◆ 1999年12月下旬 ◆

12/21〜31
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12/31(金)……ヤママン

 2000年2月16日に、砂さん、東浩紀さんが責任編集となってリニューアルオープン予定のTINAMIXで連載コラムを書いてみないかという、ありがたいお誘いをいただいた。その打ち合わせ&拡大集会ってことで、本日は、運営母体の株式会社多聞に砂さん、東浩紀さんをはじめTINAMIX編集部のスタッフの方々、それからライターなど関係者が夜の7時くらいから集結。打ち合わせ&その他もろもろの楽しいお話が繰り広げられた。ジャンキーズでずっと一緒にお仕事させていただきながら、まだ一度もお会いしたことがなかった伊藤剛さんとも顔合わせできた。俺はといえば、なんだか誰も勧めてないのに一人で酒をグイグイ呑み続け、ミレニアム年越しを前にツブれてしまうという醜態をさらす。ムネカタさんとタニグチリウイチさん以外は初対面の人ばかりだったのに、どうしようもないなー俺。そんなにたくさん呑んだわけでもないはずなんだけど、昨日までのハードな労働がたたったか、ガツーンと酒が効いてしまった模様。普段はも少しイケますんで。どうもすみません>関係者の方々
 その後、なにが起きていたのかはよく分からないんだけど、朝5時くらいに復活したらまだお話は続いていて安心。しばらくいろいろした後、ファミレスで飯食って解散。電車に乗った後も、酒が残っていた俺は、電車を何度も乗り過ごしたり、寝過ごしたりして、普段の3倍くらいの時間をかけてようやく家に帰れた。それにしても、こんな濃い形で新ミレニアムを迎えることになるとは。

タイトル作者出版社
70リー打越くん!!(3)桑原真也講談社
7ロマンス(8)高見まこ集英社
8淫縛学艶船堀斉晃コアマガジン
8歌麿(6)(完)六田登双葉社
10東京H一水社
11海猿(4)佐藤秀峰小学館
12霊能探偵ミコ(7)井荻寿一ワニマガジン
14ガロ青林堂
15マンガエロティクス(4)太田出版
15動物のくらしどざむら晋遊舎
栞と紙魚子殺戮詩集(仮)諸星大二郎朝日ソノラマ
18からくりサーカス(11)藤田和日郎小学館
19日刊タチバナ(1)塩崎雄二集英社
20新・河原崎超一郎(2)おおひなたごう秋田書店
21バガボンド(5)井上雄彦/吉川英治講談社
21天才柳沢教授の生活(15)山下和美講談社
21えの素(4)榎本俊二講談社
21なるたる(4)鬼頭莫宏講談社
21AMONデビルマン黙示録(1)作:永井豪+画:衣谷遊講談社
24エコロGほりのぶゆき宙出版
24イケてる2人(7)佐野タカシ少年画報社
25かねひらだもの(仮)金平守人アスペクト
25須藤真澄画集(仮)須藤真澄アスペクト
28ちちばすと榊原薫奈緒子笠原出版社
29the山田家(7)阿部潤小学館
29演歌の達(8)高田靖彦小学館
29ギャラリーフェイク(18)細野不二彦小学館
29NEKO2(2)岡崎二郎小学館
29ビリーバーズ(2)山本直樹小学館
女神の降る里あうら聖児茜新社
フェミニズムセックスマシーン太田出版
薔薇色ノ怪物新装板丸尾末広青林堂
独裁【FASCIO】佐野タカシフランス書院

【単行本】「捜索者」 谷口ジロー 小学館 A5
 探偵モノ+山男モノという、谷口ジローお得意のネタをミックスした作品。山の中で山小屋を営んでいた男が、今は亡き親友の妻の依頼を受け、失踪した彼女の娘を捜索する。ある意味、山よりも過酷な都会の真ん中で、わずかな手がかりを頼りに一人の娘を探す……という物語。ストイックな山男ならではの肉体、そして意志の強さを感じさせるハードボイルドな物語。とくにラストは山男としての意地、技能が発揮される。谷口ジローならではの逃げのない精緻な描写で、ボリュームもあって読みごたえがある。

【単行本】「羊のうた」4巻 冬目景 ソニー・マガジンズ B6
 一砂と千砂が一緒に暮らすようになり、千砂はじょじょに女としての側面を見せ始める。というか今回の見どころは、なんといっても千砂の艶っぽさに尽きる。何気ない立ち居振る舞いとかに、ゾクリとする色気があって、いいんじゃないでしょうか。


12/30(木)……シーケンサーを彼女が検査

 とりあえず昼までかかって入稿完了。で、今年は仕事納め。帰りに床屋で散髪。髪の毛は、身体を動かしても揺れないくらいの短さが好き。髪を洗うときもシャンプーがほんのちょっとで済むし。

【雑誌】マンガの鬼AX VOL.12 青林工藝舎 A5平
 今回は花輪和一の「塀の中シリーズ」がお休み。俺が選ぶ1999年度ベスト作品の一つだけに、休載は残念だが、今回はその分ほかの執筆陣が充実していて満足。表紙は古屋兎丸で、インタビューとピンナップが掲載されている。
 福満しげゆき「モウカル・ハナシ」。なんか線が整理されて、女の子がかわいくなったような。この人の芯が入っていないような、ふらふらした絵柄は好きだ。キクチヒロノリ「くるくるきいきい」。ああ面白い。「最しんちょーに人間からまなぶ執要があったかと反すうしていた節もありらまーす。」などと、端々がこわれた日本語のセリフに乗ってお話が展開される。四次元的(見たことないけどさ)で、ハイスピードにくるくる回り続けるキクチヒロノリの世界は、ドラッグをやっているかのように(やったことはないけどさ)脳に響く。清水おさむ「美しい人生」前編。女装癖のあるサラリーマンが、男の誘いに乗ってホテルに行ったらヒドイめに遭うが……というお話。オヤジ系雑誌のような脂ぎった絵柄と、すっ頓狂な表情。ノリがとても奇妙で、おかしな味わいがある。

【雑誌】フラミンゴ 2月号 三和出版 A5平
 今号も充実している。とくにここのところの連載陣の高まりっぷりは、実に素晴らしい。趣味は特殊だけど、作品のクオリティ、ボルテージは非常に高い。新しい人がこのラインナップに割り込むのはけっこうたいへんだと思う。
 白井薫範「とんにゃん」。「とんにゃん」は「豚娘」と書く。被調教側はすでに豚女の烙印が押されており、戸籍まで削除済み。正真正銘、豚である。第一話めのスタート地点からしてこれなので、最終到達点がどこまでいってしまうものやらという感じ。濃厚な調教ワールドが、圧倒的な質量で待っていそうで楽しみだ。海明寺裕「puppy Love」。毎度すごいなあ。K9世界を構築することに賭けるこの情熱。天晴れ。ホットミルク(ジャンキーズ)で「マイベスト99」というのを書いたのだけど、エロ漫画に関してはこの「K9」シリーズを推した。上藤政樹「催眠係長」。この人は、絵はうまくないけど、なんか読んでて「実に楽しそうに描いてるな〜」と思う。このC級っぷりがたまらん。ふもいじゅん「おとなちゃれんじ ぷっちん」。最近るもいじゅんは、なんか吹っ切れてていい。一見お気楽っぽい絵柄でありながら、うれしそうにヒドいことしてます。
 天竺浪人「便器」。前回、カップルともども男どもに凌辱された主人公たち。肉棒を挿入され、体液を排出される器としての自分を自覚していくようになる。サイレント劇というのは下手にやると滑り気味になりがちだが、さすがに天竺浪人はうまいこと料理している。駕籠真太郎「わが青春に悔いなし」。今回は国威高揚のため、大便漫画を描いている漫画家とそのアシスタント(すべて愛子さん)のお話。今回はさほど爆発力があるわけではないが、(大便ではあるものの)きれいにまとまっている。ム所から帰ってきて絶好調な鋭利菊。今号の「ファイナル検査?」は一連の検査シリーズ最終回。今までの楽しそうな少年少女の小学生風味から打って変わった身もフタもない展開。こうきましたか。やられたって感じ。好き勝手やってて素晴らしい。蜈蚣Melibe「バージェスの乙女たち〜アノマロカリスの章〜」。アノマロカリス、Dr.バージェスへのメッセージを込めたロックミュージシャンの歌が響く。いわく「いつか生まれてくるなら有機人形になりたいね」「もう二度と人間にはなりたくないよね」。内容はイカれていても、その言葉は実に力強い。このテンションの高さは、まったくもってすごい。

【雑誌】快楽天 2月号 ワニマガジン B5中
 OKAMA「スクール」。今までざんざっぱら好き放題ヤリまくっていた孝幸だが、何股もかけていたのがバレて、修羅場直前。もともとうまい人だけど、今回はまたカラーページのタッチを変えてくる。一つところに止まらず、前に進み続けているのは立派。かるま龍狼「インポ交友会」。毎度ギャグとエロを適度に織り交ぜ。それなりに実用性も確保してくる。エロシーンは、カット自体は少ないのだけど、きちんと強調するべきところは強調し、見せ方がうまい。SABE「スギタケ虐待女」は、表紙を描いている人に喧嘩売ってるような漫画。松本耳子「迷惑おんな」。かえるっぽい平面的な顔のキャラクターは、適度に野暮ったくて良い。かわいすぎないあたりが。


12/29(水)……ファイヤーはイヤー!(1394)

 終わりそうで終わらない年末進行。しかも仕事の一部は年明けに持ち越し。おういえー。っていうか、会社のFireWallが強化されちゃったんで不便ナリ。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 2月号 少年画報社 B5中
 小泉真理「ジンクホワイト」。美大を目指すものの、美術科への編入が認められなかった転入生の女の子のオハナシ。なかなか高校生してて面白いではないですか。4コマのコマ割りでストーリーモノという形式。テンポよく読める。平野耕太「ヘルシング」。今回は地味なれど、掲載されたのはうれしい。好きなときに好きなだけ好きなように描いてくださいという感じの人。

【雑誌】ビジネスジャンプ 1/15 No.3 集英社 B5中
 最近なにげに気になっているのが、作:近藤雅之+画:有賀照人「警視総監アサミ」だ。新人婦警さんが奮戦するというお話。その新人婦警の先輩婦警が、イヤな上司に弱みを握られていつもいやらしいことをさせられているのだが、どう見ても物語本編よりも先輩婦警のエロシーンのほうが力が入っている。サービスシーンの挿入され方の、ストーリー展開における意味のなさに、妙な味がある。わりとどうでもいい漫画ではあるのだが。山花典之「夢で逢えたら」は最終回。幸せ気分満点できれいに終了。

【単行本】「電脳炎」ver.2 ウィン版/マック版 小学館 新書判
 例によってウィン版/マック版と、ほぼ同じ内容で出すというナイスなボり方をしてくれる「電脳炎」。両方とも買って自分の奴隷ぶりを確認するのも一興。まあ通常はどっちか1冊買っとけばいいんではないかと。
 内容は例によってパソコン系4コマギャグ。パソコン分からないオヤジ向けという感じなので、さすがにギャグもいつもの唐沢なをきと比べてヌルい。でもまあ、パソコン分からない課長ネタとか、繰り返しやることによって徐々に面白くなってはいる。


12/28(火)……床屋の特効薬

 久しぶりに帰宅。そろそろ散髪に行きたいなあ。
 そろそろ前使っていたインターネットサービスプロバイダとの契約が切れるので、テレホーダイの電話番号を変更。本当は26日からNIFTYの番号のほうに変わっていたのだが。NIFTYのほうの契約も今までの15時間コース(2000円)から150時間コース(3000円)に変更済み……とか思い込んでいたんだけど、本日確認してみたところ15時間コースのままだった。どうやら勘違いしてたようだ。しかも月末は料金コースの変更はできないとのこと。これじゃあ、ミレニアムインターネットが! どうでもいいや!

【雑誌】漫画ホットミルク 2月号 コアマガジン B5平
 今号も充実。コミックジャンキーズはロリ漫画特集で、新刊単行本レビューは100連発。表紙を描いているみほとこうじのインタビューもあり。それにしても、とてもエロ漫画雑誌とは思えないほどの重量感。やはりジャンキーズのボリュームはかなりなものである。漫画も面白くなってきてるし、この情報量で880円はけして高くない。ちなみに今号では新刊単行本レビューを30冊書かせてもらっているのだが、書いているときはそれなりにたいへんだけど、個人的にはもっとたくさん書いてみたいなーと常々思っている。ほかの人とのバランスもあるけど、いろんな本と触れ合い文章を書くというのは、けっこう修行になっているような気がするし、何よりやってて楽しい。そのうち楽しいなどとはいってられなくなるんだろうが。あ、ちなみにジャンキーズの執筆陣の自己紹介を兼ねた、「マイベスト99」というのがあって、そこに鬼頭莫宏「sinna1905」の表紙画像が出てるけれども、マイベスト99自体は別の本にした。このマイベスト99はあんまり時間もなかったしあまり深く考えずに書いちゃったけど、本当にマイベストを決めようと思ったらも少しちゃんと日記を読み返してリストアップしたりしなくちゃならんところ。面倒臭いからしばらくやらないが。
 まず巻頭カラーはナヲコ「マイ・ガール」。この人はモノクロもうまいけどカラーもいいねえ。たった4ページなのに、女の子を愛してしまった女の子の切ない心が存分に伝わってくる。馴染しん「宿題」。線は少ないが、その造形、省略具合が心地よい。みかん(R)「スキっていって」。わりとホンモノ系ロリな描線。白黒のコントラストが利いた描線の美しさ、写実っぽさを残す生っぽさ。いずれもかなり高いレベルにある人でけっこうオススメ。ほしの・ふうた「鬼に▽棒」(▽はハートの代用)の、子供っぽい無邪気さが漂う作風も好き。ここらへんの人たちは、ロリ系のアンソロジー「ぷちみるく」などを中心に活躍してた人たちだが、いよいよ本誌のほうにもかなり進出してきた。方面の人は、かなり腕が立つ人が多いので楽しみな展開。これで大山田満月とかが出てくるとスッゴイうれしいんだがなあ。
 毎度のことだが、瓦敬助「菜々子さん的な日常」は素晴らしく良い。のんびりした日々と生活の中でのちょっとHな潤い。懐かしさを感じさせながら、ベタベタにならない淡々ともしすぎない語り口がとても気持ちがいい。次号で連載1周年だそうだ。そのうち単行本にまとまってほしいなあと切に願う。ウメダダイマル「South Pole Z」。細密な描線と淡い塗り。うまい。できればカラーで読みたかった。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 1/19 No.2 講談社 B5中
 サガノヘルマーの新連載。「廊下者コリドラー」。人間の体内を思わせるような粘膜感のあふれる廊下を、「おにいちゃん」と呼ばれる男が糞尿をまき散らしながら爆走する奇天烈な出だしから物語は始まる。サガノヘルマーらしい変態っぷりがよく出ている。ジャンキーな作品になりそうで楽しみ。桑原真也「0(ラヴ)リー打越くん!!」。前号でエロチック&ショッキングな状況に陥った京花が、今回もたいへんなことに。うーむ、どうなっちゃうんだろう。先が読めない面白さだ。梶原崇「ゾンビ忍者バクチカ」。最後はわりとまとも。細部ではかなりヘンだけど。もっともっと奇を衒ったブッ壊れた終わり方にするとなお良かったかと思う。単行本……は、いくら講談社でも出さないかなあ、コレ。
 榎本俊二「映画でにぎりっ屁!」。今号の槍玉は「エンド・オブ・デイズ」。くそー、こういうふうにやられると観たくなっちゃうなー。黒田硫黄担当分のほうもまたうまいし。ひょっとしたら映画本編よりも、この1ページの映画紹介のほうが面白いんでは。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 1/15 No.2 講談社 B5中
 画:さそうあきら+作:花村萬月「犬・犬・犬」が新連載。とりあえず第一話は、街工場で働いているが、なぜかヤクザも恐れる美少年が中心となって話が展開する。今の段階ではどのような話になるかはちょっと予想がつかず。とみさわ千夏「プリーズ・フリーズ・Me」は最終回。ちょいと脂っこさのある絵だが、読むとそれなりに楽しめた作品だった。

【雑誌】コミックドルフィン 2月号 司書房 B5中
 巻頭カラーはLAZYCLUB「続×3 仔悪魔ざかり恋ざかり」。妹とお兄ちゃん、その他×2がエロ系映画館の中で乱交。特徴はぱっつんとした乳と体液多めのハードなプレイ。なんとなく浮き世離れしてはいるのだが、いやらしくはある。北方国明「アレルギーの特効薬」。第4話め。かなりハードなエロを描く人で、最近気になっている。男の汗の臭いで欲情する体質になってしまった予備校の女講師が、さんざんにやりまくるというお話。全編これエロスという感じで、密度は高い。みやびつづる「発情蟲」。発情している人間にくっついている、欲情「蟲」が見えてしまう女性が、自らの身体に取りついた蟲に犯される。みやびつづるには珍しい触手モノ。触手触手ー。2000年の抱負は、人間を淫らにするエキスをぬるぬる湧出する触手を生やすこと! とりあえず3本!火野聡司「メイド・イン・メルヘンブルグ」。大邸宅に住む淫乱奥様とメイドさんのお話。適度な省略とやわらかい描線が気持ち良い絵柄。森高たかし「絶対!!絶明応援団」。なかなかイキが良くて、けっこうH。


12/27(月)……オフロ氏

 4泊めくらいかなー。なんか記憶があいまいで、いつから会社にいるんだか分からなくなってきている。
 久しぶりに銭湯。広い湯船はのびのびできてとても気持ちがいい。ちょっとだけ働く気力が出たような出ないような。

【雑誌】漫画アクション 1/11・18合併 No.2・3 双葉社 B5中
 かわぐちかいじの読切「ジェシカ」が巻頭カラーで掲載。国境線上を移動しながら敵の兵士を次々殺していく、凄腕の女性兵士の物語。かいともあき「白い少年」。クリスマスを二人きりで過ごす白い少年と、彼を慕う女の子、加藤さん。妙にHな加藤さんとまっすぐすぎる少年は、ダイナミックにズレ続ける。パワホー。やることがいちいち過剰ですごく楽しい。柳沢きみお「夜の紳士」。タイトルからしてもうアレだが、この内容のどうでもよさはさすが柳沢先生! 「ああなんて素晴らしいエロだ」「最高だ今夜は!!」「最高だよ この女は!!」。実に立派です。

【雑誌】ヤングチャンピオン 1/11 No.2 秋田書店 B5中
 最近ちょっと一時期のパワーが落ちてきたかなーという印象。
 今村夏央「ファイヤーキャンディ」。リョーキと悪玉の激しいタイマンが始まる。実力差はかなりあり、リョーキはピンチだが……というところで以下次号。適度にショタ風味も織り交ぜながら、せっぱ詰まったお話を展開しててわりと安定して読める。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 1/17 No.4・5合併 小学館 B5中
 高橋しんの新連載がスタート。タイトルは……ネタをバラすことになるから書かないほうがいいかな。最初はつきあい始めたばかりの、内気でのろまだけどすごくかわいい女の子と、キツくてせっかちでぶっきらぼうな男の子のかわいらしい恋物語からスタートする。「いいひと。」は説教臭が濃密に漂っていたため好きじゃなかったが、今回のは面白くなりそう。絵や見せ方など、高橋しんの漫画的な腕前は大したものだし。第1回め(というか2話同時掲載だが)はかなり出来がいい。女の子を描く力が爆発していて、素直に楽しめる。やはりこの人は、サラリーマンなんぞを描くべきタマではないと思う。曽田正人「昴」。すばるがバレエと出会い、その高い潜在能力を見せつける。描写にダイナミックさとキレが共存している。骨太で瑞々しい漫画を実にしっかりと描ける人たちの中では、間違いなく現在トップレベルにある一人。昴の長くて細い手足をいっぱいに伸ばして飛び跳ねる姿は、しなやかで力感があって美しい。相原コージ「相原コージの何がオモロイの?」が復活。Webのほうも再開したようだ。ただ、リサーチ報告のページはしばらくお休み。いっそのこと読者の意見なんぞ聞くのはやめちゃえばいいのにとか思う。今回は、マブチの水中モーターみたいな形をした不思議な生き物の日常を淡々と描くお話。力が抜けてる感じでけっこう面白い。それだけに、余計なことを考えずに漫画だけに集中したいところ。

【雑誌】ヤングキング 1/17 No.2 少年画報社 B5中
 有村しのぶの新連載「チェリオ!」がスタート。とある夫婦とじーちゃんが住む家の庭におっこちてきた奇妙な乗り物から出てきた少年。彼は実は未来からやってきたのだが、何か現代の女の子を探して何かするとかいう目的があるらしく……といった感じの出だし。有村しのぶらしい、ちょっぴりHありのコメディとなりそう。有村しのぶの場合、ポイントは「ちょっとH」であることだと思う。やることはやってるんだけど、焦らされているようなところがちょりっとソソるのだ。


12/26(日)……喋るとシャーベット

 コミケに行ってきた。と、見せかけて仕事。ようやく原稿がバリバリ届いて1999年最後の入稿完了。と、見せかけて全然原稿が来ていない。おかげで睡眠だけはたっぷりとれた。と、見せかけてあんまり寝ていない。でも銭湯で風呂に入ったからいいか。と、見せかけて3日くらい風呂に入ってない。と、見せかけて給湯所の流し台で頭だけ洗う。

【雑誌】少年エース 2月号 角川書店 B5平
 車田正美「ビート・エックス」最終回。読んでなかったんでよく分からず。作:GAINAX+画:貞本義行「新世紀エヴァンゲリオン」は、4thチルドレンにトウジが登用されんとするあたり。吉崎観音「ケロロ軍曹」は、年末大掃除編。ケロロ軍曹のお掃除豆知識がおうちを席巻。夏実おねえさんが可愛くて燃える。木崎ひろすけ「A・LI・CE」。相変わらず木崎ひろすけの絵のクオリティは惚れ惚れするほどに高い。ただ、やはりお話のスケールのわりに1回ごとのページ数が少なすぎて話が見えない。ひな。「1ねん3くみ桃ちゃん先生」。幼稚園児にしか見えない桃ちゃん先生と、彼女が作り出す不思議な空間。申し分のないかわいい絵柄によって、大の男たちを堕落させる罪な漫画。かわいいじゃねえかよう。

【雑誌】アフタヌーン 2月号 講談社 B5平
 巻頭カラーで北道正幸の新連載「ぽちょむきん」がスタート。仮面ライダーのショッカー的で今は弱小団体と成り下がった悪の組織・ゲルニッカーの構成員の下で怪人としての教育を受けつつ育った女の子二人。彼女たちの日常および活躍を描きながら、ときに軽くギャグを交えながらお話が展開する。前作「スカタン天国」と基本的には似たような味わい。クオリティがバリバリと高い絵柄と、大阪系ギャグのミスマッチが特徴。北道正幸のギャグは爆笑できるというタイプではないが、くすぐりがあって楽しめる。くすぐりレベルを超えることはあんまりないのだが。ひぐちアサ「家族のそれから」も新連載。再婚後1ヶ月の母親が死に、一緒に暮らすようになった娘/息子と、母親の結婚相手。ほとんど他人な結婚相手に養われる立場の二人は複雑な思いを抱えることになる、といった感じのお話。もう少し突出したものが欲しいが、まあ気楽に読めそう。植芝理一「ディスコミュニケーション 精霊編」。かなりロリ。一般系の漫画雑誌だけに、ちょっとした露出でもかなりHっぽく見えるのだが、それがかなり大胆であるだけになおさら。実際植芝理一作品は、精神的にかなりHだし。一度本格的にフェチ系のエロ漫画を描いてみてもいいような。小田ひで次「クーの世界」。やはり抜群。これでもかと細部まで実に丁寧に描き込まれた画面。圧倒的な重厚感を持って迫ってくる夢の世界。不思議な世界でありながら肌になじむ。空気の感触まで感じさせるような描写力は見事というほかない。山里一真「屋上コンフィデンシャル」。新人。父親に虐待され続ける女生徒と、優等生だが世の中のモノをちっとも面白く思えない男子生徒。うつうつとした日々を送る二人の想いは、学校の屋上を舞台にぶつかる。絵はまだぎこちないところを多分に残すが、物語を語ろうとする真摯さは伺える作風。

【雑誌】コーラス 2月号 集英社 B5平
 今号の表紙はくらもちふさこ。巻頭カラーも「天然コケッコー」。そよと大沢くんは仲直り気味ではあるが、不穏な要素もまだちらほら。端正な顔つきだけでなく、表情の歪ませ方もうまいなあと感心。佐野未央子「君のいない楽園」。有名なカメラマンだった父をなくした少女と、父の弟子だった青年の、いろいろと新鮮な発見に満ちた日常を描くシリーズ。この人は、男の描写はいまいちだが、天真爛漫な少女を描かせるとかなりうまい。小栗左多里「ムーン・シャーベット・ムーン」。読み切り60ページ。周りからあまり好かれないキャリアウーマンが、ひょんなことから親の化粧品会社で実験動物として使われていたウサギを盗んで逃げている男と出会って、逃避行に巻き込まれていくというお話。お話的にはさほどまとまってはいないんだけど、控えめながら端正な絵柄が目を惹く人。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 1/10・13合併 No.4・5 秋田書店 B5平
 能田達規「おまかせ!ピース電器店」。今回はケンタロー&モモコが無人島二人ぼっち。イチャイチャしております。微笑ましい。藤澤勇希「BM ネクタール」は第2話。外界に逃げ出した食肉用の獣、ビーエムが犠牲者を生み始める。なんでもたべるビーエムくんの脅威が人々の迫る。さあ。どんどんたべろうわぎくん。


12/25(土)……武蔵野ワイルドキャッツ

「フォーエバー神児くん」とかで有名な球団ですな。
 自分としては珍しいくらい一所懸命仕事をしていたので、さすがに漫画はあんまり読めず。おかげでかなり仕事ははかどったが。それにしても、やってもやってもなかなか終わりませんな。一段落して、花とゆめとLaLaの2冊を読み終わってからアフタヌーンを途中(たしか小田ひで次あたり)まで読んだところで気絶。26日の正午くらいに起きて今これを書いているところ。今日も泊まりかなー。

本日購入未読分。
【雑誌】アフタヌーン 2月号 講談社 B5平
【雑誌】コーラス 2月号 集英社 B5平
【雑誌】少年エース 2月号 角川書店 B5平

【雑誌】花とゆめ 1/10 No.2 白泉社 B5平
 ふろくは、松下容子「闇の末裔」2000年スケジュール帳。「デート」や「お休み」「テスト」といったスケジュール用のシールが付いているのがお得デース。
 相変わらず品質はコンスタント。突出した作品はないけれども、どの作品も読める。雑誌全体のパフォーマンスは高い。かなりごはん系な雑誌。桜井雪「ショート寸前!」は、前にも掲載されたことのある、大阪系の、美人だけどちょっと乱暴な女の子が織り成すラブコメ。スッキリと華やかな絵柄が目を引く。描けるものの幅はあんまり広くはなさそうだが、自分のモノを持っているタイプの人。次号から望月花梨「スイッチ」が新連載。予告漫画が今号に1ページ掲載。

【雑誌】LaLa 2月号 白泉社 B5平
 今号は津田雅美「彼氏彼女の事情」はお休み。次号も本編ではなく、主役二人の高校入試のころのお話。「全サCD」たらいうものに収録されたお話を誌上で再現ってことになるらしい。
 清水玲子「WILD CATS III」は、ご主人の少年に恋するメスのライオンのお話のシリーズもの。ライオンなのに、きっちりラブでありコメになっている。なかじ有紀「ビーナスは片想い」。誰と誰がくっつくかはもうバレバレだがながら、毎回実に素直にラブ。失恋もあるけれども、それでも全体にハッピー。とてもヌルい。そこが良い。


12/24(金)……トーマスメーン

 会社近くのファミレスCASAで、機関車トーマスの形をしたトーマスケーキを食べようと思ったのだが、折しも品切れでファッキンメーン。原稿が来なくてファッキンメーン。

本日購入未読分。
【雑誌】フラミンゴ 2月号 三和出版 A5平
【雑誌】LaLa 2月号 白泉社 B5平
【単行本】「捜索者」 谷口ジロー 小学館 A5

【雑誌】ヤングアニマル 1/14 No.1 白泉社 B5中
 技来静也「拳闘暗黒伝セスタス」が再開。奴隷として売られていったセスタスは、セリにかけられ、好色な人々によって値踏みされる屈辱を味わうが……。骨太な描写、物語は相変わらずで、これからも楽しみ。作:真刈信二+画:山本貴嗣「夢の掟」は本格連載スタート。最近、山本貴嗣作品は中途半端に終わるという印象が強いんだけど、この作品はどうなるんだろうか。山口よしのぶ「名物!たびてつ友の会」は、しあわせに包まれつつ第二部完結。今後はスペシャル編でときどき登場するらしい。

【雑誌】CUTiE comic 2月号 宝島社 B5平
 やたら分厚いのは、安野モヨコの旧作「ベイビーG」112ページと、岡崎京子の読切再録「みりん星人大襲撃」16ページが掲載されているのが大きな要因。旧作であるが、安野モヨコはスピード感とイキの良さ、岡崎京子はハイセンスで巧みな描写で実に読ませる。今読んでも十分に面白い。南Q太「つめたい手」。自分を拘束しようとする彼氏に辟易しつつある彼女のお話。一つひとつのコマの構図が実に印象的で、表現はすごくクール。線は少ないのにひんやりとした空気の肌触りまで感じさせる、空間の描写が実に見事。ビシッと決まった構図は風格さえある。オーツカヒロキ「愛ラブSHOCK!!」。この人の存在は、この雑誌にあって貴重だと思う。もちろん独立した作品としても面白いのだが、クオリティは高くてもパサパサした手触りの絵柄の人が多い中、こういう瑞々しさを感じさせる絵柄の人が一人混ざっていると雑誌全体にメリハリが出る。

【雑誌】きみとぼく 2月号 ソニー・マガジンズ B5平
 藤枝とおる「レンアイアレルギー」は次回で最終回。ひとえが自分の気持ちに完全にケリをつけ、絵やアイカに対してまっすぐに向かい合うようになる。そして次回でその想いにどう決着がつくかといったところ。クッキリした線もそうだけど、物語もパキパキと潔い。そんなにお話を引っ張らず、きっかり20回で終わるというのも歯切れが良い。藤原薫「おまえが世界をこわしたいなら」。神経質な線で描かれた世界は、静かながら今にも崩壊しそうな緊張感をはらみ、終始高いクオリティで展開されている。不純物のない透明な息苦しさは、まるで無菌室のようだ。架月弥「チョコの歌」は、なんかいつになく物語が進んでいる。忍とすれ違い続けて依存するもののなくなった圭都は、ついに自分の頭で考え行動し始めるようになる。それにしても扉の圭都がかわいいなあ。山本中学「普通問題〜ファンシーなヤツら〜」。新人。幼なじみの17歳男女が主人公。二人は、ほかの人には見えない、「モノの魂」が具現化したヘンテコな存在が見えてしまう体質の持ち主。それらはこの二人の間で「ファンシー」と呼ばれており、そのモノの持ち主の元へ届けてもらうのを待っている。非日常を日常としながら暮らす二人の物語。まだ至らない部分もあるけれど、全般的にまとまっていながら元気のある作風でうまくいけばけっこうイケそうな人という感じ。
 といったわけで、最近充実してて毎号楽しみなのだが、次号では紺野キタも登場。ますますイカす。

【雑誌】ステンシル 冬号 エニックス B5平
 Gファンタジーの別冊。半分男の子のほうも向いた少女漫画雑誌。
 巻頭カラーはこがわみさき「魅惑のビーム」。おめめの大きなメガネ娘の先輩と、彼女の瞳に惹かれてやまない少年のお話。こがわみさきの絵は、サッパリとしていながら暖かみが共存し、端正でファンタジックでもある。この清潔感のあるかわいらしい絵だけで、もう半分は勝ったも同然。木下さくら「ヤングアワーズレイトショウ」。お話はそんなに印象に残らなかったが、トーンを使わない白黒のコントラストがしっかりした絵柄に惹かれるものがある。第1回エニックス新世紀マンガ大賞入選、金城マナブ「ベイビートロン」は、扉絵は見ため吉本蜂矢フォロワー。中の絵はそれなりに違うが、お話回しといい影響を受けているのはまあ確かであろう。お話は、ちょっと壊れた女子高生トリオによるパワフルなドタバタといった感じ。勢いがあるのでけっこう読める。


12/23(木)……ビーチク

 会社泊まりが多くて、エロ漫画を中心に買った漫画の消化が進まず。でもまあ年末年始は本が出ないからちょうどいい備蓄になりそう。たぶん次のジャンキーズ用の本も来るだろうし、ミレニアムはエロ漫画まみれで迎えられそうな気配だ。

【雑誌】モーニング 1/9・15合併 No.4・5 講談社 B5中
 三宅乱丈「ぶっせん」。今号も暑苦しくて、展開が情けなくて面白い。絶妙に下らない。きくち正太「おせん」は四回めの登場。いつものぶら雲先生系。手慣れたものでさすがに鮮やかだが、このノリも少々飽き気味。うえやまとち「クッキングパパ」。ミレニアムがどうこういわないでいつもの年のように料理を作って美味しそうに年を越してくる。そこらへんの腰の据わりっぷりは安心の味わい。今回はトンコツ鍋。この作品に出てくる料理って、簡単そうなのにうまそうだから、つい作ってみたくなる。

【単行本】「セスナ」 片岡吉乃 集英社 新書判
 表題作「セスナ」と、「学えん天ごく2」を掲載。「セスナ」は平成6年の作品で、デビュー間もないころのものだそうだ。それだけに、絵も若い。現在の絵はキャラクターの輪郭とかは、骨の存在を感じさせるいくぶんゴツゴツした顔つきになっているが、「セスナ」のころはまだずいぶん丸い。好き合っている二人の、男のほうが陸上で名を上げていくようになってからじょじょにスレ違っていくが、雨降って地固まるでお互いの気持ちを確認しあうというお話。まあそこそこ楽しめるが、まだまだ凡庸。現在のようなキレ味は感じられない。「学えん天ごく2」はドタバタ学園コメディ。ところどころにセンスのあるセリフなどもあるが、ちょっととっちらばった印象。

【単行本】「ダイヤモンド」7巻 青山広美 小学館 B6
 オールスター最高潮。種田と童子の対決も佳境に。その間に、プロ野球フェニックスに関わる四番身代わりのからくりも露呈しつつある……といった感じで、次の巻で迎えるはずのラストに向かって物語は一気に収束中。この人の描く野球選手の、投球フォーム、打撃フォームはなんだかぎこちない。ギクシャクしている。それでも力強さは画面から感じられるし、見せ場見せ場もきちんと盛り上げている。8巻で終わりというのは、長さ的にもちょうどいいくらいだと思う。

【単行本】「ディスコミュニケーション 精霊編」1巻 植芝理一 講談社 B6
 このシリーズは良い。何がいいって女の子が。植芝理一のくりくりした不思議な目つきの女の子たちは毎度たいへんにかわいいのである。その中でも今回主役級の活躍をしている三島塔子、燐子の姉妹、そして戸川の3人娘はとくにグッド的。YMOがなんちゃらかんちゃらとかいうのは鼻につくし、ここまで長期連載にしなくてもいいとは思うけれども、でも読んじゃうし、読めばそれなりに良かったりもする。ただ、そろそろ読切作品も描いてほしいところ。また、エロ抜きでいいから真性少女趣味なロリ漫画を一度描いてほしいような。


12/22(水)……まずは火星

 もうすぐクリスマス。サンタさん、原稿くれないかなあ。

購入雑誌未読分。
【雑誌】コミックドルフィン 2月号 司書房 B5中

【雑誌】ヤングジャンプ 1/27 No.4・5合併 集英社 B5中
 小手川ゆあ「Silent」。30ページの読切。ウイルスのせいでほかの住民全員が死んでしまった街で、一人歩く少女。当てもなくさまよう途中で、彼女はもう一人の生存者である少年と出会う。静寂に覆われた街の中で、ささやかに滅び行く二人の短い時間を描いた物語。少しずつウイルスに侵されていく二人。しんしんと緊張感のある空気を感じさせる、哀しくて美しくい、なかなかの佳作。山口譲司「BOiNG」。京都の呉服問屋のボインの娘の物語。あの手この手でボインを調理する山口譲司の筆の巧みなこと。面白いや。

【雑誌】ヤングサンデー 1/9・15合併 No.4・5 小学館 B5中
 山田芳裕の新連載がスタート。タイトルは「度胸星」。国家を挙げての大計画である米国による火星探査は、火星に浮かぶ不思議な物体により悲劇的な結末に終わる。そんななか、アメリカ政府はこの大計画に向け、新たに宇宙飛行士を募集する。それに応募せんとする日本人・三河度胸。本格宇宙モノになりそうな気配。一時期、漫画界から宇宙モノがめっきり減ったものだが、ここにきて少年サンデーの石渡治「パスポート・ブルー」だの、連載は終わったがヤングアニマル掲載あさりよしとお「なつのロケット」など、宇宙モノがまた徐々に増えつつあるような気がする。2000年はたぶんもっと増えるのではなかろうか。俺たちはそろそろ宇宙に帰っていいころだ。
 そして今号では太陽星太郎「今日のだいちゃん」が最終回。最後は二本立て。だいちゃんと、だいちゃんに関わった人々の行く末を描きあげる祝福に満ちたラストだった。だいちゃんは立ち続け、そしてまた。この動物はほとんど動かないのに、その存在は実に強固である。物語を作る上で制限がやたらとありそうなキャラクターでありながら、ここまで描ききった太陽星太郎の腕前は実に見事だった。

【雑誌】週刊少年マガジン 1/10・15合併 No.4・5 講談社 B5平
 塀内夏子「ラッセル」は、今号と次号で計112P掲載される前後編のスノボ漫画。なんでもできる兄にコンプレックスを抱きつつも、果敢に自分の限界に挑もうとするスノボ少年の物語。予告の段階ではチャラい感じになるのかな〜とか思ってそんなに期待してなかったんだけど、雪上を滑り高く舞う姿はなかなか爽快でけっこう面白く読めた。

【雑誌】週刊少年サンデー 1/9・15合併 No.4・5 小学館 B5平
 田中モトユキ「リベロ革命!!」が新連載。「リベロ」とは、バレーボールの新ルールで生まれたレシーブ専門的な選手。ボールを拾うことに天才的な才能を発揮しつつも、自分ではアタッカーをやるつもりでいる少年が主人公の熱血バレーボール漫画になりそうな感じ。絵を見ると、曽田正人っぽい。元アシスタントかなんかかな? 久米田康治「かってに改蔵」。最初のころは、改蔵にイジメられてしまいにキレるという感じだった地丹が、最近では何もされないうちからキレている。2000年に向け確実に成長しているようだ。


12/21(火)……ガッチューまごころ便

 1000年代最後の日記ファイルに突入。やることはいつもといっしょ。

【雑誌】漫画アクション 1/4 No.1 双葉社 B5中
 最近なんだか充実してきて楽しみな雑誌になっている。作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫「軍鶏」はもちろんのこと、作:森高夕次+画:あきやまひでき「おさなづま」、さそうあきら「トトの世界」、山上正月「ルパン三世」に加えて、最近ではかいともあき「白い少年」が加わり、粒が揃ってきた。
 そして今号からは六田登「CURA/キュラ」が新連載。実はドラキュラでありながらプロ野球選手(中日の抑え)でもあり、一家の主でもあるオヤジの物語。たしかにプロ野球はナイトゲームが主だし、名古屋はドームだし、ドラキュラでも活躍しようがある職場だ。読切で山本夜羽「バタードマン」。単行本で明かしたように結婚した影響か、けっこうヌルい作品も多い最近の山本夜羽だが、普通のお話をきっちりエンターテインメントとしてまとめる力はけっこうなものだ。今回は、モノをハッキリいわない性格であるがゆえに、一緒に暮らす彼女の暴力を受け続ける男のお話。肩が凝らずに読める話と絵柄だし、短編としてまとまっているし、よくできていると思う。昔の作品でガツンといわされた人は「日和った」と思うかもしれないけれど。前号でてぬき原稿を描くと宣言した、江口寿史「キャラ者」は所要時間5分12秒35。たぶん枠線を引く時間が大半だったのではなかろうか。相原コージ「漫歌」は復活。大丈夫そう。

【雑誌】まんがくらぶオリジナル 1月号 竹書房 B5中
 みずしな孝之「ササキ様に願いを」がついに最終回。次号からは「コミヤマ様に願いを」が連載開始……というのは真っ赤なウソだが、小宮山は現実でも非常にいいキャラなので、ぜひ漫画に登場させてほしかったところ。かたぎりわかな「みちばたトライアングル」。今号はいつもより展開がハイペースで、かたぎりわかならしいキレが感じられた。ヤンマガのほうがアナーキーなノリはやりやすかろうと思うので、ぜひあっちでも描いてほしいもの。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 1/5 No.1 小学館 B5中
 会社への帰宅途中、道端に落っこちていたのですかさずゲット。さすがに冬だけあって表紙がひんやり。
 水島新司「あぶさん」は、ときどき立ち読みしていたが、相変わらずすごい。息子の景虎が近鉄に入団し永久欠番だったはずの鈴木啓示の背番号1をつけたと思ったら、その後景浦親子+今度は元南海&近鉄の山本和範で温泉へ。親子揃っての現役復帰のススメの前に山本和範、気持ちが大いに昂ぶる。なんか現役復帰を目指すことになったようだ。そもそも山本和範は、あぶさんに憧れて南海に入団したらしいし。ところで山本和範って、本当に「ガッチュ」ってしゃべるのかなあ。……などとツッコミを入れてはいるけれど、水島新司先生はこれでいいのだと思う。水島新司漫画の場合、水島先生が現実のプロ野球を元にしているのではなく、まず水島ワールドがあってそこに現実の選手が迷い込んできているだけなのだから。

【雑誌】MEN'Sドルフィン VOL,06 司書房 B5中
 司書房系の他の雑誌同様、ビッグ乳&実用重視。今号はコミケ前ということもあってか、いまいち充実してないような気も。祭野薙刀「ANGEL:STRIKE」。キャラクターの顔がなんかビニール風船みたいな感じで、どことなく洋ピンっぽい。持ち味は乳&汁系のハードなセックス。ちょっと変わった風味だけど、実用度高め。ドリルムラタ「エゴイスト」。相変わらずデカいなあ、乳が。

【単行本】「新世紀エヴァンゲリオン」5巻 作:GAINAX+画:貞本義行 角川書店 B6
 今まで単行本は買ってなかったのだが、5巻刊行に合わせて古本屋で1〜4巻を購入。ブームが過ぎた今だと、古本屋に何セットも揃っててなおかつけっこうおいしいお値段。アニメにしろ漫画にしろリアルタイムで追いかけていなかったので、完全に後追い視聴者/読者である。
 アニメ版のようにギチギチにハードでないので、スルスルと読めて単純に楽しい。単純に楽しめない後味の悪さというのも、味わい深いものではあるのだけど。こちらのほうが説明的なので、アニメのほうでもやもやとスッキリしなかった点はこちらで解消すべしって感じ。あの宇宙からおっこちてくるデッカい使徒のお話は、どうしてもアニメの動きが頭にあるので、漫画のほうは動きが分かりにくく感じてしまう。使徒の一部が切り離されてボットーンとおっこってくるという攻撃が行われてるんだということが、実感として伝わってないように思う。そこらへんはアニメのほうがいいけれど、絵柄の統一感は当然漫画のほうが上。当たり前だが、アニメのように「動かない〜」とかいう不満もないし。まあたぶん、両方鑑賞した人はみんないうことだろうけど、それぞれに味わいがあるのでどっちも楽しむのが吉だと思う。楽しみが多くて困ることはないし。連載ペースが遅いというのば別にかまわない。どうせストーリーとかは分かっているのだから、こちらはペースを上げてクオリティを落とすよりも、細部までキチキチに煮詰めた完全版として仕上げてほしいもの。


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