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小林泰三「目を擦る女」
乾くるみ「林真紅郎と五つの謎」
佐藤哲也「異国伝」
二階堂黎人・編「密室殺人大百科 上」
二階堂黎人・編「密室殺人大百科 下」
novel さくいん

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【映画】 「オー・ブラザー!」
一騎当千 第3話「参」
一騎当千 第4話「四」
一騎当千 第5話「伍」
一騎当千 第6話「六」
一騎当千 第7話「七」
【映画】 「千と千尋の神隠し」
おねがい☆ツインズ 第9話「ぬけがけしないで」
エアマスター 第23話「切り裂け! 皆口由紀」
エアマスター 第24話「焼け! 肉」
エアマスター 第25話「壊せ! 小西対ジュリエッタ」
  


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03/09/12(FRI)

■book【単行本・小説】 小林泰三「目を擦る女」 ハヤカワ文庫JA [bk1][amazon]

小林泰三「目を擦る女」 「どうでもいいけど、仮想現実ネタばっかりだと、そのうちに飽きられるぞ」

 SFマガジンを中心に……と書こうとしたらそうでもないのか。小説すばる誌を中心に発表された小林泰三のSF寄り短編を1冊にまとめたもの。「目を擦る女」、「超現探偵Σ」、「脳喰い」、「空からの風が止む時」、「刻印」、「未公開実験」、「予め決定してる明日」の7篇を収録。

 えーと、面白い。小林泰三という人は、けっこうすごいことができるのもかかわらず自作に品格とかそういうものをまったく求めてないようで、そこがたいへん勿体無く、愛らしいところでもあります。
 気に入ったのは、表題作「目を擦る女」、書き下ろしの「未公開実験」、単行本ラストを飾る「予め決定した明日」の3作でしょうか。サイコホラー+SFな「目を擦る女」、ドタバタ不条理SFな「未公開実験」は、その、なんとも噛み合わない会話センスに、「予め決定した明日」は、その馬鹿馬鹿しすぎる奇想とやっぱりこう落とすのね、という小林泰三らしさで気に入りました。「密室・殺人」にも共通する阿呆らしいミステリの解体がみられる「超現探偵Σ」はちょっと落ちが弱い(というか、この作品並びでは……)、「脳喰い」はそのまんますぎ、じつは計算できそうなハードSFな「空からの風が止む時」はしかし個人的能力から計算ができなかったので、落ちが綺麗に決まる「刻印」はしかしそれだけ。あれ? 厳しい評価だな? でも面白いよ!
 冬樹蛉氏による巻末解説によれば、「とても頭のよいドアホウが、大胆かつ緻密に本気で冗談を仕掛け、残酷で美しい絵を描く」 と小林泰三のこと評してるんですが、僕もけっこう同感で、もしつけくわえるならば、この人の作品は基本的にすべて読者に対する嫌がらせだよね、とも思ったりしました。叙情的に感じられる作品も目くらましのための煙幕で、いい人のふりしてるだけなんでした。ひどいいいようだ。でも、そこが好きなんです。ポーズをとりながら読みましょう。

 笹井一個はさいきん大活躍だなあ……

■book【単行本・小説】 乾くるみ「林真紅郎と五つの謎」 カッパ・ノベルス [bk1][amazon]

乾くるみ「林真紅郎と五つの謎」  妻が事故死した衝撃から若くして隠居した元法医学者の林真紅郎が遭遇する5つの怪事件を描いた連作短編集。「いちばん奥の個室」、「ひいらぎ駅の怪事件」、「陽炎のように」、「過去からきた暗号」、「雪とボウガンのパズル」の5篇を収録。

 うーむ、感想をどう書いていいのか、ちょっと判断に苦しみます。一見オーソドックスなミステリのように思えながら、物語全体を漂うどこかあやふやな雰囲気は乾くるみ独自のセンスでそれはたいへん面白いとは思うんですが、それがどこまで自覚的に書かれたものなのか、偶然の産物なのか、判断がつきません。これはあくまで個人的な好みなんですが、「いちばん奥の個室」にみられるちょっとひねった趣向にしても、「ひいらぎ駅の怪事件」でラストで指摘されるそもそもの事件の発端と目されるもの、についても、それで〆たほうがミステリ的には美しいんじゃないかと思ってしまうのです。
 たぶん人間性を表現しようとしてるんでしょう各話ラストの真紅郎の独白についても、とってつけたような印象が若干残って、性格、個性の演出がそんなに上手くいってないなあ、と。「シンクロする……シンクロする……そして重なった!」 というのも、ふーん、な感じ。これもキャラ立てなのかもしれませんが、「……の様子」、「……の印象」、「……の状況」という体言止め表現があまりに頻出するのも気になりました。

 ベストは書き下ろしの「過去からの暗号」。小学生時代の真紅郎が作り出した秘密文字による暗号文を本人が解読するという、いわゆるホームズ「踊る人形」カナ文字バージョンなんですが、最後にみられるある趣向はちょっと面白かったです。もっと大がかりなものならば、なおよかった。

03/09/13(SAT)

○【映画】 「オー・ブラザー!」 (→公式)[amazon]

 コーエン兄弟2000年の作品。DVDにてみました。この人たちの映画はもうちょっといろいろみたいですね。

 舞台は1930年代のミシシッピ州。お気に入りのポマード以外は絶対使わない口だけのダテ男、文句ばっかりいってるのっぽ、お人よしででもちょっと頭の弱いチビ、3人の囚人が脱獄した。めざすはダテ男が隠した現ナマ120万ドルだ。彼らが最初に出会った盲目の老トロッコ乗りは告げた。 「お前達は宝物を求め、遠くて長い冒険をするだろう。数限りない障害に遭う。だが最後には宝が見つかるだろう。しかしそれはお前達が求めた宝物とは違うのだ」

 ホメロス「オデュッセイア」にカントリー・ミュージックを大々的にフューチャーしてロード・ムービーに仕上げてみたという作品らしいことを特典映像のインタビューにて知りました。漠然とした粗筋を知ってるだけだったのでいま調べてみたら、あの眼帯の男はサイクロプスだったのか! と判明して、なるほど。ありえないことがやたらと起こる3人の珍道中ものと思ってみてたらラストの処理がああだったのも、なるほど。
 現実離れした展開が矢継ぎばやに起こり、物語が幻想の領域にまで踏み込んでしまってるところが非常に面白いですが、これは神話世界の叙事詩を元ネタとしてるせいでしょう。これがどこか都会を舞台にしたものだったらたぶん荒唐無稽なだけの映画になってしまうところですが、南部のあまりにも広大すぎる自然がそれを包み込んでありえない物語全体が一種のファンタジーとして昇華されているあたりはうまい。これはマジック・リアリズムや南部ゴシックの手法ですね。あれほど飛ばしまくっていた前半にくらべて比較的常識レベルにまとまった後半部分の展開についてはちょっと残念に思いましたが、ばればれの伏線も置いてあったし、お約束っぽくもあるラストのあの展開にはやっぱり笑ってしまいました。オチのつけかたは、ハップ&レナードシリーズにも通じるところがあるかも。
 歌いながら誘ってくるやたらにエロい洗濯女、ピートとデルマーの気のなさそうなバックダンスがよかったです。メインを張るジョージ・クルーニーよりは脇を固めるジョン・タトゥーロ、ティム・ブレイク・ネルソンのいい面っぷりが印象に残りました。黒田硫黄「映画に毛が3本!」(→感想)に、 「芸は身を助く。」 とあったけど、本当にそういう映画でしたね。ずぶ濡れボーイズ!

03/09/14(SUN)

○【ANIME】 一騎当千 第3話「参」 (→公式

 →粗筋

 眼帯サド娘・呂蒙さんに締め落とされた天然デカ乳娘・孫策伯符さんでしたが、その後覚醒。暴走の挙句、呂蒙さんほかを病院送りにしていたのでした。一方、そんなことは露知らない伯符さんは 傷心ツアーに出ますが、お馬鹿すぎるがゆえに金も持たずに出てはらぺこに、地元のヤンキーに誘われるがままにカラオケボックス入りして、乳さわられたりあれこれ抜き差しされたりしそうになるのでした。ピンチ! 店員もグルなところが妙にリアルで嫌であります。傷心ツアー中、というか単なる家なき子なんですが、川原でたまたま出くわしたガテン系単純バカの夏侯惇くんと出会って、一緒になって暴れたらなんとなく回復してしまったのでした! めでたしめでたし! なんだこの話は。教訓:馬鹿は馬鹿で癒されろ!

○【ANIME】 一騎当千 第4話「四」 (→公式

 →粗筋

 楽就さんは甘党だった! 孫策伯符潰しの餌として周瑜公瑾くんをさらってみた揚州学園でしたが、伯符さんが天然すぎるがゆえに埒があかないのでした! さりげに強く奮戦してみせる公瑾くんでしたが、さらに真っ当な強さを誇る太史慈さんまで登場して、けっこう無理っぽかったのでした。ママチャリで漕ぎ出す伯符たんの乳揺れがものすごい。けっきょく闘うはめになった伯符たんと太史慈さん。実力の差は歴然としてるように見えたんですが、闘いの中で伯符たんは著しい成長を見せていったのでした…… えらく不自然な服の破れ方が続く。あら? かなりカッコよいキャラだったのに……

○【ANIME】 一騎当千 第5話「伍」 (→公式

 →粗筋

「そう、いってみれば、伯符マークIIってとこさ!」 風呂上りにバスタオル1枚で宣言はじめて挙句はらりとかするヤツ。 「大闘士大会の開催が決まった」 天下一武道会みたいなものだろうか。 「字、読めないンすか」 「めん、かい、あやまる、かな……!?」 本当に読めませんでした! 太史慈さん側近の人はけっこういいヤツっぽい! 体育会系いいひとだ。なんか、死屍累々の山築き上げてるんですけど…… 3年に1回じゃ不公平なのではないかと。そういえば、三国志の知識がないままこの作品見てるのはちょっとちがうかもしれないな―― 大闘士大会に出るのは伯符たんと公瑾くんらしい。わくわくしたから服脱いだ! 「基本だ!」の夏侯惇くんも燃えていた!

○【ANIME】 一騎当千 第6話「六」 (→公式

 →粗筋

 呂蒙たんと呂布たんのパンテーラ格闘大会。 「悪戯しちゃおっかな」 1時間は木偶人形の呂蒙たんに呂布たんはセクハラ三昧してみる。おぱんつまで脱がしてるYO! 今日が大闘士大会なのか、展開早いな―― 伯符たんはとりあえずパンツ見せている。呉栄@井上喜久子は妙にはしゃいでいる。格闘の舞台は快速高尾行きの列車内だったり池袋駅地下駐車場だったりする。そうか、これ東京近郊の話なのか、知らなかった…… 関羽さんは流石に強いらしい。復讐に燃えるメイド服着用のサド娘・呂蒙たんも参戦で、おぱんつサブミッションが炸裂した! なぜ半分だけ脱がすのか。井上喜久子は夏侯惇と親しくなっていた! 「ドウシテ、オレ、タイカイ、ダサナイ……ケケケケ」 どうやら4文字以上喋れないようだ。なぜ尻を叩く、なぜ追っかける。このアホ娘さんは如何したものでしょうか。いきなり関羽さんと呂蒙たんの決戦らしい! しかしヘアが長すぎる。

○【ANIME】 一騎当千 第7話「七」 (→公式

 →粗筋

 エロい、エロすぎですね! 凛として強い関羽さんはやたらカッコいい。でもパンツは丸みせ。まあ、メイド眼帯サド娘などという設定が病みすぎなんだという気もしますが…… 単純馬鹿も勝ち進んでるみたい。試合会場の修繕も怠りません。なんか、都合よく覚醒するな、この娘さんは! まだ正気らしい。なんか決着がついた。南陽学園ぼろぼろですがな。呂布さんと陳宮さんはなんかそういう関係だったらしい。禁断の花園〜 男子に女子にとやたら忙しい娘さんであります。

03/09/15(MON)

■book【単行本・小説】 佐藤哲也「異国伝」 河出書房新社 [bk1][amazon]

佐藤哲也「異国伝」  その昔、とあるところそれは小さな国があった。あまりにも小さいので地図に載ったことがなかったし、旅行者向けの案内書に載ったことがない。

「あ」から「ん」ではじまる45の物語が五十音順に並んでる佐藤哲也の新刊。刊行出版社未定な作品として、以前「アニシカ王」の名前で呼ばれていたものです。
「架空の国でみられる奇怪な風習やそこで起こった奇妙な出来事」を描いた作品集で、たとえば、スティーヴン・ミルハウザー「イン・ザ・ペニー・アーケード」所収の「東方の国」、同じくミルハウザー「三つの小さな王国」所収の「王妃、小人、土牢」、イタロ・カルヴィーノ「見えない都市」、あるいは、キノ、エルメスのいない時雨沢恵一「キノの旅」あたりを連想させます。

 ただ、ミルハウザー作品にみられる熱気、カルヴィーノ作品にみられる幻想性、「キノの旅」の萌え(w もここにはなくて、「ねじれた論理のもたらす不条理な結末」、「ぬけぬけとしたパロディ」、「しらじらしい嘘」を大真面目な語り口で身も蓋もなく展開していくという、たいへんこの人らしいものとなってます。モンティ・パイソン好きというのがよくわかる。デビュー作「イラハイ」の五十音掌編バージョンと考えてみてもいいかも。もっとも万人受けしそうでもあり、佐藤哲也作品のショーケースとしても読めそうです。

 個人的に気に入ったのは、「い」、「く」、「こ」、「つ」、「な」、「へ」、「み」、「る」、「ん」。しばらく気がつかなかった「て」に自分の鈍さを再認識させられました。とほほ…… たしか、DASACON6におけるゲスト企画で「1日1編ずつ順番に書いてた」みたいなことを耳にした記憶があるのですが、派手なエピソードが続く序盤 → ちょっと息切れしたのか論理のねじれとパロディでみせる中盤 → ふたたび元気復活の終盤という流れも伺えるようでそこもちょっと面白いです。

 アニマ・ソラリス 佐藤哲也インタビュー

○【映画】 「千と千尋の神隠し」 [amazon]

 いまごろこの作品の感想を書くのは度胸あるな、と自分でも思うけど…… DVDにて視聴。
 奇怪な映像てんこもりで、それだけでお腹いっぱい、満足。(我ながら安直)意地汚い両親の罪をひっかぶった少女が異形の客がやってくる湯屋で強制労働させられるというお話で(みんな知ってます)、きちんとした説明が与えられないままにどんどんストーリーが進行していくジェットコースター・トリップアニメという印象であります。なんだかよくわからない展開の中に環境問題や金満主義批判などが唐突に顔を覗かせたりするのは宮崎駿ならではだと思います。物語の中で重要な働きをするアイテムが根拠に乏しいもの(結果として伏線だったわけだが)だったり、ラストにおいて千尋がいきなり祝福されたりするなんとなくまとめてみました的展開は賛美両論分かれそうだ……と思いました。これだけの映像見せてもらえれば僕はそれだけで満足ですが。カメハメ波はじめ結構ドラゴンボールだったのは驚き。しかし、劇中における両親の描かれ方があまりにもあんまりなんで、子ども連れでこれ観にいった人には不評だったのだろうな――という気もします。それにしても、赤い。

03/09/17(WED)

○【ANIME】 おねがい☆ツインズ 第9話「ぬけがけしないで」 (→公式

 球技大会当日。なんかしらんが1回雨降ったらイベントそのものまで中止らしい。実行部の苦労は…… 麻郁たん可哀想。いきなし雨も止んで授業までなくなったらしいので、麻郁+赤+緑で街にお出かけ。同盟に暗雲をもたらすのはやはり赤の抜け駆けから! みずほ先生と桂の大胆な行動を目にしてドキドキ♥はさらに加速していく! って、君ら肉親だとかなんだとかは、すでに忘却の彼方にあるだろ! 緑相手のときだけは心によぎったようでした。しかし同盟規約に違反すると殺されるらしい。強迫観念で気絶。恐ろしい…… どいつもこいつもデートしてやがります。携帯普及の今、ひさしぶりにすれ違いネタをみました。普通に家に帰ればいいと思うんですが、気のせいかな。なんか、叫んでるYO! 超吃驚!! しかもエロ落ち、赤と緑のダブル○ェラ…… おいおい、なかったことになっちゃったよ。どうともないお話で、残り3話しかないというのに。来週から赤メインの陸上エピソードが展開されそうであります。

○【ANIME】 エアマスター 第25話「壊せ! 小西対ジュリエッタ」 (→公式

 待ちに待った、小西vs.ジュリエッタ戦。これはすごい…… 毎度毎度坂本ジュリエッタが出る回はまったく見逃せません。怪物マシーン坂本ジュリエッタに対峙する恐怖を饒舌によって克服しようという人間の心の動きはみんな共通なんだな、とか思いました。vs.屋敷の時もそうだった。理想の自分とのシンクロを果たして完璧になったはずの小西をさらに凌駕する坂本の不死身っぷりなど、見所は多かった。個人的にはルチャの部屋に集まってネット観戦するルチャ、月雄、えーとチャリの子(名前が出てこない、出てこない……ああ、麗一か)、マキパパの嫌々おんぶあたりがきちんとあったのでよかった。リーさんはいないのね…… ということで。熱いバトルと噛みあわなすぎる会話の取り合わせがたいへん愉快でした。ED近くの演出はちょっと疑問ですが、やっぱあいつら出すのが縛りになってるのね、ということで。坂本ジュリエッタの怪物ぶりが再確認できただけでも楽しゅうございました。

○【ANIME】 エアマスター 第24話「焼け! 肉」 (→公式

 なんじゃこりゃ、ヘンな話だ…… しかし、たいへん面白い。こういう回ができるのはこの作品ならではでしょう。総合格闘家であるマキパパのもとに道場破りにあらわれた謎の男。誰だ? と思ったら深道ランキング3位の小西だった! というお話なんですが、なんでいっしょに焼肉食いに行くかな。 「肉、食わせろよ!」「止めるなよ、悲しくなるだろ!」「男と食ってもマックスには美味くないんだよ!」 霊感少女と蓮華の「パウワ」リピートネタも得体が知れなすぎです。すべてが勝負の男・小西と女子高生ズの焼肉ディベートもなんでこんな展開になるのか…… どこまでも噛みあわない会話がスゴすぎです。流石ベテラン。マキパパは要所要所を締める重要キャラですな。有耶無耶のうちに勝負に雪崩れ込んで、で、抜群の引きで次週に続く。 「そうかい、こいよ!」

○【ANIME】 エアマスター 第23話「切り裂け! 皆口由紀」 (→公式

 皆口由紀は予想を遥かに超えた怪物だった! まったく、羅刹で夜叉だった! 崎山が救援に駆けつけた! 物理的な助けにはならなかった! 精神的な支えにはなった! 貫手刺さったんだから病院運べYO! カイと崎山の戦いについてはバックグラウンドで流されちゃいました。死にかけてる怪我人に全裸で添い寝してる巨乳。どいつもこいつもリピドー制御しませんね!

03/09/19(FRI)

■book【単行本・小説】 二階堂黎人・編「密室殺人大百科 上」 講談社文庫 [bk1][amazon]

二階堂黎人・編「密室殺人大百科 上」  おら、密室だ! 本格の華だ、文句あっか! な国内作家競作+評論+古典名作を収録した本の上巻。こっちだけで800ページあるボリューム。しかももう1冊ある。

 芦辺拓「疾駆するジョーカー」。人ひとり刺殺して消えたジョーカーを巡る怪事件。……うーむ。すべての要素が乖離して大失敗、という気がしないでもないです。怪人による不可能犯罪と食い合わせがよくない気がします。密室を構成する必然性も希薄ならばトリックもバレバレ。とほほ。 太田忠司「罪なき人々vs.ウルトラマン」。謎の男が仕掛けた爆弾によって多くの罪なき人々が拘束されるという事件が発生した。迫る警官隊の目前から男は姿を消した。あとに残されたのはウルトラマンのお面だけだった……というお話。スリリングな展開でそつなく面白いけれど、密室という感じでは無し。 折原一「本陣殺人計画 〜横溝正史を読みすぎた男〜」。「七つの棺」(→感想)とまったく同じ展開な名作古典ミステリパロディ。というか、謎解きの要素がない純粋なパロディ。これといって書くことも無し。 霧舎巧「まだらの紐、再び」。≪あかずの扉≫研究会の後動が探偵役を務める作品。二つの密室の中にそれぞれ死体、ともに死因は蛇の毒らしい、という事件なんですが、トリックから逆算して組み立てたと思われる話の筋にいくらなんでも無理がありすぎです。もうちょっと納得できる展開にしていただけると助かります。 鯨統一郎「閉じた空」。最近短編集としてまとまった、萩原朔太郎を探偵にしたシリーズもの。空高く浮上した気球の中で男が射殺死体で発見された。しかし気球の篭には死んだ男ひとりしか乗り込んでなかったはず。自殺でなければどうやって…… という空の密室をあつかった作品。着想という点ではほかの鯨作品とさほど変わらない気もするけれど、まとまりの面でいえばかなり上手くいっているような気がします。いつものごとく軽いんですが、悪くないです。 谺健二「五匹の猫」。作者名がずっと読めないままだ…… 「未明の悪夢」の人です。これも阪神大震災が人々の心に残した爪痕が引き起こした悲劇、という感じ…… のはずが雨で地面がぬかるんだ公園で見つかった刺殺死体を巡る、いわゆる雪密室ミステリに移行してしまってどっちつかずな印象。もうちょっと書き込まないと美香に感情移入できないような気が。 柴田よしき「正太郎と田舎の事件」。猫探偵シリーズ。密室ものかといえば判断が微妙なんですが、出来としては超安定、とても楽しい。旅行先の田舎で「まるで、ユートピアだ」みたいなこと呟く正太郎は可愛いです。 二階堂黎人「泥具根博士の悪夢」。五重密室+雪密室+物体消失(w なんてすごいんだ!! とはいえ、「金田一少年の事件簿」みたいでした。こういうゴリゴリの密室ものをやりたい(集めたい)という二階堂黎人の思いは非常によく伝わってくるんですが、密室直球ものの難しさを再確認する結果となりました。というか、これ、事件が起こる前にトリックのほとんどが読めてしまう類の作品です。同じネタ使って漫画でやったほうがミスリードなりミスディレクションなリ上手くできるね! これはバレバレすぎでしょう。普通の足跡との差異に鑑識が気づかないとも思えません。大技トリックは評価するものの、その他の要素があまりにもテキトーきわまる! 美しいものを表現するのに「美しい」「美しい」連発されても読者は醒めるだけ、というのもあります。 「蘭子さん、実に素晴らしい推理でした! やっぱりあなたは、聞きしに勝る捜査の天才だ!」 ロバート・エイディー「密室ミステリ概論」。なかなか参考になります。読みたいな、と思ったのは、ピーター・ディキンスン作品。 鮎川哲也「マーキュリーの靴」。ここから古典名作。女流作家の刺殺死体を巡るこれも雪密室。さすがにそつなく上手いが、まあ、古典だな、という印象。 高木彬光「クレタ島の花嫁 贋作ヴァン・ダイン」。なんでこんなもの書いたんだ? 水死した男と密室状態の書斎で心臓麻痺を起こして死んだ男を巡るお話。んー、普通。懐かしいレベルのトリック。 ジョン・ディクスン・カー「デヴィルフィッシュの罠」 。なんとラジオドラマのシナリオ。珍品でしょう。デヴィルフィッシュ、巨大ダコを巡る物語で、密室?

 長い、長くなった。直球勝負の密室ミステリで新機軸を打ち出すのはたいへん困難だということが再確認できました。本当に正直な話、この分野に関しては漫画でやったほうが絶対向いてると思われます。なぜなら、直球作品であればあるほど、見取り図を見た瞬間にトリックも展開もそのほとんどが予想できてしまうから……

 下巻も読み終えたけど、今日はここでタイムアップ。

03/09/20(SAT)

■book【単行本・小説】 二階堂黎人・編「密室殺人大百科 下」 講談社文庫 [bk1][amazon]

二階堂黎人・編「密室殺人大百科 下」  げかーん!

 愛川晶「死への密室」。美少女代理探偵・根津愛シリーズの一篇。ひょんなことから壁抜け実験の立会人となるはめになった根津愛たんであったが…… 密室からの脱出をあつかった作品で、密室講義も入っていれば、まだ何も起こらないうちから「読者への挑戦状」が挿入されるという稚気に満ちた構成もよい。現場についた瞬間にバレバレな気がしないでもないけれど、最後の処理にもうひとひねり加えてあるところなど、旺盛なサービス精神は評価に値します。 歌野晶午「夏の雪、冬のサンバ」。多国籍な人々が住まう木造アパートで刺殺死体が発見された。現場は雪密室状態で、下手したら自分たちが犯人にされてしまう! しかし不法滞在してる身の上で警察は呼べない! なんとかしなきゃ! というお話。これも悪くない出来。密室ものか? といわれるとちょっと疑問ですが、惜しげもなく詰め込まれた複合トリック・小ネタの扱いがとても洒落ています。巧の技術ですね。 加賀美雅之「縛り首の塔の館――シャルル・ベルトランの事件簿」。文庫化にあたって追加されたボーナス・トラック的作品。「双月城の惨劇」に登場した探偵役ベルトラン判事が再登場しています。たぶん二階堂黎人はこういう作品を集めたかったのでしょう。衆人環視の中、甲冑に身を包み椅子にぐるぐる巻きにされた男が自らの霊体を飛ばして仇を殺害、しかし反撃の銃弾を受けて甲冑の中で死亡するという不可能犯罪をあつかった作品で、正直、これもなかなかよい。あまり大仰すぎず抑制が効いているあたりも個人的好みであります。 霞流一「らくだ殺人事件」。砂漠の小屋で見つかったミイラ状態の人間そしてらくだの死体、密室状態の正倉院(!)で見つかったミイラ男の死体、と、エジプトから落語まで「らくだ」尽くし。あいかわらずよくも詰め込むなあ……と感心しますが、ラストのオチはあまりに無理っぽい。それもいつものことか。 斎藤肇「答えのない密室」。「たったひとつの」と同じくなんとも異様なムード。この空疎さはたとえば西尾維新ファンあたりにもおすすめできるかも。 柄刀一「時の結ぶ密室」。ダメだ、柄刀一の作品は苦手だ…… 一読しただけじゃ文意がとれません。でも何回か読んで判明、これはなかなか意欲作。弾丸の経路がしれない謎の射殺事件をあつかった作品なんですが、45年の時を経て過去と現在の事件が交錯するあたりがミソ。しかし、もうちょっと巧く見せられないものかなあ、という気はします。トリック考案力は抜群なんですが、ほかがついてこん、といういつもの印象でした。 西澤保彦「チープ・トリック」。密室状態の教会の中で起こった斬首事件をあつかった作品。やっぱり歪んだロジックもののほうが得意なのかな。しかし、ラストに向けての展開はたいへんにこの人らしい。凶悪です。 小森健太郎「密室講義の系譜」。なるほど。 狩久「虎よ、虎よ、爛々と −101番目の密室」。毒矢に射られてカメラマンが死んだ。その時、容疑者と目される女流探偵小説家・江川蘭子は逆密室となった自室で猛獣使いの連れてきた虎と対峙していた。なんだこりゃ、変な話だ。思考実験の果てに、どこに着地したのか判然としないお話で、あれ? 本当にどこに降りたのだろう。やっぱり奇怪なお話です。 エドワード・D・ホック「ブリキの鵞鳥の問題」。サムホーソーン医師シリーズ。これは凡作でしょう。

 下巻は各人が持ち味を発揮していてなかなか粒揃いでした。こっちだけ読んでみてもよいかも。

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