コミックビーム収録作品リスト(2003年)

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2003年12月号

収録作品
唐沢なをき表紙
福島聡少年少女含4C
唐沢なをきさちことねこさま
岩原裕二いばらの王
いましろたかしラララ劇場新連載
森薫エマ
志村貴子放浪息子
新谷明弘からだの国のありす
安永知澄やさしいからだ
作:DJ SPACE+画:小林哲也GYPSYLAND
カネコアツシSOIL
しりあがり寿真 ヒゲのOL 薮内笹子
桜玉吉御緩漫玉日記(後編)
鈴木みそ銭−ぜに−
羽生生純青 オールー
タイム涼介あしたの弱音
作:TKD+画:竹谷州史皆殺しのマリア
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
鈴木マサカズブルー・ドッグ・ブルース
鮪オーケストラのらぴえろ
須田信太郎ウルティモ・スーパースター
吉田戦車武侠さるかに合戦最終回
金平守人KANEHIRA-DEATH最終回

 今号は内容が濃いなあ。書くことがいっぱいあって困っちゃうくらい。まずは吉田戦車「武侠さるかに合戦」が最終回で大団円。最後まで栗の親分の奮闘ぶりは笑わせてくれた。あと猿オヤジの邪悪さも良い。「気を打ちこみ貴様の体のでんぷん質を糊化させてくれるわ」というセリフが素晴らしいと思った。カッコイイようなマヌケているような呼吸が絶妙。それから金平守人「KANEHIRA-DEATH」は突然最終回? ヘタ絵でいいたいこといいまくって爆発。なんかスゴイですな。歯に衣きせぬぶっちゃけぶりはちょっと気持ち良くもあった。でもなんか次号もシレッと載っていそうな気はする。桜玉吉「御緩漫玉日記」後編。うーん、さすがにこの人の日記漫画はほかの人のとは一線を画する。淡々とお話を進めていく中で、ガクッとした落差を作るのがすごくうまい。今回はたいへんな事件もあるけれども、それがないときでもちゃんと作っちゃうもんなあ。いましろたかし「ラララ劇場」は連載開始。公園で研修をやってる警備会社の面々のやりとりを描く、地味でじんわりとしたおかしさのある作品。次回もこのキャラで続くのかなあ。そんなことはないか。

 今号特別付録で特製コミックスカバーがついている福島聡「少年少女」はなかなかええお話。天才サッカー少年と、彼に憧れてサッカーをやっていた女の子のお話。二人の絆がページをめくるごとに強く感じられてきてたいへん爽やか。またしてもお話に合わせて画風を変えてくる漫画巧者ぶりもニクい。森薫「エマ」ではなんかインパクトの強いキャラが登場。かわいいエレノアちゃんを溺愛するモニカおねえたまが颯爽と来訪。男装の麗人って感じなルックスで、エレノアの心をとらえたウィリアムに対してライバル意識を燃やす。なんかいろいろお話を引っ掻き回してくれそうだ。志村貴子「放浪息子」もコンスタントに面白い。二鳥くん、高槻さんの女装男装コンビのつながりが濃くなる中で、置いてかれた感のある千葉さんは複雑な気分。そこらへんの感情の機微が、観察者である読者の興味をかきたてる。感情の内容よりも変化そのものを楽しんでいるようなところがあるので、たぶんこの人たちの関係がどうなろうが、読者としては面白く読んでいけるだろうと思います。

 鈴木マサカズ「ブルードッグ・ブルース」。読みごたえがある。若者たちが回を重ねるごとに追い詰められていく息苦しさ、切迫感、狂おしさはかなりのもの。これは単行本になってほしいなあ。ぜひまとめて読みたい。「サルぽんち」もそうだけど。作:DJ SPACE+画:小林哲也「GYPSY LAND」。これも面白くなってる。DJは個人的にいまいち理解できない分野だったりもするのだが、こうして描かれるとなるほどちょっと面白いかも、という気分になる。ターンテーブルをきゅるきゅるいじるのは単純に楽しそうだ。また作:TKD+画:竹谷州史「皆殺しのマリア」は次回で最終回。

 新谷明弘「からだの国のありす」は5話めが掲載。幽霊となったありすが素敵で不思議なアルバイトに挑戦。最後の展開は作者の実体験ですな。鮪オーケストラ「のらぴえろ」。久々の登場。とある病院に拾われた、自らを卑下してやまない野良ピエロ。風変わりな芸で病院の人気者になった彼だが、その先には凄惨な運命が待ち受けていた。グロテスクなんだかユーモラスなんだかという途中の展開は味があるし、ラストに向かっての爆発もこれまた大迫力。アクが強い作風がすごく好き。まあ毎号とはいわないので、これからもときどき出てきてはヘンなモノを描いてってほしい。


2003年11月号

収録作品
岩原裕二表紙
桜玉吉御緩漫玉日記(前編)含4C
岩原裕二いばらの王
吉田戦車武侠さるかに合戦
福島聡少年少女
竹本泉よみきり▽もの りんごのひみつ
唐沢なをきさちことねこさま
志村貴子放浪息子
森薫エマ
安永知澄やさしいからだ
タイム涼介あしたの弱音
作:DJ SPACE+画:小林哲也GYPSYLAND
カネコアツシSOIL
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
作:TKD+画:竹谷州史皆殺しのマリア
羽生生純青 オールー
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
鈴木マサカズブルー・ドッグ・ブルース
須田信太郎ウルティモ・スーパースター
鈴木みそ銭−ぜに−
しりあがり寿真 ヒゲのOL 薮内笹子
金平守人KANEHIRA-DEATH

 今月号には岩原裕二「いばらの王」の特製コミックスカバーが付属。表紙も「いばらの王」。いつもながらこの雑誌の表紙デザインはカッコイイ。売上につながるたぐいのデザインなのかどうかは知らないけれども。

 桜玉吉が復活。「御緩漫玉日記」。以前からずーっといっていた、伊豆の玉吉邸がついに現実のものに、支払いはすごくたいへんそうだし、ぱそみちゃんはどうするのかとかいろいろ状況は動いておりますが、とりあえず家はとても羨ましい。でも伊豆とかだと本は買いにくいんだろうなあ。単行本はなんとかなるだろうが雑誌は難しそう。それさえなければ。吉田戦車「武侠さるかに合戦」。二娘と栗の親分がかっこいい。今回はとてもシリアス。なんだけどどこかトボけた味もある絶妙なバランスをキープ。いや〜毎度面白いっすよ。福島聡「少年少女」は、老人ホームに入っている老人たちを動物に見立てて描写していく。若い娘さんに昔好きだった女の面影を見てしまい、突飛な行動に出る老爺の行動が切なくしみる。

 唐沢なをき「さちことねこさま」。うーん、萌え漫画だ……。今号の表紙のブルマ姿のさちこなんかもう、確実に狙っているでしょう。メガネの厚みの描写なんかもさりげなくヒット。竹本泉「よみきり♥もの りんごのひみつ」。町中になぜか置いてあるりんご、そしてそれが気になって仕方がない女の子。そういえばすごく前に、何か物体を例に挙げてお話をする場合、例として挙げられるものはなぜかりんごが多いよねーということを書いたことがある。「ここに一つのりんごがある」「○○ちゃんはりんごを1個75円のりんごを3個買いました」などなど。別にレモンでも茄子でもアボガドでもよかろうもんなのに、なぜかりんご。きっとりんごには人間を惹きつける何かがあるに違いない。そして今回の主人公の女の子はそれを本能的に感じ取っていたのだ!とか思いながら、本屋の棚から取り出した本を山積みにし、その上にりんごを置いて丸善を後にした。

 志村貴子「放浪息子」。いろいろ事態は動いていきます。二鳥くん、女装をやめちゃだめだ! とりあえずまだ今は。森薫「エマ」はウイリアムぼっちゃまに恋するエレノアちゃんが可愛いなあ。このままウイリアムぼっちゃまがエレノアと結婚して、その後なんか戦争とかあった後、ラスト付近でエマと再会……なんて展開になるといいなあなどと、意地の悪い私は思ったりします。安永知澄「やさしいからだ」。おかあさんが病でふせっていて家事をまかされ、どんどん所帯じみていってしまっている小学生の女の子さきちゃん。気丈な彼女だが、病気、そして死の匂いを身近に感じ取っている彼女の心は少しずつくたびれていく。ってな展開で以下次号。今回はなかなか身にこたえるエピソード。描写の丁寧さはいつもながらにいい感じ。次回でどのようなお話にまとめあげるのか期待。


2003年10月号

収録作品
吉田戦車表紙
竹本泉よみきり▽もの ふやけるお年頃含4C
吉田戦車武侠さるかに合戦
岩原裕二いばらの王
志村貴子放浪息子
森薫エマ
しりあがり寿真 ヒゲのOL 薮内笹子
唐沢なをきさちことねこさま
安永知澄やさしいからだ
作:DJ SPACE+画:小林哲也GYPSYLAND
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
福島聡少年少女
鈴木みそ銭−ぜに−
カネコアツシSOIL
羽生生純青 オールー
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
タイム涼介あしたの弱音
作:TKD+画:竹谷州史皆殺しのマリア
谷弘兒夢の記憶
鈴木マサカズブルー・ドッグ・ブルース
須田信太郎ウルティモ・スーパースター
金平守人KANEHIRA-DEATH

 表紙は吉田戦車「武侠さるかに合戦」。毎回すごく面白いと思う。今回はSARUとの決戦が本格化。臼と杵の持ち技も炸裂。かっこよさとマヌケさの中間をすごくいい具合に驀進していると思う。合戦の最中にカニ弟がもち米を炊いてたりする、どこか呑気なところが素敵だ。巻頭カラーは竹本泉「よみきり?もの」。今回はやたら風呂好きな女の子のエピソード。そういえばいますな、やたら長時間風呂入る人って。私はあっという間に出てしまうタイプです。志村貴子「放浪息子」は一波乱。お姉ちゃんの同級生男子の勘違いがきっかけで、二鳥くんにピンチが。うろたえている二鳥くんもかわいいなあ。

 森薫「エマ」はウィリアムぼっちゃんの今を突撃取材。貴族としてのつとめにいそしむも、脳裏に浮かぶはエマの面影。1ページぶちぬきカットが胸にドキューンときます。安永知澄「やさしいからだ」。今回は同じクラスの円くんの坊主頭の見事さに惹かれてやまない女の子、岬はるかさんの物語。「これって恋なのかしら? 違うのかしら」という気持ちがなんかすごく丁寧に描かれていて良かったと思う。切なくもあるしユーモラスな感じもするし。微妙なさじ加減で読ませます。あと今号には谷弘兒「夢の記憶」も載ってます。作者コメントによると谷弘兒は最近連載小説の挿絵を描いてるらしいけど、なんて小説なんじゃろう。


2003年9月号

収録作品
志村貴子表紙
岩原裕二いばらの王含4C
吉田戦車武侠さるかに合戦
羽生生純青 オールー
志村貴子放浪息子
竹本泉よみきり▽もの かける4
唐沢なをきさちことねこさま
森薫エマ
安永知澄やさしいからだ新連載・含4C
福島聡少年少女
作:DJ SPACE+画:小林哲也GYPSYLAND
カネコアツシSOIL
鈴木みそ銭−ぜに−
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
しりあがり寿真 ヒゲのOL 薮内笹子
作:TKD+画:竹谷州史皆殺しのマリア
タイム涼介あしたの弱音
鈴木マサカズブルー・ドッグ・ブルース
須田信太郎ウルティモ・スーパースター
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
山川直人モノクローム
金平守人KANEHIRA-DEATH

 今号は志村貴子「放浪息子」が表紙。二鳥くん、高槻さんともにかわいい。二鳥くんの女装っぷりもずいぶん板に着いてきた。ちなみに今回は単行本1巻 [bk1][Amzn]用の特製コミックスカバーもついている。というわけで単行本を買った人はビームも買おう、ビームを買った人は単行本も買おう。←ってな具合に、雑誌・単行本どちらの販促材料にもなるので、特製コミックスカバーってのはいいおまけだと思う。

 安永知澄の新連載「やさしいからだ」がスタート。第1回めはいつもムッとした顔つきをしている女の子・えみこちゃんと、彼女の笑った顔が見たいとつきまとっている男の子のお話。なかなか微笑ましい青春模様とちょっぴりファンタジー。安永知澄の丁寧な作画、話作りはやはり好感が持てる。初連載だけど今後の展開も楽しみ。次回はこの男の子のほうがメインの話になるようだけど、学校を舞台にした少年少女定点観測漫画になるのかな? 福島聡「少年少女」。今回は読者としてもけっこう思い入れがあるんじゃないだろうか、例のヨシコとゴローシリーズの第4弾。ゴローの兄を死なせてしまった罪悪感を抱き続けたまま成長するヨシコに心強い味方(?)が登場。ヨシコさんはなんだかんだ強く育って来ている。将来はいいオンナになるでしょう。

 山川直人は読切で初登場。「モノクローム」。つき合っていた女の子にカメラを買ってあげたことがきっかけとして生まれた素敵な想い出とほろ苦い結末。あっという間に駆け抜けて行ってしまった彼女と、残されてしまった彼氏。後から見れば一瞬だったような気もする人生の交錯をセンチメンタルに描く。カケアミを駆使した暖かみのある絵柄と、詩情を感じさせるお話作りはこの人ならでは。独自の味をしっかり持っていてさすが読ませる。というわけでこの読切で山川直人に興味を持った人は、単行本「ナルミさん愛してる」 [bk1][Amzn]もぜひ。そちらのほうの感想は2002年2月のオスマンをどうぞ。

 竹本泉「よみきり♥もの 太陽から45センチ」。やたら暑がりな背の低い女の子の話。熱のせいで始終顔を赤くしているさまが、なんか恥ずかしがっているかのようでかわいらしきものよのう、とか思った。森薫「エマ」。今回はきっと「エテ公ぶっ殺す」と思ったエマファンも多いに違いない。でも珍しいエマのパニクり顔が見れたのは収穫でありましょう。奉公先の奥様が訪問したミセス・トロロープはなかなか素敵な老婦人。彼女の家のたたずまいは、エマのロンドンでの想い出を呼び起こし……という展開。エマの女心がほの見えて素敵でございます。羽生生純「青 オールー」。最近いい味を出していたおばさんスナイパーの思わぬ行動。これは予想してなかった。このキャラはもうしばらくお話にからんできそう。アクが強いキャラだけに物語にいいアクセントをつけてくれるんじゃないでしょうか。吉田戦車「武侠さるかに合戦」。猿太極拳の使い手である猿親父の表情の邪悪さがいい。渋さ、カッコ良さ、マヌケさが絶妙なバランスで配合されてて好調。


2003年8月号

収録作品
金平守人表紙
唐沢なをきさちことねこさま含4C
岩原裕二いばらの王
竹本泉よみきり▽もの かける4
森薫エマ
タイム涼介あしたの弱音
志村貴子放浪息子
新谷明弘からだの国のアリス
作:DJ SPACE+画:小林哲也GYPSYLAND新連載
吉田戦車武侠さるかに合戦
カネコアツシSOIL
福島聡少年少女
羽生生純青 オールー
鈴木みそ銭−ぜに−
しりあがり寿真 ヒゲのOL 薮内笹子
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
作:TKD+画:竹谷州史皆殺しのマリア
鈴木マサカズブルー・ドッグ・ブルース
須田信太郎ウルティモ・スーパースター
うすね正俊砂ぼうず最終回
金平守人KANEHIRA-DEATH新連載

 ついにあのカネヒラが帰ってきた! というわけで金平守人の巻末新連載「KANEHIRA-DEATH」がスタート。すごい勢いで新連載感がないところがステキです。新連載はもう1本。画:小林哲也+作:DJ SPACE「GYPSYLAND」。ドラッグがらみなDJのお話になるのかな。けっこう激しい作品になるかも。作:TKD+画:竹谷州史「皆殺しのマリア」と多少カブるジャンルではありそうなんで、うまいこと競い合ってくれるといいのではないでしょうか。うすね正俊「砂ぼうず」は最終回。お話が大きく膨らんでいたのでちゃんと畳めるのかなあと思っていたのだが、今度は数か月後に主役を小砂に変えて新連載を始まるとか。なるほど納得。

 竹本泉「よみきり♥もの かける4」は、転校生の女の子がクラスのある娘さんにそっくりでみんなびっくり、とか思ったらその転校生は三つ子で別のクラスに同じ顔の娘さんがもう二人ばかしいたのだった……というお話。かわいくて同じ顔の娘さんがうじゃうじゃと。楽しいなー。森薫「エマ」。10月に公式ガイドブックが出るそうで。お話のほうも好調。新しい奉公先の奥様がいかにもお高めご婦人であるところがよろしく、あと息子さんもけっこうかわいい。志村貴子「放浪息子」もいいですなあ。女装少年・二鳥くんと男装少女・高槻さんのデートというかなんというかな様子が微笑ましい。二鳥くんはわりと大物な感じがする。単行本1巻[bk1]は7月25日発売。

 吉田戦車「武侠さるかに合戦」は毎回面白い。カッコよさとマヌケさのバランスの取り方が絶妙。羽生生純「青 オールー」もいいなあ。一見そこらへんにいるおばさん風だけど凄腕な殺し屋である刺客が大活躍。凶器が普通の食材だったり穴開き包丁だったりするあたりがすごく怖い。この殺し屋像はなかなか新鮮。おばさんならではの押しの強さも生きている。福島聡「少年少女」。今回は子供のころに、ドイツ初の実用ジェット戦闘機シュワルベが音速を越えたシーンを目撃したと信じている男が、大人になってアメリカの航空博物館にやってくる。そしてそこに納められているシュワルベを整備して、再び音速を出すことに執着を見せるが……。彼の無謀な挑戦をやめさせようとする幼なじみのエリスの姿が切なく描けていていいお話。新谷明弘「からだの国のアリス」は制作工程上の都合で目次には載ってないけど掲載。アリスがスケスケで萌え〜というお話。いつもながら不思議でほのぼのまったり。いい雰囲気です。


2003年7月号

収録作品
須藤真澄表紙
須藤真澄おさんぽ大王最終回・含4C
森薫エマ
唐沢なをきさちことねこさま
岩原裕二いばらの王
吉田戦車武侠さるかに合戦
カネコアツシSOIL
志村貴子放浪息子
うすね正俊砂ぼうず
安永知澄水の底
福島聡少年少女
竹本泉よみきり▽もの もらいものに笑顔
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
鈴木みそ銭−ぜに−
しりあがり寿真 ヒゲのOL 薮内笹子
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
羽生生純青 オールー
作:TKD+画:竹谷州史皆殺しのマリア
須田信太郎ウルティモ・スーパースター
タイム涼介あしたの弱音
鈴木マサカズブルー・ドッグ・ブルース
金平守人カネヒラデスカ?最終回

 ビームを支えた2大連載が終了! というわけでまず須藤真澄「おさんぽ大王」は最後まで取っておいたおさんぽネタできれいにおしまい。個人的には次回作は純然たるフィクションでファンタジいのを期待。金平守人「カネヒラデスカ?」は、『「やっぱりかよ」「もういいよ」が2:8で聞こえてきますよ!!』という作者コメントが雄弁に語るとおり。個人的には「やっぱりかよ」はあっても、「もういいよ」はとくにないかなあ。「もっともっとカモ〜ン」という感じ。うすね正俊「砂ぼうず」は最近かなり緊迫してるなーと思ったら次号で最終回。

 吉田戦車「武侠さるかに合戦」。一つひとつのアイテムが地味なのにファンキー。新しく出てきたキャラも強烈で爆笑。4コマでないフィールドで、吉田戦車の底力を存分に引き出している作品だと思う。すごく面白い。絶好調。竹本泉「よみきり♥もの」もコンスタントに楽しい。今回の「もらいものに笑顔」は、何か食べるとパーッとすごくかわいい顔をする女の子と、彼女の笑顔を見るために何かにつけて食い物を与え続ける少年のお話。ラブコメのようでラブコメでない、独特の呼吸はこの人ならでは。福島聡「少年少女」。今回は宇宙パンダ再登場。なるほど、このパンダはこういうモノだったのか。

 森薫「エマ」。新しい奉公先での使用人によるパーティが華やかに開催される。というわけで今回はメイドさんたちがメイド服でない姿でもりもり登場。そんな中エマは一人楽しめず、飲めない酒を飲んだおかげでこれまで抑えていた気持ちが堰を切る。嘆く姿がなかなか色っぽい。あと、新キャラのモミアゲ男に警戒心を抱いた若者も多いかもしれないと思った今回。志村貴子「放浪息子」はいつもながらに二鳥くん、それから女の子たちがとてもかわいい。6年生を送る会でフェルゼンに扮する千葉さんとか。二鳥くんみたいな少年が、長じて声変わりしたり毛が生えたりする。重要な損失といわざるを得ない。安永知澄の読切「水の底」は、「お魚になった私」(古いねどうも)ではなく「人間になったお魚」のお話。かつての仲間がスイスイ泳いでいくのを、水の底で一人見つめる少女。はかなく美しいファンタジー。ところで作者名は「やすながちすみ」と読む。実はちょっと前まで「やすながともずみ」だと思ってた……。


2003年6月号

収録作品
羽生生純表紙
作:TKD+画:竹谷州史皆殺しのマリア含4C
羽生生純青 オールー
吉田戦車武侠さるかに合戦
森薫エマ
カネコアツシSOIL
うすね正俊砂ぼうず
志村貴子放浪息子
竹本泉よみきり▽もの ブックスパラダイス Vol.3
タイム涼介あしたの弱音
岩原裕二いばらの王
福島聡少年少女
須藤真澄おさんぽ大王
鈴木みそ銭−ぜに−
唐沢なをきさちことねこさま
しりあがり寿真 ヒゲのOL 薮内笹子
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
仲能健児壺の中
須田信太郎ウルティモ・スーパースター
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
鈴木マサカズブルー・ドッグ・ブルース
いましろたかしロマンティック盆堀課長
金平守人カネヒラデスカ?

 すごいなあ。初っぱなから「皆殺しのマリア」→「青 オールー」→「武侠さるかに合戦」とイカれた漫画が並んでいる。しかも今号には仲能健児、いましろたかしの読切まで。

 で、まずは作:TKD+画:竹谷州史「皆殺しのマリア」。今回はカラーで女性陣が色っぽいなあと。あと礼司がプロデュースでからみ出して、いろいろマリア周辺が大きく動いていきそうで今後の展開も楽しみ。羽生生純「青 オールー」。ヤクザたちの差し向ける新たなヒットマンが登場。外見はタダのオバさん。これから人を殺すっていうのにゴーヤチャンプルー作り出したかと思ったら、同じ包丁で……。オバさんノリという日常風味がそのまま殺人という非日常に溶け込んでいる。これは怖い。吉田戦車「武侠さるかに合戦」。ハードボイルドな展開とキャラクター造形とのミスマッチが絶妙。素晴らしい。あと栗の親分の裸体にまた爆笑させられてしまった。いやー、この作品絶好調だと思いますよ。

 森薫「エマ」。あたーらしいー職場でー、あたーらしいーメイド服〜。下着も裸も描かないで、着替えシーンに1ページ。本当に好きなんだなあ、と思います。志村貴子「放浪息子」。高槻さん受難。ニ鳥くんも含めて「女の子」は繊細であります。いやーみんな可愛くて心洗われるなあ。どこに向かうともなく話が進んでいるんだけど、見ているだけでとにかく楽しい。福島聡「少年少女」はタッチをまたちょっと違った感じに。でも今回のも趣あっていいねえ。全国的にむちゃくちゃ容赦なく雪が降り続く日が続くようになってしまい、街とかも壊滅状態な日本。そんな中、とある3人の少年少女が雪の中、避難先から自分たちの元住んでいた街まで飛び出していくという冒険物語。ちょっぴりファンタジーっぽい感じがするところが良いです。

 仲能健児「壺の中」。ああ、これすごく好きだ。毎晩街をうろうろしては、ゴミバケツの中に入る行為にふけっていた男・カメキチが、ある日新聞で見た大金持ち所有の大きな壺に魅せられてしまう。そしてその家に忍び込み壺の中に潜る。そこで出会った大金持ちの奥様。彼女はカメキチを一目見たときから「彼をいぢめたい」という欲求を持ち、カメキチと奥様の秘密の関係が構築されていくのであった……。なんかこう描くとものすごくお耽美で変態チックなお話のように思えるかもしれないが、変態チックではあれどお耽美ではない。カメキチの姿はユーモラス極まりなく、お話のほうもひたすらマイペース。なんかとてもまったりしてて、むちゃくちゃ気持ちいい! 壺の中でてんぷら揚げて遊んでいるとか、そういう細かな部分にも味がある。この人は本当にヘンな漫画を描くなあ。好きだ〜。いましろたかし「ロマンティック盆堀課長」は、「連載再開までの肩慣らし読みきり」と書いてあるけどまさにそんな感じ。堅物ゆえキャバクラ遊びのなじまない、ダンディ盆堀課長の日常。しかしその心の底には男のロマンが。カッコイイようなそうでもないような。

 で、次号は金平守人「カネヒラデスカ?」と須藤真澄「おさんぽ大王」と、ビームにはなんとなく欠かせないような気がする両作品が共に最終回。とくに「カネヒラデスカ?」は今月号からすでに何やら仕掛けてきてますが……。


2003年5月号

収録作品
福島聡表紙
吉田戦車武侠さるかに合戦含4C
岩原裕二いばらの王
福島聡少年少女
カネコアツシSOIL
うすね正俊砂ぼうず
唐沢なをきさちことねこさま
森薫エマ
志村貴子放浪息子
竹本泉よみきり▽もの くちをひらけば
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
羽生生純青 オールー
タイム涼介あしたの弱音
新谷明弘からだの国のありす目次漏れ
須藤真澄おさんぽ大王
鈴木みそ銭−ぜに−
しりあがり寿真 ヒゲのOL 薮内笹子
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
作:TKD+画:竹谷州史皆殺しのマリア
鈴木マサカズブルー・ドッグ・ブルース
須田信太郎ウルティモ・スーパースター
金平守人カネヒラデスカ?

 今号は福島聡が表紙。3月の単行本3冊同時発売と合わせて、福島聡祭り引き続き開催中という感じ。作:ラスト☆パス+画:やまだないと「夕陽の落ちるころ」は目次にはあるが非掲載で、代わりに新谷明弘「からだの国のありす」が掲載。

 吉田戦車「武侠さるかに合戦」が巻頭カラー。味がある。任侠モノ的な雰囲気と妙なキャラ造形、「ぷろぽりす」に代表される独特な言葉遣い。新路線的なお話作りと、既存の吉田戦車節がいい具合にミックスされている。好調。カネコアツシ「SOIL」は今回から本格始動。とあるニュータウンで起きた怪事件。民家の一室に突如出現した塩の柱、そして学校の校庭にも巨大な塩の山が。意味不明だが何か不吉な予感を抱かせる怪現象。ミステリアスに事件は始まっていく。面白そう。

 森薫「エマ」。エマとの別れの後、人が変わったように模範的な貴族活動にいそしむウィリアム。その心に潜む想いは。彼の人間的な成長を感じさせるエピソード。今回は女の子はほとんど出てこないが、それでも好印象を抱かせる。単なるメイド萌え漫画ではない証拠。志村貴子「放浪息子」。女装好き少年・ニ鳥修一が可愛すぎ。まあ絵だと顔が女の子と変わるところがないというのもあるんだと思うけれども、メンタリティ的にもいいですな。はにかみ、はじらいがハートを直撃。

 竹本泉「よみきりもの くちをひらけば」。美少女なんだけどものすごく口が悪い娘と、彼女にいつもばかばかいわれているそこつな男の子のお話。ここのところラブコメエッセンスの風味を強め気味のような。羽生生純「青 オールー」。面白くなっている。少年の夢をズタズタにせんとする差能の嬉々とした、そして悪意に満ちた言動と表情に慄然とするような迫力がある。ますますもってテンションは上がってきていて今後も凄く楽しみ。


2003年4月号

収録作品
カネコアツシ表紙
カネコアツシSOIL新連載・含4C
吉田戦車武侠さるかに合戦
岩原裕二いばらの王
森薫エマ
竹本泉よみきり▽もの ことりのす
唐沢なをきさちことねこさま
福島聡少年少女
志村貴子放浪息子
新谷明弘からだの国のありす
作:TKD+画:竹谷州史皆殺しのマリア
須藤真澄おさんぽ大王
安永知澄夏休み
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
うすね正俊砂ぼうず
鈴木みそ銭−ぜに−
しりあがり寿真 ヒゲのOL 薮内笹子
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
羽生生純青 オールー
タイム涼介あしたの弱音
鈴木マサカズブルー・ドッグ・ブルース
須田信太郎ウルティモ・スーパースター
金平守人カネヒラデスカ?

 いろいろ面白く高値安定。でも安定してる分、今回は爆発力がちと弱めのような気も。安定感と爆発力の両方を望むのは、贅沢だとは分かっていつつもビームにはやはり期待してしまう。もう少し主人公が飛んだり跳ねたり、バカみたいに動き回る作品も欲しいかな〜という気もする。

 まず巻頭では、カネコアツシの新連載「SOIL」のプロローグが掲載。すごく大胆な画面の使い方をしててカッコイイ。ただお話は本当にプロローグなので、どんなお話になるかはまだ全然分からない。ちなみに今月号は表紙もカネコアツシで、これまた漫画雑誌とは思えないような非常にクールなものになっている。吉田戦車「武侠さるかに合戦」。面白い。今回は、かつて杵との名コンビで鳴らした気弱な臼の身の上が語られる。縄とか妙なキャラがてんこ盛りで、かつお話自体はガチンコ、「ぷろぽりす」といったアイテム選びなどで吉田戦車らしいすっとぼけたセンスも発揮。なかなかいい世界になってまいりました。森薫「エマ」。今回は貴族たちの遊興と、それにノレないウィリアム、それから初々しくて可愛いエレノアちゃんの姿が描写されていく。ウィリアムにブレイクスルーは訪れるのか。もしかして戦争の勃発がカギになるかも……とかちらと思ったのだが、第一次世界大戦は1914年からだからちょっと時代的に合わないか。この作品は19世紀末だし。

 安永知澄「夏休み」は、都会から遊びにきたのりちゃん、田舎に住む元気でボーイッシュなひさちゃんの女の子二人が一緒に過ごす短い時間を描いた美しいお話。ふとした描写に情緒があって気持ち良く読める。美しい余韻を残すラストも雰囲気良好。この人はいいです。新谷明弘「からだの国のありす」は2話めが掲載。今回はピロリ菌をネタにお話を展開。いつもながら不思議なお話を描くなあ、この人は。

 鈴木みそ「銭−ぜに−」はアニメ業界編おしまい。どうなんでしょうなー。結局、個人の超人的な努力なくしてはどうにもならないという結論なんだろうか。それだとちと悲しいんだけど。羽生生純「青 オールー」。差能構造の鬼気迫る内面が剥き出しになってきていて非常にテンションが高い。金平守人「カネヒラデスカ?」。今回はむちゃくちゃいうとりますなー。飛ばしまくってる。でも案外、的は射ちゃってるかも……という暴言もちらほら。


2003年3月号

収録作品
岩原裕二表紙
岩原裕二いばらの王含4C
吉田戦車武侠さるかに合戦
うすね正俊砂ぼうず
志村貴子放浪息子
森薫エマ
竹本泉よみきり▽もの そらのすみ
唐沢なをきさちことねこさま
福島聡少年少女
須藤真澄おさんぽ大王
作:ラスト☆パス+画:やまだないと夕陽の落ちるころ
しりあがり寿真 ヒゲのOL 薮内笹子
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
羽生生純青 オールー
鈴木みそ銭−ぜに−
作:TKD+画:竹谷州史皆殺しのマリア
タイム涼介あしたの弱音
鈴木マサカズブルー・ドッグ・ブルース
須田信太郎ウルティモ・スーパースター
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
鮪オーケストラ包帯ムスタング
金平守人カネヒラデスカ?

 鮪オーケストラの読切「包帯ムスタング」が掲載。荒削りといったらこの人くらい荒削りな人もあんまりいないと思う。このお話は、とあるフィギュアマニアの青年が、幻の特撮ヒーロー「包帯ムスタング」の「生フィギュア」を購入するところから始まる。フィギュアのくせに生って何? そして包帯ムスタングとはどんなヒーローなのか。それはこの作品の中で語られるからネタバレはしないでおくけど、お話はパワフルで爆発力があって強烈にヘン。これくらいヘンなことしてくれるといっそ痛快でさえある。いやー、やっぱこの人いいわ。須田信太郎「ウルティモ・スーパースター」。大団体のイベントに乱入したるちゃの面々が、ショービジネスの世知辛い内幕を見せつけられて意気消沈する。でもそこは立ち直りの早い彼らのこと。思いもよらぬ反撃を仕掛ける。ハチャメチャに規格外な面々を描きつつも、全体としては人情味があふれている。須田信太郎の作品には、人間らしい暖かい血が通っている。いいねえ。

 志村貴子「放浪息子」。好調ですな。修一と同じクラスの女の子、高槻よしのさんが男装。そんなことをやっているうちにも、修一少年の女装への憧れはどんどん高じてきている。とある一線を踏み越えるか踏み越えないか、そのギリギリのあたりはふらふらしている状態がとても興味深い。といってもあんまり倒錯や耽美に偏るでなく、淡々と気持ち良く読ませちゃうあたりは志村貴子独特の呼吸だなと思う。森薫「エマ」。汽車でロンドンを去るエマに新しい出会い。今度出会った人物もなかなか魅力的で、エマの生活に新風を吹き込みそう。考えてみるとこの時代だと携帯電話とかあるわけじゃないから、いったん眼前から消えてしまった元メイドさんと連絡をとるなんてすごく難しいことなんだよな。というわけでどうするウィリアム。再会しないままでも、それはそれでこの時代のイギリスっぽい感じがしていいかもなと思ったりもした。

 岩原裕二「いばらの王」は表紙&巻頭カラー。この人のセルっぽい塗りはとても滑らかな質感があってパッと目を惹く。本編のほうもダイナミックに動いている。唐沢なをき「さちことねこさま」。バレンタイン・デー話。なんかさちこがすごくカワイイんですが。唐沢ギャルはやっぱり萌え度高いですよ。この人が本気で萌え漫画を描いたらいったいどうなるのかー……ってもしかしてこれってそういう漫画ですか? 羽生生純「青 オールー」。差能構造、区々、チルの三者が一堂に会する。それぞれに人格がぶっ壊れており、内に虚無を抱えている。というか差能は持っていたものをすべて失った男、区々は虚無から脱け出すためにすがるべきものを見つけた女、そしてチルは最初から持っていない少年、という構図か。彼らの姿を見ていると背筋がゾクリとしてくる。怖い漫画だ。

 福島聡「少年少女」。うーん、うまいなあ。今回は「音」がきっかけで出会った一組の少年少女の話。いわゆる絶対音感という奴ですな。それを巧みに、子供たちが出会い打ち解けるきっかえとなるアイテムとして使い、いっときの心暖まるシーンを演出してみせる手際は素晴らしい。あとこの人は、一人の人物の子供顔、大人顔、老け顔といった、年齢を重ねていったときの表情の描き分けとかすんごくうまいと思う。ていうか漫画のテクニックに関しては全般的にハイレベル。その技量を単純な分かりやすい快楽につなげず、表現的にちと抑えめにしてしまうあたりもこの人らしい。金平守人「カネヒラデスカ?」。この人もうまい。というかすごく器用だ。今回は10ページで抒情、そしてラブコメ! こういういい話っぽいときに限って反応があったりするときっと作者的には複雑な気持ちになるんだろうなあとか思いつつ、それでもやはりきっちり狙いどおり反応してしまう自分がここに。でもまあ面白いものは面白いんでまあ読者としては複雑に考えたりはすまい。


2003年2月号

収録作品
竹本泉表紙
竹本泉よみきり▽もの せきめんのすきま含4C
唐沢なをきさちことねこさま
岩原裕二いばらの王
志村貴子放浪息子
森薫エマ
吉田戦車武侠さるかに合戦
うすね正俊砂ぼうず
作:TKD+画:竹谷州史皆殺しのマリア
羽生生純青 オールー
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
作:ラスト☆パス+画:やまだないと夕陽の落ちるころ
須藤真澄おさんぽ大王
鈴木みそ銭−ぜに−
しりあがり寿真 ヒゲのOL 薮内笹子
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
長田裕幸ぼくのお父さん
福島聡少年少女
タイム涼介あしたの弱音
鈴木マサカズブルー・ドッグ・ブルース
須田信太郎ウルティモ・スーパースター
金平守人カネヒラデスカ?

 竹本泉「よみきりもの せきめんのすきま」。今回は普段は冷静そのものな美人だけど、なんかちょっとしたことでたちまち混乱して赤面しちゃう女の子が主人公。今回はこのシリーズにしては珍しく、恋愛っぽい空気を漂わすだけでなく、恋愛そのものな展開も見せる。別にイチャイチャしたりとかするわけでもないにも関わらず、この程度で気分がいつにも増して華やいでしまい竹本泉の絶妙なコンントロールを再確認させられる。志村貴子「放浪息子」は、修一くんの女装姿をすっかり気に入ってしまった女の子・千葉さんの活躍ぶりがいい。これからも彼女に引っ張られて、どんどん女装を見せてくれそうだ。楽しみ〜。

 上野顕太郎「夜は千の眼を持つ」。今回はパロディネタで来た。えーと何をどうパロディしたかというと……いやいや、書くわけにはいかねえ。ネタバレになっちゃうからね。福島聡「少年少女」はゴロー&ヨシコが再登場。この作品の中ではレギュラーに近い状態で、彼らのことを気に入っているという読者は多いんじゃないだろうか。もちろん自分もご多聞に漏れない。今回はヨシコのほろ苦い初恋話という感じのエピソード。二人ともいい具合に成長しておりますなあ。福島聡は時間の経過を描くのがうまい人だと思う。長田裕幸は読切「ぼくのお父さん」でビーム初登場。授業参観日の日に、とある男の子が営業マンをやっている父親について書いた作文を読む。読後感爽やかに、きれいにまとめてあってソツがない。ただ小器用にまとめすぎちゃっている感じでもある。長田裕幸の作風は、漫画好きなら必ず一度はピピッとくるような才気を感じさせるものだが、そろそろ「その先」が見たい。

2003年1月号

収録作品
森薫表紙
森薫エマ含4C
志村貴子放浪息子
吉田戦車武侠さるかに合戦
竹本泉よみきり▽もの たちくらみの味
作:TKD+画:竹谷州史皆殺しのマリア
タイム涼介あしたの弱音
岩原裕二いばらの王
須藤真澄おさんぽ大王
堀池さだひろまぼろしの世界
福島聡少年少女
うすね正俊砂ぼうず
しりあがり寿真 ヒゲのOL 薮内笹子
唐沢なをきさちことねこさま
鈴木みそ銭−ぜに−
羽生生純青 オールー
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
鈴木マサカズブルー・ドッグ・ブルース
須田信太郎ウルティモ・スーパースター
市橋俊介異常な博士の愛情
金平守人カネヒラデスカ?

 今号の読者プレゼントは一品モノシリーズということで、編集部で余ってた物品をプレゼントにしちゃえっという趣旨なんだけど、開けてみたら馬頭ちーめい「BREAK-AGE」のテレカが入ってた。50度数あるから、実は雑誌の定価490円よりも高い。なんか申し訳ないような気分。

 森薫「エマ」は表紙&巻頭カラーで、エマが奥様のもとに引き取られて来たころのお話が描かれる。恵まれない環境にあったせいか、ちっちゃなころから大人びた表情してますな。ウィリアムと出会ってからのほうがむしろ初々しいかも。志村貴子「放浪息子」。女装好きな少年・ニ鳥くんが何やらたいへんかわいい。甘く軽やかでくすぐられるようなお話。岩原裕二「いばらの王」はいまだ解決しないメドゥーサ病に、生き残りの人々が直面。いろいろと謎は多そうだ。現在のところ、主人公のカスミとイレズミ男くらいしか目立ってないので、ほかのメンツのキャラが立ってくると物語に厚みが増してくるんじゃないかと。福島聡「少年少女」は、夜の学校に忍び込んだ少年少女のラブシーンからお話が始まる。ハッキリは語られないけど、端々で昔っぽさを漂わせる演出はうまいなと思った。チューするときの女の子の表情なんかも垢抜けてなくて、なんだか無性に70年代っぽさを感じさせる。

 唐沢なをき「さちことねこさま」。今回の扉絵のさちこはなんかとてもかわいい。昔のSFブームっぽい感じのタッチがええですな。やっぱり唐沢ギャルはいいよ。堀池さだひろは久々の登場で、読切「まぼろしの世界」が掲載。やまだないと「夕陽の落ちるころ」の代原みたい。「ジ・ガレガレ」が終わってから約3年とか書いてあってびっくり。もうそんなに経ったのかー。「テルオとマサル」の市橋俊介もすごく久しぶり。読切「異常な博士の愛情」。月面に住んでいて、一人じゃ寂しいからロボットにひどいことばかりしている博士と、被害者のロボスケの物語。ヒドい話のような良い話のような……。とりあえず今回は、「テルオとマサル」みたいなアバンギャルドなことはしてなくて、けっこうキレイにまとまってる。


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