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novel

ジョージ・ソウンダース(訳:法村里絵)「パストラリア」
酒見賢一「ピュタゴラスの旅」
パトリシア・ハイスミス(訳:小尾芙佐ほか)「風に吹かれて」
蘇部健一「動かぬ証拠」
novel さくいん

etc.

光と水のダフネ 第17話「赤ちゃんに乾杯!」
ケロロ軍曹 第07話 「モアはじめての地球破壊であります」「タママvsモア結果はタママの負けであります」
LOVE LOVE? 第3話「校庭にいない八月」


 2004/05
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04/05/18(TUE)

■book【単行本・小説】 ジョージ・ソウンダース(訳:法村里絵)「パストラリア」 角川書店 [bk1][amazon]

ジョージ・ソウンダース(訳:法村里絵)「パストラリア」  不幸のループに陥って逃げ場を失った最底辺の人間が直面する人生の不条理をとんでもない設定で描き出した短編集。「パストラリア」、「ウインキー」、「シーオーク」、「ファーボの最期」、「床屋の不幸」、「滝」の6篇を収録。

 さして親しくもない中年女とふたり、テーマパークで洞窟人を演じつづけるという仕事に従事する男がリストラをほのめかす上司からのファックスに心痛める「パストラリア」は底抜けの不毛が素晴らしい。テーマパーク全体の客足が鈍り、ただのひとりの見学者もいないという状況の下、支給されるヤギを石器で解体して焼いて食べたり、(自分の考える)洞窟人を演じたりする。チャック・パラニューク「チョーク!」(→感想)でも同様のモチーフが使われていたけれど、どうしようもなさのレベルではこちらに軍配が上がります。なんせ、住み込みなのだ。

 楽しいことが何もないままバーニィ叔母ちゃんは死んだ。強盗にびっくりして…… しかもその亡骸を盗んだやつがいる。なんて不幸なんだ……と嘆くストリップ・ダンサーが遭遇するさらなるグロテスクな喜劇を描く「シーオーク」は、なんというのか、凄まじいお話。

「チンチンを見せるのかい?」おれは訊いた。
「そうだよ、チンチンを見せるんだ」

 はははは。残り4篇はワンアイデアっぽく、もうひとひねり必要な気が。

■book【単行本・小説】 酒見賢一「ピュタゴラスの旅」 集英社文庫 [bk1][amazon]

酒見賢一「ピュタゴラスの旅」 「そしてすべて目に見えないもの」、「ピュタゴラスの旅」、「籤引き」、「虐待者たち」、「エピクテトス」の5篇を収録した酒見賢一の第1短編集。

 歴史もの以外についてはちょっと淡白。籤によって犯人と刑罰が決まる未開の村に駐屯した領事の困惑を描く「籤引き」、飼い猫を虐待されたサラリーマンが復讐の旅路を行くうちいつしか幻想の世界に迷い込む「虐待者たち」にしても、いちばんやらしくてわくわくする展開をさらっと流してしまっている感があります。そこが酒見賢一の品のよさでもあるのですが…… この短編集白眉な「エピクテトス」については、岩明均が漫画化してなかったっけ? と思ってしまったことでした。

○【ANIME】 光と水のダフネ 第17話「赤ちゃんに完敗!」 (→公式

 捨て子拾ったゆうさんが自分で面倒見ることにしてえらいことに。あれ? どちらかといえばグロリアさん中心エピソードなんじゃ? 彼女にもいろいろ過去があったんだねえ、ええ話や。(ただし、途中まで) マイアたんの顔面はあいかわらず丈夫であります。

04/05/19(WED)

■book【単行本・小説】 パトリシア・ハイスミス(訳:小尾芙佐ほか)「風に吹かれて」 扶桑社ミステリー [bk1][amazon]

パトリシア・ハイスミス(訳:小尾芙佐ほか)「風に吹かれて」  バラエティに富んだ短編集。「頭の中で小説を書いた男」、「ネットワーク」、「池」、「一生背負っていくもの」、「風に吹かれて」冒頭5篇を読んだだけでハイスミスの持つ作風の幅広さが実感できます。

 出版社に原稿を付き返され続けた挙句、脳内だけで執筆を続けた男の生涯を描いた「頭の中で小説を書いた男」、都市生活者の互助組織にまつわる「ネットワーク」、漠然とした「魔」の存在「池」、事件の後の悲劇「一生背負っていくもの」、読後表紙イラストを見てぞっとする「風に吹かれて」、どれもブラックなオチで素晴らしい。
 ハイスミスらしい嫌らしさが出てるのは、「ネットワーク」、「一生背負っていくもの」、「またあの夜明けがくる」、「割れたガラス」あたりかと思うのですが、短い中にドラマが詰め込まれてる表題作「風に吹かれて」の出来のよさにはたいへん感心しました。収まりが良すぎてこの人っぽくはないんですけどね。

○【ANIME】 ケロロ軍曹 第07話 「モアはじめての地球破壊であります」「タママvsモア結果はタママの負けであります」 (→公式

 今回はなかなかいいね! アンゴル・モア殿5年遅れの襲来により魔女っ娘成分(のように見せかけたサンライズ分)が追加され、なんだかいろいろ華やかになりました。嫉妬したタママに連れ去られたモアがバラエティ番組的エロ攻撃を喰らうBパートも楽しくてよい。モア殿のガン黒ギャルペコポン人仮装はなんとなく微妙な気がするものの、ではどうすればよいのか、よくわからない。最近の女子高生を示す記号って何があるんだろう? 池袋とかでは、いまだにヤマンバギャルに遭遇したりするからな――

○【ANIME】 LOVE LOVE? 第3話「校庭にいない八月」 (→公式

 エロ妄想ですべてを処理する展開はそろそろやめてみないかい? 「おっきいよ! おっきいよ!」

04/05/20(THU)

■book【単行本・小説】 蘇部健一「動かぬ証拠」 講談社文庫 [bk1][amazon]

蘇部健一「動かぬ証拠」  最終ページのイラストによってオチがつくという趣向の短編集。ノベルス版とは作品の順序が入れ替わってたりイラストが書き直されていたりするらしい。

 倒叙型ミステリという形式にこだわっている、はずなのに意味不明な作品が多くて不思議。そんなに思い入れがないという「しゃべりすぎの凶器」の世間的評価が高いのはきわめて普通の(得心のいく)オチだからでしょう。「転校生は宇宙人」の、どうにもしまらない物語展開、「逆転無罪」のありえなすぎるオチ、「変化する証拠」における萎え萎えダイイング・メッセージ講義などなど、工夫の方向性があさってで、ちがった意味での「奇妙な味」短編集に仕上がっております。ところで、「再会」の解釈については、作者の真意を汲み取れているのかわからないなあ。
 しかし、ちょっと前なら怒ってたはずのこういう脱力作品が当たり前に楽しめるようになったというのは、自分もオヤジになったんだな――と思いますね。なんか最近いろんなことがどうでもよくなってきて……

 ところで、この本最大のサプライズは、イラスト担当が知り合いの宇都宮斉さんだったということですね。ぜんぜん知らんかった。解説は藤岡真。文庫版に著者近影が載ってないのを嘆いております。

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