>>トップページ

site search help

  comic novel magazine etc.

comic


comic さくいん

magazine

SFマガジン 6月号 「拡がりゆく小説 スプロール・フィクション特集」
magazine さくいん(更新停止中)

novel

桐生祐狩「フロストハート」
マーガレット・ミラー(訳:柿沼瑛子)「ミランダ殺し」
蘇部健一「ふつうの学校 ― 稲妻先生颯爽登場!!の巻 ―」
伊坂幸太郎「重力ピエロ」
歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」
若竹七海「ぼくのミステリな日常」
novel さくいん

etc.

エアマスター 第6話「ノッてけ! 摩季」
爆竜戦隊アバレンジャー 第7話「アバレ赤ちゃん爆竜」
爆竜戦隊アバレンジャー 第8話「アバレブラックこの一発!」
爆竜戦隊アバレンジャー 第9話「目覚めよ! アバレサバイバー」


 2003/5
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

03/05/01(THU)

■book【単行本・小説】 桐生祐狩「フロストハート」 角川書店 [bk1][amazon]

桐生祐狩「フロストハート」  うーむ、この人の作品は感想を書くのがむつかしい……

 腎臓移植待ちで入院している弟、弘之に付き添ってオーストラリアの病院にいる両親に月々の入院費用を手渡しして帰国したばかりの須藤千香子はJR新宿駅で男に突き飛ばされた。30ぐらいのその男は、転んで軽い怪我をした千香子を大人向けの喫茶店に連れ込んだ。突然、小さな青い光が瞬き、千香子は奇妙な光景を垣間見る。それはどこか南洋の島で、病気が全快した弟の弘之といっしょに30代になった自分がくつろいでいるリゾート風景だった。不意に幻想から醒めた千香子は喫茶店の階段下に男が倒れているのをみる。どうやら階段から転落したようだ。千香子の目の前に救急車がいきなりあらわれた。救急隊員のひとりは網タイツはいた中年女で、「あれ? 女の子のほうじゃなかったのかい」と言った。男がせっかく取ってくれたグリーン車に乗れないのがイヤだった千香子は病院に付き添わず、そのまま帰宅した。家では年老いた祖母と妊娠を繰り返し胎盤売りに精を出している姉の多佳子が出迎えてくれた。

 なんだこりゃ。めちゃめちゃであります。瑞々しい文体でインモラルかつトンデモなお話を描くのがこの人の作風なのですが、いくらなんでもワケがわからなすぎるような気がします。「剣の門」の感想で、小林泰三が理系インモラルの雄、この桐生祐狩が文系インモラルの雄、と書いたんですが(角川ホラー大賞出身というくくり)、小林泰三の場合は物語中心となる恐怖にそれなりの説明をいようとするんですよね。でも、この人の場合それが皆無だからなあ。「トリンキュロー」とか「大崩壊」とか、いったいなんだよ! と思いました。

 ……と、ここまで書いたところで、桐生祐狩がと学会会員だったことを思い出しました。それでこの人のすべてが説明できてしまうような。頭の悪すぎる主人公や、「社会的弱者(子供とか)は強者の犠牲になってもしかたない」 みたいなところはあいかわらず。

03/05/02(FRI)

■book【単行本・小説】 マーガレット・ミラー(訳:柿沼瑛子)「ミランダ殺し」 創元推理文庫 [bk1][amazon]

マーガレット・ミラー(訳:柿沼瑛子)「ミランダ殺し」  暇をもてあました上流階級人たちの憩いの場、ペンギン・クラブにはひとクセもふたクセもある人間ばかりが集う。匿名中傷レターを他人に送りつけるのが趣味の偏屈な老人、マフィアの殺し屋にコネがあるとうそぶく9歳の悪ガキ、女とみれば見境なく手を出すプール監視員、急速に失われていく美貌を取り戻すのに必死の世間知らずの未亡人、いつまでたっても子どものままでいる姉妹、その父親である退役海軍准将。――そして、未亡人ミランダとひとりの男が失踪する。彼女の財産整理の手続きをすべく、駆け出し弁護士のアラゴンは彼女の行方を追うが、物語は意外な方向に転がっていく……

 未亡人ミランダが会員制ビーチクラブの施設で殺されて、そこに居合わせた全員に動機が……「ミランダ殺し」というタイトルから想像される内容はだいたいこんな感じだと思います。でも、ちがいます。
 本格ミステリなのか、世間知らずの未亡人の愛の逃避行劇なのか、それともカリカチュアされた登場人物たちがおりなすちょっとブラックな集団喜劇なのか、物語は絶えずとどまることなく、読者の予想は裏切られつづけます。そして物語終盤近く、不意に浮上してきた作者の真の意図に読者が気づいたとき、背筋には戦慄が走るでしょう。お、恐ろしい話であります。
 解説担当の若島正の言葉にもあるように、この物語は愛の幻想に溺れた人間が底無し沼の中に沈んでいく様子を描いたものなのかもしれません。必死でもがいてる人間を傍から棒でつつくのは誰か? という話ですね。読み終わったのち、「ミランダ殺し」というタイトルを思い返してもう1回ゾッとしてみてください。

それにしても、いやな話を書くなあ…… しかしものすごく面白い。世にある小説がすべてこれぐらいのレベルだったらどんなに楽しいことでしょうか。

03/05/03(SAT)

■book【単行本・小説】 蘇部健一「ふつうの学校 ― 稲妻先生颯爽登場いなずませんせいさっそうとうじょう!! の巻 ―」 講談社青い鳥文庫 [bk1][amazon]

蘇部健一「ふつうの学校 ― 稲妻先生颯爽登場!!の巻 ―」  さすがにすぐ読めた。あたりまえか。

 主人公の小学5年生・外池明(通称:アキラ)とそのなかまたちが、型破りという単語ではとてもくくれないような変態教師・稲妻快晴(本名)に翻弄されまくるという、まるで小学生版「GTO」ともいえそうな内容ながら、ヤンキー気質的なスカっとした気持ちよさはなく、むしろダメ中年男の悲哀に満ちているところがポイント。なんでだ…… そもそも、アキラと稲妻先生の遭遇からして、「どう見ても25歳越えてるゾ! どうなってんダ!」 と稲妻先生がレンタルビデオ屋店員に必死の抗議してるところにアキラがでくわすというものだし(ひとさまの性嗜好に口出しするいわれはないが、小学校教師がロリータものを愛好するのはやはり問題があるような気がしてならない)、当のアキラだって「課外レッスン」なる女教師ものエッチビデオに並々ならない関心を示したりする。小学上級からということもあってか、それなり爽やかな筆致で書かれているものの、なんかもう、内部から滲み出てくるスポーツ新聞っぽさがたまりません。これを小学生に読ませてどうしようというのだ…… 「何の才能もない人間が教師になるのだ!」 「努力したってムダだ!」 などという言い切りもすがすがしい。

 ヘンな自意識が作品から仄見えないぶん、ただ単純に笑って読めるのはこの人の作品の手柄だと思います。メフィスト賞受賞当時はあれほどけなされまくってた「六枚のとんかつ」が、文庫化を機に意外なロングヒットを記録してるのはそういうのがあるような。たとえるなら…… パイレーツの「だっちゅーの」を今見せられたら死ぬけれど、鶴光のオールナイトニッポン録音だったらいつまでも聞けそう、という感じでしょうか。ミステリ的にはロッカーからの消失事件とドッペルゲンガー事件みたいなものがあります。ここでも自虐的なあとがきは読んでて泣けてくる。著者近影は載ってません。残念。

03/05/04(SUN)

○【雑誌】 SFマガジン 6月号 「拡がりゆく小説 スプロール・フィクション特集」 早川書房 (→公式

SFマガジン 6月号 「拡がりゆく小説 スプロール・フィクション特集」  スプロール・フィクション特集。といっても、何のことやらと思うかもしれませんが、これは監修を担当した小川隆による造語。主流文学(メインストリーム)に対する奔流を指すジャンルとして以前ブルース・スターリングが提唱したスリップストリームというジャンルの現代的表記みたいな感じなのかな。
 1990年初頭において、主流小説そしてミステリ、SF、ホラー、ファンタジーなどのジャンル小説の隙間をぬうように存在した新しい流れだったスリップストリーム作品群が、現代においてはもっとアメーバ的にすべてのジャンルを侵食していこうとする動きにとってかわられていることを都市のスプロール化現象に例えてスプロール・フィクションと命名したようであります。なるほど。

 スプロール・フィクション作品の例として挙げられているのが、カズオ・イシグロ、スティーヴ・エリクソン、ポール・オースター、ジョナサン・キャロル、ピーター・ケアリー、ニール・ゲイマン、ニール・スティーヴンスン、ピーター・ストラウブ、イアン・バンクス、ミッシェル・フェイバー、デイヴィッド・プリル、パトリック・マグラア、スティーヴン・ミルハウザー、ジョナサン・レセムほかの作品で、たしかに面白く、興味深い作品ばかりだとは思うんですが、いわゆるジャンル分類不能作品、ジャンル・ミクスチュア作品、いろんなジャンルにまたがって活躍中の作家の作品、もしくは現代文学作品の中で優れた作品を列挙してみただけのような気もします。

 こと国内に目を向けてみるなら、スプロール・フィクション作家に分類できそうな作家ばかりいるような気もして、たとえば恩田陸とか。Jコレクション作家でいえば、小林泰三、牧野修、北野勇作、高野史緒、飛浩隆…… 頑なに1つのジャンル一辺倒でやっている作家のほうが少数派のような気がするのです。SFでは野尻抱介、ミステリでは階堂黎人とかかな。
 だから、ジャンル・ミクスチュア的な作品を発表している国内作家が好きな読者に向けて同傾向の海外作家を紹介するという意味合いならばあると思うのですが、現象としてそれが新しい波か? というと、そんなに新鮮味は感じられません。国内ではずっと前からそうだったよ、という感じです。

 スリップストリーム → スプロール化の流れの国内モデルとしてはメフィスト賞受賞作を考えてみるとわかりやすくていいかもしれません。カンブリア紀と呼ばれた突然変異系の作品群からミステリをダシにした屈折青春小説への流れ、みたいな感じかな。

 スプロール・フィクションの例として挙げられてる海外作品がそんなに面白くない / スプロール・フィクション作品なのかよくわからなく収録意図が読めない、だったのは残念でした。
 アーサー・ブラッドフォード(訳:小川隆)「ドッグズ」 恋人の飼い犬とヤッたら子供が出来たのでビックリした! シュールなれど驚きはないかも。 ポール・パーク(訳:小川隆)「ブレイクスルー」。NHKスペシャル「奇跡の詩人」ライクなほろ苦い味わいの物語。 ケリー・リンク(訳:金子ゆき子)「私の友人はたいてい三分の二が水でできている」。うーん…… 退屈な普通小説のような気がします。 ブルース・ホランド・ロジャース(訳:小川隆)「死んだ少年はあなたの窓辺に」。少年は生まれたときから死んでいて、いじめっ子たちは凧にして飛ばした。シュールからセンチに向かう流れはちょっと苦手。 ニール・ゲイマン(訳:柳下毅一郎)「十月が椅子に座る」。レイ・ブラッドベリ「十月はたそがれの国」を意識したタイトルなんだろうけど、スプロール・フィクション作品の例としてオマージュを挙げるのが正解なのかどうかはちょっとわかりません。

 林巧「栄曜邸の娘の魂が抜けた話」は、物語終盤の世界間リンケージをもうちょっとでもはっきり示したほうがSFマガジン向けでもあり連作短編第1話としてもよかったような。アジアンテイストな異界の肌ざわりは好みです。

03/05/06(TUE)

■book【単行本・小説】 伊坂幸太郎「重力ピエロ」 新潮社 [bk1][amazon]

伊坂幸太郎「重力ピエロ」  洒落ていてそしていいお話。素晴らしい。

 弟から留守番電話にメッセージが吹き込まれていた。 「兄貴の会社が放火に遭うかもしれない。気をつけたほうがいい」 築5年、20階建てのビルは本当に燃えて、しかしそれはボヤにすぎなかったのでたいしたことはなかった。
 私の名前は泉水、弟の名前は春。英語に直せばともにスプリングになる。私は遺伝子情報を扱う企業の社員で、弟はグラフィティアートと称する街の落書きを消すのを生業としていた。春からふたたび連絡があった。父親の見舞いついでに会うことにした。父親はベットに横たわりながら穏やかにガンと闘っている。春はこのあいだの種明かしをするといった。仙台市内を賑わす連続放火事件には一定の法則があるというのだ。

 兄と弟の物語であり、父親と子供の物語であり、遺伝子の物語であり、それに街の落書きや相次ぐ放火事件などが絡んでくるという作品。
 いくつもの断章の中で語られる短いエピソードの積み重ねでストーリーが語られるという手法からはたとえばカート・ヴォネガット作品を連想したりしますが、主人公や登場人物たちに世界に対する諦念が感じられないところがちょっとちがうかも。クールなスタンスで自分たちを取り巻く状況を認識してはいるものの、ほぼ全員がそれなりに前向きなところが爽やかな読後感につながっています。放火現場近くにまるで犯行予告のように描かれるグラフィティアートが暗号を形成するくだりなど、映像的な見せ方が得意なところなどはやはり映画好きなんだなあと感じられて、コーエン兄弟(参考:コーエン兄弟はいかが?)がとくに好きだというのはまったく納得。さりげない伏線の張りかたやその丁寧な回収、洒落た会話センスなどもすばらしいですね。ちょっとだけ言及されているウェストレイクのドートマンダーものを意識してる部分はあるかもしれません。たとえば、「ラッシュライフ」に出てきたあるキャラが特別出演しているあたりなど、こういうタイプのキャラを1作品ひとりくらいは登場させようと思ってるのかもしれません。 (デビュー作である「オーデュボンの祈り」に関する言及もなされているような気がするんですが、未読のため判断できず)

「ミステリ的な退屈な手続き」 なる章題をぬけぬけとつけていることからも明らかなように、ミステリ的なサプライズを目的にはしていません。ミッシング・リンク、暗号などパズラー小説的な手続きを用いることで主題を明確にしようという意図で書かれた一般小説であると思います。
 きちんと伏線が回収されるようにできているのでちゃんと読んでいれば先の展開はかなりバレバレだと思いますが、落ちつくべき所にきちんと収まるラスト含めて、読んでいてたいへん心地よかったです。装丁そのほかもろもろひっくるめてセンスよし! 花マルでした。

03/05/07(WED)

■book【単行本・小説】 歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」 文藝春秋 本格ミステリマスターズ [bk1][amazon]

歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」  こ、これは傑作。

 フィットネスクラブで身体を鍛え上げ、自慢の肉体で女を抱き、酒を飲み、愛車のオースチン・ローバー・ミニ・メイフェアで飛び回る、「何でもやってやろう屋」成瀬将虎は運命の出会いをした。日比谷線広尾駅で飛び込み自殺を図った麻宮さくらをすんでのところで助けあげたのだ。最初はなんとも思ってなかったはずの彼女にしだいに惹かれていく自分を意識する将虎。そんな彼のもとに身内の不幸で今はフィットネスクラブを休んでいる知り合いの久高愛子が相談を持ちかけてきた。 「おじいさんは事故死じゃなかった…… どうやら保険金目当てで殺されたらしいの……」 元探偵の杵柄を頼られた将虎は健康を売り物に年寄りを食い物にする悪質な団体、蓬莱倶楽部に潜入捜査をするはめになったのだが……

 用いられてるトリック、作品全体の構成などについては、あの作品とあの作品の複合発展系ともいえるもので(どの作品かは絶対に書きません!)、読み終えてしまった今考えてみると新鮮味はさほど感じられません。しかし、この作品のキモはそこにはあらず。見るべきはこの大胆かつ緻密な伏線の張りっぷり! まさに脱帽するほかありません。こんなアホなことようやったなあ……と、感心×∞ですね。
 真相が明らかになった瞬間、眩暈にも近い感覚をひきおこすという作用は読者を欺くことを旨とするトリック・アートならぬトリック文学であるミステリ特有のものだと思うのですが、この作品はその最たるものですね。ときおり微妙に釈然としない描写がみられ、脳内で結ばれる世界の遠近感がなんとなく歪んでいる。そしてあるひとつの言葉をきっかけに世界がぱたぱたと反転していって…… くらくらきます。夢か現実か判然としないパートについてもきちんと説明がつく解答が与えられるのはいさぎよいですね。
「安達ヶ原の鬼密室」、そして前作の「世界の終わり、あるいは始まり」あたりの変化球路線ではあるのですが、このようなトリックをなぜ用いたのかにもそれなりの意味が付加されていて、きわめて周到な作りの本格作品だと感じました。「世界の終わり、あるいは始まり」が許せなかったような人にもオススメできるかも。 (個人的な感覚ではなぜダメなのかがぜんぜん理解できないのだけれど…… 思ったようなものじゃなかったから怒ってるのかもしれないけれど、考えてみれば、アントニイ・バークリー 「毒入りチョコレート事件」だって本質的には何もちがわないじゃないか!)

 前述したように凝りに凝った伏線には本当に感心したのですが、とくにすごいと思ったのは「おじいさんという言葉の扱い」でしょうか。上手い。

○【ANIME】 エアマスター 第6話「ノッてけ! 摩季」 (→公式

 vs.坂本ジュリエッタその2。謎の男である佐伯四郎が登場したりします。尺の関係からか崎山香織株急上昇↑↑の女帝ゴキ(だっけ?)エピソード削られてたりするのはちょっと惜しい気がするけれど、たぶんふたたびテンション最高潮になる次週に向けて中休みという感じでしょうか。なぜマキがやさぐれてストリートファイトに手を染めるようになったかあたりはきちんと描いてくれるといいなあ。毎回毎回面白いけど、今回は普通〜

03/05/09(FRI)

■book【単行本・小説】 若竹七海「ぼくのミステリな日常」 創元推理文庫 [bk1][amazon]

若竹七海「ぼくのミステリな日常」  これは再読。しかしながらたかだか5〜6年のうちに内容をほとんど忘れていたようで、かなり新鮮な気持ちで読みました。これはけっこう得した気分、とほほほ。

 建設コンサルタント会社総務部に勤務する若竹七海は今度創刊されるという社内報の編集長に大抜擢された。堅苦しいものではなく娯楽面に力を入れたものにしてほしい、小説でも載せてみればどうだろうか? との意見は出たものの、プロの作家に依頼するだけの予算はなく、社内にも適当な人材はいない。頭を抱えた七海は大学時代小説を書いていた先輩の佐竹に連絡を取ることにした。佐竹には断られたものの、ミステリ風の短編を書いているという彼の友人を紹介してもらえることになった。条件はただひとつ。匿名作家として連載を続けるということ。かくして、謎の作家からの短編が月1回送られてくることになった。どうやらこれらの短編、実際に起こった事件をもとにした作品らしいのだが……

 謎の人物から送られてくる連作短編×12(ヶ月)という作品で、たとえば4月掲載の「桜嫌い」では桜の花びらが謎を解く重要な要素になっていたりして、なかなか粋な趣向であります。扱われている事件の内容から、小説そのもののジャンルまでもがバラエティに富んでいて、「スクランブル」(→感想)の連中が一足先に登場する7月「箱の虫」はロープウェイからの子供消失をあつかった密室事件っぽいお話だし、11月「写し絵の景色」も同じく密室状態のアトリエから版画元版と版画が盗まれたというお話。ここらへんは正統派ミステリテイストですね。いっぽう5月「鬼」はそのタイトルどおりサイコ・サスペンスともいえそうなちょっと不気味なお話だし、10月「ラビット・ダンス・イン・オータム」は「東京……いや、関東の、五番目」というヒントから取引先部長の娘さんの名前を当てるという、まるで「黒後家蜘蛛の会」のような展開だったりします。本当に盛りだくさんですね。

 そして、それら12の物語が最後にジグゾーパズルのピースに変化してその中に潜むさらなる真相を浮かび上がらせる。……という東京創元社連作短編パターンのこれがはしりなんでしょうか? ちょっと後付けっぽく(実際そうらしい)若干無理があるような気がしますが、たしかに発明な気がしますね。試行錯誤してるのがうかがえる文章も今ほど洗練されてはいませんが初々しくてよいです。1月「お正月探偵」はのちの作風を予見させる展開でほおと思いました。幕切れがこの人らしい。

○【特撮】 爆竜戦隊アバレンジャー 第7話「アバレ赤ちゃん爆竜」 (→公式ページ

 →ストーリーあらすじ

 タマゴが孵ってちっちゃい赤ちゃん爆竜が生まれた。まるっきりゾイドですね…… いっぽう、トリノイド、磁石+シャクナゲ+ゲンゴロウ=ジシャクナゲエンゴロウが出現、磁石の反発力を使って自動車を弾き飛ばしてみたりと破壊活動を繰り広げる。出動したアバレンジャーたちもゴールドコースト、モスクワ、そしてなぜか名古屋に飛ばされて……
 帰ってこられないアバレンジャーたちのかわりに孤軍奮闘するアスカが怒りのあまりアバレブラックに変身するもけっきょく役に立たなくて、「この人誰? 新人さん?」 「足手まといだ、どいてろ」 「すみません! とりあえず下がっててください」 などと、ひどく邪険に扱われるところがポイント。所在無い〜 そして気まずい。爆竜合体してるあいだ、彼がどんな気持ちでいたのかがたいへん気になります。アラスカで鮭をとったことがあるアバレッドはかなりステキ。

○【特撮】 爆竜戦隊アバレンジャー 第8話「アバレブラックこの一発!」 (→公式ページ

 →ストーリーあらすじ

 これはなかなかすごい。ギガノイド第1番運命がふたたび出現した。アバレンジャー×3(アバレブラックは役立たずだからお留守番)は 「なんだよ、もうネタギレ?」 とお気楽出動した。ところがそこに子供たちに人気の特撮ヒーロー、ギャラクシアン・イグレックの本物が出現、あっさりギガノイドを倒してしまう。帰還するイグレックをこっそり尾行したプテラの証言では(歩いて帰ってるのか)はげしくいい人っぽい。「ギガノイドが出てきたら彼に頼も〜」 とかヒーローの自覚が希薄なアバレンジャーの面々、しかし以前お荷物のまま気だけ逸ってるアスカは 「俺たちがやるんです! というか、俺! 俺! 俺!」 と強硬主張。ますます孤立する。あげく、「また負けたの?」 とキツい突っ込みいれられたりして可哀想すぎであります。
 子供たちを裏切ってトラウマを植えつけるニセモノヒーローという図式については瞬間予想できますが、あまりにハンパでない作りこみがすごすぎです。正直、アバレンオーよりイグレックのほうがカッコいい(w すばらしい。ひとり悶々とするアスカの苦悩、赤ちゃん爆竜バキちゃんの可愛さなど、見どころも多く、とくにラスト、自分を取り戻したアバレブラック大暴れのカタルシスはすさまじいものがあります。ちょっと強すぎやしませんか、と不安になってしまうほど(w ところで、イグレックを作っていた制作会社の人は災難ですね。

03/05/10(SAT)

○【特撮】 爆竜戦隊アバレンジャー 第9話「目覚めよ! アバレサバイバー」 (→公式ページ

 →ストーリーあらすじ

「だから、ここは現実の世界じゃない! でも大丈夫! 俺こういう場所得意なんです!」 まるで根拠のない凌駕の自信がすばらしい。いきなり登場したトリノイド:キンモクセイ+イカ+カミカクシ=キンモクセイカミカクシの花粉攻撃によって凌駕とサラリーマン鈴木@スマイリー菊地はどことも知れない異世界に飛ばされてしまう。やたらに能天気な凌駕のたくましさに影響を受けて、現実世界でも自殺志願者だったスマイリー菊地、神隠しの末絶望していた人々が心をひとつにして頑張る……その果てに何かがうまれる、というお話らしい。(本当だろうか) しかし、あの巨大な岩はなにかのメタファーだったのでしょうか? よくつきあったな、みんな……と思われます。先週からずっと寝坊しつづけていたアスカがやっと目覚めてぺこぺこ登場してたのが面白かったのと、自殺志願者のわりにはやけにガタイがいいスマイリー菊地のミスキャストぶりが面白かったです。ま、ワケがわからないといえばぜんぜんわからないエピソードではあるんですが、あまり気にしません。

 about this file

InternetExplorer5.5 / Netscape6 で確認しています。
この日記へのリンクについて
 □ 日にちにリンク:ページ上部のカレンダー、リンク張りたい日にちにカーソルを合わせ、「新しいウインドウを開く→アドレスに表示されるURLにリンクしてください。
 □ レビュにリンク:MONO INDEX / QUICK REFERENCEからリンクしたい項目にカーソルを合わせ、「新しいウインドウを開く」→アドレスに表示されるURLにリンクしてください。

home