◆ 1998年8月上旬 ◆

8/1〜10
【トップページ】  【過去日記トップ】  【俺日記検索】

ご意見・ご感想は→tshibata@picnic.to


8/10(月)……SなるMへ

 一昨日の日記に書いた、コミックジャンキーズの件だが、永山さんのところの掲示板によると「出るとすれば年内」だそう。Vol.5の売れ行きによってVol.6が出るかどうか決まるみたい。とりあえず存在意義はある雑誌だと思うので、まだ買ってない人は買ったってください。とかいいながら、俺は著者献本ということで買ってないんだけどね。

 今日、ホームページ経由のメールで気光治療院というところから、「新しい癌治療のご案内」のメールが届く。きっとこのホームページを見て、「こいつ癌っぽいな」と思われたに違いない。でも、フッタのところにインポテンツ治療のページの案内もあったので、インポと思われたのかもしらん。そういえばこの前、職場で共用のNIFTY SERVEのアドレスにバイアグラの通信販売の案内も来てたっけ。

【雑誌】ヤングマガジン 8/24・31 No.36+37 講談社
 原田重光「イッパツ危機娘」は秘書編に入ってからちょっとパワーが落ちたかな、って感じ。危機に陥る前の説明をちゃんとしている分、理不尽さが足りないような。もっと意味なく唐突に危機に陥ってもいいと思う。前川かずお「DEI48」。今回も素っ裸でヘンな格好して「射出封じ!」とかいったり、馬鹿でいいなー。「おやすみなさい。」(小田原ドラゴン)では今回、鉄郎がバイトでブルセラ用の使用済パンツ作りに挑戦。鉄郎の持ってきたパンツに対する、店長のコメントとか実にいい味出している。もう俺は鉄郎に夢中だ。
 次号のヤンマガ(8/24発売号)では、一時期掲示板でちょっと話が出たイダタツヒコの新連載「HeRaLD」がスタート。それから今度の赤BUTA(8/18発売号)では、激漫(ワニマガジン)で「LIZARD KING」を描いている馬場康史が掲載。タイトルは「セニョール・ペルフェクト」。両方とも楽しみ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/24・31 No.36+37 小学館
 今号から、吉田戦車「ぷりぷり県」4巻の「人気連載PR」(PRを連載してしまうらしい。しかも「人気」)である「戦車に訊け!」がスタート。1ページで、ぷりぷり県などに関する質問に吉田が答えるというもの。しかも聞き手は川崎。「たのもしき日本語」「失敗成功中くらい」でおなじみのコンビ。またしても軽妙な語り口が楽しめるというわけさ。ちなみに7月29日発売予定だった「ぷりぷり県」4巻は8月29日に発売が延期された模様。
 今回の榎本ナリコ「センチメントの季節」は、おっぱいが大きくて悩んでいる女の子の話。形が良くてきれいでいいおっぱいでござった。作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」は第五区の走者、藤本にタスキが受け継がれる。雄介の出番がじょじょに近づきつつある。強引だけど面白いなあ。
 スピリッツのちょっとイキの悪い増刊、Manpuku!は8月17日発売とのこと。俺の注目株は山本直樹、若狭たけし、吉田戦車、古林仁史ってとこかな。

【雑誌】ヤングキング 9/7 No.17 少年画報社
 田中宏「グレアー」がなんか強烈。それぞれ頭と尻が直径2メートルくらいありそうな二人が、日本代表としてサッカーW杯に出場して大活躍しているという話をやっているのだが、やっぱりこのデカさは目を疑うばかりだ。メチャクチャでつい目が引き寄せられてしまう。佐野タカシ「イケてる2人」は、小泉のトモダチの蟻賀瀬&甘糟の二人もかわいくて乳がデカくてけっこう好きだ。ちょっぴりH(陳腐な表現だなあ)でトロットロなり。

【雑誌】オールマン 8/19 No.16 集英社
 巻頭カラーで六田登の新連載「親愛なるMへ」がスタート。人を殺してしまった少年と、彼を監察する保護司の話。六田登のダーク面が炸裂しそうな感じで、かなり期待してしまう。六田登の明るめの話も好きだが、ダークな奴はもっと好きだ。しかし、この人山ほど連載持ってるなあ。深谷陽「運び屋ケン」。いつもきっちり見せてきてうまい。

【雑誌】ビッグコミック 8/25 No.16 小学館
 いけだたかし登場……といってもわりと漫画オタクの人じゃなきゃ聞き覚えのない名前かも。小学館新人コミック賞かなんかを受賞した人で、まれに作品を発表する。絵は高橋しん系。たぶんアシスタントなんだと思う。今回は教育ママの期待に押しつぶされそうになってしまった、小学生の女の子の話「ユーリズミックス」。ちょっと説教っぽいかなー。相変わらず絵はすずしげで好きだけど。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/24・31 No.36+37 集英社
 巻頭カラー「ONE PIECE」は今週もかっこよく面白い。まっすぐで力の入った、爽やかな作風が気持ちいい。作:真倉翔+画:岡野剛「地獄先生ぬ〜べ〜」はヤケクソな感じの読者サービスぶり。最後のコマなんか全部裸だ。乳首を隠すあたりは少年誌の良心ってところだが。開き直っててええのう。
 ジャンプの新人賞みたいな感じの漫画賞、ストーリーキングの結果発表が掲載されていたがキャラクターデザイン部門で準キングを受賞していた滝沢春彦が気になった。今すぐデビューできそうなくらい作画レベルは高い。冬目景+竹内桜って感じの画風。プロかと思ったが、20才とあるのでたぶんアマチュアだろう。まあ絵だけではどうにもならんので、漫画を読んでみたいところ。


8/9(日)……不可未体験

【雑誌】月刊少年マガジン 9月号 講談社
 山原義人「龍狼伝」。三国志ベースの漫画だが、すごくたわけた感じの展開がすごいなーといつも思う。無闇に力が入っててヘンテコだ。とだ勝之「Mr.釣りどれん」は2本立て。ラブコメ的展開がなんか甘甘で心地いい。

【単行本】「からくりサーカス」4巻 藤田和日郎 小学館 判型:新書判
 勝&しろがねがナルミと別れて再出発。ナルミがいなくなってからの展開は今のところ散漫な印象も受けるが、これからテンションを上げるための仕込み期間という感じもしている。

【単行本】「発狂ロストヴァージン!!」 矢追町成増 桜桃書房 判型:A5
 噂通りのシドくてヘンテコで特殊な漫画。ヘンな男が処女に調教を施し、最後に自分で処女を破り中出しして、あげくブチ殺すというのを延々何人分も行うという漫画。最初にまず処女膜の形状観察から始まり、股関節を逆方向に身体全体をV字に曲げた(背中と膝の裏が正対する形)少女のパンパンに膨らんだ女性器にちんちんを差し込み、中出ししたときは必ず断面図で子宮が精液で満たされていくさまを描写する。ネームも異様にしつこい。そこらでさらってきた女の子4人を同時に調教師、最後は腹を裂いて解剖し電流を流して殺してしまうというどうにも救いようのない展開。キャー、ステキ!
 あとセリフもヘンだ。「はっ…初めてなんです せめて深みだけは………くうう深クンッ…生での深みだけは インッ!!」とか「ふっ深み体験なんです…とても……生で挿入はダメなんです コンドーム無しはお願いします………」とか、女の子のセリフはもう日本語になってないレベル(ちなみに上に引用したセリフは全部一つのフキダシに収まっている)。
 ただ、自分的には最近このくらいだと慣れてきちゃって全然OKだったりもする。自分のキチク度の試金石として使えるのでは。


8/8(土)……セキララのセ

 そういえば、コミックビームで泉晴紀が連載していた「Seki-La-La」って単行本に収録されないのかな。けっこう好きだったんだが。
 永山薫さんの日記の8月6日のところを見ていたら、「ジャンキーズのVol.6が年内に出ないことになった」といったことが書いてあった。しょえー。じゃあ今度はもし出たとしてもインターバルが半年近く空くことになる。単行本も例の法案がらみで発行ペースが鈍るなんてことでもない限り、500冊くらいはたまってしまうだろう。それよりも問題は本当にジャンキーズが出るのか?ってことだけど。

【雑誌】YOUNG YOU 9月号 集英社
 3月くらいから開始した女性向け漫画雑誌チャレンジ。今までかなりの雑誌数をこなしてきたが、俺的に一番合う雑誌はやっぱりコレかなあ。その次がプチフラワーあたり。俺は残念ながら少女時代がなかったので、ナチュラルな少女漫画読みの人の、正統派的な読み方からは外れているんではないかと思うので(いまだに少女漫画的教養はあんまりないし)、まあ俺がここに書いている感想とかはしょせんその程度のもんだと思って読んでくださいまし。
 一番の話題はなんといっても岩館真理子「キララのキ」最終回。最後の最後まで錯綜してて分かりにくかった。正直なところこの一回だけを読んだのでは何がなんだか。今までの話もちゃんと遡らないとダメだな。読んでいるうちに固有名詞がこんがらがっちゃうので、きちんと理解しようと思ったら紙に人間関係図を書き出したりしたほうがいいかも。まあともかく、下手につまびらかにしようとして言葉だけで語るようなことにはならなかったので、その点は良かったと思う。謎は謎のまま、ミステリアスに幕を閉じるってのは俺的にはけっこう好みだし。単行本最終巻が出たら改めてまとめ読みしてみたい、っていうかする。
 谷地恵美子「明日の王様」はコンスタントに面白いと思う。榛野なな恵「Papa told me」は相変わらず思索的でシビア。うたい文句は「ヒーリング・ロマン」って書いてあるけど、これで癒されるかなあ?よけい思考の迷路に入り込んじゃう可能性もあるような。西村しのぶはYOUNG YOU初登場とのこと。タイトルは「アルコール」。オシャレでかっちょいいラブ・ストーリー。生身の人間では、とてもこんなにかっちょよくなれないであろうと思われるほどのコジャレっぷりがすごい。山下和美「ゴースト・ラプソディー」。いつもうまいなあ。

【雑誌】FEEL YOUNG 9月号 祥伝社
 三原ミツカズ「DOLL」が好調。今回は機械少女DOLLの開発者夫婦の物語。妻が中心になってプロジェクトは進められていたのだが、彼女は脳に障害を起こし次第に記憶を失っていく。悲しみにつつまれた夫は、妻そっくりに作ったDOLLに妻の記憶を移してみるが……という話。哀しくてでも愛があってええ感じなり。中山亜純「そして僕は恋をする」。オシャレで、かつ甘くてなかなか楽しかった。トキメクなあ。

【雑誌】A'DASH 1989・9 Vol.06 角川書店
 少年エース増刊。オタク少年誌系では一番好きな雑誌(「オタク」ということでくくればビームやアフタヌーンとかのほうが好きだが、エースとかとは別の流れだと思うし)。すごくたくさん好きな作品があるわけでもないが、いくつかかなりいいと思う作品があるので。俺としては「好み」の作品がたくさんある雑誌よりも、「好き」な作品がいくつかある雑誌のほうが評価は高い。
 石田敦子「からくり変化あかりミックス!」。魔法少女モノで能力紹介編みたいな話なので、続き物かと思ったが読切だった。絵は文句なくかわいい。アニメ絵的ではあるのだがベタッとしてなくて、ペンで線を一本一本カリカリ描いたって感じがするところが好き。ただ、話的には読切のわりに変身能力が多彩すぎて、一つ一つの能力のインパクトが弱い。やっぱり続けてなんぼって感じがする作品。
 前田真宏「WALK ON BY」。これもペンのタッチが生きていて好きな絵柄。話はまだ途中なんでなんともって感じだけど。何はともあれ今後も楽しみ。MEIMU「本」。「芸術論」という人を狂わせる本をめぐるホラー。なかなか良かった。MEIMUのこのシリーズの単行本「玩具修理者」が11月1日に出るみたいなので、買ってみようかな。作:大塚英志+画:森未夏「木島日記」。いつものことだが、非常に絵がかっこいい。陰影が利いていて、邪悪な雰囲気をはらみ妖しくなまめかしい。お話もミステリアス。
 次号は10月8日発売予定。

【雑誌】パイク増刊号 ふゅーじょんぷろだくと
 前回の増刊号はB5中とじだったが、今回は平とじに。本誌も隔月刊が月刊になり、なんか最近好調だなーって印象を受ける。
 巻頭カラー、水原賢治「物は壊れる、人は死ぬ 三つ数えて目をつぶれ」は、幻想を信じきれない少女の心理描写がわりとうまい。蛍をつかまえようとして、掌でつぶしてしまい、匂いを嗅いで「ほたるって……くさい……」というあたりの展開が良かった。全般的には、ボリューム面でもの足りなくもあるんだけど。TAGRO「BUNNY HIGH」。この人の絵は相変わらずかわいくて、それでいていやらしくていいなあ。
 わんぱく「小熊のミィシャ物語」。この本の中では一番気になった作品。絵がちょっと相楽直哉っぽくて美しい。親と死に別れ心を閉ざし「自分はみにくいけもの」だと思い込んでいる少女に、クマの着ぐるみを着せて、学校にも行かせず閉じ込めて調教している野卑なオヤジの話。こういう可憐な少女が、きたならしいオヤジにいいようにだまくらかされて虐待されているような悲惨な話って、実用性とは別の次元でかなりツボに来る。


8/7(金)……Teen Shock Noise Me!

 中川いさみの「転職の泉」はけっこう面白いので好き。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 8/20 No.16 小学館
 魚戸おさむ「がんばるな!!!家康」が新連載。この人の漫画に漂う妙なテンポはけっこう好き。話的にはこういったオヤジ系雑誌によくあるタイプの、飄々としていておいしいところは持っていく系サラリーマン物語なのかなーって感じ。それはそれとして、巨乳〜んって感じのバカバカしいこともやってほしい。「あぶさん」(水島新司)はもう景虎(あぶさんの息子)が高校3年生の夏の甲子園。最近ペースが早まっているような。親子対決に向けて気が焦ってるとか?
 あと8月11日発売の増刊号で、花輪和一の漫画が掲載されるらしい。

【雑誌】コミックライズ 9月号 メディアックス
 KAME「秋祭り」がなかなかうまい。日中戦争のさなか、僻地の村にやってきた見世物小屋。何か面白いものが見れるとワクワクする少年が、見世物小屋の一員と思われる口がきけない少女と出会い、ほのかな初恋を抱く。しかし、その見世物小屋は実は裏でその少女に売春をさせてあがりを得るというものだった。少女が村の人々、そしてあまつさえ自分の父に抱かれるところを目撃してしまった少年。悲しくも切ないありし日の一風景……って感じの作品。この人の作品って俺は久しぶりに読んだけど、絵はスタイリッシュでうまくなっているし、話もなかなか読みごたえがあった。
 あとは朔ユキ蔵「色あせた世界」。転校するイジメっ子の少女が、実は男たちの慰み者としてイジメられていたのを目撃したイジメられっ子の少女。弱肉強食の食物連鎖的イジメの輪、そして逆回転する呪詛の輪。因果応報、業深い。線が細くスッキリした絵も目を惹く。すがわらくにゆき「おれさま!ギ☆ライズ」もいつもどおりナメくさってて面白かった。8月下旬「魔術っ子!海堂くん!!」単行本発売。買うぞ。

【雑誌】コミックアルファ 8/22 No.10 メディアファクトリー
 相変わらずイキの悪いコミックアルファだが、山川直人の作品「成瀬美樹夫の天職と転職」が掲載されているので購入。相変わらずの丹念なカケアミが美しい。お話はまあ普通かな。山川直人にしては面白くないほう。山川直人のアルファ掲載作品だと背景がいつも気になる。看板とかでコミティア系サークルの名前を使ってることが多いのだ。今回も「ながまる堂」(冬目景が参加しているサークル)、「ヌクレオチド」「東風社」「YOIKO」「のの乃屋」など。細かいところで遊んでるなあ。あと、「薬膳仙女マダム明」(作:楊愛蓮+画:花小路小町)がわりといつも面白い。今回はマダム明の生い立ちが語られる。あそこのシマリを良くするための足で針をつまむ特訓など、子供のころにした修行を思い出すといった話。こういうヘンで地道な特訓ってなんか惹かれるものがある。あと纏足とか(この漫画ではやってないけど)。


8/6(水)……不死のジュリン

 J・R・R・トールキン「指輪物語」を読んでいると、このタイトルの元ネタが分かるぞ。
 今日も合併号の雑誌が3冊。合併号でいつも不思議に思うのが「No.〜」の表示。例えば今日読んだヤングサンデーは「8/20・27 No.36・37」だが、「8/20・27」は日付の表記なのだから分かるとして、なんで「No.」の部分まで2号分書くんだろ。一つにしといたほうが、その年に何冊雑誌を発行したか分かりやすくていいと思うんだけどなあ。

【雑誌】ヤングサンデー 8/20・27 No.36・37 小学館
 いわしげ孝「新・花マル伝」。今度は木元まで道場破り開始。力強さと気迫が、中学生編よりも増している。カサギヒロシ「鉄壁電飾城」は、警備員・川野が幻想をいったん破壊され、そこから開き直る。「バイソン」のころと同様、女の子がなんか色っぽくていいな。作:鍋田吉郎+画:藤原芳秀「コンデ・コマ」。嘉納治五郎強し。軽やかでかっちょいい。でも顔が異様にデカい。
 コージィ城倉「愛米」。最近すごくいい。ラブの変わりっぷりが唐突なうえに徹底している。強引さが好きだ。「ぬーやん」とか描いてたころからけっこう好きだったんだけどね。新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」。自制心のない人殺しが日本中を巻き込み、社会的な現象に。膨らんだ個人のイメージをきっかけに社会がゆらぐ。面白いなあ。

【雑誌】モーニング 8/20・27 No.36・37 講談社
 さだやす圭が新連載をにらんだ読切。タイトルは「ダニ」。ヤクザでないけど、ヤクザのような生活をし、自分の好きなことを好きなときに好きなだけする自由な男・通称「ダニ」が主人公。わりと中途半端なところで終わっているが、これは予告編的位置づけみたい。冒頭の力強く焼肉を食いまくるシーンがワイルドでいいなあ。俺も焼肉食いたくなっちまった。燃え上がる肉欲。榎本俊二「えの素」。下品でパワフルでスピーディでリズミカル。毎度素晴らしい。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 8/20・27 No.37・38 秋田書店
 高橋葉介「学校怪談」。お、高橋葉介世界では有名なアノ人が……。馬場民雄「大介ゴール!」。大介のループシュートなどがSGGK(スーパー・グレート・ゴール・キーパー)的な相手に止められまくる。漫画ではあんまり出てこないループシュートだが、実際のサッカーの試合で決まるとかっちょいいのですごく好き。W杯最終予選で、日本の山口が韓国相手に決めたゴールも芸術的で、シビれたなあ。

【単行本】「蹂躙」 もりしげ 桜桃書房 判型:A5
 第2単行本。前回の「子供の森」(オークラ出版)は昔の作品もけっこう多かったのだが、これは最近の作品で固められている。なんといってもあの凶悪な作品、「学校占領」が全4話収められているのが注目。冷酷で残虐な男どもが小学校の教室を乗っ取り、そこに居合わせた可憐な少女たちを薄笑いを浮かべつつ踏みにじり、弄び、嬲り、凌辱するというまったく救いのない鬼畜ぶり。その残虐な攻撃衝動には圧倒されるばかり。読んでてビリビリくる。心臓の弱い少女を無理矢理犯して、発作で一度死にかけたのを心臓マッサージで蘇生させてまた犯すといった、冷酷無比な所行がたまらない。いやー、すばらしい。やっぱりホンモノは一味違う。
 内容が内容なだけにいつ買えなくなるか分からないので、ちょっとでも気になった人は速攻で買うことをオススメする。ただ、少しでも嫌悪感を持った人は間違っても買わないように。それはその人にとっても、ファンにとっても、もりしげにとっても不愉快な出来事しか生まないと思うのだ。

【単行本】「プレジャー・パラダイス」 マーシーラビット 司書房 判型:A5
 ああ、もうばいんばいんだねえ。でっかい乳、やわらかそうな身体、何本も出てくるちんちん、豊富な体液。実用一直線の潔い作風。話的には非常にあっけらかんとしているんだけど、実用的なアイテムが揃っている。エロシーンでないページでも、脈絡のないパンチラなど、たいてい一つはサービスカットを用意しているあたりもきっちり仕事しているな〜って感じ。健康的で、淫靡ではないんだけど十分いやらしい。女の子も実にうれしそうにやりまくっていて、もう実にお手軽に感じまくる。こういうストレートで即物的な手っ取り早いエロも好きだっ!


8/5(水)……カシラギハルコ

 そろそろお盆休みに向けて合併号ラッシュ。つーことで来週の後半あたりから新着単行本・雑誌はちょっとお休みになる。こーゆーときは、古本と同人誌かな。来週末はコミケだし(たぶん行かないけど)。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 8/19 No.9 講談社
 巻頭カラーで一色まことのピアノ漫画、「ピアノの森」が新連載スタート。出だしはなかなかいい感じで、面白くなるかもという予感を漂わせている。作:山本英夫+画:こしばてつや「援助交際撲滅運動」。ついにエンボクの首謀者・クニが狩りの網の中に捕らえられる。次号、バトルの予感。また痛々しい展開が待っているのだろうか。クニも一筋縄では行かなそうな男だけに楽しみ。玉置勉強「恋人プレイ」は相変わらず好調。単行本は11上旬発売とのこと。購入決定。あと、「榎本俊二の映画でにぎりっ屁!」という1ページ漫画がやけに楽しい。ひょっとして、本編の映画よりも楽しいかも。映画のほうは観たことないけど。

【雑誌】週刊少年マガジン 8/19・26 No.36・37 講談社
 藤沢とおる「GTO」は強引だけど、見せ方がうまいなーといつも思う。売れているだけあって、やっぱり人を引きつけるだけのものはある。「Jドリーム完全燃焼編」(塀内夏子)。今回は嶋が完全復活。いいとこ持ってくなあ。それにしてもゴールキーパー、上條の復活はないの?小川悦司「真・中華一番」ではマオの逆襲開始。だらーとよだれを垂らしているギャラリーがマヌケで味があるなあ。この過剰さは好き。真船一雄「DoctorK」も無闇な力の入りっぷりがいい。

【雑誌】週刊少年サンデー 8/19・26 No.36・37 小学館
 作:坂田信弘+画:万乗大智「DAN DOH!」。今回は「母をたずねた三千里」状態。坂田信弘って物語の盛り上げ方が強引だなあ。好きだけど。河合克敏「モンキーターン」は勝負の駆け引きがなかなか面白い。ライバルながら阿吽の呼吸で協力してしまう、洞口と波多野のコンビがいい感じだ。久米田康治「勝手に改蔵」。今回は千葉の海を湘南にせんとするお話。くだらなくって馬鹿馬鹿しくて楽しいや。

【雑誌】零式 Vol.5 リイド社
 この雑誌の中で、マニア筋注目作家はなんといっても目黒三吉。今回も掲載。タイトルは「ミラクル宇宙★パワー」。絵は毎度うまいし、乳の描き方なんかすごく好きだ。ただ、この作品はわりとフツーの出来。もうちょっと奇を衒ってくれたほうがうれしいな。それから大暮維人がゲスト執筆。タイトルは「oneself」。作品としての出来は今一歩かな。絵はもちろんいつもながらのクオリティ。湯河原あたみ「自爆超人ビザールマン」はなんかみずみずしい肉体の描き方が好みだ。
 巻頭カラー、すえひろがり「CIRCLE」はいつもどおり、なまめかしくいやらしい。「最近のすえひろがりはマンネリだ」っていう人もいるけど、マンネリだって面白くていやらしければそれでいーじゃん、と思う。別に人間は絶えず進歩しなくちゃいけないわけじゃないんだし。
 余談だけど、俺は「人間は成長しないものだ」という考え方の持ち主。といっても実際に成長する人がいないと思ってるわけじゃなくって、そういう前提でものを考えるようにしているってこと。これだと、成長しない人を見ても「まあそんなもんだろ」と受け流せるし、成長した人を見るとうれしくなれる。マイナスはなくてプラスはありという感じだ。逆に「人間は成長するものだ」という前提に立っていると、成長した人を見てもそれが普通で、成長しない人を見ると不満、というふうにプラスなしマイナスありという精神状態になってしまいがち。だからつとめて「人間は成長しない」という観点に立つようにしている。これが正しい考え方だなんて思わないが(そもそも考え方に正しいもクソもないと思うし)、気がラクであることは確か。そして、俺は自分さえ気がラクならそれでいいのだ。
 零式に話を戻すが、「EROTIC COMIC CROSS REVIEW」で紹介されていた矢追町成増「発狂ロストヴァージン!!」は買ってなかったので買わなきゃな。このクロスレビューコーナー、今回から「誰誰のオススメ」っていう形式で、4人の評者のそれぞれのオススメ作品を取り上げるって形になった。俺としてはできれば、推薦者が長めのお勧めコメントを書いて、それにほかの3人が簡単なコメントをつける(1行か2行程度で良し。なくてもいい)……って形式のほうがいいと思う。オススメした人にはそれだけの理由があるんだろうし、その理由のほうをじっくりと読みたい。オススメしてない人だって、自分が好きでないものにも均等にコメントつけるのは面倒だろうし、熱も愛もないコメントは俺としては興味ない。現在のだと、各人のコメントが短くて俺的には読みごたえが足りないってのもある。

【単行本】「ザ・ワールド・イズ・マイン」5巻 新井英樹 小学館 判型:B6
 ヒグマドンとの邂逅で変わるモンちゃん、そしてトシが犯人と知った母親の驚愕・絶望・破滅が描かれる第5巻。とくに母親の心理描写の細かさ、力強い効果的な演出が素晴らしい。今さらいうまでもないことだけど、すごく面白い。今のところ98年俺的ベスト作品の本命。

【単行本】「よいこの星!」5巻 柏木ハルコ 小学館 判型:B6
 グズのたみにもいい顔をしようとして自分の取り巻き連中の不信を呼びイライラ募るすなお、ちょっとふっきれたまりあ、その他大勢といった、さまざまな小学生たちの疑念、嫉妬、虚栄などが渦巻く暗闘物語。連載で読んでいても十分陰湿だが、単行本でまとめてグワッと読むとさらにくるものがある。このやりきれなさは並じゃない。コップの中の嵐を、丹念に描き出していく執拗さには頭が下がる。

【単行本】「SUNFLOWER」 さつきのそのいち ワニマガジン 判型:B6
 この人の場合、魅力はやっぱり絵。いい雰囲気の話もあるんだけど、わりとありがちというか凡庸な展開のものが多い。でも、このソフトフォーカスで、輪郭線が光線の中に溶け込んでいくような、透明感のある絵柄は独特。指の間からサラサラとこぼれ落ちる、細かい白い砂のような感触。収録作品の中では「雪の日のプレリュード」が切なくていい。目が見えない妹の手術代を作るためにヤクザな仕事をして手を汚す兄と、彼を頼り一心に慕い続ける妹の哀しいお話。


8/4(火)……おごってジャンキーズ隊

【情報誌】コミックジャンキーズ Vol.5 コアマガジン
 手違いで見本誌の発送が遅れ、ようやく到着。本屋で立ち読みはしていたんだけど、ようやく落ち着いて読めた。といってもまだパラパラ目を通しただけだが。全体的に見て、まあまあよくできているんじゃないだろうか。規制問題についても、まあやっとかないといけないネタだと思うし(できれば一般向けの漫画情報誌でこそやってほしいところ)。
 この雑誌の目玉の単行本レビューだが、最初は5月発行予定だったのが遅れに遅れたため、本がたまってしまいギチギチのレイアウトに。永山さんなんて150冊書いたといってたけど、たいへんだったろうなあ。いってくれればもうちょっとは俺も書けたんだけど。今回は26タイトル書いたが、50タイトルくらいまでは頑張ればなんとかできると思う。
 自分の書いたところは、自分で評価下すのもなんなので判断は読んだ人に委ねる。ただ、前回2回よりは文章的には少しこなれてきたかな〜って気がする(気のせいかも)。書評って、自分の読んだ本についてのもののほうが気になってしまいがちだけど、俺としては基本的にまだその本を読んだことのない人向けのバイヤーズガイドを目指して書いたつもり。だからあんまり読み解き型のレビューはしなかった(っていうかそういうの苦手)。俺の文章を読んで、当該単行本を買いたくなったという人がいればうれしいなあ。
 この原稿だけじゃなく、自分の書評系の文章を見るといつも痛感するのが自分の語彙の少なさ。「コレを言い表すにはもっと適切な言葉があるはず」などという思いがいつも頭をよぎる。あと「この文章で、この単行本がどんな本だか分かるか」という情報面、「その本を読む気にさせる熱い文章は書けたか」「俺の読み逃している面白さがまだあるんじゃないか」とかいうことも気になる。金もらって原稿書いているんだし、もっと修行せねば。
 あー、あと執筆者紹介のところで「ネットの漫画論壇ではすでに有名」なんてあるけど、そういわれるとなんか照れるなあ。ちなみにこれ書いたの俺じゃないからね(たぶん永山さん)。ところでホントに有名なのかなあ、俺って。
 それにしてもやっぱり今回のギチギチぶりを見れば分かるとおり、こういう雑誌は定期的に出してなんぼ。そうでないと単行本の発行ペースに追いつかなくなってしまう。でも次号予告が載ってない。次はちゃんと出るんかなあ。読者コーナー宛てのお便りの〆切は9月15日になっていたけど……。

【雑誌】LaLa 9月号 白泉社
 津田雅美「彼氏彼女の事情」は次号から再開。
 マツモトトモ「キス」。例の二人が微笑ましくて楽しい。清水玲子「WILD CATS II」。97年9月号掲載の「WILD CATS」の続編(らしい。俺はそっちのほうは読んでいない)。人の手を転々と渡り歩いた犬のトングが、本当に自分を必要としてくれる主人を求めていくというお話。途中までうまくいかないトングだが、最後でいいご主人様に巡りあえて……といったあたりはなかなか感動的だった。藤川佳世「かたつむり前線」。ストレスによってかたつむりになってしまうという(なぜなってしまうかの説明はなんにもなし)カジワラを中心とした、学園ラブコメ。ほのぼのラブラブで楽しく可愛らしい。なかじ有紀「BRAN-NEW」。オトコノコとオンナノコのかわいらしい恋愛模様。トキメクなあ。

【雑誌】ぶ〜けデラックス 9/10 集英社
 A5版分厚いサイズ。なんといっても1000ページくらいあるので、読むのが非常に疲れた。手も疲れるし。でもこの厚さでB5サイズでやったら紙代もばかにならないだろうし、異様な迫力があるだろうなとは思う。
 巻頭カラーの桃栗みかんはなんか「変」の奥浩哉を思い出す絵柄。お話も男の子の魂が女の子の中にはいっちゃって……という、中性的でちょっとHなお話。乳がデカいあたりも似ている。絵的に気になったのが緑山りょう「サナギ、ハネタ」。ミリペン系の均質な線で、コジャレている。北村ヒロ「釣りたい」は二ノ宮知子系の絵柄。肩の力の抜けたストーリー運びがわりといい。それから、今回この本を買った理由の木村多江「海に続く道」。ぶ〜けNEWまんがコースグレードIII受賞作で、予告を見て絵が気になっていた。まだまだ至らないところはいっぱいあるのだが、全体的に清涼感のあるさわやかな絵柄。ちょっとジブリ系。画面構成は若干窮屈かなーって感じもするが、話もわりと気持ちよかったし、地味だけど修行すればそれなりに行けると思う。

【雑誌】ビッグコミック 9/3増刊号 小学館
 たかもちげん「やだね!」。牽制球を何球も投げて、打者を相手にせずにアウトを奪う、日本人メジャーリーガー投手が主人公。ひょうひょうとした感じがけっこう面白い。岡崎二郎「NEKO2」は相変わらずのうまさ。猫も主人公の女の子もかわいくて、ほっとするし、最後の〆もきっちり。さすが。

【単行本】「シネマ」1巻 六田登 小学館 判型:B6
 怒濤の映画バカ、サバニが主人公のドラマ。実に六田登らしい、バカで熱い男を描いている。「ICHIGO」みたいな異常にダークな作品もうまいけど、こういうちょっとコミカルな奴もまたうまい。


8/3(月)……ピットーリオ・エマヌエーレ

 今日の日記タイトルはコミック・ピットと引っかけてあるのはもちろんだが、ちなみにヴィットーリオ・エマヌエーレ2世はサルディニア王で1861年にイタリアを統一し、初代国王になった人物だ。だからどうした。

【雑誌】ヤングマガジン 8/17 No.35 講談社
 前川かずお「DEI48」は相変わらず力いっぱい馬鹿。毎度毎度マヌケている。これだけやってくれると爽快。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」もいつもながら楽しい。暗闇の中で相変わらずヘンなことを考えながら、常に予想外の展開を読んでしまう鉄郎がナイス。しかも今回着ているダサいトレーナーに書いてある文字は「Pianica」(ピアニカ、だろうなあ)。こういう細かい情けない言葉を見つけ出してくるセンスも好きだ。かなり猛烈に。福本伸行「カイジ」。なんかちょっとだけ光明が見えた。来い、市民。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/17 No.35 小学館
 榎本ナリコ「センチメントの季節〜夏の章〜」スタート。今回は男根とカメってことで、なんか分かりやすすぎな気がする。相変わらずうまいけど。現代洋子「おごってジャンケン隊」。今回は連載始まって以来、いちばん面白かったかも。ターゲットはガチャピン&ムック。ガチャピンはスキーしたり、ダイビングしたり、プロレスしたり、いろいろ大変だなあ。
 青山広美「ダイヤモンド」。このところの展開は力強くてすごくかっこいい。読んでるほうもどんどん力が入ってくる。いいなあ。伊藤潤二「うずまき」。今回は人間がカタツムリになってしまう、病気だかなんだかのお話。気持ち悪いけど笑えて、笑えるけど気持ち悪くて面白かった。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/17 No.36 集英社
 尾田栄一郎「ONE PIECE」。ゾロ敗れる。だけど、かっちょいい。桂正和「I''s」は今回、舞台は海ってことで水着がバリバリ。何げに同行しているショートカットの子もかわいいなーとか思った。

【雑誌】ホットミルク 9月号 コアマガジン
 柱がないといわれ続けているホットミルクだけど、それだけに号によって出来不出来がけっこうある。で、今回はいいほうに出ていると感じられた。実用面でいい線行っている作品が多かったと思う。やっぱりエロ漫画だと、実用って大事。今やそれがすべてじゃないとは思うけど、そこさえ押さえておけばとりあえずの形にはなる。逆に実用面が充実してない場合は、それだけ別の仕掛けを用意しないと苦しい。
 まずはたかしたたかし「ぐるぐる!ジャングル!!」。いつもパターンはおんなじで人間の女が、言葉を話すケダモノたちにぐっちゃんぐっちゃんにされる(今回はプラス人間の男もあり)のだが、大量の汁が噴出するエロシーンは怒濤の展開。雰囲気も楽しいしさすが。それから砂「キャンペンガール涼子」もなかなか。骨太でマッチョ、画面のアングルも迫力がある。キャンペンガールの涼子が、「SEXをする売春婦」としてでも、「SEXをしない売春婦」としてでもなく生きていくために「趣味としてSEXを楽しむ」人生を貫こうとする。迫力のアナルファック、ゴツゴツしたちんちん。一般向けの可愛い絵柄ではないが、ほかとは一味違う個性を持っている。
 門田一世「メッセージソング」。アイドルデュオが夜な夜なコンサートの後に、ファンの男を喰う(SEXするって意味ね)というお話。ラストとかは中途半端でイマイチだが、エロシーンは濃くてボリュームもある。それからTAGRO「A LOT OF」がかなり素晴らしい。お得意の多乳をやったかと思えば、単乳もやったりする。乳が身体中に10個くらいできて乳首は30は超え、さらに身体中の乳に性器がくっついているのを多人数の男たちが犯しまくる。バケモノ的でありながら、スッキリした画風のおかげで実用的になってしまっているあたりスゴイ。巻中4色「菜々子さん的な日常」(瓦敬助)は、肌にむっちりとした質感があってなかなか。
 記事ページはいつものとおり、なんだけど相変わらずノンブルが振ってないのは不便。あと、モノクロの場合、文字の下にイラスト敷くのは見にくいな。

【雑誌】コミック・ピット 9月号 光文社
 ファンタジー系でリリカルな作品とJUNE的かっちょいい男の子系が半々。なんか作品カラーとしてはなんでもありって感じ。よくいえばバラエティに富んでいるし、悪くいえば寄せ集め的。ここでいうファンタジー系ってのは「剣と魔法」とかそういう奴じゃなくって、美しくて心がふわーっとするような、ファンタスティックな奴のほう(うまくいえない)。ちなみに俺がこの日記などでファンタジーという場合はだいたい「剣と魔法」のほうは指してないのであしからず。
 わたなべちひろ「イオン・チャンネル」。意識が目覚めてしまった人型電脳少女と、彼女を作った博士とのラブコメというか、まだラブまでは至っていないコメディ。すっきりとした絵柄で読みやすい。なかなか面白いと思う。こがわみさき「でんせつの乙女」。こちらはすずしげで美しくまとまった絵。かわいくてよくできている。読後感も清涼感がある。現代の狼男と、飼い主に近づきたいという想いがつのって猫又になり今は少女の形をとっている猫が主人公。
 池田おさむ「たま」はハリネズミとイグアナをめぐるドタバタペットもの。さっぱりとした絵柄で楽しい作品。浅矛峰子「赤い灯火」はおでん屋台を舞台にした人間ドラマ。デッサンのきっちりした端正な絵柄でなかなか。あとは「DEMEKIN」(アヤベイツキ)が目を惹いた。なんとなく舌足らず(って感じのする)絵柄なんだけど、小さくて可愛らしいファンタジー世界。
 かっちょいい男の子系は俺にはイマイチ読めなかったけど、そのほかでわりと読みどころがけっこうあってなかなか面白い雑誌だった。次号は10月29日発売。


8/2(日)……あのねもね

 仕事がちょっとだけ一息ついて中休み。貪るように眠る。明日はまた忙しいけど。で、今日の読書はガロ、町田ひらく、花輪和一、近藤ようこ、諸星大二郎、土田世紀となんかいかにもな感じのクサいメンツ。

【雑誌】ガロ 9月号 青林堂
 一部の人にとって、一番のニュースは新谷明弘が描いているってことだろう。今回は背広を着てネクタイを締めた、実直で人がいい卑屈な悪魔のお話。この人の平々凡々としていながら、どこかしらズレていて、なおかつプリミティブなSF魂を持った作風はほっと一息って感じの味がある。西岸良平の昔の短編にも通じるような雰囲気。今回の「魂」はわりと普通の出来だけど。
 巻頭ではつげ忠男「日本三文死集」が新連載。なんか笑っちゃうような、情けない死に方について描く作品。そこそこ面白いかなって感じ。「新世紀アダム好キーUFO解脱マン」(キクチヒロノリ)。今回はついにUFO解脱マン出てこず!なんかわけの分からない展開が続くなー。今までの展開がわけの分かるものだったってわけじゃないけど。細川貂々「不思議結晶受信機」。けっこうファンタジーしてて、なおかつちょっぴりノスタルジックでなかなか面白かった。絵は我孫子麻理絵系でそれをもっとほっそらさせた感じ。夏目新次「花」は白黒のコントラスト、線の強弱を強く利かしたなかなか雰囲気のある絵。光線で輪郭線を消失させるタイプ。なんか誰かの絵に似ているような気がするんだけど、名前が出ない。森未夏でもないし、奥瀬サキでもないし、松本嵩春でもないし……。というかところどころにそれらの人たちに似たような感じの絵柄があるって感じかな。その人たちよりはまだ全然うまくないけど。
 で、なんか次号から新装刊らしいけどどんなふうに変わるんじゃろう。

【単行本】「green-out」 町田ひらく 一水社 判型:A5
 待望の町田ひらく最新刊。詳細は町田ひらくページのほうに書いておいたので、そっちを参照のこと。

【単行本】「朱雀門」 花輪和一 青林工藝舎 判型:A5
 COMICばくに掲載され同じ「朱雀門」というタイトルで、日本文芸社発売されていた単行本の焼き直し。とはいえ、元の本を持っている人もあんまりいないだろうから復刊は喜ばしい限り。お得意の日本中世モノ。グロテスクなんだけど、妙にのんびりした味のある花輪和一ならではの作風が堪能できる。胸に巨大なダニを抱えて生きていく人々を描いた「崇親院日記」、サンショウウオと魚が入り混じったみたいなナゾの生き物を妻として迎え入れた家庭のお話「市魚」など、素晴らしい世界がてんこ盛り。またバリバリになってこんな作品を描いていってほしいもの。

【単行本】「アネモネ駅」 近藤ようこ 青林工藝舎 判型:A5
 お得意の家族モノ。淡々と過ぎていく日常と、家族の心の動きを丹念に描き出した作品。とくに共に年老いた兄と妹の姿を描いた「思い出」はジーンときた。家族を亡くし一人ぼっちの兄のもとにいろいろと世話にくる妹だが、実はすでにボケていて彼女の頭の中にはいい思い出だけしか残っていない。実は兄は、妹の夫を借金の保証人にしてどん底に突き落とした男なのだが、妹はそれさえも忘れてただ思い出の中にのみ生きている。そして繰り返されていく日常。いやー、面白かった。

【単行本】「夢の木の下で」 諸星大二郎 マガジンハウス 判型:A5
 モボクという、人と共生する木のある不思議な異世界を舞台に旅人がさまざまな景色、人々、生活を見ながら旅をしていく……という連作「夢の木の下で」シリーズと、「壁男」シリーズを収めた作品集。とくに「夢の木の下で」シリーズが秀逸。アクションがあるわけでもなく、旅人の目を通して淡々と描かれていく奇妙なSF的世界。砂漠にすり鉢状の巣を作り人間を捕らえてはエサとする植物とか、水や養分を求めて転がって移動する奇妙な丸い植物、まともに動くものは嫌いガラクタのみを珍重する人々などなど、奇想に満ちあふれていてそれでいてどこか哲学的。諸星大二郎テイストバリバリで非常に良かった。
 それにしても、コミックアレ!系のマガジンハウスの単行本ってホントにいい仕事してるよな〜。秀作揃いだ。

【単行本】「春の夢」 作:宮本輝+画:土田世紀 文藝春秋 判型:A5
 コミックビンゴに連載された作品。親の借金のせいで夜逃げした大学生が、生活に困窮しながら自分と向き直って生きていく物語。ひょんなことから下宿の壁に釘で打ちつけてしまったトカゲ。何もできないが驚異的な生命力でいつまで経っても、打ちつけられたまま生き続けるトカゲに自分の姿を投影する主人公。丁寧に描かれた物語でガッチリと読ます。


8/1(土)……フルーツ劣等100%

【雑誌】ヤングマガジン 8/10 No.34 講談社
「おやすみなさい。」(小田原ドラゴン)。今回も楽しかった。自分の部屋で一人になって、一生懸命、マッチ(近藤正彦)の新しいあだ名を考え続けるという、その無駄っぷり、下らなさが最高だ。「ストッパー毒島」(ハロルド作石)。ペナントレース最後の試合でヒートアップ。あの例の10・19、ロッテ×近鉄戦と同じようなシチュエーションだが、アレを越えるようなかっこよさを果たして描けるかな?
 かたぎりわかな「うさぎグルーヴ」。久しぶりに登場。相変わらずトボけた味だなあ。ただ、この人の場合は2ページ単位とかじゃなくって、8ページくらいかけて1本の作品にし、ノンストップでボケまくってくれたほうがいい感じがする。「アゴなしゲンとオレ物語」(平本アキラ)。アナーキーですごくステキだ。工事現場の朝のワンポイント点呼に尋常ならぬ情熱を燃やすゲン。うーん、あぶない。永野数馬「劣等25%」は最終回。最初はものすごく奇を衒ってて脈絡がなくて、どうなっちまうんかと思っていたが、最後はハードでかっちょいい終わり方だった。青臭いけど、力強いメッセージ。絵はうまいとはいえないかもしれないが、個性的な迫力があるし、何より力強い。均一な太さの線ではなんだけど、キャラクターたちの表情がスゴくヘンでワイルドな力がある。面白かった。単行本は10月6日発売。当然買うだろ。

【雑誌】ミスターマガジン 8/12 No.15 講談社
 作:浅田次郎+画:幸野武史「天切り松闇がたり」は大正時代に、「怪盗」と呼ばれた男「天切り松」の生涯を描く作品。なかなか力が入ってていい感じになりそうな気配。 怪盗の少年時代というと、ハヤカワから出ている小説、北村想「怪人二十面相・伝」を思いだしたりもする。この小説なかなか面白いので、機会があったらぜひ読んでみてほしい。犬木加奈子「地獄鳥」は最終回。まあまあってところ。もうちょっと引っ張って存分に語らせてもよかったかもしれないが、まあこんなもんでしょ。あと、矢荻貴子「処刑女王様蓮花」は、女の子に怪しい色気があるんだけど、なんか可愛くていい。

【雑誌】ナマイキッ! VOL.8 竹書房
 コンビニ系のちょっとだけオヤジっぽい、でも美少女系のエロ漫画雑誌。今回は克・亜樹がゲストで登場。タイトルは「つぼみの風景」。しかし、この人も本格的にエロ漫画な人になってきた感がある。前から好きだった花屋の看板娘にいつまで経っても気持ちを伝えられなかった男が主人公なんだけど、ある日彼女のほうからデートに誘ってきて……という話。安易でご都合主義なんだけど、このお手軽さは魅力でもある。野村直樹「ユサちゃんお仕事よ」は異常に馬鹿馬鹿しいお話のオヤジ系お色気ギャグ漫画。いきなり全裸になって高校球児に野球を指導し始めるヒロイン、そして最後の投げ遣りなラスト。「爆乳輪高校」とか「チクビボッキスタジアム」とか、ヘロヘロなネーミングも素敵。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 8/15 No.16 小学館
 小山ゆう「あずみ」。毒矢に当たってヘロヘロ状態のあずみが刺客の左近に抱かれそうになっている。なんか色っぽくていい。「演歌の達」(高田靖彦)は毎度、安定した面白さ。一話一話の〆とか、モノローグとかが実にうまいと思う。「でんでん虫」(作:坂田信弘+画:かざま鋭二)。脂っこい漫画んだけどけっこう読ます。坂田信弘原作の作品って、「DAN DOH!」「奈緒子」など、けっこう面白い作品が多い。それから、今回一番目についたのは林義之「ナーガルジュナ」。第40回小学館新人コミック大賞佳作受賞作家らしい。ちょっと三浦建太郎を思い出す絵柄。1800年前のインドを舞台に後に高僧となる、ナーガルジュナの若き日の冒険を描いている。絵の完成度も高いし、わりと骨太なお話を描けそう。けっこういい。作:武論尊+画:池上遼一「Strain」は最終回。ちょっとあっけない感じがなきにしもあらずだけど、池上遼一系ってみんなそういうとこあるからなー。

【トップページ】  【過去日記トップ】  【俺日記検索】

ご意見・ご感想は→tshibata@picnic.to