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桐生祐狩「小説探偵GEDO」
スーザン・ヒル(訳:幸田敦子)「ぼくはお城の王様だ」
パトリック・ジュースキント(訳:池内紀)「香水――ある人殺しの物語」
殊能将之「子どもの王様」
倉阪鬼一郎「42.195」
ヤンソン(訳:下村隆一)「ムーミン谷の彗星」
ヤンソン(訳:山室静)「たのしいムーミン一家」
ヤンソン(訳:下村隆一)「ムーミン谷の夏まつり」
ヤンソン(訳:山室静)「ムーミン谷の冬」
novel さくいん

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鉄人28号 第16話「京都燃ゆ」
ギャラクシーエンジェル第4期 第5話「侵略スパイス中佐三昧」第6話「お見アイス」
サムライチャンプルー 第9話「魑魅魍魎」
ニニンがシノブ伝 第3話「音速丸、怒る」「忍、家を出る」
アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル 第3話「風変わりな遺言」
鉄人28号 第17話「黒龍丸事件」
ギャラクシーエンジェル第4期 第7話「わざわざコトコト煮込んだスープ」第8話「哀しみ憎しみ凍み豆腐」


 2004/07
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04/07/23(FRI)

○【ANIME】 鉄人28号 第16話「京都燃ゆ」 (→公式) [amazon: 1/2/3/4

 京都編完結。うーむ。敷島博士、綾子の長々とした独白がいまいち信頼できぬがゆえに、過去の殺人の真相についてはあやふやなような。設計図その他持ち出したのは綾子だったけど、殺したのはどっちなのか!? なんか、マグラア「グロテスク」(→感想)みたい。不安定な精神状態で京の町を眺めてしまったことによる一種の悲劇だったわけですが、綾子さんが普通人ならば放火くらいですんだところを、流石は敷島博士の連れ合い、立派にマッド・サイエンティストだったばかりにえらいことに! つーか、尼僧のかたわら、あんなものこしらえてたのか、スゲエ! 重要参考人として敷島博士がパクられたことに関して 「ハカセはんが殺人て、そないなわけおまへんやろ!」 とか高見沢母子は憤慨してたけど、あんな叩けば埃が出そうな人間いないよな――とか思いました。 「人工知能の欠片も見逃すな!」 など、重ーい物語のはずなのに、ツッコミどころ満載の爆笑台詞ばかりなのもヘンテコ。どこまで狙ってるんじゃろか。真犯人=やっぱり敷島でうまいこと昔の罪を綾子にひっかぶせて始末してみたとの俺解釈ですが、いかがでしょう。我々は完全犯罪を目の当たりにした! 敷島博士のモノローグも叙述トリック語りみたいでしたね。地蔵が爆発するとこなど、素晴らしい!! ヘンすぎる!!

○【ANIME】 ギャラクシーエンジェル第4期 第5話「侵略スパイス中佐三昧」第6話「お見アイス」 (→公式) [amazon]

→第5話あらすじ
 全身を病魔に蝕まれて虫の息のウォルコット中佐を救うべく、主たる原因のエンジェル隊がてきとーにいじってえらいことに! というお話。ブラック担当のミント、天然担当のミルフィーユ、傍観&ツッコミ担当のヴァニラ&ノーマッド、肉体労働担当の蘭花&フォルテと各人がそれぞれろくでもない活躍をしていてたいへんよかった。これは傑作なんじゃないですかね。このレベルでブットんでれば文句ありませぬ。 「おー、やればできるんじゃないか、中佐」 「がんばれー」 という無責任な台詞がよかった。ミント、ミルフィーのふたりがさりげなくいろいろ可愛いとみた。
→第6話あらすじ
 姐さんのお見合い話。長身・片眼鏡に着物が意外と似合う。なんで蜘蛛なんだ!? と思ってたら、こちらも予想をはるかに超えていくブットびレベルでありました。めずらしく主役かと思えばあっさり原型とどめなくなるあたりとか、こんな話で妙な感動展開になるあたりとか、えらいことだ。 「じゃあ、うたをきけ」 しかし、スパイダーゾーンはないと思う。人語を忘れるな!
 あー、このED曲はほんとお気に入りですよ――

○【ANIME】 サムライチャンプルー 第9話「魑魅魍魎」 (→公式) [amazon: 1]

 箱根関所編。偽物の手形掴まされたのがあっさりばれ、フウとジンを人質にして「走れメロス」みたいなことするはめになったムゲンでしたが、箱根の山には「天狗」なる謎の存在がいて…… 駅伝ネタかと思ったら予想がはずれた。映画『マインド・ゲーム』が一段落ついたのか、湯浅政明が原画参加してて、彼ならこんなふうな画を動かせます、ってとこからこしらえた物語なのかしらん。たぶん元ネタないよね。ムゲンの脱出劇がメガネ役人に完全依存しているあたりなど、物語展開が多分に無理筋でした。磔にされちゃうフウたんのないチチぶりが妙にエロかったり、湯浅政明参加カットはやっぱくねくね動いてて面白かったり、そもそもコンテが今石洋之だったりと、スタッフ陣はやたらに贅沢。でも変化球勝負で物語が動いてる感じはしないんだよなあ、充分楽しいから文句言う筋合いはないんですけどね。

04/07/24(SAT)

■book【単行本・小説】 桐生祐狩「小説探偵GEDO」 ハヤカワSFシリーズJコレクション [bk1][amazon]

桐生祐狩「小説探偵GEDO」  しがない広告屋である三神外道、通称・げどには隠されたもうひとつの顔がある。眠ることで小説内世界に侵入できる「小説探偵」だ。伏線の影に消えた我が子の行方を捜す人妻、処刑の日を待つ死刑囚、やおい小説の超美形キャラ…… さまざまな小説内存在がげどの前に現れる。

 SFマガジン掲載作に書き下ろしを加えた連作短編全7篇。「小説探偵」で「ノベル・アイ」と読ませます。小説空間と現実空間を行き来しつつ事件を解決するという設定こそ変化球ですが、貧しけれど誇り高い中年男を探偵役としたオーソドックスなハードボイルド物で、居酒屋と場末のクラブ専門のマット・スカダー(大学文芸部崩れ)という感じでしょうか。「強姦と殺人以外ならたいていのことをやっていた」はずがあからさまに普通の常識人なのは、げどの存在に関する伏線のひとつなのかなあ。

 なかなか面白いのですが、げどは一体何者なのか? なぜ小説探偵なのか? げどに絡んでくる正体不明の男・泉の正体などなど、ざまざまな謎が謎のまま放置されて次刊に引き、なので、1冊読み終えた満足感が足りないのが弱いかも。完結できないにしても、もうちょっと何かあったほうがよかった気がします。

 この人の作品傾向として、プロットが複雑になると必要以上に混沌としてわけがわからなくなってしまうので、もうちょっと物語を整理して効果的に見せる工夫したほうがいいんじゃないかとも思いますね。「青き追憶の森」、「タイトロープな男たち」、「百合秘紋」くらい単純な話のほうがよいです。笹井一個+岩郷重力のブックデザインも秀逸。

04/07/25(SUN)

■book【単行本・小説】 スーザン・ヒル(訳:幸田敦子)「ぼくはお城の王様だ」 講談社 [bk1][amazon]

スーザン・ヒル(訳:幸田敦子)「ぼくはお城の王様だ」  うーむ、強力。救いがないねえ、これは。

 じき十一になる少年キングショーは田舎にあるウェアリングズ館にやってきた。夏休みの間、彼の母親はこの屋敷で「内輪の家政婦」をすることになっている。この屋敷の主人フーパー氏にはキングショーと同い年の息子がいた。フーパーは一目見たときからキングショーが気に入らなかった。大嫌いだったから、徹底的にやった。

 児童文学だと思って読んでたら、いつのまにかケッチャム「隣の家の少女」(→感想)になってしまう不思議。鈍感であるがゆえに気に入らない存在に対してどこまでも残酷になれる粗野な少年によって、繊細な少年が苛まれ、精神的に追いつめられていく状況を克明に描き出しております。
 あわよくば玉の輿で頭がいっぱいなキングショー母、我が子に対しては目が曇りがちなフーパー氏、田舎の片屋敷という閉鎖空間、さまざまな要因を重なり合わせることで、たいしたことが起こっていないにもかかわらず、ここまで厭ったらしくできるのはたいしたもの。最終ページの衝撃はものすごいです。いわゆるアンファン・テリブルタイプの悪魔的な少年ではなく、無神経で自己中心的なだけの少年フーパーがこんなことをして、あんなふうに思うところに根源的な恐怖があります。被害者であるキングショー少年の世界の狭さ、その狭さゆえに際限なく暴走していく負の想像力が描けているのもよかったですね。

○【ANIME】 ニニンがシノブ伝 第3話「音速丸、怒る」「忍、家を出る」 (→公式) [amazon: 原作:1/2

 OPにSEがどんどん追加されてくなあ。Aパートは楓の乳でかすぎ! Bパート、獲物を狙う野獣の目になってるシノブが恐ろしい。発想レベルでは音速丸と同じで、ハァハァ。微妙な作画のへたりを湯気なし風呂カットを煙幕にカモフラージュしてみました、という回でした。スバラシイジャナイカ、イヤラシイジャナイカ。しっかし、いかんせん萌えないシノブのケツ…… このうえない処女太りアニメといえましょう。

04/07/26(MON)

■book【単行本・小説】 パトリック・ジュースキント(訳:池内紀)「香水――ある人殺しの物語」 文春文庫 [bk1][amazon]

パトリック・ジュースキント(訳:池内紀)「香水――ある人殺しの物語」  じつは積読でした。面白かったです。

 舞台は18世紀のフランス。悪臭ふんぷんとしたパリの都を、超人的な嗅覚を武器に駆け抜けた男の数奇すぎる生涯。
 どこまでもエスカレーションしていく奇抜な展開、その実、起承転結をきちんとつけた古典的な物語運び(各章ラストでサブキャラにオチをつけてしまうあたり)などなど、後発に与えた影響が顕著なのだな、と思われました。日本ファンタジーノベル大賞を受賞作の、あの作品とか、この作品とか、消えていった落選作の中にも数多くきっと、とか。奇想天外なアイデア、馬鹿馬鹿しい展開をいかに品良く提示してみせればよいかという問題に対する非常にわかりやすい解答例だからですね。五感シリーズがどうのとか共通項をさっぴいたとしても、浅暮三文氏の書きたいものがここにあるんだろうな、きっと、という気がします。第三章ラストの展開からエピローグにあたる最終章への流れがすばらしくてたいへん気に入りました。

○【ANIME】 アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル 第3話「風変わりな遺言」 (→公式

 セント・メアリー・ミード村に舞台を移したミス・マープル編。エドワード役の声優はアレだなあ、と思ったら、及川光博だった。映画版ウテナの頃から変わってないなあ。その婚約者チャーミアンの声優は酒井法子。亡くなった偏屈叔父さんの財産はどこにあるんじゃろ、という話で、わりと原作に忠実かなあ。八千草薫の声とキャラデザインは上品ですが、市井の人々の心の暗黒面を材料に事件を推理してみせる老婦人だからねえ。一見関係なさそうなエピソードを話しはじめて他人を苛立たせるところもそのまんまですが、それにしてもチャーミアンさんはブチ切れすぎだと思われました。藁をもすがる思いで相談にきてるはずなのに。引出しを下からチェックするメイベルたんは妙に手馴れている。ははははは。

04/07/27(TUE)

■book【単行本・小説】 殊能将之「子どもの王様」 講談社 [bk1][amazon]

殊能将之「子どもの王様」  これも手付かずでした。新作「キマイラの新しい城」出る前に読んでおこうかと。

 作り話が得意なショウタの親友トモヤが語るさまざまな空想――団地の外側には何もなくって、学校に行くときだけ大急ぎで作ってる、団地には「西の良い魔女」と「東の悪い魔女」がいる、残虐な「子どもの王様」が子どもをさらっては召使いにする、などなど。ある日、トモヤが言うとおりの姿かたちをした男が目撃されて……

 この人らしく物語を解体しちゃってるわけですが、それが楽しいかといえば、そうでもない。児童文学には白であれ黒であれ、何らかの魔法がかかってる必要があるのでは、と考えるわけですが、身も蓋もなく書きすぎたせいで謎があんまり残ってないからなあ。ミステリの場合、批評的に解体しても好き者が読むけど、どちらかといえばファンタジーに近い児童文学でそれをやったら興醒め、という気がしています。物語としてわりと近しい小林泰三「吸血狩り」は児童文学足りえるけど、この「子どもの王様」はちょっと足りない、そんな印象でしょうか。
 TVウォッチャーのこの人らしい俗悪番組ネタ、ワーグナー「神聖祝典劇パルジファル」を戦隊物に仕立てるセンスはなかなかだし、子どもの世界が狭くて限られているあたりの描写もいいんだけど、ちょっと味気ないですね。ブラックなオチについてはぜんぜん問題ないと思います。

04/07/28(WED)

■book【単行本・小説】 倉阪鬼一郎「42.195」 光文社カッパ・ノベルス [bk1][amazon]

倉阪鬼一郎「42.195」  無名マラソン選手の長男が誘拐された。出場が予定されている東京グローバルマラソンで2時間12分を切ること、犯人の要求はそれだけだった。大勢には何の影響もない奇妙な要求に捜査陣は混乱する。犯人の目的はいったい何なのか? レースは無情に進行していく。

 誘拐サスペンスとレースの同時進行で手に汗握ったのも束の間、よくよく考えれば、2時間ぽっちで誘拐事件解決するなら苦労いらないよな―― あれ!? 本格めいたミステリパーツが裏返りすべて不毛に帰すといういつもの倉阪パターンでありました。しかし、ここまで徹底して不毛が紡げるのはすごい。真剣にすごい才能だと思います。倉阪作品にしては血生臭くもないし、一種のハッピーエンドだと思うのですが、なんとも荒涼としためでたしめでたしで、なんにも残ってないみたい。
 同じくマラソンを題材に取った「ジェシカが駆け抜けた七年間について」とのネタかぶりを気にかけておいででしたが、流石にこれはかぶらないんじゃないかなあ。いや、最後の謎はともかくとしても。

 ネタを作りこまなかった殊能将之「黒い仏」、もしくは本格を捨て去った麻耶雄嵩「木製の王子」という印象でした。
 そもそもマラソンネタである必然性すらほとんどなかった気がするんですが、俺が気づかなかったネタでも存在するのでしょうか……!?

04/07/29(THU)

■book【単行本・小説】 ヤンソン(訳:下村隆一)「ムーミン谷の彗星」 講談社文庫 [bk1][amazon]

ヤンソン(訳:下村隆一)「ムーミン谷の彗星」  すばらしい! すばらしい! すばらしい!

 ある朝、ムーミントロールはなにもかもがおかしくなってることに気づきました。空も川も地面もムーミン屋敷も庭の草木もすべてがみんなどす黒いのです。地球が滅びるってどういうこと? ムーミントロールは仲良しのスニフとともに、遠くの天文台に彗星を調べに行くことにしました。

 おそろしい彗星が近づいてきてムーミン谷に落ちたら地球はおしまいだ、というわかりやすい終末もの。
 作者の第二作にして初長編「彗星せまる」に何度も手を加えたもので、家族や仲間たちとの楽しい生活を描いた中期以降の作風とはずいぶんかけ離れた、不穏で狂騒的な雰囲気に満ちたものとなっています。
 業突く・弱虫・役立たずと三拍子揃ったスニフ、人を不安にさせることばかり言うスナフキン、同行者はいずれもろくでもなく、波乱万丈の冒険も、ムーミントロールをただ終末風景の最中に叩き込むだけ。年若き読者の心をかき乱すに充分です。 「ぼく、げろをはいちゃったよ」 とスニフはげろを吐きまくり、やっとのことで辿り付いた天文台でも、彗星地球衝突までの残り日数がわかるだけ。ムーミントロールは 「彗星なんか、家にかえれば、パパとママがちゃんとしてくれるよ……」 しかし、パパやママでもやはり無理なのです。子どもの理解が覚束ない、物語の背後から顔を覗かせる陰惨なムードがたまらなくよいのです。

 もう笑うしかないからか、連発されるギャグもすばらしいの一言。名言には事欠きません。
 せめて楽しい最期を! と開かれたダンスパーティーの席でスナフキンが披露した曲がこれ。

 こまった こまった
 夜は つめたい
 ときは 五時
 おまえは ひとり さまよう
 つかれた足を ひきずって
 けれども 家は見つからない

04/07/30(FRI)

■book【単行本・小説】 ヤンソン(訳:山室静)「たのしいムーミン一家」 講談社文庫 [bk1][amazon]

ヤンソン(訳:山室静)「たのしいムーミン一家」  なんとなく第一作っぽいタイトルですが、時系列的にも「ムーミン谷の彗星」のあとのお話。彗星騒動で知り合ったスナフキンといっしょに冬の眠りに入ったり、スノークのおじょうさんといっしょに遊んだりします。

 このふたりと出合ったことで「ああ、ともだちって嫌なヤツのことじゃないんだ!」と気づいてしまったのか、ムーミントロールの中でスニフ株が急下落しているのがありありとうかがえてとても楽しいです。 「でも、スニフはとてもひどいいびきをかくんだもの。スナフキンといっしょにねてはいけないの」 浜辺に漂着した帆船に「スニフ号」と命名しようとしたスニフに向かって、 「おまえとおんなじじゃないか。――気にくわんねえ」 明らかに不公平な宝物交換を申し入れてきたスニフに対して、「おまえが死んでからね」 たしかにスニフはろくでもないやつですが、ここまであっさり心変わりしてしまうとは。

 山のてっぺんで見つけた魔法の帽子を巡る騒動なわけですが、子どもが嬉しがる展開をつなげてみたようで、物語としてかなりとりとめがありません。そんな解決でいいのか! とみんな驚くはず。欲望のおもむくままに行動した人間(動物)が勝ち! という教訓でしょうか。さりげなくヒドいことばかりしていると思います。

■book【単行本・小説】 ヤンソン(訳:下村隆一)「ムーミン谷の夏まつり」 講談社文庫 [bk1][amazon]

ヤンソン(訳:下村隆一)「ムーミン谷の夏まつり」  すばらしい! 愛らしい! 可愛らしい! 大傑作!!

 六月のある日、近くの火山が噴火してムーミン谷は未曾有の大水害に見舞われた。ムーミン屋敷は水没、押し寄せる大水に流されたムーミン一家と仲間たちは奇妙な作りをした建物に移り住む。棚にはにせものがずらり並び、床がくるくる回る、なんとも不思議なお屋敷で……

 物語構成の巧さに驚きました。ムーミンママが木の皮で船の模型をこしらえる導入から無駄なパーツがぜんぜんありません。完璧です。天災による家の水没、家族との別離、そして……という、幼年読者にとっては一大事な展開を矢継ぎ早に繰り出しながら、物語の流れをいくつも操り、これ以外は考えられない方法でラストに収束させてみる。これだけ物語を動かして、キャラを立たせまくって、たったの200ページしか使ってません。これは天才の仕事であります。スノークのおじょうさんの愛らしさ、青臭くなってるスナフキンのカッコよさなどなど、褒めどころに限りがありません。ただ、完成度が高すぎるがゆえか、幼年読者にはむつかしいかも。

 あんのじょうスニフはリストラされて、一回も出てこん。南無〜

04/07/31(SAT)

■book【単行本・小説】 ヤンソン(訳:山室静)「ムーミン谷の冬」 講談社文庫 [bk1][amazon]

ヤンソン(訳:山室静)「ムーミン谷の冬」  長い冬がやってきました。ムーミン一家はそろって冬眠にはいります。ところが春がこないうちにムーミントロールはひとり目覚めてしまいました。はじめて知る冬の世界。ムーミントロールの冒険がはじまります。

 これもたいへん可愛らしい。パパもママもベッドで寝息立てているのに、家から出れば雪に覆われた白銀の世界、冬の住人も知らない人ばかり、という冬のムーミン谷を舞台にしているあたり抜群に上手いです。つまり周囲が見たことのある異世界へと変貌しているわけで、太陽の昇ることのない静謐で物寂しい世界はどこか夢の中のようであります。どんな季節だろうが勝手気ままないたずらミイ、哲学的な冬の住人おしゃまさんら、人物配置も素晴らしく、淋しい世界を冒険のはずがなぜか思想的人間関係の板ばさみになって気を揉んでるムーミントロールが不思議です。自身のルーツと対面したり、個としての成長が描かれてるのも意外と珍しいような。長編のムーミントロール単独エピソードってこれだけじゃないかしら。

 傍若無人のようにみえて物事の本質をとらえているようなミイの発言も素晴らしいですね。

「そうよ、あたいにゃ、かなしむってことはできないの。あたいは、よろこぶか、おこるだけ。いったい、あたいがかなしんだら、それがりすさんにとって、なにかの役に立つの。たちゃしません。ところが、あたいが氷姫のことではらをたてたら、あたいはいつか足にくいついてやりますからね。そうしたら、たぶんあの女だって、子りすがふさふさとした毛をしていてかわいいからって、耳のうしろをくすぐるなんてことは、しないようになると思うわ」

○【ANIME】 鉄人28号 第17話「黒龍丸事件」 (→公式) [amazon: 1/2/3/4

 キ○ガイ博士編が一段落。戦犯として巣鴨プリズンに投獄されていたビッグファイア博士が出所、敷島重工の中枢へと迎え入れられる。海底に沈む第五福竜丸になにか秘密があるらしいのだが…… それにしても、マシンガンで蜂の巣の傷が浅いわけはないと思う。カニ型ロボットのつぶらな瞳が萌えだった。オックスが弱かったのはコントローラがちゃちかったからだろうか。ロボット戦連発だったけど、もうちょっと重厚な描写だったらな―― な―― 部品が飛来→合体する恐竜ロボはよいなあ。原作の時も好きだった。ラスト、いろいろ衝撃ですが、敷島博士は生体脳としてラスボス化するんでしょうか。

○【ANIME】 ギャラクシーエンジェル第4期 第7話「わざわざコトコト煮込んだスープ」第8話「哀しみ憎しみ凍み豆腐」 (→公式) [amazon]

→第7話あらすじ
 ロストテクノロジーという単語をひさびさに聞いた。ことわざがその言葉どおりに具現化してしまう棒を巡るドタバタ。着眼点はなかなか、されど山火事ていどでは思い切りが足りません。ガスト・ジョナサン・パトリックがにょ仮面なしに登場。これもすっげーひさびさでした。
→第8話あらすじ
 エンジェル隊関係者がばたばた死んでいくサスペンス劇場風味。聞いたことない設定がつぎつぎ出てくる。というか、こいつら死のうがぜんぜんどうでもいいですからね。

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