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04/02/12(THU)
【単行本・小説】 T・S・ストリブリング(訳:倉阪鬼一郎)「カリブ諸島の手がかり」 国書刊行会 [bk1][amazon]
アメリカの心理学者にして犯罪研究家でもあるポジオリ教授が休暇年度を利用して訪ねたカリブの島々で起こった奇怪な事件に首をはさんでうろちょろするお話。「亡命者たち」、「カパイシアンの長官」、「アントゥンの指紋」、「クリケット」、「ベナレスへの道」の中篇×5を収録。
探偵役として用意されたようにみえるポジオリ教授がその実ろくな働きをしないあたりがたいへんにおもしろく、さらに登場人物たちの行動も理解しがたければ、犯行の動機もいまいち判然としません。人種の坩堝たるカリブの島々を舞台に異文化の衝突によって起こった奇妙な事件にまったくの異邦人であるポジオリ教授がくちばしを突っ込むというプロットが生み出しているのでしょうか、なんとも形容のしがたい混沌とした雰囲気が物語を包みこんでおります。一見ミステリ、しかし構成パーツひとつひとつがすべてヘン。おまけに組み方までもが…… オイオイ、なのであります。
ベネズエラを追われた独裁者が滞在しているキュラソーのホテルで支配人が毒殺される「亡命者たち」、試合後脱衣場で死んだ男は自殺か他殺か? 「クリケット」(クリケットがまるで関係ないところもすばらしい)、たわむれにヒンドゥー寺院で一夜を明かしてみたポジオリがえらい事件に巻き込まれる「ベナレスへの道」がよかったです。とくに大技炸裂な後半ふたつはものすごい。
チェスタトンっぽかったり、バークリーぽかったりする(ここに収録された作品は1925〜26年の発表で、バークリーよりずっと前)、超論理+アクロバットプロットものでありながら、探偵小説の範疇を越えて幻想文学の領域にまで足を踏み入れています。倉阪鬼一郎が訳してるのもたいへん納得。
その倉阪鬼一郎訳ですが、だんだんノリノリになっていくのがわかって楽しい。けっこう普通に訳していた「亡命者たち」にくらべ、後半の作品は完全に倉阪文体になっているのがポイントです。「ゆるゆる」が頻出してくるのでわかります。 「あの子はオズワルドさんを手にかけたりしてまへん。ヘミングウェイさまはわたいの主人筋、その跡取りはんやで。なんで殺めたりしますねん」 とか訳してて、大爆笑。まるで「田舎の事件」(→感想)のようであります。とにかくギャグレベルが高い。感心しました。
【ANIME】 巷説百物語 第6話「芝右衛門狸」 (→公式)
→あらすじ
なんか、おもしろいなあ。アレンジちがいで面白いという「凌ぎの哲」みたいなアニメですね。芝右衛門一座に飼われている「狸」は果たして本当に「狸」なのか? 人を化かすという狸と将軍家お世継ぎの影武者、人形芝居、それら要素がうまく組み立てられていて見応えがありました。また、百介たんが手を血に染めるというお話でもあります。
【ANIME】 光と水のダフネ 第4話「チャカチャカバンバン」 (→公式)
これは存外おもしろいんじゃないか? ヘボさが、こう、ツボに…… タイトルだけで1分くらい笑えます。新登場のワイルド姐さんはとりあえず撃って解決する「俺がハマーだ!」みたいな御仁だった、みたいなお話。異常なレベルでぞんざいに扱われているマイアさんがとてもよろしいです。モロに爆風くらって頭から吹っ飛んでくとことか、やつれきったツラとか。前貼りコスで家賃取り立てって新手の風俗みたいであります。
04/02/13(FRI)
【単行本・小説】 浅井ラボ「されど罪人は竜と踊る」 角川スニーカー文庫 [bk1][amazon]
科学技術の延長に魔法を位置付けたかのような「咒式」が存在し、高度知性を持つ竜族までが生きる、テクノロジー+ファンタジーな世界を舞台に、理系眼鏡な魔術師と美貌の狂戦士コンビが暴れまくるというお話。第7回スニーカー大賞奨励賞受賞作。
部分部分はなかなか面白いのですが、全体を通しての評価はちょっと…… 厳しいかな? TNT火薬やナパームなど、こちらの世界と地続きになっている化学練成によって攻撃するという魔法設定についてはなかなかのアイデアだと思うし、漢字やルビを多用してみる文章の見せ方も面白いのですが、展開を盛り上げたい箇所に戦闘シーン挿入してみました的なところがなきにしもあらずであります。
もうちょっとストーリーに緩急があったほうがいいし、チンピラふたりの竜退治が政治問題と絡んでくるプロットももうちょっとうまく見せようがある気が。傍若無人のテクノマジック・ノベル誕生!! ってあるけれど、ドラムン・ベースなんかのテクノミュージックで大盛り上がりのとこだけつないでみました、みたいで、でもそれだと単調になっちゃうんですよね。眼鏡君の一人称で咒式実況が行われるという小説の作りも戦闘シーンの勢いを微妙に削いでしまってるような。ここらへんはむつかしいと思うのですが…… 「ラグナロク」とか「トリニティ・ブラッド」直系のスニーカー文庫作品なんだな、とは感じます。
04/02/14(SAT)
【単行本・小説】 テリー・ビッスン(編訳:中村融)「ふたりジャネット」 河出書房新社 [bk1][amazon]
奇想コレクションにはずれなし。今回もすばらしい!
編訳者あとがきにあるように、ビッスンの書く物語はその内容を「いかに話すか」の物語であるというのは、まさにそのとおりで、とにかく可愛らしすぎる巻頭作「熊が火を発見する」、これもタイトルどおり「英国航行中」にしても、《万能中国人ウィルソン・ウー》シリーズにしても、なんでこの人たちを主人公にしてこんなふうに語ってみせるのかよくわからない。そして、そこがすごい。こんなセンスなかなかありません。
自分なりに分析してみるならば、どう考えても事態の中心にはいないだろう人物に物語を語らせてしまう無理矢理さ、中年男の日常と世界を揺るがす大事件、ミクロ・マクロの対比が醸し出すユーモア感覚でしょうか。とびきりの奇想を用意して、でもそこにはスポットを直接当てないというか。勉強させていただきました。
《万能中国人ウィルソン・ウー》シリーズの後半ふたつ、「宇宙のはずれ」、「時間どおりに教会へ」なんかはラッカーのガーバー&フレッチャーシリーズほうふつとさせるようなお話なんですが、数式があからさまにいい加減だったり、マッド・サイエンティスト役たるウーがひどく間接的に出演するあたりがポイント。そこがなんともへんてこ。絶対にネタバレしたくない表題作「ふたりジャネット」は、なんでしょ、これは。ビックリしました。「航路」と内容がかぶる臨死体験SF「冥界飛行士」は本当にめずらしく直球で、この本の中では逆に新鮮です。(追記:グロいところもまた新鮮)
04/02/15(SUN)
【単行本・小説】 浅暮三文「針」 ハヤカワSFシリーズJコレクション [bk1][amazon]
五感シリーズ。今回は「触覚」。
アトピー性皮膚炎に悩む男の皮膚感覚がオーバードライブ、その指先は「ものは触られることに喜びを感じている」と伝える。行為はしだいにエスカレートしていき、そして…… いっぱい描写できて楽しそうだな―― されどネタの詰め込み方としてはちと足りない、そんな感じ。密林の猿たちの奇怪な行動に端を発してある種の感覚暴走が描かれるという点で共通してる貴志祐介「天使の囀り」にみられる無節操なまでのネタの盛り込み方のほうが読んでいて飽きないような気がします。こういう形での「痴漢電車ものエロ小説」、たしかに珍品ではあるんですが、この長さを支えるには一本調子かな〜 電車の中でやりまくっちゃうくらいの乱暴さ、無茶さがあってもよいかも。
【ANIME】 R.O.D. - THE TV - 第13話「続・紙々の黄昏」 (→公式) [amazon(vol.05)]
後編。最強紙使いウォンと対峙する三姉妹。そっか、武器の奪い合いになるのね。まともにやり合わない作戦ならばマギーちゃんひとりに任せなくてもええような。やっぱりアクションに特化された設定とか展開とか、なんであんな不安定なところでねねね先生インストールしてるのか? などさっぱりで、施設放棄のあと香港島ごとだったのは「えぇ!」とか吃驚です、はははは。キャラにしてもこれで終いにするにはちと拍子抜けな部分もございます。期待値が高すぎるんでしょうな…… この作品の常として作画がもう一段上ならばOVAの如く誤魔化されまくり大満足! なのですが、そこまでには微妙に足りず、かな。孤軍奮闘するマギーちゃんの姿は超カッコいい! でも、キャッツアイレオタードでなければさらにえかった。
【ANIME】 R.O.D. - THE TV - 第14話「紙葉の森」 (→公式)
ウェンディたんを語り手に、新作映像交えてのOVA→TVシリーズ補完。後半では読子たんも登場するんでしょうね、という感じ。ナンシーたんはどうかよくわからんけれど。(教えてくれなくていいです)
【ANIME】 超重神グラヴィオンツヴァイ 第6話「嘆きのロザリオ」 (→公式)
サンドマン様の過去話とか、リイルとの関係とか、ミヅキの離脱とか。サンドマン様は……困ったものですねえ。敵討ちで追っかけてきてるザラバイアを撃退してるだけの話だったら、どうしよう。爆乳こぼれさせたりメイドが尻ふってる回のほうがある意味安心してみられます。そういえば、仮面つけてないレイブンをはじめてみた。
【ANIME】 光と水のダフネ 第5話「帰ってきた暴れん坊」 (→公式)
なんか、ムショ帰りだった! 新登場の無口キャラは忠犬だか狂犬だかわかんね――みたいなお話なんですが、ちょっかいかけないで待機させとけばいいだけのような。しかし、秘密ミッション向きでない人材ばかりいる会社であります。
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