コロコロ・ボンボン以外の小学校

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コロコロ・ボンボン小学校の放課後
一気に下まで行きたい

・「ファミ魂ウルフ」(1) かたおか徹治(1986、徳間書店)
・「ファミコン八犬伝」ハイスコア倶楽部、京極京介、(1986、週刊少年チャンピオン21号〜29号連載、秋田書店)
・「パッピュンボーイ」(全2巻) 黒木健介、村上としや(1982、講談社)
・「ラジコン風雲録」 平宏、しまざき真二(1987、徳間書店)

「一般的なスポーツではないもんを題材にしたホビーマンガ」は、コロコロコミック、コミックボンボンに主に連載されていたが、もちろん、両誌以外にも似たような傾向の作品を掲載した雑誌はたくさんある。ここでは「コロコロ・ボンボン以外」という大雑把なカテゴリーで、ホビーマンガを見てみたいです。
「コロコロ・ボンボン以外」というと、同じターゲットだったと思われる少年マンガ雑誌「100てんコミック」や、徳間書店から出ていた「わんぱっくコミックス」のシリーズがある。また、ボンボンとの関連では「月刊少年マガジン」にラジコンなどのマンガがときどき掲載されていたようである。



・「ファミ魂ウルフ」(1) かたおか徹治(1986、徳間書店)

ファミ魂ウルフ

ファミコンの攻略法を交えたコミカライズを大量に出していた「わんぱっくコミックス」の1冊。作者はたぶん、「ウルトラ兄弟物語」のかたおか徹治と同一人物。

エゾオオカミに育てられた少年・野生命知郎(やお・いちろう)は、剛田コンツェルンのスカウトマン・村雨烈火とその娘・竜子にファミコン戦士としてスカウトされる。実は命知郎はそれまでファミコンを一度もやったことがなかったが、竜子とのファミコン勝負でその才能の一端をかいま見せる(なぜか彼がオオカミに育てられた秘密を社長の剛田は知っていて、ファミコン部門のマスコットボーイにしようともくろんでいた)。
ファミコンを続ける気などなかった命知郎であったが、社長が命知郎の母親代わりであるオオカミ・ミツを誘拐したため、東京に出てくることになる。
そこでのファミコン勝負にも勝利した命知郎は、剛田への復讐のため、彼の敵としてトーナメントに出場する。

スーパーマリオに合わせて「筋肉番付」みたいな過酷な体力ゲームをやらされピンチにおちいる命知郎。しかし、病気をおしてトーナメント会場にかけつけたオオカミ・ミツの「いくじなしっ!! あなたは私の子!! 私のお乳で育ったオオカミの子!! オオカミはどんな時でも弱音をはかないっ!! 復讐なんてよけいなことはけしさりなさい!! 狼魂(ウルフ・スピリット)でこのトーナメントを生きのこるのよっ!!」の言葉にはげまされ、みごと勝利をおさめる。

なぜオオカミの言葉が通じたのかについては、「おそらくミツの 狼魂(ウルフ・スピリット)がモニターからカメラ そして命知郎くんに逆電送されたんだっ!!」というまったく意味不明な説明がなされている。

その後も、「剛田ファミコン強化道場『地獄の穴』(ヘル・ホール)」(なぜか寺風建物)の鬼のような師範代が、命知郎に四天王をさしむけるのだった。

ちなみに登場するファミコンは「シティコネクション」、「ゲイモス」、「スーパーマリオブラザース」、「ボコスカウォーズ」、「頭脳戦艦ガル」、「マッハライダー」など。

巻末には「スーパーマリオブラザース スーパーテクニック編」(マンガではない。普通の裏技紹介記事)が載っているが、半分くらい「クリヤや高得点には役に立たない技」なんだけど昔の攻略本ってみんなこんなだったのだろうか???
(00.0925、滑川)



・「ファミコン八犬伝」ハイスコア倶楽部、京極京介、(1986、週刊少年チャンピオン21号〜29号連載、秋田書店)

週刊少年チャンピオンが、ファミコンブームの勢いに乗って放ったファミコンバトルマンガ。構成は初回だけ「ハイスコア倶楽部」、その後は最後まで「京極京介」となっている。
田中台小学校の小学生・日向慎介が学校にファミコン部をつくって、次々と難敵を倒していくというもの。
「グーニーズ」、「タッグチームプロレスリング」、「影の伝説」、「アーガス」、 「グラディウス」などを使い、中学生のファミコン部員と慎介が戦う。
敵には慎介をライバルと認める美形キャラ・明央学園中等部の芙龍健児、北山中学のダークプリンス(覆面にマント姿)などがいる(こいつは覆面姿を利用して、長丁場のグラディウス勝負を知られないように3人交代制でやっていたキタナイヤツだ)。
「八犬伝」的な構想については、「500年の時を経て、現代にファミコンを介して八犬士が集まり出す。そしてとてつもないことが起こる」となっていたが、慎介たちが担任の女教師・里見先生から謎のペンダントをもらう以外は構想以前で終わってしまった印象。八犬士が揃うと「学校どころじゃなくなる」ほどたいへんなことが起こることになっていたが、慎介を含め4人まで揃ったところで打ち切りになってしまった。

知るかぎり、週刊マンガ誌でファミコン攻略マンガを連載した数少ないうちのひとつ。(00.0120、滑川)



・「パッピュンボーイ」(全2巻) 黒木健介、村上としや(1982、講談社)
(スポーツ射撃)

パッピュンボーイ

月刊少年マガジン連載。
本格的スポーツ射撃マンガ。主人公の滝翔太は、ただ「射撃に興味がある」というだけがとりえだが本能的にいろいろな勝負をクリヤし、IJSC(インターナショナル・ジュニア・シューティングクラブ)に入ってライバルたちと対決する。現実には射撃は20歳以下の人はやっちゃダメらしいんだけど、まあ少年マンガで麻雀やパチンコのがあるのと同じ小問題ですな。
しかし、スポーツ射撃ってのはこのマンガのとおりだとすると実に微妙な競技だ! 風、気温、自分の心臓の鼓動……あらゆるものが正確な射撃の邪魔をする。それを才能と努力と機転で乗り越えていく翔太なのだった。

■翔太の秘技は「サーフィンショット」。エアーライフル射撃の3つの姿勢の仲で 、最も不安定で命中しにくいのが立射。身体の重心を一定に保つのが非常にむずか しいのである。そこで、翔太はデコボコなボードでのサーフィン特訓をする。この ことによって、体を前後左右に大きくゆすり、両足に平均にかかる重心点をとらえ てひき金をひくこのショットが完成したのだ。

■他にもいろいろアクロバティック な技が出てくるが、「ぶっとび」的視点ならば
「神有介」「ヨーガの秘術 仮死 の型」だろう。インドで本格的な荒行をつんだという彼は、
「丘を五百メートル走ってから伏射姿勢で撃つ」競技に出る。激しい運動をすると呼吸、血液の流れ、心 臓の鼓動すべてが射撃のとき銃をゆらす。
そこで有介は、ヨーガの秘術によって心臓を止めてしまうのだ! ふだんはものしずかな有介が、このときばかりは本当にスゴイ顔をする。
「九十二歳の老師が会得した」すごい技なんだけど、翔太は左脇に銃のマガジンをはさんで動脈を止め、
「仮死の型」と同等の効果を生み出した……って、それじゃ死を賭けた有介の立場は? 

■他にも有介は、体ひと つがギリギリに通り抜けられる穴を開けた円盤(しかも釘がいっぱい)を揺れる水 面に浮かべ、何十メートルもの高さの断崖絶壁から飛び下りる、という恐ろしい修 行もやっていた。でも翔太は、「とっさの機転」で常にくらいついていく。翔太の 逆転劇があざやかでいつも読後感は爽快だ。ちなみに
「パッピュン」は翔太の口グセ。意味は不明。まあ「パッピュ〜ン」って撃つからだろうけど。

・翔太のガールフレンドはアメリカ人のチェリー。ヒロインが外人というのはめずらしい。
射撃の腕前もなかなかな女の子。

村上としや氏は、最近のファーストガンダム20周年でクローズアップされた「ディオラマ大作戦」の作者。

・原作者の黒木健介氏は、神保史郎(「ディオラマ大作戦」では村上氏とコンビ)氏説あり。
(98.1230、99.0904、滑川)



・「ラジコン風雲録」 平宏、しまざき真二(1987、徳間書店)
(ラジコン)

徳間書店から刊行されていた、ゲーム攻略マンガなどのホビーもののシリーズ「わんぱっくコミックス」の1巻。主人公・城野健がRCチャンプを目指すという典型的なパターン。

絵は少し国友やすゆき風。ライバルに金持ちのキザ男(パターンだ)の他にも、物静かでスゴイテクニックを持っているが心臓の弱い少年、ヤンキー娘(この場合はアメリカ人という意味)、セーラー服美少女などが出てくる。
健の「秘技・つばめ返し」(バックにチェンジした自分のマシンの後輪を相手のマシンの前輪に当て、回転を止めるというよくわからない技)も飛躍しててヨシ。
(99.0317、滑川)



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