【単行本・漫画】 守村大 「花のうた」1巻  講談社

守村大「花のうた」1巻 家族、の物語だと思います。
 主人公の少女は花野歌、15歳。自分の命と引き換えに母親、撫子を失い、バクチ打ちである父親は行方不明、頼るべき肉親は祖母1人という環境で育った彼女は、中学卒業と同時にその祖母までを失い、天涯孤独の身の上となります。帰るべき家も抵当に入り、頼るべき人もないウタ。そんな不幸な境遇にもめげず、彼女は、まだ生きているはずの、一度も顔を見たことすらない父親を探すために、東京へと旅立つ決心をします。しかし、到着早々ひったくり、カツアゲに遭遇、無一文で巨大な街へと放り出される羽目となったウタ。当然のように行き倒れたウタはホームレスたちとの共同生活を経て、ラブホテルのフロント係など、職を転々とします。そんな苦しい生活の中でも、ウタのまっすぐな眼差し、まっすぐで力強い言葉は、出会った人々の心を射抜き、迷ったり悩んだりしている彼らの中の何かを確実に変えていくのです。そうして彼らはウタに惹かれていく。ウタの目的は父親探し、なのですが、まるで自然に新しい家族が出来上がっていくように、ウタの周りには新しい人々の繋がりが出来ていくのです。ホームレスの親分、ドクター始め、親方、ラブホテルの支配人紺野、ちょっとワケアリな少年シバ、やり場の無い怒りを持て余してる少年、テツオなど。登場人物たちに向けられた視線はとても暖かく、読んでいると清々しい気持ちで心が満たされるのを感じます。あとがき作者コメントの文章に、作者である守村大がこの作品に込めたメッセージが凝縮されていると思うので、それを引用してこの文を〆たいと思います。

 チョット見方を変えたり、
 欲張るのをやめたり、
 素直になっただけで、
 見えてくる価値もあります。
 道端に咲いてる花みたく。


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