◆ 1999年4月上旬 ◆

4/1〜10
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4/10(土)……ねこみみにはさんだのにゃ

 コミックビームの定期購読を申し込んだというのは以前書いた通りだけど、さっそく定期購読開始後の第一号がおうちに届いた。書店売りよりも早く到着してうれしい。予告されていたおまけは編集長O村氏生写真だった。喜ぶ人が果たしてどれだけいるのか? とりあえず俺は笑った。

【雑誌】エースネクスト 5月号 角川書店 B5平
 今号は作:大塚英志+画:森美夏「木島日記」が休載。これが載ってないとだいぶさみしい感じ。介錯「鋼鉄天使くるみ」(なんかアニメになるそうで)と大野哲也「天使になるもんっ!」の、あまりのベタベタオタクっぷりにしばしトリップ。とくに「天使になるもんっ!」は、あの絵で、「〜にゃ」としゃべる猫耳娘の破壊力がすごかったにゃーん。石田敦子「からくり変化あかりミックス!」は、今回もいい。線がとてもきれいでかわいくて、でもベターッとした感じの画面にならない。お話も心優しく、周りの困っている人をほっておけなくて頑張ってしまう小学生の少女あかりがちゃんが健気でよろしい。

【雑誌】ヤングアニマル 4/23 No.8 白泉社 B5中
 鶴田謙二の描き下ろしピンナップ付き。まずは二宮ひかる「ナイーヴ」が最終回。身体から始まった例の二人は収まるべきところに収まりハッピーエンド。ちょっとあっさりしすぎかな、って感じがしなくもないけど、ここまでたっぷり楽しませてもらったのでまあいいか。三浦建太郎「ベルセルク」。今回は男女が乱交しまくるサバトを描く。炎と薬の中で、理性を吹っ飛ばし妖しく乱れる人々の姿はなんとも迫力のある淫らさ。文月晃「藍より青し」は第1部完結。といっても13号から同居編がスタートするらしいが。アパートで一人暮らしする男のもとに、実は許婚だった、自分のことを好きで好きでたまらない女の子がやって来るという、強烈にベタベタな設定で、こっぱずかしいラブコメが展開しており読んでいるとジタバタ暴れたくなる。これだけやってくれるとたまらねえ。好きだ。SUEZENの月イチシリーズ「新生活 ネオ・ライフ」がスタート。四流大学に入学した男、美山が、大学で旭菊水(あさひ・きくみ)という女の子に声をかけられる。時間帯によって設備を使わせてもらえるという条件で、菊水の家で経営している健康ランドのバイトに勧誘されるのだが……という出だし。ちょっとHなコメディという感じなのだが、第一回めはまあ普通かなあという出来。女の子の身体とかは、SUEZENらしい流麗な線で色っぽくていいけど。

【単行本】「恋人プレイ」2巻 玉置勉強 講談社 B6
 これにて完結。SMショウのお店で知り合った二人の青臭い青春の恋人ごっこも、お互いを求め合っていながらもなかなかうまく行かずいつの間にか終わっていく。ラストは、完全なハッピーエンドとはいえないかもしれないけれど、これも一つの男女の形なのだなと納得させてくれるものはあった。すべてのしこりや傷が消えたわけではないけど、ステージと客席で目のあった元恋人二人が微笑み合うシーンは、いろいろな想いの籠もった爽やかさがあって気持ち良かった。それから細かいところでの描写のうまさも印象に残る。奥野と別れてからの佐伯(男のほう)が、彼女のいない生活で、カップラーメンの液体スープの袋をうまく切れないでこぼしてしまうところとか、本当に何気ない描写なんだけど彼の心理を象徴しているかのよう。こういうシーンをさりげなく差し挟んでくるセンスは絶妙だと思う。
 今までの玉置勉強作品の中ではこれが一番好きだ。今までの短編作品もけっこう好きなのだが、分かったような分からなかったような、という感が読後に残る作品がときどきあった。なんというか、もっと何かありそうな、というところで終わっている気がしてもの足りなく感じてしまっていたような気がする。たぶん「もっと何かやりそうだ」と期待させるものが作品にあるからなんだろうけど。その点で、この作品は全20話の続きものということで、十分読みごたえがあった。今まで「もっと食べたい」と思いながらおあずけを食っていたものを、お腹いっぱい味わえたといった感じだろうか。

【単行本】「バロン・ゴング・バトル」7巻 田口雅之 秋田書店 新書判
 バロンとゴードンの激闘の巻。形勢は行ったり来たり。若かりし日のゴードンの姿が、顔と身体がアンバランスでちょっと変。ちょっと最近、バロンの無駄なくらいの豪快さが消えて苦戦しているので、少し勢いが落ち気味かなという気がしないでもない。

【単行本】「DIFFERENT VIEW」 ナヲコ コアマガジン A5
 なんといっても抜群に絵がうまい。線がきれいでキュートで。ロリもショタもイケる。少女漫画系の人でもそんなに違和感なく読めるのではないだろうか。
 やおい方面的な味わいが、とくに最初のころの作品には見られるが、最近ちょっと線に変化が出てきた感じがする。女の子のほっぺたがつるんとした丸い感じではなく、少し下膨れてきて、ほっぺたの紅潮を表す線が縦方向に斜めではなく真横に近くなってきたとか。ストーリー的には恋する女の子や男の子などの切なさを描くのがうまい。とくに巻末収録の、いつも一緒にいた女の子と引っ越しのためさよならすることになった男の子の視点で語られる「最後の言葉」は、背景の美しさや画面全体から漂う寂寞感がとても良かった。ページ数は短いながらも印象に残る佳品。

【単行本】「進め!!聖学電脳研究部」 平野耕太 新声社 A5
 高校のゲーム部を舞台にした無軌道系ギャグ漫画なので、元ネタが分からないと乗りきれないところもあるし、一話一話のページ数が少ないのでこぢんまりまとまったところもたしかにある。だが、平野耕太のいい意味でのパワフルでヤケクソなでたらめさはこのお話でも発揮されていて、ところどころのツボにハマるシーンはすごく面白い。キャラクターもお話も、バッキバキに破壊するが、その壊しっぷりにビッと筋金が入っているあたりがかっこよくさえある。無軌道なようでいて、その無軌道さを楽しんでしまうノリの良さは抜群。後書きっていうか、オマケページやら中表紙での暴れっぷりも痛快。「テクノ番長」ほどに突き抜けてはいないが、十分楽しめるとは思う。


4/9(金)……東京トヒョヒョ会

 東京都知事選の不在者投票をしてくる。別に当日用事があるわけではないんだが、家の近くに市役所の出張所だかなんだかがあるので、本チャンの投票所よりもこっちのほうが行きやすいのだ。10日はきっと選挙カーが最後のお願いに伺いに来るのだろうが、君たちちょっと遅いぜ、ちっちっちっ。いつも思うことなんだけど、都知事のときとかは比較的真面目に投票する人が多いのだが、都議会議員選挙ってけっこうみんないい加減に選んでるような気がする。実際俺もけっこういい加減に選んでいる。しかし、都議会で決まる条例とかって意外と生活に大きく関わってくるのだから(エロ漫画を規制する条例とか)、もそっと真剣に投票せねばなあと思うしだい。俺が関心のある事項って選挙のときの争点になってないんで、誰に入れたらいいのかはよく分からないんだが。

【雑誌】コミックライズ 5月号 メディアックス B5中
 来鈍「HEDGE RUNNER」が巻頭カラー。なんだかマッチョな絵柄。エロシーンもハードコアで、やけにちんちんが長〜い。ムキッと固そうな肉体がぶつかり合ってなんだか頼もしい。田浦こうじ「ザーメンシンドローム」。ザーメンの匂いが好きで好きでたまらない、ザーメンジャンキーな女の子のお話。トロンとした目つきでおとこ汁を欲しがる女の子の姿が激情に満ちていてダイナミック。

【雑誌】美少女達人 Vol.27 司書房 B5中
 たぶん高崎あきらだと思われる鈴木験一「ガソリンスタンド」。ちょっと電光石火轟あたりを思い出すような、激しくて抜けのいいペンタッチで肉感的なエロを描く人だ。お話的にはそんなすごいのを描く人ではないけど、エロシーンの決めのカットなど、時折印象的な構図があってわりと気になっている。火野聡司「もちものけんさ」。男子高の女教師が、もちものけんさをしようとしたら、そのうちに男子どものモチモノにより輪姦されるというお話。ストレートにぐちょぐちょな肉弾系のエロで実用度高め。最終的には35人が2発ずつ出したというデータも呈示される激しさである。司書房らしい。さすらいの銀鈴詩人、横山ちちゃ「しゃぼん奥様」。新婚ホヤホヤの人妻が、ゴミ捨て場でボケ老人を拾ってきて介護するが、じーさんの巨大なちんちんにふらふらと、というお話。人妻の身体のラインがなんとも滑らかで柔らかそうで、いい具合に熟れている。あらこんなところにホームページ

【雑誌】FEEL YOUNG 5月号 祥伝社 B5平
 桜沢エリカ「CRASH」が最終回。あっさり終了したが、なんとなく不完全燃焼な感じも。南Q太「わずか10センチ」。同棲していた男の子供を身ごもってしまった女性のお話。妊娠をきっかけに男の身勝手さも見えてきたり、いろいろとものを思う。それにしてもシームレスに妄念と現実をくるりと入れ換えたりしながら、妊娠した若い女性の不安定な精神状況をありありと描くさまは本当にうまい。

【雑誌】花とゆめ 4/20 No.9 白泉社 B5平
 羅川真理茂「しゃにむにGO」では、天才テニス少年(だった)滝田を慕い続ける天然ボケ系のお嬢さま出現。どんなにひどいことをいってもまったくこたえない、幸福の国の住人系のセリフなどが楽しい。高尾滋の短期集中連載「素顔の風景」がスタート。ショートストーリーを何回かやる模様。今回は幼馴染みの年下の男の子に恋してしまっていて、なかなかその想いを伝えられない女の子のお話。単行本「人形芝居」のときと同様に、魅力はやっぱり絵。あっさりと、自然な感じで陽だまりのようなほのかな暖かさを持った、爽やかな絵柄。透明感と清潔感があって気持ちいい。

【単行本】「チョコの歌」2巻 架月弥 ソニー・マガジンズ B6
 絵がもうたいへんに魅力的なのだ。さらりと簡潔に描かれた自然な主線をわらわらとほぐしていく感じで、そのほぐれ方がハマっていてセンスの良さを感じる。お話は地方で育った、天然で調子っぱずれな中学生少年・少女の酔っ払っているみたいにふらふらとしたラブコメ。ほぐれているのは絵だけではなく話もそうで、少年のほうが東京に行った兄を追いかけていったのを、女の子のほうがアテもなくこれまた追いかけ、その途中でなぜかアイドルのオーディションを受け、なぜだか映画の主役にとくに根拠もなく抜擢されてしまったりする。キャラクターたちの、常人とは著しくズレた無軌道な行動が楽しいのだが、まとまりがないといえばまとまりがない。なんだかどういう方向に行くか見当がつかない得体の知れなさも持っており、つい注目してしまう作品。とりあえず絵と、お話の雰囲気だけでも楽しめちゃうので、表紙の絵が気に入ったならどうぞ、という感じ。

【単行本】「グラス・ブレス」1巻 城倉浩司 講談社 B6
 草野球からいきなりドラフト一位指名を受け、弱小球団に入団した野球小僧の物語。この野球小僧、天然芝の上で、ボールをおっかけ野球を楽しむことしか考えていない。小技に走らず、手許で伸びまくる速球だけを武器に型破りなピッチングを展開する。低めからグワッと浮き上がるボールの軌跡が見ていて痛快。巻末の城倉浩司の後書きでは、ヤクルト石井一久について書かれているが、彼が日本一のピッチャーだという意見には俺も同感。デビューしたときに、スケールが大きくパワフルでダイナミックなフォームから150km/h近い速球を投げ込む彼の姿を見て、「こりゃすごいのが出てきたな」と思ったのは今でも記憶に新しい。何を考えてるんだかサッパリ分からないような顔をしているが、素質的には俺が今まで見たピッチャーの中ではNo.1だと思う。スケールの大きさでいえば佐々木よりもはるかに上。俺が応援する横浜ベイスターズも石井はさっぱり打てない。さっさと大リーグ行っちゃってくれい。


4/8(木)……ニューギニアの奇獣モテモテ

 自分用メモ。トーハンとかの新刊発行予定表には4月6日発売と出ていた、地下沢中也「創立100年ギンザ小学校」は6月に1、2巻同時発売となった模様。

【雑誌】YOUNG YOU 5月号 集英社 B5平
 やはり山下和美「EDENの女」であろう。高校時代から親友同士で現在は同居している女友達二人。片方の沙利奈は自由奔放で男をとっかえひっかえしている欲しがり女。もう片方の美樹は何ごとにもそっけなく無関心。男の趣味が違うのでお互いぶつかり合うこともなくうまくやっていた二人の生活を描くのだが、最初はドライに始まりながら、最後は女二人の虚虚実実を描くどんでん返しの連続。お話をころころ転がして、一見ハッピー・エンドかと思いきや、また最後に鮮やかな仕掛けを用意しておく。ああ、もうかっこいすぎるぞ、山下和美。今月号から安野モヨコの新連載「ツンドラブルーアイズ」がスタート。世界で二番目にさむい地方に二人で暮らす、カラとノムの二人。周りから隔絶された場所で、二人きり、ケンカしたりしながらいろいろなことを思いつつ暮らす姿を描写する。雰囲気は楽しく、最後はファンタジックに締める。岩館真理子の読切「アマリリス」は、花粉症に悩まされる男の恋愛を描くコミカルなお話。まあ普通の出来ってとこか。「武内直子姫と富樫義博王子の結婚ぱ〜んち!!」。扉で自分の似顔絵を、「もれなく玉の輿に乗れ、楽しい非日常が送れます」として独身女性に「切り取ってよく見える所に」貼れという武内直子。富樫義博の似顔絵を「もれなくお姫様の面倒を見るハメになり波乱万丈な人生が送れます」として、独身男性に切り取って折り曲げてサイフの中に入れさせようとする武内直子。どうもアツアツらしい。俺もサイフの中に入れねば。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 4/22 No.20 秋田書店 B5平
 板垣恵介「グラップラー刃牙」。両者とも最後の力を振り絞り始め、さらに痛そうな展開になってきた。何はともあれこの闘いもあと100秒らしい。行けるだけ行けって感じだし、実際板垣恵介は行けるとこまで行くことだろう。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」。ネオ・ヒューム三人衆のナイスバディねーちゃん、マチルダの、本人も知らなかった真の姿が明らかに。かなり悲痛な感じだが、次の展開がかなり気になる。

【雑誌】ホットミルク 5月号 コアマガジン B5平
 巻頭カラー、船堀斉晃「淫縛学園」。クラスメートの魔の手により、どんどん淫乱になっていく女の子。ドパドパ噴き出す体液がとてもパワフルでいやらしい。船堀斉晃が載っているのと載っていないのとでは、この雑誌の場合だいぶ満足感が違う。瓦敬助「菜々子さん的日常」。天衣無縫な菜々子さんの寝乱れた姿以外はエロシーンはないのだが、のびのびとした絵柄とお話が読んでいてたいへん気持ちいい。絵もなかなかうまいし。あとはこの前単行本「Differnce View」が発売されたばかりのナヲコ、「Brand-New Menu」が面白かった。地味でちょっと太めな女の子がかわいい。G=ヒコロウ「みんなはどぅ?」。OKAMAがモテモテらしい。いいなあ、モテモテ。

【雑誌】ヤングジャンプ 4/22 No.19 集英社 B5中
 今号は、山本康人「打撃天使ルリ」が掲載。新たな打撃人間が登場するが、今回は打撃のカタルシスはちと弱い。踊りながら闘うルリの姿はポーズがかなり馬鹿げていて好きだが。

【雑誌】コミックラッツ 5月号 司書房 B5中
 巻頭カラーMGジョー「未来は女の子っぽい…▽」(▽はハートマークの代用)。司書房系らしい、巨乳肉弾汁気たっぷりストレートなヌキ系漫画。この人の絵は肉感的でむちむちしていてけっこう好きだ。話的には中身がほとんどないようなものなのだが、エロ、エロ、エロ、と攻めてくる力づくな作風の前にはそんなことどうでも良くなってしまうのだ。馬利権造「漫画はぢめて物語」。掲示板でも話が出ていたが、たしかにこれは世棄犬=博内和代=品葉諸友のようだ。「まんがはじめて物語」(表記合ってたっけ?モグタンの出てくる奴)をパロディした形式で、おねえさんが古代の人々に嬲られるというお話。四季賞作品のような前衛的な作品もうまいけど、この人はストレートに抜かせるようなエロもうまい。乾いた絵柄もできれば汁気の多いのも可能。作風の幅の広さを感じる。
 桂よしひろ「MY LITTLE LOVER」。童顔女教師と生徒の恋愛物語。今回で第三話だが、主人公二人が引き裂かれて悲惨な展開になっている。滑らかでシャープ、迷いのない描線がかっこいい。そして描線がかっこいいといえば、モリカツキ「卒業式」が良かった。光による消失部分と、黒々としたスミベタのコントラストが利いていて、暗い雰囲気をはらんだ絵柄。かかし朝浩「全裸の王女」も、少年誌的な根性的ノリがあって面白いし、今月号はなかなかに粒揃いだった。

【雑誌】ヤングサンデー 4/22 No.19 小学館 B5中
 ロドリゲス井之介「踊るスポーツマンヤス」は連載第2回め。ナゾの中年オヤジづら主人公・ヤスが補欠部の部員を結集してスーパースポーツ部を設立。初めての対外試合は乳頭つまみである。情けなくて暑苦しく、方の力の抜けたギャグが爽やかでないほのぼの感を醸し出している。なんかものすごく下らない展開になりそうな気配。山田たけひこ「ビューティフルエナジー」はあっさりと最終回。「柔らかい肌」(先日3巻が発売)と同様、なんかぎこちない絵なのだけど、青春の煩悩あふれる肉弾系な身体の描き方で、アンバランスな不思議なノリがこの人の作品にはある。これをいやらしいと感じてしまうのは悔しいのだが、写真集っぽいポーズの妄執こもった絵柄は、やっぱりエロティックに映ってしまう。

【雑誌】モーニング 4/22 No.19 講談社 B5中
 本宮ひろ志「旅の途中」は、今回で耕助が前にいた高校、東涼との対戦が終了。最後の対決は当然海部とのものだったが、ストレートでガンガンいくかと思いきや、という展開。最後の最後で読者の予想をアッサリ鮮やかに裏切ってくれて、その手並みがなんとも気持ちいい。スカッとする読み心地。井上雄彦「バガボンド」では、武蔵が二刀流もどきを見せる。後の武蔵の原型がここにありという感じだろうか。ヒラマツ・ミノル「ヨリが跳ぶ」では、ヒロコからヨリにメッセージが届けられる。最近、ヒロコがとてもおおマジメで、何やら切羽詰まっている感じ。ヨリはヒロコを超えられるか。注目である。山下和美「天才柳沢教授の生活」。ああ、とてもいいお話だなあ。柳沢教授の娘、世津子を昔教えたことがあり、全国の学校を回って子供たちに作文を書かせてはそれを集めているチンピラあがりの教師が、かつて教えを受けた柳沢教授の元を訪ねてくる。その作文の山を柳沢教授に渡したときの、男の充実した自信に満ちた顔つき、柳沢教授の会心の微笑み、そして世津子のうれしそうな顔。なんとも美しき満足感が漂っていて、読んでいてすごく幸せな気分になれた。その場面を気持ち良く描く、山下和美の描写力も素晴らしい。けして説教臭くならず、鮮やかに、そしてかっこよく見せる。鳥肌立ってきますわい。面白い漫画を読むのって、ホントに楽しいなあ。


4/7(水)……ダメ王者

 ここ数日、精神的にはハードだったが、いろいろ考えることができて非常にありがたい日々でもあった。お詫びしたいことや言い訳したいこともあるけれど、千の言葉を連ねるよりも、今は行動と態度で自分の気持ちを示したい。頑張らなくちゃ、頑張ります。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 4/2 No.8 講談社 B5中
 今号のおっぱいピンナップ「E-Oppers」はこしばてつやが登場。ほんのり染まった肌や、指で軽く押して形を変えた乳首の質感がなかなか良かった。桑原真也「0(ラヴ)リー打越くん!!」。今回は巻中カラーでの登場。吸血鬼少女のシノヴが打越を自分のモノにするため、女としての魅力を習おうと、天才テニス少女の京花を快楽の渦に溺れさせようとする。舌の動き、目の潤み具合、息の乱れ方がとても色っぽい。大ゴマを効果的に使うハッタリの効いたコマ割りで、インパクトがあり、加えて読みやすいのもいい。咲香里は画面がやはり華やか。完成度が高い絵柄で、キャラクターの表情なんかも瑞々しくて魅力的。
 それから次号では、「E-Oppers」で目黒三吉が登場。タイトルは「びわこでチュッ!」になっているが、前に零式(Vol.3)で描いた奴の続きなのだろうか。楽しみである。

【雑誌】週刊少年サンデー 4/21 No.19 小学館 B5平
 創刊40周年記念読切シリーズ第二弾は、古谷三敏「ダメおやじ〜平成版〜」。今回なんといっても驚いたことは、「ダメおやじ」の連載開始が1970年、つまりもう30年ほど前になるってことだ。すでにそんな時間が経ってしまっているのかとびっくり。今回は30年後のダメおやじ一家の姿を描く短編だったのだが、大人になったタコ坊イカ太郎、そしてすっかり老け込んだダメおやじの姿がなんだかものすごく感慨深かった。久しぶりのダメおやじは、やはり我が心の父だった。肩でももんであげたくなる。「ダメおやじ」の連載期間は1970年〜1982年という長期間。最初のほうのイジメギャグも良かったが、最後のほうのダメおやじの人生探しの旅のあたりがまた好きだった。最終回、ダメおやじが今まで自分が出会った人々を招待してパーティをする話なんかすごく感動的だった覚えがある。単行本を揃えたいような気もするのだが、「ダメおやじ」って意外と古本屋で揃いは見かけない本ではある。

【雑誌】週刊少年マガジン 4/21 No.19 講談社 B5平
 蛭田達也「新コータローまかりとおる!柔道編」。最初は悪役っぽかった醍醐が、悪役をやりつつも自分の信念にこだわる男っぷりを見せつけていてなかなかかっこいい。物語や試合のシーンの描写にスピード感とリズムがある。見慣れ過ぎるくらい見慣れている作風だが、面白いときはやはり面白いのだ。小川悦司「真・中華一番」。毎回、意味がないほどに料理方法が豪快。以前やった、船を一隻燃やして作る中華料理もすごかったが、今回のもたいへんにダイナミック。


4/6(火)……ブルマニウム・ラヂヲ

 いしかわじゅんの「ちゃんどら」はオススメだぜ?

【雑誌】月刊少年マガジン 5月号 講談社 B5平
 愛原司「VIVA!CALCIO」。ついにフィオレンティーナとミランが優勝をかけて激突することに。今回のお話はその決戦前夜を描く。シーナが故障を隠して強行出場しようとするが……というど根性な展開。ちなみに現実のセリエAでは、直近の試合でフィオレンティーナがインテルに0-2で敗れ、ラツィオはミランに0-0で引き分け。これで勝ち点の差は6ポイント。残り7試合。ラツィオで決まりそうな雰囲気だなあ。奇跡を起こしてひっくり返すとしたらミランか。ちなみにセリエAの情報は、いつもSerie A Resultsから仕入れている。素っ気ない作りだけど、情報が充実してて細かくて好きだ。こういうサイトがブンデスリーガとか、プレミアリーグ、スペインリーグなどなどにもあるといいんだけどなあ。いいサイト知ってたら教えて下さいませ。志名坂高次「受験の帝王」は、受験の本筋とは大幅に外れたところで勝負が行われていて異様な世界。けっこう好きである。間部正志「SPEED KING」。高木vs.末藤の対決が激しく行われる。キャラクターの人相はどんどん悪くなっているが、けっこうまっとうなスポーツ漫画をやっている。

【雑誌】ヤングヒップ 5月号 ワニマガジン B5平
 巻頭カラー、SABEの「ブルマー2001」が馬鹿馬鹿しくてたいへんよろしい。以前にやったブルマー大好き兄弟のお話で、今回はスクール水着な悪党どもに天誅。こいうフェティッシュなアイテムを描かせると本当に楽しそう。スクール水着の質感もなかなかリアル。DEME「Girl&GirlvsGirl…?」は、色っぽいお姉さん二人vs.かわいい女装趣味の巨根少年というわりと定番的な構図。キャラクターのゆでたまごみたいにつるつるした輪郭が特徴的でわりと好みである。かるま龍狼「ベル・パニック」。巻末2色。今回もほのぼのと楽しい。ギャグ良し、お色気良し、ショタ良し。ソツがない。キャラクターのポーズなど、一話に必ず何シーンか印象的なコマがある。

【雑誌】オースーパージャンプ '99 DREAMING2 5/5 B5中
 前アフタヌーンの四季賞98年度夏のコンテストで、ちばてつや特別賞を受賞した犬塚康生が登場(そのときの作品名は「カゲ切り男をめぐる冒険」。アフタヌーン98年11月号に掲載。俺日記では1998年9月25日の項参照)。今回のタイトルは「ファミリービジネス」。家族の対話が全然ない、父母+娘一人の家庭。娘は学校でイジメに遭っていて何度も自殺しようとするが果たせない。父は家をずっと空けていたが、会社がつぶれたため突如帰ってきたかと思えば、いきなり「家族で銀行強盗しよう」と言い出す。そんなちょっとヘンな家族が、親子の対話を取り戻すまでを描いた物語である。神経質な細い線で描かれた、クールな絵柄が気になる若手。ちょっと怪しげな雰囲気など、見どころはけっこうある。キャラクターはそれなりに魅力があるし、も少し画面をダイナミックに使えるようになればイケるのではないだろうか。現状では全体にこじんまりした雰囲気があるので、見せ場でもっとハッタリを利かせてほしい感じもする。

【雑誌】ビタマン 5月号 竹書房 B5中
 環望「お仕事しなきゃね」が最終回。これまできちんとチェックしてなかったけど、今回は新郎新婦が式場で入れ替わり立ち代わりやりまくるという感じ。わらわらやりまくっていていやらしくていい。奴隷ジャッキー「明日ハレるヤ」。コミカルな絵柄で楽しそう。エロシーンもそれなりにしっかり見せてくるし。温泉で背のちっちゃい女の子が、乳のデカいオトモダチふたりに挟まれて、泡まみれ乳まみれなシーンがなかなかによろしい。それから気になったのが、マルコチン「早熟エンジェル」。ちょっと橘セブンを思い出す感じの絵柄で、それよりツヤツヤしてて瑞々しい。表面がツルリとした上品な絵柄でわりといい感じである。あと絵柄でいえば、ペニシリンXI「咲く」もいい。まぶたのラインと目の下のラインの端っこをきっちりくっつけて、クリクリとしたビー玉のような目の描き方が特徴的。お話は直球勝負な恋愛モノ。


4/5(月)……ねむたいZ

 ヤンマガに載っていた広告によれば、6月26日に講談社からアニメやらゲームやらとメディアミックスする漫画雑誌が創刊されるらしい。誌名は「マガジンZ」。ヒゲガンダムことターンエーガンダムが目玉の模様。
 6日の朝6時くらいにようやく仕事が一段落して、それから漫画を読んでWebを作っている今、朝の10時。やっと落ち着いて日記を書けるとか思ったら、会社の組織変更に伴い電話線やらネットワーク関係の配線工事が始まってしまう。この会社は落ち着いてWebの作成もさせてくれんのか。けしからん。わしゃ寝る(会社で)。

【雑誌】ヤングマガジン 4/19 No.18 講談社 B5中
 小田原ドラゴン「おやすみなさい。」が最近ちょっとテンション落ち気味。週間連載はちょっとキツかったかな?逆に連載当初はイマイチかと思えた、地下沢中也「創立100年ギンザ小学校」が面白くなってきている。キャラクターたちがそれぞれ異常な持ち味を存分に発揮し始め、怪しさが増してきた。……とか思ってたら次号で最終回らしい。平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。このお話、邪悪な形相で叫び狂っているメインのキャラクターもいいけど、ぞんざいに書かれている背景的キャラクターにも味がある。天野明「ぴっちゃん」は今回後編。こういう実績を積み重ねていって、本誌に定着することを期待する。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 4/19 No.18 小学館 B5中
 やっぱり作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」である。今回は雄介が本田の待つ歩道橋の下を通り抜けるシーンがすごく良かった。ページを最大限に生かしたコマ割りとダイナミックな構図取り。かっこいい〜。しかも、いつも何やってるんだか分からなかった奈緒子も走り出す。ゴールへ向けてますます熱い展開。スピリッツ賞の新人、橋口康二「ピンチアクター」。ちょっと盛田賢司っぽい油っ気のある絵柄。ごはん系な味わいでまあそれなりの出来。作:小林信也+画:秋重学「宙舞」。宙樹がようやく自分の気持ちを整理してなおかつ根性を見せ始める。熱くて青臭くてええ感じになってきた。そろそろカタルシスのある展開もありそう。

【雑誌】ヤングキングダム 5/4 No.5 少年画報社 B5中
 佐野タカシ「イケてる刑事」。サービスシーン山盛りで、素直にお色気系。エロ漫画というよりもお色気漫画という感じ。ヤングキング系3誌全部に描いているが、各雑誌のカラーに合わせてきっちりエロ度を調節してくるあたりのお仕事ぶりがお見事である。大石まさる「みずいろ」は連載2回め。絵柄もお話も優しく爽やかでありつつ、甘ったるさも十分。見事に癒し系。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 4/20 No.8 小学館 B5中
 作:流智美+画:山田貴敏「笑う東郷」は今回で最終回。ルー・テーズvs.東郷の試合と東郷の真意が語られて終わり。ラストの試合のシーンがもそっと激しいと良かったのだが、なかなか読みごたえがあって面白かった。最近の山田貴敏のなかでは面白いほう。弘兼憲史「黄昏流星群」。ゲイの熟年男二人の物語は今回で終了。業の深い人生を、肯定も否定もせず描き出すこのシリーズは好きだ。安易に「こうせよ」という結論に持ってかないあたりがいい。こういう内容なのに、とくに説教臭くなくまとまっている。唐沢なをき「電脳炎」。この前商売の仕方があざといといったことを書いたが、それを自覚した4コマが今回は描かれている。悪よのう。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 4/19 No.19 集英社 B5平
 巻頭カラーで瑳川恵一の新連載「マッハヘッド」がスタート。寸詰まりな感じの中学生による暴走族モノの模様。といってもわりと健全。うすた京介「武士沢レシーブ」は第2回め。展開としてはかなり地味だ。女の子はなかなか可愛いので、このままいくと俺アイドルランキングに入ってくるかもしれない。あとキャラクターのキュートさでいうと、武井宏之「シャーマンキング」で新しい女の子キャラがでてきてわりといい感じかな、と。


4/4(日)……ゴードーを待ちながら

 俺が文章原稿を書いている同人誌の主催者であるHさん、それからKさんの合同結婚式ならぬ結婚パーティに出席。Kさんが4月3日、Hさんが4月10日に結婚式。お相手は書いていいのかどうかよく知らないので書かないけど、両方とも同人誌を出しておられる方。オタクの嫁さんを見つけられたというのは、いたくうらやましい。自分が結婚するとしても、今の趣味をやめろというような人は絶対イヤなので、相手もオタクであることが望ましい。俺の理想のタイプは自分に都合のいい人。強く求む。でも結婚願望はそんなに強くないので、まあどうでもいいっちゃどうでもいいんだけど。
 それはともかくとして、コミティア代表の中村公彦さんが呼びかけなどを行っていることからも分かるとおり、血中コミティア濃度の高い集まりであった。新郎新婦は四方ともその筋では人徳のある人たちなので、いろいろな人たちが集まっていた。友達多くてうらやましい。そのなかに知り合いも何人か。山川直人ご夫妻、サクラノリタカさん、ニフティ系のお友達・丸止さん、outdexムネカタさん、特殊同人少女漫画家・三五千波さん、山本昌幸さん、植田さんたちと楽しくお話。(削除)俺とムネカタさんは同い年で誕生日が4日しか違わないので、そのうちoutdex/OHP合同誕生パーティでもしようとか、そんな話も出る。っていうかオフでもやろうかって感じ。
 パーティは盛況のうちに終了。その後俺は会社に直行。今仕事中だ。Hさん、Kさん、おめでとうございます。お幸せに。結婚してもオタク的に弱まらないでくださいませ。

※……上記内容、最初のアップ時と比較して一部改変しております。プライベートな話なので、固有名詞いくつか伏せました。
 また、ムネカタさんに対しまして、当日の言動や日記での記述等、私の不遜さゆえに、たいへんに失礼な表現を繰り返してしまいました。今さらではありますが、当該部分を削除いたしましたうえで訂正させていただきます(「(削除)」とある部分です)。まことに申し訳ありませんでした。

【単行本】「おまかせ!ピース電器店」12巻 能田達規 秋田書店 新書判
 毎度おなじみピース電器店である。この巻もコンスタントにほのぼのとして楽しい。この巻では第109話「脳みそグリグリ・脳グリくん」での、ケンタローとモモコの甘ったるい思い出のシーンがこっぱずかしくてとてもいい。それから月影アイ、東麗子のライバル的女の子キャラクターも好きだ! 健康的で気持ちの良い漫画である。

【単行本】「ベルセルク」17巻 三浦建太郎 白泉社 B6
「断罪篇 縛鎖の章」が終わり「断罪編 生誕祭の章」へ。ついにキャスカが話にからんでくる。キャスカをからませるということは、甘っちょろかったり簡単だったりする展開にはまずなるまい。ということで、今回の章はかなり大掛かりになりそうだ。これから楽しみ。ところでキャスカもいいのだが、聖鉄鎖騎士団の団長であるおねーちゃんがソソる。お嬢さまで、自分の中に潜む淫楽症的な部分を信仰やプライドで必死に押し殺そうとしているのだが、時折その性癖を隠せなくなってしまうあたりの葛藤がいい。妖しいサディスティックな表情が色っぽい。


4/3(土)……やまとなれしこ七変化〜

 5月4日のコミティアに出る予定の同人誌、PARKINGで原稿を頼まれていたのだが、〆切が今日だった。ネタがいつまで経っても決まらず仕事も立て込んでいるので、今回は落ちるかと思っていたのだが一昨日くらいにネタが思い浮かび、急いで書き上げてメールで送信しておく。テーマさえ決まってしまえば、わりと筆は早いほうなのでなんとかなった。他人様に頼まれた原稿を落とすというのだけは避けたかったので一安心。どんなテーマで書いたのかは5月4日のコミティアまで内緒。原稿は終わったが、仕事のほうはまだ終わってない。4日中にあらかた片付けなきゃいけないのだが、夕方までお遊びに行っちゃう予定なんだよ〜ん。大丈夫か? ま、あとは野となれ山となれって感じー。

【雑誌】ペンギンクラブ 5月号 辰巳出版 B5中
 巻頭カラー、ちゃたろー「でんじゃらすマンション!」がなんたってすごい。内容的にはやってるだけ漫画なのだが、画面の余白をとことんまで嫌う圧倒的な密度。常に対象に寄ったアングルで、これでもかこれでもかと画面を埋め尽くす。エロシーンのパワフルさと充満ぶりがなかなかにすさまじい。飛龍乱「DARLING」。相変わらずうまい。とにかく作品のクオリティがコンスタントに高い。肉付きの良いぷにぷにとしたキャラクターたちも、一段と洗練されてきている。こういう人こそエロ漫画界におけるごはん系って感じがする。実にいい仕事っぷり。まいなぁぼぉい「カリーナの冒険」。長いなあこのシリーズ。そしていやらしいなあ。それから、この雑誌を購入した目的である、なめぞう「大人だね山チー!」。好調。この人の作風はたいへん暑苦しい。視点がなんといってもねちっこい。みっともなく、そして汗臭いのである。そんなところが愛しいのだ。

【単行本】「弥次喜多 in Deep」2巻 しりあがり寿 アスペクト A5
 現実と幻想と悪夢の間をふらふらしながら、弥次さん喜多さんのお伊勢さんへの道中は続く。「真夜中の弥次さん喜多さん」から続くこのシリーズもすでに4冊め。今回は、通常ページは白い紙に黒インクで印刷されているが、見せ場のシーンのみ色紙に印刷という構成。すごく効果的ってわけでもないが、何か仕掛けをしてくるってのは大好きだ。今さら言い足すこともない傑作ではあるけど、最近は最初のころほどの衝撃はなくなりつつあるような気がする。本当に不安定な不安定ぶりではなく、安定した不安定ぶりになってきたとでもいおうか。

【単行本】「狩撫麻礼作品集 カリブソング」SIDE A/B 作:狩撫麻礼 アスペクト A5
 さすらいの原作者、狩撫麻礼が原作を提供した作品を集めた単行本。作画を担当しているのは、
・SIDE A:大友克洋、かわぐちかいじ、谷口ジロー、守村大、いましろたかし
・SIDE B:松本大洋、森園みるく、カネコアツシ、やまだないと
となっている。SIDE Bのほうは正直なところそれほど面白くない。松本大洋のはけっこういいが、「青い春」収録の「リボルバー」なのでこの単行本で読む必要はあまりない。しかし、SIDE Aはすごくいい。どの作品も「珠玉の短編」という言葉が似つかわしい。短編はすごく好きな俺だが、ひさびさに短編を読む喜びを存分に味わわせてもらった感じ。
 すごい原作を描けるって人はやはり貴重だ。いい絵を持っているのに、それを生かしきれていない人はけっこうたくさんいるが、彼らの才能を引き出せるような優秀な原作者がもっと出てくることを望みたい。ストーリーを考えるだけでなく、できればコマ割りや構図についても、作画者とガッツンガッツン意見を闘わせることができるような人がいるともっと面白い漫画が増えると思う。作画者が原作者のいいなりだったり、絵解きするだけってのもつまらないから、お互い競い合うような関係が望ましい。理想論ではあるんだけど。
 それからかっこいいと思ったのがカバー裏。普通の単行本と違って、表裏表紙に印刷が何もなく真っ白けなのだ。タイトルさえ書いてない(背表紙除く)。まさに「絵を持たぬ漫画家」という感じ。アスペクトの単行本って装丁がかっこいい本が多くて好きだ。


4/2(金)……剣と策、縁と仁

 infoseekサイトサーチの機能を使って、トップページの下のほうに、OHP内検索ボックスを付けてみた。これでこのホームページのサーバーには負担をかけずに検索ができるようになったわけだ。ちょっといい感じだなとか思ったのだが、よく考えてみればinfoseekのデータベースを利用しているわけだから、検索結果もinfoseekで調べたものとおんなじであるはず。infoseekでひっかからないワードは当然ひっかからない。「唐沢なをき」ではひっかからないのに「唐沢な」ではひっかかったりと、よく分からないクセもある。ひょっとしたらあんまり意味ないかも。

【雑誌】ヤングジャンプ 4/15 No.18 集英社 B5中
 猿渡哲也「高校鉄拳伝タフ」。ヤラレ役のデブチンレスラー河野が馬鹿っぽくて暑苦しくていい感じ。「好きな食べ物は?」って聞いたら間髪入れずに「焼き肉!」という答えが返ってきそう。高橋ツトム「ALIVE」は、主人公・天周が異次物の力を取り込み恐ろしいモノになろうとしている感じ。そろそろ舞台が変わるかな?

【雑誌】ビジネスジャンプ 4/15 No.9 集英社 B5中
 わたべ淳が読切で登場。タイトルは「御宿蝶花楼」。温泉旅行漫画。この人の作風は相変わらず可もなく負荷もなし。暖かみのある垢抜けない画風はわりと好きだけど。塩崎雄二「ハッピーマン」。やはり女の子がかわいい。話的にはそれほど面白くはないが、そういう一芸を持っているというのは強い。


4/1(木)……四月ファッカー

 エイプリルフールなので今日の日記はすべてウソ。っていうか俺のホームページなんかみんなウソだ。俺はしばたなんかじゃないし、OHPは「俺のホームページ」の略なんかじゃないし、ましてや俺のオフィシャルホームページでもなんでもない。人生なんかすべてウソだ。この地球も、太陽も、月も、宇宙も、みーんなみーんなウソ。そしてここまでの文章もまたたぶんウソだ。
 そんなわけで今日読んだ漫画(っていうかコレ書いてるのが4月2日の午前4時だから「今日」ってのがウソだというのはホントだな)。俺のホントの感想だぜ。っていうか俺がしばただ!

【雑誌】モーニング 4/15 No.18 講談社 B5中
 今号は山下和美が2作掲載。「天才柳沢教授の生活」と「ROCKS」という読切。注目はどちらかというと「ROCKS」。いいオヤジになってもシャウトし続けるロックな男のファンである若者が、その人と自分の親父を見比べてしまい大人になることに失望するが、ところがどっこい親父の心の炎も消えちゃいなかった。いくつになっても人間は心意気である。かっこよかった。そしてそれ以上に今週かっこいいと思ったのは、守村大「考える犬」。今回のお話は説教である。安っぽい説教は嫌いだが、力のある言葉なら好きだ。文ちゃんが、やさぐれた若者に「自分以外の何者でもない自分であること」に誇りを持つよう訴えかける。こういう言葉に俺はすごく弱い。つい涙腺がゆるんでしまった。守村大は、いつも当たり前のように作品が掲載されている人なので印象が弱くなりがちだけど、漫画がうまい人だなあと思う。本宮ひろ志「旅の途中」。桜館高校打線大爆発。胸がすく豪快な展開。長いキャリアや多くのファンは伊達じゃない。面白さが太い。MANGA OPENわたせせいぞう賞受賞作。やまあき道屯「僕がモトに戻るには……」は、たぶん本人はそういわれたくないだろうけど、松本大洋フォロワー系(作風としては「花男」のころの松本大洋系)。話もちゃんと作ってあるし背景とかも手を抜かず描いているのは好感が持てるのだが、それにも松本大洋の影響は見て取れちゃうのがつらいところ。この人、たぶんすぎむらしんいちも好きなんじゃないかと思う。

【雑誌】ヤングサンデー 4/15 No.18 小学館 B5中
 巻頭カラーでロドリゲス井之介の新連載「踊るスポーツマンヤス」がスタート。ナイキ的な世界的スポーツ財団「ゼロン」によるスポーツ学校「ゼロン学園」を倒すべく、デブでオヤジヅラのヤスおよび補欠部のみんなが立ち上がる。情けなくて爽やかでない主人公の外見や、下らない一人ツッコミ等が馬鹿馬鹿しく楽しい。恥ずかしい行動をしそうで楽しみだ。太陽星太郎「今日のだいちゃん」。だいちゃんに身も心も捧げようとするが、なかなかだいちゃんを観ることのできないアイドルのお話。太陽星太郎はカクカクとした絵柄なんだけど、女の子の描き方とかはかなりエロチックでいい。山本英夫「殺し屋イチ」。イチによる殺戮ショウ開始。カカトの刃でヤクザをスパスパ切り刻んでいく描写は、たいへん血なまぐさいがある種の爽快感がある。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 4/15 No.8 小学館 B5中
 高田靖彦「演歌の達」は今号も読んでいて気持ちがいい。仕事も恋も順風満帆の達。でも今回はライバルも登場して……という展開。勝負みたいな感じになるとイヤだが、ここまでの展開からいってまあ心配ないとは思う。作:武論尊+画:池上遼一「HEAT」。器のデカい男が自分の好きに生きる。気に喰わねェ奴は殴る!!(単行本のアオリ)大ざっぱな行動原理が痛快。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 4/15 No.19 秋田書店 B5平
 板垣恵介「グラップラー刃牙」は、ジャック、刃牙ともに肉体がどんどん崩壊していく。闘いは激しくなるばかり。先が気になる。滝井寿紀「トップスピード」が最終回。前から思っていたのだけど、サッカー漫画っていまだになんか洗練されてない泥臭いのが多い。10年前ならいざ知らず……って感じの。この漫画もわりとそういう感じだった。根性やらチームワークももちろん大事。でも技術的な面も突っ込んで欲しい。もっともっと組織的サッカーとかしっかり描いてくれる漫画やら、サッカーの選手以外(監督とか)にフォーカスした漫画も読んでみたい。主人公のポジションもフォワードやオフェンシブハーフばかりでなく、サイドバックとかボランチとか。もっとバリエーションが欲しい。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」。強くなりっぷりも激しければ衰えっぷりも激しい。それにしても今回のバロン・ゴングは「カリオストロの城」のルパン三世状態だった。


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