■2001/04

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  #42
01/04/01〜

QUICK REFERENCE


【単行本・漫画】(漫画)
 
【単行本・漫画】(小説・ノンフィクション)
 秋山完 「天象儀の星」 / 野尻抱介「ピニェルの振り子」new.gif (484 バイト)
【雑誌】
 ビッグコミックスピリッツ増刊 IKKI No.3 / 快楽天 5月号 / ヤングキングアワーズ 5月号 / 近代麻雀 5/1 / ヤングアニマル 5/15増刊 嵐 Vol.1new.gif (484 バイト)
【etc.】
 

 

01/04/10(TUE)



 抗鬱剤の効果はてきめんだったようで、自分の感情が変化していくのを直に感じるのは面白い。
 いま飲んでいる抗鬱剤、まあSSRIなんだけど、はセロトニンのトランスポーターからの再吸収を防ぐことで脳内セロトニン濃度を上昇させるという働きをしてるらしい。でも実際飲んだ感覚だと、ちょうど脳の底のほうにある沈殿物がきれいに除去されたようなイメージがする。自分がフィルターを掃除したあとのエアコンになった気分。
 なんか、逆。
 普通ある程度の期間飲み続けなければ効果はない気がする。即効性があったのは薬が強すぎたのか、単なるプラシーボ効果なのか。でも食欲がないとか、口の中に甘酸っぱい唾液がたまるとか、生あくびが出る、とか副作用らしきものも存在する。
 1回にZOLOFT1錠、50mgというのはやはり強すぎなのかも。



 たしか2年前にもそんなこと思ったな……すっかり忘れていた。



 殺風景で無機質な部屋。
 入り口から入ったその部屋の第一印象はただ、白一色。広々としたその部屋の天井は高く、面全体が照明となり、そこから温かみのない白色光が降り注いでいる。その光は異様なまでに明るく、清潔にその部屋全体を輝かせているが、コンビニエンスストアの中に広がる不自然なまでの光量と同じような種類の印象を同時に与えるものでもあった。

 部屋の中央にはどこまでも長く広い机。その机が会社の会議室にあるような机と異なっているのは、さらにその中央には数十個ほどだろうか、ありとあらゆる種類のスイッチ、レバーが取り付けられていることだ。それらは機能性などまったく考慮されていないかのようにひどく乱雑に配置されており、それはまるで幼稚園児が考える不思議なマシーンのイメージそのままだった。押したり引いたりガチャガチャ遊べるような。こんな幼児用玩具、そういえば売っているなあ、と思う。ドアの向かい側、正面に見える壁面全体を覆うのは、これもどこまでも巨大なモニタ。あとは何もない。不自然なまでに何も。そして、まるでその部屋の付属物かのようにモニタの前、ひっそりと佇んでいるのは、ずんぐりとした小太りの首のない男だ。べつに暑くもないその部屋の中、薄くなりかけたその頭をてらてらと輝かせ、びっしょりとかいた汗をハンカチで拭いつつ、急にスイッチが入った電気仕掛けの人形のように、男は唐突に喋り始める。

「……この部屋を管理するという職について、もう20年にもなりますが、今だに私は自分の仕事が何を意味しているのか、わからないでいるのであります。この職に就くにあたってただ言い渡されたことは、机の上のスイッチを誰にもさわらせてはいけない、ということのみであります。しかしながら、この地下500mのシェルターの中、私以外の人間の姿を見かけたのも実はあなた様がはじめてで、私以外の誰かがこのスイッチにさわるなどということはありえないのであります。では、私さえこのスイッチに触らなければそれで問題ないのだろうか、私がこの部屋を管理している意味などあるのだろうか、そんなことを何年も何年もずっと考えていたのであります」

 男はおろおろと、しかし今まで自分の中に少しづつ溜まったまま吐き出すことができなかった澱のようなものを一気にぶちまけるがごとく、ただ夢中に喋りつづける。

「そしてそのうちにある考えが頭の中に浮かびました。私の本当の仕事はこのスイッチを押すことなのではないかと。この部屋をどこかからずっと監視している誰かがいて、いつ私がこのスイッチに手をかけるのか、それだけをずっと待ち望んで見ているのであります。その誰かにはきっと自分ではこのスイッチを押すことが出来ない理由があって、そしてそして……」

 鬱陶しい長口上を強引に打ち切るべく助走をつけて思いっきり蹴飛ばすと、男はまるでボールのようにごろごろと転がって、モニタの設置されている壁面に衝突し、がたんという音をたてた。転がっている間も男は夢中で何かを口走っていた。
 そして有無を言わせず、机の上のスイッチ全てを押してしまう。レバーは倒し、プラスチックの安全カバーのかかったスイッチはそのカバーを砕き、捻り、こじ開け、押して押して押してしまう。

 途端、けたたましいサイレンが鳴り響き、白一色だった部屋に警告燈の赤色光が明滅する。モニタに明かりが点り、壁面全体にメルカトル図法で描かれた世界全体の映像が現われる。その映像の中心に位置している日本からいくつもの光点が軌跡を描いて飛んでいく。その目指す先はどうやら世界各国の主要都市のようだ。光点のベクトルの延長線、点滅するカーソルの上に位置する都市を考えてみる。ワシントン、パリ、ロンドン、北京、シドニー、マドリード、ソウル……ざっと見渡したところ、これは各国の首都だな。

「ああ、そうだったのか。そうだったのか。とんでもないことをしてしまった。してしまった。やはり押してはいけなかったのか。どうすればいいんだ。どうすれば……」

 「私はこれから何をすればいいんでしょう」と泣きそうな顔をしてその場に立ちすくんでいる男を蹴飛ばして部屋から追い出すと、落ち着かない赤色サイレンを解除する。そして、再び白一色となった部屋の中、机に腰掛けて一服した。

「さて、ほんと、どうしようかな……」

 とりあえず、何もするべきことはなかった。

01/04/08(SUN)


 日はすぐに暮れてしまう。
 宵闇の薄暮の中、またたき始めた星空の下を渋谷駅に向かって歩いていると、ピーター・フランクルとすれ違った。
 またか、と思う。
 こうも何回も何回もピーター・フランクルとばかり出くわしていると自分と彼の間に何かあるのではないかと思ったりするがきっと住んでる所が近いだけという事なんだろう。ああなんてつまらない結論。




 その後、いつもの感じであれこれ買ったりあれこれやったりして、ひどく落ちこんだ気分だけを部屋へと持ち帰ってくる。




 憂鬱だ。あまりに気分がすぐれないので2年くらい引出しの中にほったらかしておいた抗鬱剤を飲んでしまう。しかし効いているのかなこれ。ちょっとわからない。そもそも自分の精神状態について、鬱だとか躁だとか、そんなことを意識し始めたのはいつ頃からだっただろうか。そんな事すら忘れてしまった。



 落ちこんだ気分のままに水餃子作ろうと思ったら皮がなかった。
 それだけ買いに行くのも面倒なのでキャベツの皮で巻いてロールキャベツっぽくした。
 ニンニク、生姜と韮をみじん切りにしてボウルの中で豚挽き肉とまぜてこねる。胡麻油と醤油を適当にくわえて、塩胡椒を振って、さらにこねる。最初そのままキャベツで巻こうとしたがさすがに生ではむつかしかったので仕方なく1回軽く湯通しする。おとなしく餃子の皮を買ってきたほうが楽だったような気がしてくる。先に作って寝かせてある具をしんなりしたキャベツでくるんで煮崩れしないように楊枝で留める。そのまま茹でるのもなんなので中華スープの素をお湯に溶いて煮る。
 あんまし美味しくなくてがっかり。キャベツと具のバランスがぜんぜん取れてなくて、まるで中華味の茹でキャベツ+豚肉団子といった味わいの一品になってしまった。しかもやたらにボリュームだけはある。2個も食べたらもう飽きてしまったのだが、まだ8個もある。鍋の中を見ないように見ないようにしているが、一人暮らしなのでほっておいても当然無くならない。また、当面のうんざり材料がひとつ増えた。



 ふと思いたって近くのダムに毒を撒いた。
 これで、劣等遺伝子を有した、あの民族は、根絶やしだ。
 しかしながら、あの民族とはどの民族なのか、そもそも根絶やしにする必然性は何なのか、さっぱり忘れてしまったのだ。なんでなんだろう。
 そこで、毒を撒いたという事実そのものを大脳新皮質の短期記憶野からきれいさっぱり消去してしまうことにした。
 家に帰ってベットに潜り込んですやすや眠る。
 翌日の朝、自らの撒いた毒を喉を鳴らして飲んで、そして苦しんで死ぬ。




 ビデオに録画しておいた「われめDEポン」を見る。川合俊一、小柳ルミ子、なすび、蛭子能収の4人でなんだかいつものメンバーと比べると「100万円、本当に欲しそうだな」という感じだった。というか芸能人度がひどく低い。はっきりいってなすびと蛭子だ。なすび、打ち筋はそんなに悪くないんだけど、ちょっとベタ降りが過ぎるよなあ、と思った。でも自分の闘牌、客観的に考えてみると結構淡白なほうなんで、じつはなすびくらいなのかもしれない。こんな番組、ビデオで見なければあんな事には……ということもじつはあったのだが、そのうち書く。
 本当に、麻雀打ってる時、ずっとつらい。短い時間の間にどんどん自分が奈落の底に転落していくのが自覚できるというのは本当に堪らないことだ。しかも1本の、ほんとに細い蜘蛛の糸に必死でしがみついて、やっと天上界への入り口が見えた、と思った瞬間、鋏で糸は分断されるのだ。泣きたくなる。いい事なんか、本当に1つもないよ。




 そんなことを、何回も何回も考えた。

01/04/06(FRI)

なんというのか


 自分探しの旅に出たいんですけど、そこで本当の自分に出逢ってしまったら、こっちの自分はどうすればいいんですか。おれがあいつで、あいつもあいつ?こ、これがタイムパラドックスってやつか!(違います)
 というわけで旅に出ません。

 ネットというシアワセ夢空間において等身大の自分自身をさらけだすという行為にはたいへん抵抗を憶えてしまう性質で、実際、僕自身の性格についてもかなりのパーセンテージ、ネット用の仮想人格をつくっているところがあります。(ちなみに、リアルワールドの自分は妙齢の和服美人です)まあ、こんな感じです。

 なんでこんなことを急に書きはじめたかっていうと、いわゆる自分語りってものをしてみたくなったんでした。でもできなかったよ。これは今後の課題として残るんで、だんだんとそういう感じの日記になっていくのではないでしょうか。

 ずっと昔から世の中すべてを嘘で埋め尽くしたいと思ってるんですけど、そんな人間は一体どんな自分語りをすればいいのでしょうか。誰か僕に教えてくれないかなあと、気の無い心で考えてます。ふう。春だしね、エイプリルフール。

 

【単行本・小説】 野尻抱介「ピニェルの振り子」 ソノラマ文庫

野尻抱介「ピニェルの振り子」



 今ごろ読んだのですが、たいへんに良かったです。

 物語の舞台はたまたま発見された”シャフト”、”保護鍍金(めっき)”なる人類には未知の物質を使って宇宙への航海が可能になった世界。
 であるからして、この世界の技術進歩はたいへん歪。ちょうど19世紀くらい、人々が帆船に乗って未知の秘境へと探検の旅を始め、そこで目にした珍奇な動植物、珍しい鉱物を手当たり次第に標本にして、記載、整理、分類を始めた博物学の黄金時代、この時代にもし人類が星間航海の術を手に入れたら、という設定になっています。

 だから物語のヒロインとなるモニカの職業は標本商付きの画工。つまり宇宙には行けても写真技術はまだ発達していないのでした。このへんのアプローチ、秋山完あたりが描いてる”懐かしき未来”とは別の形をとっていると言えるかも。

 交易船に乗って海洋惑星ピニェルを訪れた博物商ラスコーとその画工モニカの2人。ところがモニカに一目惚れした現地のピニェル蝶採集人の少年、スタンが、「彼女はきっとこき使われてるに違いない」とか勝手に思い込んで交易船に密航、それがきっかけで彼らは惑星ピニェルを揺るがす大事態にまきこまれる……だいたいそんな感じ。自然科学についての愛情が伝わってくる、ロマン溢れる作品でした。素晴らしい。

 誉めようと思えばいくらでも誉められるいい感じの作品で、たとえば伏線の張り方の見事さ、ちょっと見、地味に思えるけど、じつは過不足なく配置されてる登場人物性格設定の上手さだとか、ほんとうにいろいろあります。ラストになるとわかる、「ピニェルの振り子」ってタイトルのよさとか。

 そういえばモニカの性格を表現するのに”綾波”という単語抜きなのはじつにむつかしくて、やっぱりみんなそう思うよねえ、とは思います。たとえば透明ぷよぷよな宇宙クラゲの死体の中に躊躇なく全裸で潜り込んで観察するシーンとか。使命優先でそれ以外の感情はなさそうなあたり。そのほか全裸(またか)に前述の保護鍍金で宇宙服代わりにするシーンは悩殺カレンダー2001のスケスケプラグスーツを彷彿とさせます(笑)。スタンとモニカの関係はちょうど猪突猛進でちょっと頭の悪い田舎者少年がふだん目にしない都会の少女にひと目で心奪われたあげく、下僕としてさんざんこき使われてる主従関係という感じでしょうか。あくまで対等にはない。ふ、不毛なり。

 読後感としては星野之宣「2001夜物語」に近い気がしました。一見したところぜんぜん地味でまったく派手じゃない作品なんですが、読んで損なし。大傑作でしょう。でも、続きは出るのかなあ……そこがちょっと不安。

 そういえば、草K琢仁のイラストもぴったり。

 

【雑誌】 ヤングアニマル 5/15増刊 嵐 Vol.1 白泉社

 岩明均、ひさびさの連載、「ヘウレーカ」。また歴史もの。紀元前のイタリア、シチリア島はシラクサ市を舞台にカルタゴ軍とローマ軍との戦いを描いた作品。まだ物語導入部だと思うので判断保留、目次作者コメント見る限りだと「合計258ページ、無事の完成を願うばかり。」とあって、すでにネームとしては切ってあるんだろうな、と。隔月刊で1年連載のつもりかな。地味だけどこの岩明均連載を核にして他はレギュラー陣によるアニマル本誌掲載作番外編と読みきり中心の誌面構成なんでしょうか。の、番外編、二宮ひかる「口には出せない」。なんと「ナイーブ」の特別編。付き合い始めて約2年、ちゃっかり同棲して身の回りもいろいろ変化した田崎と麻衣子の日々。やっぱりこのシリーズはエロくてぐっとくると思います。克・亜樹「ふたりエッチ」は特別編もクソもなく、かわんないかわんない。原作:あかほりさとる 作画:板場広志「マウス」の特別編は「サラリーマン宙太郎」とかいって、まあ、いつもの。なんだか証券会社にいきなり就職してるよ(;´Д`) そんな事しないでも余裕で盗めそうなターゲットなのであるんですが、まあ、あかほり原作なので。ほんとに原作を見てみたい。ついでに親の顔も見てみたい。文月晃「藍より青し」特別編は葵さんがなんかコスプレ撮影してた。おわり(笑)。宇仁田ゆみ「ハレエション」。新連載。同じ会社、でも冷徹な印象だったエリコさんの知られざる日曜日の一面。印象はがらり変わったような、でもそれは幻だったような……みたいな話。原作:山内雪奈生 作画:笠原倫「アニィCRAZY」はほんとに原作ついてるのかわからない、あいかわらずの無茶話でした。

01/04/04(WED)

メモメモ。


MS少女(21禁)祭り@エロゲ板

レビュ書かないけど読んだ本。


宮城理子「花になれっ!」 12巻 集英社
 南の島にバカンス〜。でも飛行機落ちて遭難〜なぜか現地人の野生派ハンサムボーイがいて、でも彼って言葉通じないの。ターザン?(;´Д`)なんだかエッチいシチュエーションに当然のようになったりして(;´Д`)
近藤るるる「天からトルテ!」 11巻 エンターブレイン
 にゃんだか、まあ、いつもの。天使な娘っ子が猫耳少女のコスプレで人間界にやってきたりしとりました。それに張り合うトルテ(;´Д`)
秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」 124巻 集英社
 また巨乳キャラかよ……というか女性キャラの巨乳率「ぷるるんゼミナール」と競ってると思うのだがどーか。ちなみに表紙もこれだ。ところで擬宝珠檸檬ちゃんは可愛いね、とか思ってしまうとほほほ。でもかわえーよね。
荒木 飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険 第6部 ストーンオーシャン」 6巻 集英社
 何が起こってるのかぜんぜんわからないが、とにかくスゴイことだけは伝わってくる、といったいつものパターン。

 この4冊はそれぞれベクトルこそ違えど、どれもある意味、狂気の書であるという点においては共通していると思う。「花になれっ!」と「天からトルテ!」はベクトルの方向すら同じか。

 今日の日記はためしに紙2001で書いてみた。
 これ、ニュース系のサイトやってる人にはものすごく有用なメモ管理ソフトな気がします。しかもフリー。

01/04/03(TUE)

諸行無常


 知らない蕎麦屋にふらりと入って鴨南蛮を食す。なかなか美味しい。
 とくに聞き耳を立てていたわけではないけれども、隣りの席で蕎麦を食べている若人たちの会話が不意に耳に入ってくる。
「2ちゃんねる閉鎖らしいってよ」
 住みにくい世の中になったものだなあ、とただ思う。
 IT革命とは、まさに流血革命のことであった。世間はすべて諸行無常だ。その後彼らの話題は青木光恵に関するゴシップになって、僕はますますブルーになった。
 悲しい事に、すべて実話だ。

パワーダウソ


 最近ちょっと弱まってるんじゃないの?という話もあるんですが、新展開に向けての屈伸期間ということで………とほほほほ。自分が弱まってると他の方のサイトが面白くてたまりません(笑)。黒書刊行会さんの泡沫の日々第弐齋藤さんの土踏まず日記。この2つでウチのサイト、実質いらなくなるんじゃないかな……などと思います。まったく、素晴らしいですね。

【雑誌】 近代麻雀 5/1 竹書房

 片山まさゆき「牌賊!オカルティ」。ビーニードルカップ決着。ある意味この漫画の世界観は現実のものとはかけ離れていて、デジタルが麻雀界を席巻してるという世界なのだから、刈人がこのあとタイトルを総なめにしていく、という展開で大丈夫なのでは。つまり解明できないものが勝利しつづけるという不合理に立ち向かう者たち、という構図で、これは「ノーマーク爆牌党」の時とまったく同じ。ただ主人公であるはずの夏月のポジションがまだあやふやなあたりがちょっと不思議ではあるんだけど。そもそも梨積のアイススキャンを別にすれば、デジタル派の打ち筋、たとえば無頼堂のそれだって、たぶんアルゴリズムとして組めるはずのもの。未知の領域への思考実験が物語には必要なんだよね。天獅子悦也「むこうぶち」。救われない話だなあ。さいきん誰が死ぬかわかるようになってきた。本そういち「フリー雀荘最強伝説 ONE(萬)」。第1印象が当たってた(笑)。ケンの萬への降りこみか。新連載、市川智茂「カリフラワー」。「無敗王−ムテキング−」とこの人が前に描いてた雀荘立て直し漫画足した感じかな。個人的にこの人の作品にはそんなに期待してません。俺、麻雀漫画に関しては意外と評価キツいのかな。

【単行本・小説】 秋山完 「天象儀の星」 ソノラマ文庫

秋山完「天象儀の星」



 たいへんバラエティに富んだ短篇集です。

 この人の作風は意外に好き嫌いがでる作風だと見てるんですが、どうかなあ。
 ”なつかしき未来”というテーマはデビュー作からずっと一貫しているように思えるんですが(全作品読んだわけではないのでそこらへんは自信ない)それと同時に人間の持ちうる負の感情についてほとんど描写しない、というのも同じく一貫していて、たとえば勧善懲悪的なラストシーン描くにしても、それではちょっと一面的すぎて物語が平面的に感じられてしまうのでは……と思ってしまうのです。

 ”なつかしき未来”ってのは確かにうまく表現されていて、瑞々しい筆致にもますます磨きがかかってるように感じられるのだけれど、同時にそこらへんの楽観的なストーリー展開がどこか牧歌的で懐かしい、ちょっと昔のライトノベルの感触に思えてしまうのかも。だからその点でもちょっと”なつかしい”作品集です。
 表題作「天象儀の星」、「まじりけのない光」、「ミューズの額縁」、「王女さまの砂糖菓子」の初出、92年〜93年だから、デビュー前後の作品ばかりなんだけど、今回まとめるにあたって書き下ろした「光響祭」でも基本的に変わってないから、ずっとそういう作風なんですよね。
 基本的に嫌いではない、というかむしろ好きだし、アイデアの使い方とか、読んでいて感心する部分は本当に多いんですが、やはり同時にひっかかってしまうところもあるんです。個人的な感覚では、人間の善意を描くためにはその善意に負けないくらいに悪意を描かないとその美しさが際立たないし、その悪意の存在理由も描いたほうが表現として厚みが出ると思うんですよね。

 ハヤカワSFコンテスト佳作入選作である実質的なデビュー作、「ミューズの額縁」は幻の天才芸術家、カルロス・マザッキオの失われし作品を修復するために呼ばれた美術修復師(兼、贋作家)とそのアシスタントの2人が体験する美の存在を巡るトンデモSF。予想してたより遥かに弾けてて素晴らしかった。「王女さまの砂糖菓子」は精霊菓子と呼ばれる知識精霊を練りこんだお菓子が戦争に悪用されて……というお話。主人公の下っ端菓子職人がいかにして憧れの王女さまの暴走を食い止めるか、というアイデアストーリーでなかなかいい感じでした。この2作が良かったかな。最新作である「光響祭」はアイデアの詰め込み密度など、出来としては素晴らしいと思うんだけど、ペリフィリーメの行動の理由がピンとこない、という点でちょっとよくわかりませんでした。でも「ペリペティアの福音」読んでないので読めばわかるのかもしれません。

 「よいものをよい」って、ただ言うだけではまるでピンとこなくなってるくらい、僕らはひねくれてしまったのかもしれません。

01/04/01(SUN)

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ増刊 IKKI No.3 小学館

 読んでると疲れる、疲れた。
 ゴリ押しでがんがん攻撃されてる気分にはなるけれど、けっきょく読者が1冊の雑誌の中で目を通す作品のパーセンテージってのは限られてるような気もする。だいたいお気に入りの雑誌でも6割の作品読んでれば読みすぎくらいなのではないだろうか。それを考えるに、やはり最初から最後まで濃い口の皿ばかりを揃えたコース料理のような印象も受ける。だから実質は力入った連載ばかりなんだけどバラエティに富んで見えるかというと逆にそうは見えなくなってる。それは仕方ないのかな……。ヘタレマスターとして克・亜樹とかを召喚してみよう。
 小野塚カホリ「SHIMI−凍み−」。エロくて良し。林田球「ドロヘドロ」。これ読むといつも吉田戦車思い出す。「中の人などいないっ!」。取材:竹熊健太郎「追跡者〜幻の漫画家・韮沢早を追え!」韮沢作品第4弾「天使の降る夜」描いたのって田中圭一じゃないの〜?それを言うならボツマン出身、「ペンギン仁義」のこいそ朝雄って上野顕太郎じゃないの〜「BLUE ROSE」の崎山和幾もうえけんだろう、という気がする。ここらへん全部やってたりして。「ビジネス狂想曲」の児玉祥は羽生生純かなあ、ひょっとすると。とんだばやし「答えは3つ」面白くない?ところで「アトランシティー」の文章担当してる渡辺浩弐ってどうしてこんなに文章ヘタレなんでしょうね。不思議だなあ。黒田硫黄「セクシーボイス アンド ロボ」は普通な出来だと思うけど、それでも面白い。

【雑誌】 快楽天 5月号 ワニマガジン

 陽気婢「<6 SEIS>ViRGIN OiL 1/2」「内向エロス」の物語内漫画なんでしょうね。見た目は普通な美少年、でも知恵遅れ気味な兄とその妹、妹の友人の女2人。兄妹の秘密のオナニーレクチャー(妹→兄ね)から端を発した奇妙な関係がいつしか妹の友人にもスライドしていって……みたいなお話。やっぱりコマ割りとか見せ方とか、そんなに上手くないとは思うけど、その、なんとももどかしい雰囲気が楽しい。朔ユキ蔵「少女、ギターを弾く」はどこまで本気なのかわからない、あいかわらずな作品。「求めるものはなにもないのです でも何かがうずいて仕方ないのです」というコピーが全てを物語ってるというか。メンタル重視派だとかそんなのおいといて、かなり終わってる(いきなりか)……という新連載であります。とほほ。綾瀬さとみ「純情ぽんぽこ膝栗毛」。これを描いた人は頭がおかしい、と思いました。どうせいちゅうねん、ホントによう。新連載、ポヨ=ナマステ「スーパー忍者村」は北海道に移住したSABEさん宅を訪ねよう!というもの。まあ、それなりに。なんかもう、まともじゃないのばっかしだ……米倉けんご「エヴァーグリーン」はいいですね、次回、最高潮であっさりオハリか。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 5月号 少年画報社

 六道神士「エクセル・サーガ」。岩田が癌。ガーン!(死) まあ、ぶっちゃけた話、死んでも別にかまわないんだけどね……どーせ使えないキャラだし。先行者っぽい仕上がりで再登場とか。竿尾悟「迷彩君」は温泉で。頭悪いなあ……いい感じ。裸に銃火器といったある意味この作品の全てが詰まった回ではあるんだけど。平野耕太「ヘルシング」は特使の猫耳少年、あっさり殺されちゃいました。でも名前がシュレティンガーつーくらいなんで生死は不定なんでしょう。しかし、よく毎月載ってるよなあ……。巻末読みきり×2は素晴らしくアワーズって感じの作品でした。井上博和「マブ天・新城」はヌル感覚が、いかみはじめ「濃縮還元ローテシールド」はダメオタク感覚が。普段はいかつい男、変身すると美少女&メカなコスプレ戦士になる「濃縮還元……」はいかにも現在のダメ感覚だねええ。12日に発売のアワーズ5月増刊号掲載の六道神士「ホーリーブラウニー」ってまさかまた新しく描いたんじゃないよね。再録だよねえ。

InternetExplorer5.0 / Netscape6 PreviewRelease2で確認しています。

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