>>トップページ

site search help

  comic novel magazine etc.

comic


comic さくいん

magazine


電撃大王 8月号
ヤングキングOURS 8月号
ヤングアニマル No.13
magazine さくいん(更新停止中)

novel


法月綸太郎「法月綸太郎の功績」
法月綸太郎「雪密室」
法月綸太郎「誰彼(たそがれ)」
ミック・ジャクソン(訳:小山太一)「穴掘り公爵」
エリック・マコーマック(訳:増田まもる)「隠し部屋を査察して」
法月綸太郎「パズル崩壊 whodunit survival 1992-95」
novel さくいん

etc.


アベノ橋魔法☆商店街 第12話「大逆転! アベノ橋☆ハリウッド商店街」
HAPPY★LESSON 第12話「ラブラブ☆こよみ文化祭」
あずまんが大王 第12回
藍より青し 第11話「子女 〜しじょ〜」
アベノ橋魔法☆商店街 第13話「蘇れ! 幻の陰明師☆」(完結)


 2002/6
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

02/06/21(FRI)

○「並ストーカーと住みな」

・木多康明「平成義民伝説 代表人」 上之巻 [bk1][amazon]
 うわ、すげー面白い。なんで打ち切られたんだろ? そりゃ打ち切るだろ…… という漫画界流浪の民、木多康明最新刊。
「宇宙飛行士」(オートレーサー)になるため、トップアイドルグループIGARASHI(SMAP)を辞めた米良勝男(森旦行)が、残りのメンバーに宇宙行き先越されてブチギレ、日本刀片手にスペースシャトルに乱入する……と書いてみたけど、あらすじなんかぜんぜん意味ないよ〜 代表人元ネタ解説読みながら爆笑して読むのがええのでは、と思います。NASDAにおける米良の上司、米村(佐野史郎)がけっこういい人だな、と思いました。ちゃんと教えてあげるあたりとか(w
 ところで、14代目佐倉惣五郎(泣き虫サクラ)が出てくるあたりからの展開、めちゃめちゃの一言なのですが、これはいったい何? 狂気? 暴挙? 狼藉? 傾奇?
・曽田正人 「昴」 9巻 [bk1][amazon]
 すばる所属するバレエチーム、シストロン・バレエ・カンパニーの刑務所公演は次第に注目されていく。そしてその度合いがピークに達したとき、降って湧いたかのような一般公演スケジュールが決定された。ところが、興行期間、演目ともにまるまる女王プリシラ・ロバーツとバッティングすることになった。美術監督ザックは、すばるのボレロをプリシラのボレロにぶつけるつもりなのだ。タイプの異なる、常人では測れない2人の天才たちが対峙する時は迫る……
 プリシラのほうが発想がまともというのがすごいなあ。だって、すばるって「可愛そうな自分大好き」な立派な変態娘だしなあ…… 頂点の目指し方ひとつ取ってみてもプリシラのほうが王道、という感じがします。すばるのクレイジーさ加減にはちょっと引くね! 弟の死だって快楽に転化させてるんだぜ、きっと!
・シナリオ:黒田洋介 作画:戸田泰成「スクライド」 5巻(完結) [bk1][amazon]
 これにて完結。チャンピオン掲載時にはなかったエピローグが描き下ろしとして収録されてますが、びっくりするくらいにアバウトで驚かされました(UFO造形とか) あと、エタニティ・エイト、橘あすかの「とりあえず入れとくか」的なすんごいテキトーな使われ方とか、泣けます(w
 見所はいっぱいあるんですが、どうせもうすぐ終わるから……という開き直りがハジけてる馬鹿っぷりとエロっぷりかなあ。「タイム空間」ってなんだよ! あと、少年誌とは思えないシェリスたんのエロコス
 志は激しく低いけれど、とてつもなく楽しい漫画でありました。

02/06/22(SAT)

■book【単行本・小説】 法月綸太郎「法月綸太郎の功績」 講談社ノベルス  [bk1][amazon]

法月綸太郎「法月綸太郎の功績」  第55回日本推理作家協会賞短編部門受賞作品「都市伝説パズル」を含む、法月綸太郎最新短編集。「イコールYの悲劇」、「中国蝸牛の謎」、「都市伝説パズル」、「ABCD包囲網」、「縊心伝心」の5編を収録。

 友人を起こさないように電気を消したまま忘れ物を探して帰った翌朝、その友人が死体になって発見され、その近くにはこんなメッセージが――「電気をつけなくて命拾いしたな」――という、有名な都市伝説とそのまま同じシチュエーションで起こった殺人事件を扱った「都市伝説パズル」の思わず膝ポンものトリックにはたしかに感心したが、個人的にはむしろ、クリスティ「ABC殺人事件」に対するオマージュである「ABCD包囲網」のほうが印象に残った。素材アレンジの方法が非常に美しいように感じられたのである。間違いなく自殺だったり、既に犯人がほぼ確定してる事件に対して、何回も何回も自首してくる男の奇妙な行動の意味をテーマにした作品で、それが実際に意味を持ちうるかといえば、かなり無理っぽい話ではある気もするが、その素材の消化方法を見て「やはりこの人はわかってる」との印象を受ける。この作品だけに限ったことではないが、本格作品に対する素直な愛情を感じるのだ。

 逆に、そのタイトル通りクイーン「Yの悲劇」に対するオマージュとなっている「イコールYの悲劇」は、単にダイイング・メッセージを扱った作品におちついてしまっているような印象を受けてしまった。気のせいだろうか。そもそも、死の直前、朦朧とした意識の下で謎解きみたいなメッセージ残すといった種類のダイイング・メッセージもの自体がどうにも俺にはギャグっぽく感じられてしまうので、そこがまずダメなのかもしれないが……
 密室の中で首を吊った作家の奇妙であべこべな死体問題を扱った「中国蝸牛の謎」もそのままクイーン「チャイナ橙の謎」に対する挑戦作であるが、後半部分の展開がすっとばしすぎで余韻に欠けるような気がした。

 なんだかんだ書いたが、質的には非常に高レベル安定しているし、なんといっても先行本格作品に対する愛情を端々から感じられる。この人は信頼できる作家だなあ、と思う。よく考えてみるとこの人の長編作読んだことがないので(最近ぜんぜん出てないから……)これから読んでみようかなあと思う。「誰彼(たそがれ)」、「頼子のために」、「一の悲劇」、「二の悲劇」あたりに挑戦してみたい。まあたぶん全部が面白いんだろう。

(じつは、すでに「雪密室」は読んでしまった。昨日足を運んだ本屋に前述の作品がのきなみ無かったので、なんとなくこれになった。若さ溢れる筆致がなかなかよかった。法月警視がこんなに熱い人だったとは知らなかったので驚き。感想はまた書くつもり)

02/06/23(SUN)

○「余談も留守にするもんだよ」

 うーん、なんか寝てた…… 遅れにも遅ればせながら「スパイダーマン」観てきたんですけど、「ひょっとして3週連続で映画観るのって(ビデオだったら観るけど映画館に足運ぶのは)初めて!?」とか思って、自分の出不精さ加減に辟易した。もうちょっとアクティブになってもいいかな……

 「スパイダーマン」の感想なんですが、文句言うべきところがまるでない映画ですね。テンポもいいし、伏線の消化も巧みだし、で本当によくできてると思います。グリーン・ゴブリン / ノーマン・オズボーンの2役を演じたウィレム・デフォーの達者っぷりに舌を巻きました。どちらの人格に変貌してるのか一目瞭然なんですよね。これを見ちゃうと、先週観た「ザ・ワン」ジェット・リーの演技はなんだったんだ……と思わざるを得ません、とほほ。火事のシーンで中に取り残された住人の後ろ頭がトンガってるところとか大爆笑しました。いくらなんでも不自然にすぎます。そういえば、キリスティン・ダンスト演ずるヒロインの老けっぷりにも驚きましたが、これでも彼女まだ20歳なんですね……「メイク、濃いよな〜」と、ずっと思ってました。

○「奴、道端でいつも突いてた蜂蜜屋」

 こっちも遅ればせながら。こどものもうそう、米光一成氏のコメント(0619:BOOK)について。

 佐藤友哉「フリッカー式 鏡公彦にうってつけの犯罪」の評価(→感想)が比較的低いのは、どうも「壊れてる」をエクスキューズに、人物の心情描写を端折ってるように感じられた個所が幾つかあったような気がしたのがよくなかったのかも。たとえば、佐奈が自殺したと電話で告げられた後の主人公と母親との対面シーンとか。そもそもこの人の比喩の使い方はずっとめちゃめちゃで最新作「水没ピアノ 鏡創士がひきもどす犯罪」でも「プランクトンの皮をかぶった」とか、わかんなすぎる形容が頻出するんですが、そんなヘンテコ文章でも書かずにすませちゃうのはちょっとちがうかな――という印象を抱きました。だから、ちょっと足りてないんだよね。
 第2作「エナメルを塗った魂の比重 鏡稜子ときせかえ密室」→感想)は、「フリッカー式」で見せたトンデモ展開を強烈にドライブさせ物語世界自体も歪んだ形に純化させた感じで、進化の方向性としては間違ってないと思ったし、(まだ感想書いてないのですが)第3作「水没ピアノ」はよくわからない比喩が延々と続く鬱文章という方向性で「フリッカー式」を進化させたものだと感じました。だから佐藤友哉という人は(その先に何が待ってるのかわからないけれども)成長し続けてる作家だと感じました。なんらかの形で最新作のほうがすごくなっている。やはり才能ある人だと思います。

 ところで、小説にしても漫画にしてもわりにヘンテコ作品の感想ばかり書いてる気がしないでもなくて、そういうのばかり読んでると思われてるのかもしれないんだけど、池澤夏樹とか初期〜中期の金井美恵子とか好きな人間なんだよな――じつは。と思ったりします。好きな映画「ポンヌフの恋人」だしな! (ここはわらうところです)

 ところで「ただ面白い」だけではなく、どのようなスタンスでその作品を評価しているのか、そのレビュを読んでるだけで書いた人間のひととなりがある程度浮かび上がってくるようなものを書きたいなと思ってこのページをはじめたのだけれど、その点で素晴らしいと思うのは、OK's Book Case と、(何回も何回も誉めているが)ふぬけ共和国・マンガだ。
 たとえば、マキャモン「遥か南へ」→OK氏の感想)(→僕の感想)、舞城王太郎「世界は密室でできている。」→OK氏の感想)(→僕の感想)を取ってみてもおわかりだと思うが、OK's Book Case、OK氏の作品評価は僕のそれとずいぶん異なっている。しかし、その評価スタンスが非常に一貫していてブレが生じていないため、読んでいてとても参考になるし、何より信頼が置ける。大ファンです。「少林サッカー」におけるわりに手厳しいコメントなんかもたしかにそのとおりで、あの映画は、ひとり部屋でDVD・ビデオ観る / ひとりで映画館行く / 盛り上がれる友人たちと一緒に映画館で観る とでは受ける印象ぜんぜん変わる種類の作品なのではないかと思う。古くは「ロッキー・ホラー・ショー」みたいな感じだろうか、参加する種類の作品。ここで言及されているお祭り騒ぎ的な楽しさなど、作品自体の出来とは別な部分で評価されていることに対する違和感みたいなものはすごくわかるし、そのスタンスというのは、映像的に構築された種類の娯楽小説であるマキャモン作品より、文学の中でしか構築されないような世界を描く作家たちの作品、たとえば、スティーヴン・ミルハウザー、奥泉光の作品(カズオ・イシグロは1作品も読んでない)を評価するというところにもあらわれてるのだと思う。僕はわりに無節操な人間だから単純に自身の快楽原則に従ってレビュ書いてしまうのだけれど、OK氏はわりにストイックだな――と感じます。
 新田さんところは、なんか、こう、すべてのコメントに新田さんの人となりが出ている感じで……

■book【単行本・小説】 法月綸太郎「雪密室」 講談社文庫  [bk1][amazon]

法月綸太郎「雪密室」  法月警視とその息子でミステリ作家である綸太郎が活躍するシリーズ第1作で、発表1989年とちょっと古めな新本格初期作品。法月綸太郎の長編読むのは初めてなんですが、なんせ寡作な人なのですぐ全部読めそうな気がします。

 半ば隠遁生活を送っている元システム工学の若き天才、彼が所有する信州の山荘に招待された法月警視であったが、そこには同じように招かれたわけありの客がいて、そして「魔女」と形容するのがふさわしいような女性もいた。その夜、雪が降りしきる中、彼女は離れで死体となって発見される。どこまでも雪一色の世界、離れの周囲には犯人らしき人間の足跡は見つからず、しかも離れには内側から鍵がかけられていた。

 いわゆる「雪の密室」を扱った作品で、タイトルそのままですね。非常にシンプル(というか、素朴)なつくりの物語で、真相への誘導もきちんとなされているので、たぶんほとんどの人が密室構成の方法についてはわかるのでは、と思います。(ちなみに言えば、完全な真相究明はちょっとできなかったのですがトリックについてはわかりました。しかし、真藤老人の靴のサイズはデカすぎないだろうか)正直、ひねればいいというものではないし、そのストレートさは評価できます。こういうシンプルなパズラーは久しぶり。

 ところで探偵・法月綸太郎登場エピソードでありながら、法月警視が主役の物語になっていたり、また、警視が無闇に熱かったりするところが面白いですね。魔女の死を穏便に処理しようとする黒幕の暗躍に「待ってろよ、目にもの見せてやる」とばかりに綸太郎召還してみせるあたりが笑ってしまいました。
 これ書いた当時、まだ若かったこともあるのか(法月綸太郎は1964年生まれ)、今の作風と比較していろいろ荒っぽい作品なんですが、読んでいて好感が持てました。

■book【単行本・小説】 法月綸太郎「誰彼(たそがれ)」 講談社文庫  [bk1][amazon]

法月綸太郎「誰彼(たそがれ)」  またずいぶん作風違うな、オイ……

 《汎エーテル教団》なる新興宗教上層部に依頼されて法月綸太郎は教団の内部捜査を開始する。教祖の命を狙うとの予告状が舞い込みはじめたのだ。そして教祖は地上80mの塔に篭り3日間の瞑想に入る。彼の命は絶対に安全のはず。しかし習志野にある教団本部から遠くはなれた新宿のマンションで首なし死体が発見され、密室状態の塔から教祖の姿は消失した。死体の首を斬った理由は? 死体は教祖なのか? 予告状の送り主は?

 文庫版あとがきで作者自ら書いているように、クイーン国名シリーズを(首なし死体の扱いについては例えば「エジプト十字架の謎」などを彷彿とさせる)コリン・デクスターの手法で再構成する、という試みで書かれた作品というのはよく理解できて、ある情報を元に登場人物たちが仮説を組み立て、その情報が誤りだとわかって、すべてダメになる、そしてまた新たな推理が……という流れがえんえんと繰り返されます。モース主任警部の内面における推理のみで構成されるデクスター作品とくらべて幻惑感には欠けるような気がするけど、そのぶん展開的にはわかりやすく仕上がっている印象を受けます。なかなか面白くて、一気に読んでしまいました。

 タイトルセンスはなかなかよいと思います。密室トリックが展開序盤であっさり解き明かされてしまうというのも面白いですね。

○【ANIME】 アベノ橋魔法☆商店街 第12話「大逆転! アベノ橋☆ハリウッド商店街」 (→公式

 →第12話ストーリー詳細

 「雅ジイが元気でぴんぴんしてて僕らが元いたそのまんまのアベノ橋商店街に行けますように」願って転移したあるみとサッシでありましたが、やっぱり何かが違う……というストーリーなんでありますが、小津っぽくモノクロで喋る雅ジイはじめ、あるみファミリー、すげ――怖ええYO! まあ、第3話と同じく今石洋之、絵コンテ・作監回なんですが、第1話と作画あまりに違うから戻ってきた感じは最初からしないよね――とか思った。要はハリウッド、ハリボテ・アベノ橋商店街なわけで、映画サンプリングつぎはぎパロディ回なんであります。浅いけどね…… しかし今回もムネムネははげしくキチガイだし、あるみたんは剥かれてるね、と思いました。同じだ。そして青野武はハジけてる。異星人の声やってた庵野秀明はきっと3枚だけ描いたんだろうね……

 しかし、どこで大逆転したのだろうか……!?

02/06/24(MON)

■book【単行本・小説】 ミック・ジャクソン(訳:小山太一)「穴掘り公爵」 新潮CrestBooks  [bk1][amazon]

ミック・ジャクソン(訳:小山太一)「穴掘り公爵」  数少ない従者とともに広大な邸宅に暮らす老いたイギリス人公爵。ある日突然何かに駆り立てられた彼は、5年もの歳月をかけて、屋敷そして自庭の地下に巨大トンネルを掘り巡らせる。自らの老いに怯えて公爵は様々な奇行を繰り返し、トンネルを徘徊し続けたある日、脳裏に度々甦る、幼い頃両親に手を引かれ海辺で見た不思議な光景の謎に突き当たる。そして……

 これだけでストーリーの説明はほぼ完了してしまう。第5代ポートランド公をモデルにしたという、変わり者の老公爵を主人公に彼が日々綴る日記と、彼を知る数少ない従者その他のコメントで構成された本書は、引きこもり老人日記文学といえるかもしれません。

 まず奇妙に感じたのは、この作品の中には、少年・青年時代から中年・壮年時代までの帯域がすっぽりと抜け落ちているように感じることでした。老公爵の脳裏に甦るのは幼年・少年時代父母と過ごした記憶であり、その奇矯な振る舞いにしてもそれが子供のものだと思えばさほど奇妙なものではありません。従者、使用人を除いた人間で彼が進んで話し掛けるのは近隣区に暮らす少年たちばかりですし、公爵とともに洞窟を探検するメラー牧師や、解剖学の権威であるバニスター博士にしてもひどく子供っぽい側面が強調された描き方をされています。この物語を僕は子供時代のある日に還ろうともがき、彷徨い続けた、老いた少年の物語として読みました。

 全編を通じて抑制が効いた筆致もまた魅力で、この老公爵の行動は狂ってるといえば最初から狂っているし、子供じみた稚気にすぎないといえば、たしかにそう思える、奇妙で愛すべきものなのです。ラスト近くの展開にはたしかに驚かされますが、それは展開のエスカレーションによるもの、というよりは彷徨ってるうちにいつしかとんでもない道に迷い込んでしまった……という類のものだと思います。道の先にとんでもないものが待ち受けていただけで、歩く速度はずっと同じでした。そしてその歩みが唐突に途切れたようなラストは、個人的にはもうちょっと余韻を残したものであってほしい気がして、心に堪えるものがありました。つらい。

 しかし、秀逸なそのユーモア感覚によって、読んでいる間とても愉快な時間を過ごせたのもまた事実で、なんとも不思議な読後感でありました。可笑しくて吹き出してしまうような個所がいくつもあるのに、物語はどうにも不穏な方向に流れていってるのがわかる、だんだん良くない種類のパーツが集まってきて、読み進めたいような、恐ろしいからここでページを閉じたいような、そんなアンビヴァレンツな感覚。「あやつめ、帽子も取らずに!」、「ガスだ」、「温熱冷却療法」のくだりではたしかに爆笑したのですが……。

 端正な文章はとても味わい深く、そのぶん読了までかなりの時間がかかりましたが、とても満足です。洞窟の中の光景、ベリー・マンのくだり、ともにとても美しくて、たとえば 今月はたいへん天気が悪い。あらゆるものが降ってくる。 何気ない日記冒頭も、こんなに素晴らしい。

 ところで、新潮社のクレスト・ブックスサイトにある作品紹介のところでも読めますが、推薦文を寄せている筒井康隆の「敵」という作品とこの作品とでは共通する点が多いような印象を受けるのですが、これは一種のシンクロニシティなのかなあ。(執筆されたのはたぶん同時期) と、書いてみたものの「敵」はざっと見ただけなので、読みかけの本片付けたらきちんと読んでみようかと思います。

○【ANIME】 HAPPY★LESSON 第12話「ラブラブ☆こよみ文化祭」 (→公式

 →第12話ストーリー詳細

 「委員長になるために生まれてきた女」って、なんじゃそりゃ! ということで、チトセにラブラブ、でも委員長だから……(金槌投げたら死ぬYO!)な、ふみづき(委員長)中心エピソード。うわ、これは出来がいいですね。
 全員参加型のシナリオってどうしても学芸会っぽくなるよな――と、前にも書いたんですが、ハピレスドタバタシナリオのそんな雰囲気が文化祭のモードにマッチしてえらくいいんですよ。武道館クラスのアーティストライブあったり(勿論はづき姉)、ミサイル飛び交ったり、どさくさに紛れてカンナやってきてたりと、またずいぶんな文化祭なんですが。声優陣コスプレ参加のハピレスミュージカルそのままですね。しかしまあ、女悪魔がいるお化け屋敷というのもヘンですな。またそんなコスで校内闊歩しやがるし(w BとCのギャルゲツッコミも冴えまくりだけど、飛んでくアレはいつものアングルのが良かった。うづきの幼稚園コスプレ♥ショーって、なんだよ…… そして、展開最高潮はなんといってもパンチDEカップル、1vs.8かな。 「いいのか、本当にこれでいいのか!?」 教師5人に妹1人、委員長にわけわからんの1人。どうしたいんだこの人たちは……

委員長@島涼香、女悪魔コスカンナ、みなづきにキスしようとしてたな……

 最終回の次週は委員長の裸&下着祭りの気がする……

02/06/25(TUE)

○【ANIME】 あずまんが大王 第12回 (→公式

 す、素晴らスィ〜!! ゆかりティーチャーと木村はどうかと思うけどな!

 「ちよちゃんの一日」、「高校のともだち」、「お昼」、「ごご」、「なわとび」の5話。
 タイトルどおり子供高校生の1日を描くちよすけ@金田朋子スペシャルな回なんですが、脚本・演出ともにとてもよい。
 ともすれば、なぜかエキセントリックな仕上がりになってしまうアニメ版あずまんがですが、今回の話では、原作のマターリとした雰囲気が再現され、なおかつ色がついて動いて喋ってる! 上手い美味いうまいぞ――という感じであります。ええですな。
 忠吉さんと一緒。半生をともに過ごしているのか―――ふと思えば、ちよボイスにも慣れたものだなあ。元同級生登場、みるちー@大前茜とゆかちゃん@誰? 現小6生。高校生は遊ばない → ともやら大阪がいた〜 高校生は縄跳びしないの法則。 榊嬢出現 → 噛みネコ発見 → 榊嬢失踪(w とも&よみの漫才タイム。 「バーカ バーカ バーカ バーカ バーカ バーカ バーカ」 人知れず傷だらけになってる榊嬢。ゆかりティーチャーはやってこない。来た! あれ? 田丸浩史キャラみたいだな…… はげしく意識を失うタイプの大阪。 「やれやれ〜」 萌え(w 木村、魂の大号泣。そしてお昼。 「戦後みたいや〜」 「戦後だけどな」 とも@購買部特攻隊長。屋上で昼食。高いところで食うと美味いから。ヤキソバパンを巡る抗争。水着祭り2周目。にゃもええな〜 神楽の胸すげーな。平行移動する木村。あれ、水の中のちよすけ可愛いぞ。 「プギャッ!」 「キーヒ!!」 動物っぽい泣き声がステキ〜 掃除。大阪後ろ歩きでどっかいく。帰宅。忠吉さんのお散歩。密かに榊嬢はストーキング。夕暮れの公園で縄跳び。高校生でも縄跳びするの法則。なんか来た! ぞろぞろ来た。大阪、みみずだのなまこだの(もあったな) ああ、なんか雰囲気いいな〜これは最終話泣いてしまうやも知れぬ。だから、榊嬢の頬やたらに赤らめてみたりとか、そんな余分なエロ演出はいらんのだよ! それぞれの夜を描いて終了。しみじみえかった。エピソード的にも相当上位に来る回なんじゃないですかね。よみとともの漫才がいっぱいあったのが個人的には嬉しい。

よみ、顔崩れすぎ〜スク水でプールサイド漫才夕暮れの縄跳びシーンはえかった。これはとも乱入したとこ。

○【雑誌】 電撃大王 8月号 メディアワークス

 エロ漫画誌だね。しかもすげえ厚いな……
 気になったものだけ。原田将太郎「なななな」。 小野敏洋「G-onらいだーす」。「でも最近校内でノーパンがブームなんだよね」 どこの不思議時空だ! とにかく尻ホーダイ。 秋月亮「TICKTACK GAN2」。猫耳(というより猫シッポ)少年少女冒険譚。「猫の王」に近い雰囲気のファンタジー。 栗橋伸祐「まにぃロード」。オリジナルドール話。そら怒るでしょう。 読み切り、山田秀樹「とある女子大生の日常に見る小市民的夏」。もうちょっといいタイトル思いつかなかったのだろうか。大ざっぱで色気なしな女子大生がクーラー入れないで夏を乗り切る話。 田中久仁彦「一撃殺虫!! ホイホイさん」。一挙3本立て! でも3ページ!
 なんてったって、プレゼント&オリジナルグッズがエロテレカとエロフィギュア(冥土)だからな……

02/06/27(THU)

○「御加護」

・桜玉吉 「幽玄漫玉日記」 6巻(完結) [bk1][amazon]
 これにて完結。淡々と鬱だなあ。語り手である桜玉吉含め周囲の人間はケミカルな方面へとどんどん流れていって「この先この人たちはどうなってしまうんだろう!?」 不安でしかたなくなったところにストン、読者は置き去りにされる。困ったものだ。まとめて読むとかなりクルものがあります。実際どれくらいのレベルなのかは本人以外わからないのだろうと思うけど、そんなダウナーな気分をここまでエンタテインメントとして昇華させた作品はあまりないと思う。人生切り売り漫画として、西原理恵子をアッパー系の雄とすればこちらはダウナー系の雄だなあと思う。フキ姉さんにまつわるエピソードは秀逸。
 ヒロポンは心配。オーバさんはエロにもっと走るべきなんじゃないかと思った。
・駕籠真太郎 「大葬儀」 [bk1][amazon]
 エロティクス、エロティクスF掲載の作品を1冊にまとめた短編集。「大葬儀」、「大蒐集」、「大試練」、「大終末」、「大酔狂」、「紺野しぐれの幸福なる生活」、「遠目塚先生の優雅なる愉しみ」、「西川ちえりと愉快な仲間」、「DISC」の9編を収録。
 葬儀会場を探して碁盤の目の町を彷徨う喪服の男女たち。いつしか坊主やらニセ未亡人やら死姦マニアやら得体の知れない連中がどんどん増えていき……という表題作をはじめとする「大……」シリーズは筒井康隆を彷彿とさせる不条理テイストでされどオチもきちんとついていて、綺麗にまとまっている。しかし、どちらが変態かといえば圧倒的に「六識転想アタラクシア」の登場人物たちの歪んだ(というレベルではくくれないくらいの)日常を描いた後半の短編群であろう。免疫がないひとなら読んで吐いちゃいそうであります。「過敏肌の会」とか。ぐええ。
 ブツッと世界から分断されるような幕引きに合わせたのだろうか、扉画をすべてカットしてあるのも面白い。ポイっとどこかに投げ出されたような気分になる1冊。
・天獅子悦也(協力:安藤満) 「むこうぶち」 6巻 [bk1][amazon]
 超安定。今読むべき麻雀漫画といえばなんとなくこれであるような気がします。
 闘牌シーン自体の出来も悪くない、きちんと心を払って組まれているのがわかる高レベルのものなのですが、やはり、傀によって食い殺される寸前の敵役たちのオモロすぎるツラをながめてげらげら笑う漫画だと思われます。その点、この6巻において(影の)主役を務める生臭坊主雅たんはその幼児性が全開した性格含めてとてもよかった。再登場はないと思うけど、味わい深いキャラでした。上野の秀はちょっと役不足だったかな。
 巻末、天獅子悦也、亜空間オヤジ安藤満、綾辻行人(不思議に思う人いるかも)の対談が載ってます。「麻雀はミステリにも近いものがある」などと、まあ、わからんでもないけど……なことを言っていた。モノローグも使えない狂言回し傀を物語中心に据えることの苦労、観戦者がいないと闘牌の説明もできないことの難しさなんかも語っていて、最後の話なんか、なんと麻雀ルームにいるフロアレディが解説者として物語を進行させてる。お前、そんなに麻雀くわしいのか、いささか無理がある(w
・福本伸行 「賭博破戒録カイジ」 6巻 [bk1][amazon]
 そういえば、こっちもツラ漫画。1000倍レートのパチンコ台「沼」攻略中である坂崎オヤジのツラの歪みっぷりを楽しむ1冊であります。スゴイよ、最後のほうなんか溶けてるからなあ…… 賭博の熱にうかされて死地に向かって一直線なギャンブル・ジャンキーの心理をきちんと描けてるところがええと思いました。最近の新展開もすごく楽しみ。対人間にならないから描くのがむつかしい種類のギャンブルである高レートパチンコ編も、この坂崎オヤジのキャラ創造できたせいでずいぶん面白いものになったと思う。「アカギ」はもう正直ホヘーという感じだが、こっちはまだ好調だと思います。

○【ANIME】 藍より青し 第11話「子女 〜しじょ〜」 (→公式

 なんだ、ダメダメかと思ったら、けっこういいな……

 というのは、新キャラ、美幸繭たん@ 成田紗矢香のことなんであります。ロリというには半端な年齢、特に属性もないからキャラとして薄味だし、性格も歪みまくってるし、なんせ、水着の日焼け跡すらついてねええ! という、ハーレムアニメにしては空前絶後のどうでもいいキャラに成り下がり、冷遇されまくられてる(原作では)娘さんなんですが、今回のエピソードは、ええね。

 朝。写真展とかなんとか。 「ダメだな、私。薫様……」 と、そっと唇を突き出してみる。葵たん〜 レースクイーンコスで客を引くティナ嬢&妙子たん。胸揺れ、胸揺れ。なにやらタカビーな娘さんが「知性の欠片もありゃしない」などと日本人男性全体に対して(マクロな視点だなあ)異論反論オブジェクションした。何、あの人の流れはティナと妙子たん見に行く人々の群れなの!? タカビー娘と博多っ子ヤンキー娘がニアミスする。とっさに英語が出て来ないティナさん、アメリカ人なのになあ。薫様登場。 「花菱様〜」 あれ? やったらバックがキラキラしたYO! 飛び込み → 抱きつき → キッス 「きっと、イギリスで暮らしてたせいですわ!」 「ああ、それであんな挨拶……」 納得すな! 繭さんは16歳、されど強引に参戦した。 「そっか、飛び級……」 納得すな! 「来週からです」 早ええな、オイ! 断りきれずにバックレ + 葵たんの夕食も断ってみる強力コンボ。薫様、どこまでも流される男。西園寺。お付きの人の名前もカコイーなあ。 「僕にできることでしたら」 安請け合い〜泥沼への道。 「気がつけばッ……死地ッ!!」 いきなり再会して夕食に誘われただけなのに、えんえんと家族の愚痴聞かされる体験って、鬱の一言だなあ。やたらに長いテーブル。そんな部屋で食事とらなくてもいいんじゃないのかな!? 「いつもはひとりです」 さらっと鬱なこと言う。エンドレスで続くリス話。繭たんはブッ壊れたお喋り人形のようだよ(泣 「お願いだから私の話を聞いて」(Endless loop) いっぽう、桜庭屋敷でも心ここにあらずの人が〜電話が鳴ったら仔犬のように飛んできた〜薫様が帰らないのでがっかり、しょんぼり。夜更かしは肌荒れの元。荒れ荒れのティナ嬢。天然なのかなんなのか、NGワードをさらっと妙子たんは呟いて去る。 「これって、どういうことなんですか……」 葵たん、ガ━━(゚Д゚;)━━ン!  いかん、手首を切りかねん。うおお、薫様、躊躇なく同衾しそうだ……てな感じで続く〜。

 まあ、たいしたことにならんというのは先刻承知してるのだけれど(そこが「藍青」)、それでもドロドロ展開への波紋投げかけることに一瞬貢献した繭嬢の参戦は歓迎できるつーことで。このイベント終わったら瞬間用済みなんだけどな―― いとあはれなりけり。

美幸繭たん@ 成田紗矢香 「これがエゲレス流レディのご挨拶です」(そんなアホな)ガ━━(゚Д゚;)━━ン! しかしキミらがレースクイーンのカッコしてる理由もわからんYO!葵たんは来週自害します

02/06/28(FRI)

○「√2と似とーる」

 いかん、長くなった……改行いれてちょっとは読みやすくしよう。漫画感想は短めにすませようと思ってるのに。

・沙村広明 「竹易てあし漫画全集 おひっこし」 [bk1][amazon]
「無限の住人」の沙村広明がアフタヌーン・シーズン増刊に描いてたラブコメ・ギャグ・実録漫画を1冊にまとめたもの。激しくネタが入ったラブコメ「おひっこし」全5話+女の無軌道すぎる一代記「少女漫画家無宿 涙のランチョン日記」+たいしたことないテケトー京都飲み歩き実録漫画「みどろヶ池に修羅を見た」の3作品を収録。
 うーん、けっこう微妙…… 偏執的とも言えるネタの詰め込み具合も評価できるし「無限の住人」で見せてる流麗な作画も文句ないしなんだけど、評価に困るなあ。実力派の若手俳優がバラエティ進出して妙に張り切ってるの目にしたような、そんな気分になるのであります。展開がやたらガチャガチャしてるのもリアル学生ライフっぽいといえばそれらしいし、バンド「くるくるパパ」も痛そうだし、動物園デートつーのも多分にアレだし……ということで、しょぼくて不器用な感じも悪くないんだけどな―― しかし、賞味期限短めなネタはもうすでにわかんなくなりかけてる。(鉄棒少女とか) 最終話で赤木さんお別れ飲み会で特攻した遠野を小早川が投げ飛ばすカットの元ネタが二階堂正宏「極楽町一丁目」だということは今調べてはじめて知った。
「少女漫画家無宿 涙のランチョン日記」。描いてて楽しかったんだろうな―― 泣きボクロとチャイナドレスに対する異様なこだわりも感じる(w 「おひっこし」同様、卓越した画力の無駄遣い+とりあえず考えついたネタ詰め込んどけ的作品で、沙村広明にギャグセンスあるかっていうとまた微妙なんですが、「無限の住人」完結したとしてもこの作風メインでやってく気はしないんで問題ないんじゃないでしょうか。

・遠藤淑子 「狼には気をつけて」 4巻 [bk1][amazon]
 安定。しかし物語の向かう先がどこなのかよくわかんないシリーズであります。「ヘヴン」とかとくらべると気楽に続けられそうではあるんだけど。「狼には気をつけて」のほかに「今日もいい天気」(すごいタイトルだなあ)、「チェスナット」の2短編を収録。岩石みたいな人(ジム)のキャラが立ちすぎな巻でありました。
 さすがに本編超安定なんですが、周囲の悪環境のせいで行き場所を失った少女と女心を解さない考古学者の交流を描いた「チェスナット」もなかなかよかった。とうに死んでる愛犬チェスナットと見まがえて少女に抱きつく導入部なんかこの人らしい感じでした。 「墓石」 どんなセンスだ……

・栗原正尚 「怨み屋本舗」 2巻 [bk1][amazon]
 これはちょっと前の発売。ええと、ジャンル:必殺といって、そろそろ通じなくなってきてる気がするのですが、法で裁けぬ悪を金もらって裁く職業を扱った作品であります。単純に殺すのではなく社会的制裁がメニューに加わっててラストに幅が出ているのがポイントかな。
 ところで作品におけるカタルシスの問題というのがあって、たとえば映画なりTV番組なりBGMやらSEやらがついてくるメディアでは「これから断罪がはじまりますよ〜」みたいな演出が可能になって、視聴者に与える単位時間あたりのカタルシスを増幅させたりできるわけなんですが、漫画というメディアだと同じことやるのむつかしいんですよね。だから最後まで読んで悪人がなんらかの制裁を受けたとしても、その悪行のインパクトのほうがまだ強烈だったりしてただただブルーになるだけだったりします。この2巻では若夫婦拉致して監禁陵辱する鬼畜未成年グループの回とか子供産んでは殺して保険金受け取る人でなし夫婦の話とか、ずばりそのパターン。困ったものです…… そういう意味で「実録レイプ裁判」の読後感にさも似たり、という感じを受けたりします。(そんなの読むな) 怨み屋に変な正義感持たせたりしないところは大いに評価できるんですが……

・花小路小町 「牝の牙 死んでもらいます」[amazon](たぶん絶版)
 ところで、これは参考なんですが、この類の作品の中で、たぶんこの世でいちばん厳しい作品がこの花小路小町「牝の牙 死んでもらいます」ではないかと思われます。
 この作品に登場する悪人たちの悪逆っぷりといったら残虐超人と呼んでもおかしくないレベルのもので、自分より美人で目立っているのが気に入らないからといって同級生を拉致監禁、男友達にさんざレイプさせた挙句に小指は切るわ、前歯全部ペンチで抜くわ、クリト○ス千切るわ、最後には鼻まで削いだりする金持ちの令嬢とか出てきて驚きます。いったいどうしてそこまで残酷なストーリー展開思いつくのだろうか!?
 そのほか、裁判における証人能力を無くすため、事件を目撃した娘を毎日毎日公園のホームレスに輪姦させて(「古くなって捨てるパンを恵まれない人々にふるまうついで」らしい。いろんな意味で酷すぎる)頭をおかしくさせてみるとか(ちなみにこの娘さんはその後肺炎を患って死亡する)何故故そこまで!? というレベルの残虐エピソード目白押しで、これはもう、単なる興味本位から残酷描写してるとしか考えられない、そんな無軌道っぷりでありました。今1つ1つエピソード思い出してるだけでも身体に震えが来たよ! 現在漫画ゴラクで連載中の「東京カルメン」の馬鹿っぷりも凄まじいけど、とにかく、花小路小町先生に理性のリミッター無し! というのが伺える本当に凄まじい作品でした。ところで4巻以降出てないけど、これは完結したのかな?
 シリアルキラーとかって結局人の皮を被った猛獣みたいなものなんで、何人殺そうが行為の描写自体を見てブルーになることは逆に少ない気がするのですが、卑近な暴力の延長線上にある鬼畜行為については目にするたびに非常に暗い気持ちになります。自分の中にそういう感情が存在してるかもしれない、加害者の側に(それがほんの少しでも)感情移入できてしまってるという事実が読んでる人間の心を苛むのかなあ。

02/06/29(SAT)

■book【単行本・小説】 エリック・マコーマック(訳:増田まもる)「隠し部屋を査察して」 東京創元社  [bk1][amazon]

エリック・マコーマック(訳:増田まもる)「隠し部屋を査察して」  おお、これは凄まじい。すごい本です。
「隠し部屋を査察して」、「断片」、「パタゴニアの悲しい物語」、「窓辺のエックハート」、「一本脚の男たち」、「海を渡ったノックス」他、20短編を収録した作品集。

 柴田元幸氏による巻末解説を読んでいただくのがいちばん早いような気がする。この人の作品は説明に本当に困るものばかりなのだ。グロテスクなユーモアに彩られた奇天烈譚と評すればいいような気もするけど、それだけではやはり伝わらない。

 峡谷のへりにあるフィヨルドの近くにあるという建物の地下、<隠し部屋>と呼ばれてはいるけれど実際は<地下牢>と呼ぶべきものの中に囚われている住人たちの状態を報告する<査察官>の仕事の様子を描いた表題作「隠し部屋を査察して」からして、いったい何が言いたい話なのか、意味がぜんぜんわからない。
 隠し部屋に暮らす住人たちはいわゆる思想犯であるのだが、それは一般的な意味におけるそれではない。狂ったイマジネーションの奔流が罪にあたるとして世界から隔離された人々なのだ。たとえば何千ヘクタールにわたる人工の森をつくりあげた者(その森の中には身体の全てのパーツがでたらめに取りつけられた、ウサギ、リス、シカ、クマのように一見思える、ぎくしゃくと動き回るものが住まう)、何匹ものウツボや幾つもの毛糸の束や四四口径のピストルや花崗岩や牛や馬や兎の糞やこれから起こる事が書かれた羊皮紙を吐き戻した挙句、その予言どおりに治安判事を射殺した絶世の美女、他人の人生と自分の人生を1日だけ交換する祭りの成功に気を良くして、その祭りを1年中永続化させる提案をし、そして実行した町長(町の住人たちは本来の自己を完全に忘れ去った。ここにいる彼女が本当の町長なのかもわからない)、などなど。だからなんなんだ!? と言われても説明のしようがない。

 思うに、奇想に奇想を重ねて物語自体の意味を希薄にさせ、そこには歪みきった想像力の産物としての<語り>or<騙り>のみが残る、多層的でありながらそれが何なのか説明に窮するような奇妙なものへと物語を変容させること、それこそがマコーマックの作品の特徴なんじゃないか、そう考えます。

 そんな意味で印象に残った作品は、前述の表題作「隠し部屋を査察して」、パタゴニア台地に上陸した探検隊員たちが焚き火を囲んで悲しい話をする「パタゴニアの悲しい物語」、1年前の事件における証言の食い違いについてエックハート警部があれこれ考えるミステリっぽい話(ラスト処理はなにがなんだかという感じだが……)「窓辺のエックハート」、意味がぜんぜんわかんない、宗教改革者ジョン・ノックスが奴隷船に乗ってカナダに行く「海を渡ったノックス」、学校の体育館を会場に開かれる異様極まる祭典に臨む男女を描いた話「祭り」、<庭園列車>っていったいなんだろう? わからない……「庭園列車 第一部:イレネウス・フラッド」、「庭園列車 第二部:機械」、老人の隠された趣味を描いた、たった6ページの掌編「趣味」、「トロツキーの一枚の写真」、「ともあれこの世の片隅で」、「フーガ」あたり。

 逆に、幅100メートル、深さ30メートルの溝が、時速1600キロで全てを飲み込みながら(ジョジョのヴァニラ・アイスを思い浮かべるとよい)世界中を駆け巡る話「刈り跡」なんかは、物語として非常に説明しやすいがゆえに、この人らしくない作品なのではと思いました。(ラストの処理なんかは独特でヘンテコなんだけど……)

 柴田元幸氏も指摘してるんですが、多分にグロテスクで猟奇的とも言える内容が、不思議と嫌悪感を感じさせなかったり、ホラーっぽくならないところも変だよなあと思います。なんでだろう、乾いてるからかな。ホルマリン漬けの人体標本は怖いけど、輪切りにされて樹脂で固められた断面標本見るとむしろ笑ってしまう(俺だけかも)という感覚に近いかなあとぼんやり考えました。
 スティーブン・ミルハウザーの人工幻想楽園をさらに歪ませて、グロテスクなアイデアとどうしようもないしらじらしさを無理矢理に盛り込んで、まとめないままにアウトプットした、という印象です。とても刺激を受けましたが、読後、微妙にダウナーにはなるなあ……。
 序文に登場した、ロシアの強制収容所に囚われている政治犯の物語も非常に心に残るものがありました。真実なんでしょうか?

 ちなみに、この人は吃驚するぐらい見当外れなことを書いていると思われる。迫力ある幻想を物語メインに据えてしまうという展開こそが「刈り跡」のマコーマックらしくないところで、「え! そんなふうに落とすの!?」というとんでもないオチのつけ方こそが、マコーマックらしいところなのであると思う。

○【ANIME】 アベノ橋魔法☆商店街 第13話「蘇れ! 幻の陰明師☆」(完結) (→公式

 →第13話ストーリー詳細

 なんじゃいな、これは…… 俺の中では「おねがい★ティーチャー」に続くがっかりアニメに認定されました。いくら思い願おうが妄執し続けようが、どうにもなんないことはなんないままにとどめておくべきなんじゃないかと思うけどな―― 手品にすぎなかったちがうのかい! 最後の最後まで心こもらないまま終了、という感じですね。とりあえずハッピーエンドにしとけば視聴者が納得する、つーものでもないでしょ。

 ひょっとしてあかほり一派が戦犯として挙げられたりするのか? と思うと、それはないんじゃないか、という気が実はしていて、「導入 / 謎解き / ラストは俺脚本でまとめてやるから残りの回はテキトーにパロディやっちゃってくださいよ――」みたいないい加減なシリーズ構成にした監督の山賀博之に全面的に責任あり、と思う。因果の発端が遥か平安の昔にまで遡るいわば妄執の物語と、サッシの子供じみた(子供だけど)現実逃避願望が作り上げたスラップスティック・パロディ世界が交錯する乖離感覚を演出したかっただろうけど、それにしてももうちょっと上手く物語のコントロールはできたような気がします。
 高速テンポのカット割と圧倒的なパロディ情報量でみせた今石洋之演出回にしても、それぞれ単体でみれば興味深い出来ではあるんですが、ムネムネ完全にキチガイにしちゃってたり(辻褄あってない気はするし……)、シリーズ通して考えてみるとマイナスに働いてた面もあったような気がします。コンテを庵野秀明が担当したこの最終話だって、これ単体では素晴らしい出来なんですが、うーむ…… 黒田洋介が幼児性全開させてた「おねがい★ティーチャー」と同じく、なんでこんな終わらせ方させるかな……という呆れ果てモードですな。時間的リソース、人材的リソースにしても、これだけのものを作れるのだからそれなりに揃ってたはずなんだけどなあ。とほほ。

あるみたんの表情はよかった。しかし、オチが……ムネムネの透け好けランジェリー姿はなんなんだろう……!?サッシ@サエキトモ

02/06/30(SUN)

○「カリブ海、買いかぶりか……」

・六道神士 「エクセル♥サーガ」 9巻 [bk1][amazon]
 番外編「太陽に踊るあぶないはぐれ西部ケイ事貴ゾク物語旅情編トリック密室連続殺人24時」読んで、六道神士って、本当に漫画下手だな――と心の底から再確認した。ひどいことだ、ぜんぜんわけがわからない。
 それでも本編まとめて読んだらやっぱり面白いわけで、つくづく不思議な作家だなあと思う。この作品以外はのきなみダメな気がするが、これだけは面白い、なんでだろう? 前巻にてあっさりお亡くなりになられた岩田くんのニューボディも完成、だらだら続けてたアクロスの市街征服計画もいよいよ本格発動、それに伴なって市街安全保安なんちゃらもダイテンジン化して大暴れ、ひょっとして風雲急告げたりする? みたいな新展開迎えるこの巻なんですが、まあ、雑誌連載チェックしてるからその後どうなったかというのも知ってるわけで、まあなんと申しましょうか…… 肩透かしレベルの高さでいえばこれほどすごい作品もないかも。永遠に続くのだろうか? しかしダイテンコア(元岩田)は絶対人殺してると思う。描いてないだけで。
 表紙画の六本松一式の胸やたらにデカかったり、「二式ちゃん」も普通に可愛くなってたりして、そんでこの先、ロリ眼鏡っ娘がまた投入されるわけで、なんか娘っ子含有率が上昇しつづけてるな…… ミソッカス3人の扱いはかなりぞんざいです。表紙だと半分透過してるし。カバー取らないと小さいぞ―――

・すもと亜夢 「私の…メガネ君」 2巻 [bk1][amazon]
 そういえば、1巻のレビュ書いてなかったか。なんだいったい、このテンションの高さは……という異様な恋物語であります。スゲーよ…… 陸上少女の蝶子と、彼女の幼馴染でお隣さん、究極にミステリアスな存在のメガネ君(2巻では誰にも本名で呼ばれなくなってて、みんなは彼をメガネと呼ぶ)、このカップルの痛々しすぎるラヴを描いた作品なんですが、なんだこのメガネのエキセントリックな性格は……いや、べつに蝶子もマトモな気はしないのですが。怖! 出てくる人間、全員が全員キチガイだ!! この貧乳ソバカス少女を巡って殺し合いさえ平気で勃発しそうな、そんな、そんな雰囲気だ。 「――…僕、きっと地獄に落ちるよ」 どこまで本気で描いてるのかわからないけれど、なかなかすごいことだと思いました。
 謎のビジュアルユニット「黒」の結成秘話を描いた描き下ろしオマケマンガ「黒伝説」を巻末に収録。これなんか読むと本編もギャグで描いてるんじゃなかろうか? という疑問にかられます……「俺、最高」とか「みんな、リアルを見ろ!」とか、とにかく大爆笑。ヨシオサイコー!! しかし、なぜにいきなしボロボロ泣き始めるのか……

■book【単行本・小説】 法月綸太郎「パズル崩壊 whodunit survival 1992-95」 集英社文庫  [bk1][amazon]

法月綸太郎「パズル崩壊 whodunit survival 1992-95」  法月綸太郎、2冊目の短編集。「重ねて二つ」、「懐中電灯」、「黒のマリア」、「トランスミッション」、「シャドウ・プレイ」、「ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?」、「カット・アウト」、「……GALLONS OF RUBBING ALCOHOL FLOW THROUGH THE STRIP」の8作品を収録。

 探偵法月綸太郎がほとんど登場しない短編集で、端正な本格物を書いている「法月綸太郎の……」シリーズとくらべると比較的変調されたような作品が並ぶ。あとがきにて法月自ら書いているように、『本格ミステリ=「謎と解決の物語」の形式にさまざまな角度から亀裂を走らせることを年頭に置いた』構成が取られており、まさにタイトルどおり「パズルが崩壊していく様」が楽しめるものとなっている。最近出た「法月綸太郎の功績」の印象からすればかなり異色の出来であり、作品ごとに文体までも意識的に変化させている。それは苦悩しながら試行錯誤を繰り返す法月綸太郎の姿をそのまま反映させているようだ。

 「和製ポロック」と異名をとる前衛画家が妻の遺体をキャンバス代わりにした理由を巡る中篇「カット・アウト」がとくに印象に残った。本当に優れた凄みのある作品だと思う。17年の時を経て主人公がはじめて友人の「奇行」の真の意味を知るラストシーンはたしかにヴォネガット「青ひげ」のそれを想起させるものではあるが(抽象作家がひそかに封印した絵の内容を巡る物語という点でも共通している)、アクション・ペインティングと呼ばれる技法の先駆者であるジャクソン・ポロックをとりあげた意味、そして「カット・アウト」というタイトル自体が持つ意味、それぞれたいへんに考え抜かれた内容の濃い作品であるように感じた。そしてそれは「和製ポロック」という渾名にアンビヴァレンツな思いを抱く画家の桐生という人物を設定することで、近代美術史の流れと法月自身を含めたミステリ史の流れを重ね合わせようという試みなのかもしれない。本当に美しい作品だ。
 そのほか印象に残ったのは「トランスミッション」、「ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?」。前者はポール・オースター「シティ・オブ・グラス」を下敷きにしたという不思議な味わいの物語で、だから奇妙な電話を皮切りに物語がはじまる。村上春樹の影響もありそうだ。密室殺人事件を扱った物語である後者はラスト1行のサプライズものではあるが、残念なことにロス・マクドナルド作品を未読であるという理由により作者の意図とは別な意味で驚いてしまった気もする。

○【雑誌】 ヤングキングOURS 8月号 少年画報社

 朝霧アニメって1話15分なんですよね……巻頭特集記事見る限りだと作画なかなかよさそう。(関東地上波での予定では)水曜26:50頃スタートとのことで、裏番組「藍より青し」からぎりぎり移行できる時間設定にしたのかしら。ところで「オタが行く! 番外編」として、ちば・ぢろうが製作発表&アフレコレポート漫画描いてます。珠のCV担当する長谷川静香は現役中学生なのか―― 二宮ひかる「ベイビーリーフ」。え! これ連載なんだ……読みきりかと思って読んで、しばらくしてから気づいた。いきなし第1回で初体験完了、な14歳、しかも彼氏は1コ年下な女の子を主人公にしたココロとカラダの同時進行恋愛物語、みたいな感じでしょうか。考えてみれば、OURS的にすっぽり抜け落ちてたジャンルでした。で、この人が描く、と。なるほど。 六道神士「エクセル♥サーガ」。絶対人殺してるだろう(w という自称:正義の味方大暴れ話つづく。今回はWとかCとか。 脚本:田畑由秋+画:余湖裕輝「コミックマスターJ」。青少年有害情報対策法エピソード続き。……えーと、なんですか、これ? 真剣にこう思ってこの人は描いてるのかな? 激しく疑問です。つまらないから淘汰されるという事と、法によって規制されるという事、このふたつの意味がぜんぜん異なるなんてことは自明だと思うのだけれどな―― 素晴らしい作品しか存在を許されないようなものが文化なんて呼べるはずないじゃん。宮崎駿らしき人物を中心に据えた今回のエピソードだって、ほとんどの言説がしらじらしくて上滑りなものばかりだし……だいたいこの作品自体、どちらかといえば「淘汰される側」の作品なわけで、「全てをねじ伏せるだけの力を持て!」って、言ってる自分はどうなのか? そもそもここに書かれてる内容自体に説得力がないじゃないか! つまりはその言説、ひいてはこの作品の存在自体が自己矛盾起こしてることに作者自身気づいてないはずはないのだけれど…… その点、身の回り10mくらいのレベルでしか描こうとしない島本和彦のほうが格段に好感持てるのです。というか、ああいった形でしか普通描けないだろう、恥ずかしくて。 水上悟志「除霊師」。アパートの一室に逃げ込んだ瀕死の殺し屋とずいぶんとラフな格好の除霊師、そして子供の霊の物語。今回はわりに普通な出来かな。画面が少々白いような。 やまむらはじめ「カムナガラ」。主婦そして老人のあたりがええな。

○【雑誌】 ヤングアニマル No.13 白泉社

 文月晃「藍より青し」。健康ランドでご入浴編続き。なんだか明日にもお別れしてしまいそうな勢いのティナですが、あと1年あるんでしょ? と思うと萎え萎えになってしまう罠。しかし、そのヘタレさ加減が「藍青」。 竹下賢次朗「Bless You!」。なんだかのびのび描いてるな(w この娘さんはなんでまた乳首勃てますかね? 自称「喫茶部の父」なる変人眼鏡が新人部員を熱血指導! みたいなお話なんですが、えーと、この人は一般の人? 通報すれば? という感じでありました。 柴田ヨクサル「エアマスター」。「完璧」になった自分が老いていくという現実がたまらない! 半ばイッテる小西の描写が素晴らしい。マキもそうだけど、血が滾っている状態描くの本当に上手い。新展開としては、もうみんな忘れてるんじゃないのか!? というインドで消息絶ったあの人が再登場。すごいことになりそうだ……

 about this file

InternetExplorer5.5 / Netscape6 で確認しています。
この日記へのリンクについて
 □ 日にちにリンク:ページ上部のカレンダー、リンク張りたい日にちにカーソルを合わせ、「新しいウインドウを開く→アドレスに表示されるURLにリンクしてください。
 □ レビュにリンク:MONO INDEX / QUICK REFERENCEからリンクしたい項目にカーソルを合わせ、「新しいウインドウを開く」→アドレスに表示されるURLにリンクしてください。

home