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・「ちょっとカクシタ」全2巻 矢野健太郎(1997〜98、リイド社)




・「ちょっとカクシタ」全2巻 矢野健太郎(1997〜98、リイド社)

ちょっとカクシタ

・あらすじ
マイティ、コミックD、ボナンザ連載。人気小説家の森沢なつきは、5歳年下の元パンクロッカーでフリーターの下田利夫と同棲中。
二人は年の差も収入差も関係なくラブラブだが、ロッカーだった頃の利夫のファン・琴美がからんできて話がこじれていく……というエロチックラブコメ。






ちょっとカクシタ

・感想
すごく面白いのだが、出だしの設定がなんか単純すぎるな? と思っていたら、もともと読み切りで始まったらしい。
あいかわらずお話の広げ方と唐突なたたみ方(いや、たたみたくてたたんでいるのではないんでしょうが……)がすばらしい。
作者は、エンターテイナーの鏡だと思う。

「ボナンザ」に移ってからは、琴美との三角関係ではなく、時間を戻して二人が出会った頃からの仕切りなおし。「女性の結婚と仕事」がテーマになっていて、あとがきでは「エロコメでフェミニズムネタなんて」と自虐的に描いているが、こここそが面白い! 正確に言えば、そういった話をうまくエロコメに着地させようとするところが興味深くて面白いのだ。

97年頃の作品で、あれから10年以上の月日が流れたが、「女性の方が年齢も収入も社会的地位もあるカップル」を描いたらどうなるかは考えさせられる。本作に登場するような「結婚するなら仕事はぜったいやめろ」と言うような男性はたぶん減っていると思うが、出産や子育て、近所づきあいなどの問題でまだまだ女性は苦労しているのでは? と考えに浸ってしまうのであった。

ちなみに、琴美は「コットンプレイ」という作品で主役に昇格。魅力をふりまきます。
(10.0110)

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