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・「スイート・タイム」全1巻 矢野健太郎(2005、竹書房)





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スイート・タイム

・あらすじ
「Dokiッ! Special」2004年2月号から11月号まで連載。「制服」をテーマにしたオムニバスの成年コミック。

ナース、デパガ、ウェイトレス、スッチー、OLなどが毎回エロいことになるという読みきり連作。掲載誌がもともと「制服系働くお姉さん」で統一されていたらしく、そういう内容になっている。

・感想
あまりにも私的な話ですが、作者の公式ページの掲示板に「年内に、全作品レビューページを完成させます」と宣言してしまってから早5カ月も経ってしまいました……。いろいろ申しわけありません。

さて、本作は「どうせ制服系だからお約束な話が多いだろう」と思っているとさにあらず。お約束を踏まえた上で、いかに新味を出しつつ、しかしやっぱりお約束的な着地を見せるか、ということが考えられている。
それは第1話の「ナースなお時間」の導入部が、「いきなりナースのHシーンだと思ったらそれはAVで、スケベ親父の患者さんにそれを見せられたナースが「セクハラだ!」と怒っているシーンから始まることからもわかる。
「普通そうだろうな……」と思わせる導入部から、とうていありえないH展開への持って行き方に毎回趣向が凝らされている。「どうせ成年コミックの特定のシチュエーションなんてみんなお約束だろう」とあきらめて説明不要なお約束シーンを描いている人たちは、本作をぜひ参考にしてもらいたい。

読者ターゲットとしてほぼドンピシャ(正確に言えばやや上だけど……)な私としては、それと作者がいまどきの風俗(フーゾクのことじゃなくて風俗・習慣の風俗)を取材して、女の子のノリなんかも考えて、それで最終的にベタなキャラ造型にしているところにしみじみする。
至る所でエロマンガ的お約束は現実から軌道修正を迫られるが、そこでまたエロ方面に軌道修正する、というような展開が多い。まあ、昔っからエロマンガ的シチュエーションなんてぜんぶ幻想なわけだけど、それでも「時代の違い」はヒシヒシと感じてしまうわけで。それをスッパリ無視してしまう「萌え」という便利な言葉もあるけど、そうでなくして現代を舞台に、昔ながらのエロマンガを描いているのが素晴らしいと思うわけです。
(05.0430)

ここがいちばん下です

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