブ」(全3巻) なかのともひこ(1988、小学館)
・「マイコン電児 ラン」 全2巻 すがやみつる(1984、小学館)(感想文執筆99.1005)

嵐が吹くなら吹けばよい。
雨が降るなら降ればよい。
愛と正義のためならば
ガッツで戦えおれたち仲間。
その名は
少年ビックリマンクラブ。
・「少年ビックリマンクラブ」(全3巻) なかのともひこ(1988、小学館)より

次々と企画を打ち出していくコロコロ・ボンボン戦略には、もちろん
本来カテゴリーなどない。だからそのコミカライズの中にも、アレンジに苦労して
いるものやよくわからない怪作も多く存在する。
そう、「謎のホビー」こそがコロコロ・ボンボン界の神髄といえるのだ。
(99.0910、滑川)



・「4v4 嵐」(1) こしたてつひろ(2000、小学館)

月刊コロコロコミック連載。
海でずっと過ごしてきた野生児・大海嵐(おおみ・あらし)は、久しぶりに陸に戻ってきて小学校に入学。暴れ回るうちにサッカー部の少年たちを挑発するようになり、追い出される。彼を拾ってくれたのは、名門サッカー部とは違って地味な存在の4V4部だった。

4V4とは、テレビ番組「おはスタ」でもやっている4人対4人のサッカー。個人技を鍛えるために行われているゲーム形式らしい。4V4部を目障りだと思っているサッカー部は、4V4部と試合をすることに。前半サッカー形式、後半4V4形式の変速試合。ふだんさげすまれている4V4部は、サッカー部に勝つことができるか!?

運動神経は抜群だが地面にあるボールを蹴ることができない嵐とか、4V4というゲームの特性を少しアピールした試合運びなどはけっこう面白いのだが、サッカー部と4V4部の因縁があまりに淡泊なことや、嵐とサッカー部の牧野キャプテンとの関係もサラリとしすぎていて、ちょっと食い足りないところもあるかも。
(00.1004、滑川)



・「爆転SHOOT ベイブレード」(1) 青木たかお(2000、小学館)
(「ベイブレード」というコマ)

コロコロコミック連載。
タカラから出ている「ベイブレード」というベーゴマみたいなおもちゃのマンガ(ハドソンからゲームソフトも出ているらしい?)。
「龍心剣」という必殺剣術を代々伝える剣道場の息子・木ノ宮タカオは、ベイブレードが大好きな元気少年。彼が伝説のベイブレード「ドラグーン」で敵を打ち負かしていくさまを描く。

第1巻では敵か味方か・謎の忍者?疾風のジンや、不思議な力を発揮するベイブレード「ドラグーン」などファンタジー的な味付けが濃厚。構造的には単純なおもちゃが題材だと思うので、その後の展開がちょっと不安になったが、かつてこの世に平和をもたらした青龍朱雀白虎玄武の4つの力がそれぞれベイブレードに宿り(ドラグーンはそのうち「青龍」の力を持つ)、4つのベイブレードがひとつになるとき、「無限の力が得られる」と話はデカいだけデカくなり続ける。

さらに、ミニ四駆マンガでも見られた「一度放ったベイブレードが途中で方向を変えたりする」謎や、流れる川に放ったベイブレードを回収するシーンがまったく描かれていないなど、……この辺はこういうタイプのおもちゃのネックなんだよね細かい話でどうでもいいっちゃいいんだけど。

そのわりにはぶっとんだ感じがせず、どこかほのぼのしているのが作者・青木たかおの特徴かもしれない。(00.0809、滑川)



・「爆転SHOOT ベイブレード」(2) 青木たかお(2000、小学館)
(「ベイブレード」というコマ)

コロコロコミック連載。
前巻で登場したタカオの友人・キョウジュ(アタマのいい「めがねくん」タイプの子ね)、勝つためには手段を選ばないベイブレーダー集団・シェルキラーのリーダー火渡カイ、その子分だった蛭田、明るいアメリカ少年・マックスたちがバトルトーナメントに出場する。

ベイブレードの構造に言及した必殺技や、各人それぞれの特徴あるベイブレード、またタカオVS蛭田、キョウジュVSカイ、カイVSマックスといったそれぞれのキャラクター対決が見られるところも面白く、だんだん盛り上がってきている。ただ、カイに裏切られたためにますますひねくれ、仲間を裏切って勝ち残った蛭田の改心やタカオとの友情がきっちり描かれていないところなどが少し不満かな。どう描いてもほのぼのした感じになるので読後感は悪くはないんだが。
(00.0809、滑川)



・「爆転SHOOT ベイブレード」(3) 青木たかお(2000、小学館)
(「ベイブレード」というコマ)

ベイブレード

コロコロコミック連載。スーパーバトルトーナメント準決勝、決勝。主人公・タカオの準決勝の相手は中国のベイブレーダー・金李(コン・レイ)。そして決勝では宿命のライバル・火渡カイと対戦することになる。

超絶的な必殺技の応酬になり、かなりぶっとび度が高くなってくるが、謎の青年・疾風のジンが正体を隠していたことに何の説明もなかったり(前を読み返していないけど確かなかった)、悪人の火渡カイがぜんぜん反省しなかったりと物語のツジツマとして少し苦しい部分も。「伝説の4つのベイブレードが集まったときに無限の力が得られる」というのも、あっと驚く収縮具合である意味沈静化する(もっとも本当に「無限の力」が出てきたらもはやホビーマンガでも何でもなくなってしまうが……)。

近年のコロコロ系のマンガにはかつてのような飛躍がなくなりつつあるので過剰な期待はしていなかったが、手堅くまとめたという感じにとどまっている。ベイブレードのバトルはけっこう面白いんだけどね。

#テレビアニメ化されました。
(01.0117、滑川)



・「爆転SHOOT ベイブレード」(4)〜(12) 青木たかお(2000〜2004、小学館) [bk1] [amazon]
(「ベイブレード」というコマ)

よく知らないが、おもちゃの「ベイブレード」、大人気なんですよね? 本作の連載が始まったときは、まさかこんなんなるとは思わなかった。
で、内容はだんだん派手になって、なんだかもうよくわからないことになっている。
各ベイブレードの必殺技が、あまりにありえなさすぎるんだよね。もちろん、ベイブレードで遊んでいる子供たちが本作にシンクロできるんならそれはまったく問題ないわけだけど。オトナの私が読むと当惑せざるをえないところがあって。
ベイブレードが分身したり、火を出したり水を出したり、回転して風を起こしたり。 それが抽象的表現なのか、実際の技なのか、修練によるものか、たびたび登場する「聖獣」によるものか、いまいちはっきりしない。

悪の組織みたいのもよくわからないし、「聖獣」がなんでベイブレードという新興のオモチャに宿るのかという理由も何も描いてない(「なぜこのホビーか」というのは、たとえば「爆球連発!! スーパービーダマン」なんかにはちゃんと描いてあった)。

繰り返すが、読者である子供が疑問を持っていなければいいんだけどね。

第6巻から、別冊コロコロコミック連載の「ベイブレード大地」も収録。木こりである父ちゃんが死ぬ間際に渡したベイブレードを持って、都会に出てくる大地の物語……って、今んところなんで木こりのオヤジがベイブレードを持っていて、それを死ぬ直前に息子に渡したのか何の説明もない。「田舎から出てきた野生児が旋風を巻き起こす」という70年代的設定にある意味驚くが。
ちなみに同作は「爆転SHOOT ベイブレード」と同じ世界の物語。かつての脇キャラであった蛭田が登場したりする。

その後、大地は本編にも登場。タカオとチームを組むことになる。
(04.0102)



・「デュエル・マスターズ」(1)〜(2) 松本しげのぶ、テクニカルアドバイザー/中村聡(1999〜2000、小学館)
(マジック・ザ・ギャザリング)

月刊コロコロコミック連載。
「マジック・ザ・ギャザリング」を中心としたカードゲームのマンガ。
世界カード修行に旅立った父が行方不明に……。同行したアジアチャンピオン・NACも放心状態で日本に帰ってきた。
マジック大好き少年の主人公・切札勝舞(きりふだ・しょうぶ)は、父をやぶった闇の集団・GARDE(ガルド)と戦うため、そして世界一になるためにカード修行に励む。
当面の敵はジュニアデュエリスト養成期間・JDCの「白鳳」(キザな美形キャラ)だ。おさななじみのれく太、戦いの末友情が芽生えた透(とおる)難波金太郎が彼を陰になりひなたになってサポートする。

カードゲームのルールをよく理解していないため、最初は読んでいてとまどったが読み進むうちにおぼろげながらわかってくるから不思議。筆者はもともとギャグマンガのヒトだったようでちょっとギャグ絵っぽいけど、交互に読みあいをする勝舞と金太郎の戦いなどはよくできていた。
あとはどれだけ「カードゲーム」の特殊性をマンガで表現できるかだと思う。
なお、NACは中村聡がモデルらしい。(00.0809、滑川)



・「PaPiPuペット」(1) ウィズ、姫野かげまる(1999、小学館)
(ペットを飼う)

月刊コロコロコミック連載。
山神拓也はペット大好き少年。いつもペットショップ「PaPiPuペット」で店主・ペットマスターの手伝いをしている。拓也は動物学者の父さんからゴールデンハムスターをもらう。しかしそのハムスターが、パソコンのコードをかじってしまった。

ちょうどそのとき、パソコンには絶滅危機動物ファイルのデータが立ち上がっていた。

パソコンから絶滅危機動物の願いや魂がハムスターに乗り移ったのか、身体と瞳がブルーに、そして額に星形の模様がついてハムスターがへんしん!
拓也はこのハムスターを「ブルー」と名付ける。 ブルーには動物の言葉を翻訳する不思議な力があるらしい……。
「ブルーのふしぎな力の巻」では、親に勉強べんきょううるさく言われ続けた少年・まさるが、学校で飼われているうさぎに自分の姿を投影してしまい、かわいそうになって山に逃がしてしまう。
うわー、映画「E.T」のワンシーン、「実験に使われるカエルをぜんぶ逃がしてしまう少年」じゃないっスかあ。イタくて悲しい話……。
もちろんナニワブシ的ハッピーエンドを迎えるんだけどね。

「宿敵リベンジャー登場の巻」では、「動物を虐待する人間を攻撃する」超能力を持ったネコ「リベンジャー」とその飼い主、香月礼央奈(こうづき・れおな)が登場。拓也とブルーのライバルになる。

飯森広一や高橋よしひろ以外、動物マンガってほとんどなかったような気がするが、最近のペットブームとからめて「ペットとの交流」から始まり野生動物にまで視野を届かせようという視点は今日的だと思う。ペットマスターはペットの飼い方を豆知識的に教えてくれるし、「ブルーのケージ完成の巻」は一時期(ほんの一時期?)、投機の対象とまで言われたクワガタの飼育がテーマだった。そう、注意して見ると都会にも動物ってたくさんいるんだよね。

昨今の環境問題とペットブームをテーマとした、子供向け「泣き」マンガとして面白くなりそうな気配だ。絵もカワイイし。(00.0320、滑川)



・「PaPiPuペット」(2)(完結) ウィズ、姫野かげまる(2000、小学館)
(ペットを飼う)

PaPiPuペット

月刊コロコロコミック連載。ペット大好きな山神拓也が動物学者の父さんからもらったハムスター・ブルーは、絶滅危機動物のデータをパソコンから吸収、身体と瞳がブルーの不思議な存在に変身。動物の言葉がわかるようになった。

一方、香月礼央奈(こうづき・れおな)(少年)は動物を虐待する人間を憎み、飼いネコ・リベンジャーとともに拓也とブルーのライバルとなった。

その後、お話は大きく展開、ブルーの力は絶滅動物を救うために神から与えられたものだった。額の白い星はその象徴。そして、同じ力を持つシマウマのゼブルとその飼い主の少年・トト(アフリカに住んでる)と距離とは無関係に奇妙な交感をし、さらにリベンジャーの額の黒い星は人間の心がつくり出した「悪魔」のものだったことが判明。
礼央奈の兄・香月悠馬は、大企業・香月グループの力で野生動物が生息する南海の楽園・ガイロス島を油田開発のために破壊しようとする。

悠馬にも悪魔が宿っていたのだ。
拓也、ブルー、礼央奈、リベンジャーはガイロス島へ行くが、悪魔のとりついた悠馬は魔力を使って彼らを攻撃する。そこへアフリカの少年・トトとゼブル、そして額に白い星を持ったサイやヒョウ、ゴリラなどのさまざまな動物たちがかけつけ(超能力?)、ブルーたちに加勢するのであった。

なんだか幻魔大戦みたいな話だが、本当にそうなのだから仕方がない。1巻を読んだ印象では、2巻は毎回動物まめ知識を散りばめた「泣き」の話になるのかと思ったが(実際そういう話もあるが)、ハムスターのようなペットと野生動物との交感をやや強引に描き、それが神と悪魔の戦いに発展するというかなりデカい話となった。

たとえば麻雀がやがて宇宙レベルの戦いに発展する「風の雀吾」(みやぞえ郁雄、志村裕次、1979、グリーンアロー出版社)のように、ものすごくぶっとんだ感じはしないものの、なんだかそこはかとなく妙なものを読んだような気になる。
「とっとこハム太郎」のようなマンガだと思うと、ビックリするかも。

なお、ポケモンのマンガも描いているこの作者の描く動物は、とてもカワイイ。
(00.1004、滑川)



・「カードダス少年団」(全3巻) 細井雄二(1990〜91、講談社)
(「ガンダムのカードダス」の収集)

カードダス少年団

コミックボンボン連載。
■「集める」という現実に徹底してこだわったコロコロ版収集マンガ「少年ビックリマンクラブ」(ビックリマンシールの収集)に対し、本作はカードダスの幻想世界に少年たちが入り込んでしまうというアシッドな作品だ。
本作のカードダスは「SDガンダム」を基調としているが「SDガンダムの世界」ではなく、あくまで
「SDガンダムのカードダス」の世界なのがポイント。
そしてまた、全編に貫かれる太いテーマがある。それは「『弱さ』との共感」であった。陳腐だろうとおためごかしだろうと、私はこーいうのが好きである。

■カードダス20からカードが1枚も出てこない。やっと出てきたと思えば、HP0 の泣いているザクだった。不審に思った清水(シー)ちゃん五郎の3人は突 然謎の光に包まれ、着いたところは「カード世界」だった。泣き虫ザクが、SDヨ ネーダに支配されたカードダス世界を救うために彼ら3人を助っ人として呼んでき たのだった。
「あなた方はぼくのようなHP0のカードでもたいせつにしてくれた この人たちはどんなカードでもわけへだてなく愛してくれている そんな人たちならこの世界をすくってくれる 魔王ヨネーダをたおしもとの平和な世界にもどしてくれる……」
ザクの願いを聞き入れ、カードを使ったカードダス少年団の戦いは始まったのだ。

カード世界では、カードのキャラクターが飛び出してきて守たちを守ってくれる。
また「毒薬カード」を水に入れると、水も毒になってしまう。
ホワイトベースのカードからホワイトベースが飛び出し、その背中に乗って空を飛んだりして、なかなか楽しい。

そんな中でも、古くてHPが低いために捨てられた「ボール」のカードが魔帝国に寝返ってカードダス少年団にアンチテーゼをつきつけたりと、「強さ」とか「弱さ」とか「やさしさ」をテーマにしていることには変わらない。

SDヨネーダ、ベータ、ケーダの3魔王を倒した守たちだったが、ついに
「大魔王(デビルキング)」が現れる。大魔王はイカサマでカードを巻き上げていた上杉をそそのかし、彼をカード世界の魔王に仕立てあげる。

上杉は、
「カードは買うもんじゃねえっ うばうもんだ!!」
「これだからおちこぼれはいやなんだ! バトルは戦いだ!
強いやつがより多くのカードを持つ!」

……と主張してはばからない少年なのだ。

■上杉のカード世界はそれまでのものと違い、彼の心のイメージとカード世界の合体。カードのみならず、天変 地異さえ彼の意志で自由に動かすことができる。最初は人間体だった上杉も、自分のイメージワールドの中で心のバランスを崩し醜い怪物に変身していく……。
雷雲や吹雪などで次々と攻撃してくる上杉。そんな中、今までズッコケムードメーカーだった五郎の足手まといぶりが目立ってくる。

■雪の中、仲間割れを起こした3人。その五郎を連れだしたのは上杉だった。
おまえもおれと同類だ。おまえもカードバトルで頂点に立ちたいと思っているはずだ」

仲間になることをそそのかす上杉。そしてついに五郎は上杉の手下に!

■しかし五郎は守たちを裏切ったふりをしていたのだ。上杉に仲間がいない淋しさをさとった五郎は、彼の心を開くために仲間になったのだ。しかしその思惑がばれ、上杉は変貌していく。
■力のすべてを使い攻撃する上杉だが、彼の力の源の「カード」も、彼の横暴さを悲しんでいた。カードすら思いどおりにならないと知った上杉は怒りのあまり自分のカードをすべて手放す。力の源泉を自ら手放した上杉は魔力を失うが、彼の心を本当に開いたのは五郎だった。上杉の刃を自ら受けたのだ。
「な……ぜ……だ? おまえ なんでよけな……い?」
「切れないさ」
「おまえに友達が切れるもんか」
「だれよりも友達がほしいおまえにさ……」
「ち……ちがう……」

「おれは友達なんてほしくねーっ」
「おれは一人だって平気なんだ」

「おれは……おれはーーーーっ」
上杉の心はついに開かれ、3人はもとの世界に戻った。
■カード世界が上杉の世界になってからががぜん盛り上がる。本作は、泣き虫ザク、ボール、上杉というある意味「弱い」立場の視点にポイントがある。彼らと最も共感できるのが、カードバトルの力はないが最もカードを愛している五郎だというところに、1本スジが通っている。(98.1230、99.0904、滑川)



・「少年ビックリマンクラブ」(全3巻) なかのともひこ(1988、小学館)
(「ビックリマンシール」の収集)

少年ビックリマンクラブ

コロコロコミック連載。
「何かを集める」ってのは子供の習性みたいなところがあって、切手やら牛乳瓶のフタやら、役に立つものからまったく立たないものまでいろいろある。収集は子供の本能であるものの、これをストレートにマンガにすることはかなりむずかしいと思われる。
それは「収集」それ自体に目的がなく、「集めたいから集める」から。タイアップがある場合、あまりにあざとくなってしまうという一面もあるだろうが……。
その難問にあえて挑戦し、無から有をつくり出した? のが本作だ。
無用のものに意味を与える。その離れ業にご注目あれ。

最初に「ビックリマンシール」について簡単に説明しますと、シールごとに天使や悪魔が描かれていて、シール全体が壮大な神話体系になっているというロッテのチョコのオマケである。
最近では「ビックリマン2000」として復活、コロコロコミック誌上でも「秘密警察ホームズ」の犬木栄治がコミカライズを執筆している。

ちなみに本作「少年ビックリマンクラブ」の絵柄は、しいて言うならとりいかずよし風である。

シールは基本的に役に立たない、ムダなところが楽しいのだが、それを理解しないのがオトナだ。ビックリマン大好き小学生のマン太、シールを手裏剣のように投げる特技を持つ若井(メガネをかけている勉強できそうな子)、チョコのにおいで中のシールを当てる少年・具留目(ぐるめ)(太っている)の3人は、ビックリマンに理解のない人々、シールを高額で売りつける中学生などに対抗するために「少年ビックリマンクラブ」を結成する(後にみんなより年下の七助も加入)。

彼らの戦い方がすごい。なんとシールを使うのだ。「キラキラシール」(文字どおりキラキラ光る)を使ったマン太の「ビックリマンフラッシュ」をはじめ、
・手裏剣のように敵に投げてぶつける
・海に大量に投げて魚を集め(集まるか?)波を止める
・濡れたシールを身体中に貼り付けて火事場に飛び込む
・ビックリマンの会員証を太陽に反射させ光通信(!)

……など、シールで奇跡を連続する。

「最後の一葉」のように木をキラキラシールでいっぱいにして光らせたり、クリスマスツリーのてっぺんに「聖梵(セント・ボン)ミロク」(かなり高位の神らしい)のシールを貼り付けて盛り上げたりもするのだ(しかし東洋風の神のシールをクリスマスツリーのてっぺんに付けるってのはイイんだろうか? 私の気の使いすぎか?)。
その中で、ビックリマンシールを通した子供たちの友情やネットワークのすばらしさが描かれる。
また、「ホビーを他人に理解されないもののくやしさ」みたいなものが伝わってくるのがねえ……しみじみしちゃいますね。

ビックリマンの世界は、かなりわかりにくい。マン太たちはビックリマンに登場するセリフを多用するが、
「ニセ物で子どもの心をまどわし金もうけするなんて 魔恵を身につけたデビリン族だぜ。」
「超動の魔古鬼を聖体で受けて包むTO巫観音(トウフカンノン)だ!」

など、部外者にはまったくわからない。

海で遭難しかかったときに、子供たち全員で手をつなぎ「ビックリマンの話題を語り合うことで気力を保とうとする」とこなんざは……カルト教団出版のマンガを読んでいるような気分に、ちょっとなるネ!

後半はどんどんヘンなヤツらが登場する。女の子3人組「美少女ビックリマンクラブ」はまだいいとして、ふだんから「ヘラクライスト」のコスプレをしている巨漢・小錦、タコ上げの名人・多古道(脚光を浴びるのは新年明けだけか?)、
天使シール重視の傾向に強烈なアンチテーゼをつきつける
「悪魔シール愛好派」の「天魔クラブ」
(しかも全員悪魔のコスプレ)、

インド神ふうの「聖梵ムガル」ソックリの女の子・ムガ美(そんな名前あるか!)、悪魔ヘッド・ダークヘラにソックリで催眠術を使う屁羅洋子先生など、しだいに学園モノの枠を超えていってしまうのであった。

いかがでしたろうか。以上のように、「実生活にまったく無用なシール」を利用する、「無から有をつくり出す」試みが本作だったのである。(98.1230、99.0910、滑川)



・「マイコン電児 ラン」 全2巻 すがやみつる(1984、小学館)
(マイコン)

マイコン電児ラン

別冊コロコロコミック連載。「ゲームセンターあらし」大ヒットの流れで、「テレビゲームの次はパソコン」ということになったのかどうかはわからないが、とにかくマイコン(当時は「パソコン」より「マイコン」という名称で通っていた)をテーマにしたマンガ。

主人公ランの「マイコン魂」がビンビンに伝わってくると同時に、少年マンガ的「勝負もの」になりにくい当時のマイコンという題材がどう料理されているか。現在から見ると興味深い内容になっている。
「テレビゲームマンガ」にカテゴライズしようと思ったが、厳密には違うんだよねやっぱり。

第1話「激突! あらしVSラン」では、「マイコンの世界は無法と混乱が支配する……マイコン戦国時代に突入しつつあった!」といういきなり激しいオープニング。

「マイコンハウス ブラック」の社長がこの戦国時代を生き抜くため、ゲームのプログラムコンテストを開催する。
コレがいきなり

後楽園球場で開催!
参加者は地区代表五十人!

ゲーム判定の審査員は、
ゲームセンターあらし!
だが、あらしに勝てるゲームなどそうそうつくれるはずもなくかなう者なし。これが社長の策略。
あらしに負けて落胆した参加者のゲームを安く買いたたく算段だったのだ。
それを見破ったのが、われらが
マイコン電児ランだった!
■しかし、ランはゲームを見るとみさかいなくやらざるをえないあらしと対決することになりそうだ!
そうした緊張感漂う会場で、ランはあらしに一瞬のうちにプログラム改造したキーボードを投げ与える。
あらしの放ったエレクトリックサンダーがキーボードに当たり、その衝撃で磁力線が発生するようにしたのだ!
 この磁力で社長の奪おうとしたゲームのプログラムはすべて消えてしまった。
「勝負はおあずけさ。」
「もう一度勝負したいな、ラン!」

固い握手をかわすランとあらしであった。

第2話「マイコンはだれでも使えるんだ!」は、マイコン同盟のリーダー・那智江梨人が登場。
「これからの時代マイコンを使えないものは人間ではないのだ。」というひでえ理論のもと、マイコンを知らないコン平(こぶ平似)を大衆の面前で徹底的にコケにするのだった。
それに怒ったランが「マイコンはだれでも使える!」という主張を
啓蒙するところが涙ぐましい。

那智江梨人はガイコツ人形を(なぜかシャンデリアの上から)糸で操って、さらにそのガイコツがキーボードを叩くという意味不明な曲芸をやってのける。まあ「柔道一直線」の足でピアノをひくタグイのコトですかね。結局、江梨人とアドベンチャーゲーム早解き合戦で勝負することに。だが残り4秒でプログラムを書き換え(!)勝利するのだった。

第3話「マイコン地獄からはいあがれ!」は、音響による催眠効果を仕組んだゲームをランに渡してくる犯人を探す。マイコンにまつわる話が真犯人発覚の伏線になっている。同一作者の「ラジコン探偵団」を思い出しました。

第7話から最後までは、ラン最大のライバル、ジミーが出現。
「自分の力を試したい」ってだけで
全世界のコンピュータを操り、世界を破滅させようとする。核ミサイルまで発射されるが、これもまあいろいろあって国際電子警察の刑事・シッダルカとともに解決するランであった。

■他にも「電子転送マシン」で肉体ごと「PC6001−MKII」に入り電子フィールドの中でバグと戦ったり、コンピュータ予測で野球をする。少年マンガの王道パターンをおさえ、今読んでも決して飽きない作品である。

■なお単行本巻末には「あらしマイコン百科」「ビル・ゲーツ物語」「アップルIIストーリー」がついている。

■本作は単純な対決モノではないため、多少の不明瞭さを感じないではない。マイ コンの多用途性から物語を絞り込みにくかったのだろうと思う。マイコンの基本事 項を小中学生に理解させることがむずかしかったこととも関係しているだろう。マ イコン(パソコン)は、小中学生の興味の対象でありながらこれをメインテーマと した大ヒット作がない(あったらゴメン)ことも「説明のむずかしさ」と関係して いるかもしれない。

■一方、コミックボンボン84年7月号からは、「パソコンまんが」と銘打った「超天使ムサシ」(河合一慶)が新連載。これは少なくとも新連載後数回は「天界のコンピュータにトラブルがあり、パソコンの得意な少年が事件解決のために神様から選ばれる」という設定で、パソコンは「たとえ」で直接の関係はない。
主人公は「エンジェルマン」という超絶的にカッコ悪いサイボーグみたいのに変身する。
同作は、マイコンテーマのむずかしさを物語っているような気がする。(98.1230、99.1005、滑川)

ここがいちばん下です
「コロコロ・ボンボン小学校」もくじに戻る
トップに戻る