◆ 2000年7月上旬 ◆

7/1〜10
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7/10(月)……ゴルゴサンイーン

 昨日に引き続き眠くてしかたがない。一日中、もやの中にいるみたいな感じでうとうとぼんやり。それなりに寝てはいるはずなのに。でも仕事はせにゃならんのだ。とか思いつつコーヒーのみながらこれ書いてたら、ちょっとだけ目が冴えてきた。もしかした単純に超夜型なだけ? 生活改善すべきなんだろうが、今の状態だとちとそれも難しいなあ。まあそのうちなんとか。とりあえず時間配分はうまくならなければいけない! 日記のタイトルを考えるのに30分とか1時間とか使ってはいけない!!(そんなにいけなかないような気もするけど)

【雑誌】ガロ 8月号 青林堂 B5平
 特集は日野日出志。前号の泉昌之といい、最近特集がなかなかいいセレクションである。日野日出志が自分の少年時代のお話をノスタルジックに描く「少年日記」も掲載。日野日出志にしてはヌルくてもの足りないとは思ってしまうが。ちなみにこれが第一話。どうやら続きモノらしい。Q.B.B「幼稚なOTONA」。とくに役に立ちもしないろくでもないことばかり考えているオトナっていいもんですな。こういう微妙な情けなさを描かせるとこの人たちはたいへんにうまい。津野裕子「ミラースクライングII」。コンスタントに津野裕子が載ってくれるというのはとてもうれしいこと。そしていずれ単行本を出してくださいませ。みぎわパン「日曜大學校」は、ぱんこちゃんの夢からお話スタート。へんてこれんなものが、夢うつつの中にごく当たり前のように溶け込んでくるあたりステキですな。キクチヒロノリ「産院ミドリゴ」。ここまでのお話からはなんも関係なさそうなコケシの物語から始まって、このように物語がつながるとは。ネンター・イットさまは今回も好調。キテレツなビジュアルに身を任せているだけで、なんだか理屈抜きに楽しい。楽しめない人、ノレない人も多そうだが、そんなのはどうでもいいのだ、俺が楽しいから。逆柱いみり「恐怖博士の花嫁」。今回はカッパの村のお話。今までのお話から考えるとちょっと意表を衝かれたが、今回も独特の飄々としてひねもすのたりな雰囲気は健在。この漫画もやはり眺めていて非常にうれしい。

【雑誌】エースネクスト 8月号 角川書店 B5平
 安倍吉俊+gk「NieA_7」が今回もイカしている。絵とお話のヤケクソ感がどんどん増し、ギャグの回転も上がる上がる。そしてインドおやじ。電波も下ネタもブラックもオールオッケー。もともとの絵がうまいので抜いてもうまい。なんかすごく得な感じ。岩原裕二「クーデルカ」。お話もだいぶクライマックスって感じになってきて、全貌がずんずん明かされている。さて次はどんな手でくるのだろうか。それとはまた別に、ヨシュアがもっとかわいくなるといいにゃー。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 7/24 No.32 集英社 B5平
 矢吹健太朗「BLACK CAT」が新連載。以前やってた「邪馬台幻想記」の人。掃除屋を名乗る賞金稼ぎ二人組が主役な物語って感じ。こういう探偵だの賞金稼ぎだのといったお話は、ともすると安っぽくなりがちなんで、そこらへんでどう重みづけをしていくかがポイントかな。田中加奈子「三獣士」は連載終了。この人は、けっこう特徴があってうまいんだけどとっつきにくい絵柄でもある。お話を読み込ませるという意味においてはちと弱い。もう少し隙を作ってみたほうが良いかも。あと「西遊記」ものはいろんな人が描いていてしかも成功例が少ないジャンルだけに難しいやね。

【雑誌】ヤングマガジン 7/24 No.32 講談社 B5中
 阿部秀司「エリートヤンキー三郎」。たまには三郎君もキレる。こうやってときどき子分どもにビシッとしたところを見せつけとかないとね。すごいよ三郎くん。さすが俺の惚れた男だぜ。平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。最近どんどんケンヂの非道ぶりが加速していってて、ゲンさんが多少かすんでしまうほど。そして今号はお待ちしておりました、蓮古田二郎「しあわせ団地」が復活。今回もダメ人間夫婦は絶妙に情けない。夫もダメなら妻もダメ。それでも二人にゃ愛がある。そして来週もまた登場。日本橋ヨヲコ「極東学園天国」が第二部完結。山崎さやか「フローズン」も次号でおしまい。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 7/24 No.32 小学館 B5中
 盛田賢司「電光石火」。盛り上がっているけれど、ところでこの殿様なんで腹切ってるんだろう。暗殺してからでもいいような気がするんだけど。相変わらず盛り上げ方が強引だが、そういうグイグイ引っ張ってくれるノリはけっこう好き。高橋しん「最終兵器彼女」。ハードで面白いんだけど、オチャラけたりする描写がちょっとイマイチに思えたり。相変わらず高橋しんは愛憎半ばする複雑な印象を与えてくれる作家さんだ。柳沢きみお「SHOP自分」。折りに触れて上出来な俺ビールをあけるチョク。しつこいくらいの俺ビールぶりに乾杯。ところで最新刊4巻のサブタイトルが「地ビール」だったのを書店で見たときは、なんだかすごく愉快な気分になった。柳沢先生サイコー。

【雑誌】ヤングキング 8/7 No.15 少年画報社 B5中
 花見沢Q太郎「ももいろさんご」。今回も良い。メガネをつけた百合子さんもかわいい。キャラ的にはちと弱い感じもするが、でもかわいい。全体の甘さがバッチナイス。沖田龍児「間男」。今回はあまり遊びなしでガチンコ。脂っこくてときに珍妙で、かつパワフルなときは非常にパワフル。読むとけっこうイケるおすもうさん漫画だ。

【単行本】「チキタ★GUGU」1巻 TONO 朝日ソノラマ A5
 人喰い妖怪ラー・ラム・デラルと、100年熟成によっておいしくなる日を目指してラーに飼われている現在はすごくマズい少年チキタの物語。本当は食うために飼っているチキタと暮らすうち、ラー・ラム・デラルはだんだんチキタのことが好きになってしまってきている。食う食われるの関係でありながら、実はお互いのことを思いやっている二人の姿は、暖かく切なく目に映る。ラーがもし彼を無事食することになれば素晴らしい美味と大きな悲しみをともに感じるだろうし、食さないで我慢しチキタのいうことに従って他の人間も食わないようにすればラーは衰えていくしチキタも「食べさせてあげたい」と感じるだろう。どちらにしても残されるほうに悲しみは残る難しい構図を、ファンタジー心あふれる柔らかくて美しい作風で、とても繊細に描写している。ええお話。


7/9(日)……でてこいサザーン

 原稿書き用の資料集めのため、町田のオタク系本屋および古本屋を回る。んでもってごちゃっと本を仕入れてきた。暑かったので帰ってきてから飲んだビールがたいへんうまかったのが収穫。やはり昼ビーはいいなあ。

 さて、上記の本とかジャンキーズ用の本とかを消化中。なんだか今回ジャンキーズで来たものに関しては、やたらメイドさんもの含有率が高かったような気がする。この氾濫ぶりはすごいと思うのだが、個人的にはメイドさんってあんまりこない。コスチュームはたしかにかわいいんだけど、なんか従順とか服従とかいわれると簡単すぎちゃって。あとメイドさんものは小娘率が高いので、熟れててばいんばいーんなほうが好きな人間としては、実用度的にはいまいちかなあと。でもラブコメ風味は好きなので、これはこれでまた萌えようはある。かわいいキャラが多いし眼福であるのは確か。つまりは用途の問題ってことか。

 今日はそんなに寝てないわけじゃないのに、なんでこう一日中眠いんだろう。

【アンソロジー】「メイドDX」 司書房 A5
 当然のことながらメイドものである。
 執筆陣はマーシーラビット、竹村雪秀、桂よしひろ、うさぎのたまご、森高たかし、BENNY'S、しげの理、英丸、火野聡司、天野タマキ、高岡基文、MGジョー。司書房はこういうアンソロジーをまるまる雑誌からの再録で作っちゃことが多いのだが、この本もまたしかり。いずれもドルフィンやラッツなどからの再録である。というわけで普通のアンソロジーと違って、メイドを強く意識して描き起こされたというより、メイドさんが出てくる作品を集めてきたという印象が強い。そういった面でこだわり的には若干弱いので、作者の妄執を求める読者にはもの足りないかもしれない。ただ、司書房系の作家さんとしては、かなりイキが良いあたりの人が揃っている。キャッチーできっちり実用面も考慮したエロを描ける人が多いので、内容的にはけっこう満足できる。

【アンソロジー】「メイド天国」 あまとりあ社 A5
 こっちはメイドものというコンセプトで作品を起こして作られたアンソロジー。執筆陣は志摩みつる、安原司、桜咲ももこ、奈良重雄、両替屋両太郎、桜餅きな子、琴李蘭、みたかりま、あいかわくみか。帯によると全員女性作家なのだそうだ。そのせいか、エロ度はわりと低くライトな作品が多い。この中では、志摩みつる描くところのドジ(定番)なメイドさんがかわいいのと、桜餅きな子のノリの良さがわりと良い。ただ全般的なレベルはあんまり高くなく、あっさりした印象。

【単行本】「花右京メイド隊」1巻 もりしげ 秋田書店 新書判
 母親の死により突如大富豪・花右京家の家督を継ぐことになった少年が、山ほどのかわいいメイドの大隊に囲まれて当主としての日常を送る。もりしげといえばハード鬼畜ロリで有名だが、こちらはかなりヌルくて甘いコメディとなっている。なんといっても表紙に「やすらぎ系美少女コミック」とかうたわれているほどだ。で、かなり骨抜きな作品なのだが、これがけっこう面白い。メイドさんたちが健気で可愛くいろいろ愉快な個性もあって、コメディとしてよくまとまっている。

【単行本】「まほろまてぃっく」1〜2巻 作:中山文十郎+画:ぢたま某 ワニブックス A5
 さらにも一つメイドもの。戦闘用アンドロイドだったまほろが、お役目を終える日までの時間を、主人公の少年・優の元でメイドとして過ごす。すごい能力はあるけど、ある意味ちょいと天然ボケ気味なまほろがとてもかわいくて、読む人の心をトロトロにする。ぢたま某の淡くて柔らかいオタク殺しな絵が実に効果的に作用。まほろの機能停止までの時間があらかじめ設定されていて、甘いだけ、楽しいだけ、幸せなだけでは終わらさない。幸せさをより際立たせる切なさという隠し味が仕込まれているのが肝だ。素直に面白いじゃないっすか。

【単行本】「ピチッとボディ!」 水谷みんと 平和出版 A5
 絵はなんか野暮ったい。乳輪もデカめ。でもエロい。そこが水谷みんとの持ち味。ぱっつんぱっつんの身体と豊富な体液。最初は拒みつつもしだいに感じていって最後にはハマってしまうって感じの、実にオーソドックスなエロの手順を踏んでいるだけに、きっちりエロのツボは押さえている。

【単行本】「窓のない部屋」 山文京伝 コアマガジン A5
 凌辱、調教という印象が強い山文京伝だが、今回はお気楽Hものもあり。もちろん調教もあり。凌辱もので培ったエロエロ描写は、ちゃんとコメディものでも生きていて、エロシーンは充実している。昔に比べて線は多少柔らかみが出てきているし、女の子も可愛くなっている。お話として楽しむのもいいし、ガチンコの実用にもそれなり。強烈さはないけど楽しめる一冊。

【単行本】「カタパルト」 蟹空解太 日本出版社 A5
 肉付きの良い、ちょっと垢抜けない体型の女の子たちがわりと魅力的。豊満でエロはしっかりやっててボリューム感あり。ただ、女の子に比べて男の描写が弱く、顔が描かれていないことも多い。男も女もちゃんと描けていたほうがエロさはググッと増すというか幅が広がると思う。

【単行本】「花のように鳥のように」 二階堂みつき シュベール出版 A5
 ラブコメ色がわりと色濃い作品が多く、「恋する人たち」の物語をちゃんと描こうとしているのが伺える。ライトなタッチで優しさのある作風。エロ度はあんまり高くないが、ラブでちょいHな甘い世界を楽しみたいという向きによろしそう。

【単行本】「DNA」 AYUMU.M フランス書院 A5
 女性的なタッチでわりと華やかな絵柄。そのわりに女の子たちがけっこうムチムチしているのが魅力。ものすごく目立つってものはないけど、手堅くHしてまとめててそれなりに楽しめる。

【単行本】「裸痴監禁」 まるごと林檎 オークラ出版 A5
 とある女の子がSMの専門学校に入学。一人前の女王様になっていくというお話の「裏私立SM学園」がメイン。ライトな作風ながら、案外ちゃんとSM修行道を描いていてお話としてまとまっている。絵柄は明るくあっさりめだが、エロの見せ場シーンもちゃんと描けている。滑らかな塗りの表紙もなかなかキャッチー。メイドもちょっと含有。

【単行本】「着せ替え巨乳ちゃん」 速水憂海 久保書店 A5
「お色気前線異状あり」がメイン。とあるアパートに主人公・武史が引っ越してくるところからお話はスタート。そのアパートの他の部屋の住人は、なぜかかわいくてHな娘揃いで武史くんのやりまくり人生がスタートするのでした〜というお話。男にとってむちゃくちゃ都合のいい設定ではあるが、巨乳がばんばんでてきて、常にHなことしているといった感じでサービス精神旺盛。華やかで後味さっぱりとした健康的なエロという感じ。実用度高めでけっこう地力あり。メイドっぽいコスチュームのも一編。

【単行本】「3×3 EYES」1〜5巻 高田裕三 講談社 B6
 何を今さらって感じだけど、原稿に必要なんで読んでみているのですな。連載のほうではそれなりに読んでいたんだけど、単行本をきちんと読んだことは、う〜ん昔あったかもしれないなかったかもしれないといった感じ。で、読んでみるととくに最初のほうはけっこう面白い。妖怪退治をしているわりには仕掛けがしっかりしていて安くないし、アクションも見ごたえがある。先週のヤンマガでちょうど連載500回。第1巻の初版が1988年でまだ連載中……というところから分かるように、長く続けすぎたという印象は否めない。まあ今さらいってもしょうがないことだけど。とりあえずきれいに終われるといいなあ。

【単行本】「しびとの剣」1巻 作:菊地秀行+画:加倉井ミサイル スコラ B6
 古本屋でスコラ版をゲット。ソニー・マガジンズ版で2巻まで出ているようだが入手できなかったので、残りの部分は雑誌のバックナンバーを引っ張り出してきて今までのお話を全部読む。お家復興のため転生させられた紫靡帝が、さまざまな思惑うごめく戦乱の世をさまよう。超人的な力を持っていつつも、その瞳は哀しみの色を帯びている。連載途中でバーズ休刊騒ぎがあったので、お話の連続性の面で不利な部分があったけど、まとめて読むとけっこうイケる。独り、運命を背負って生きる紫靡帝の姿が、強く美しい。お話の展開がのろいので、これはまとめ読み向きの作品だと思う。

【単行本】「超人ロック」1〜2巻 聖悠紀 青磁ビブロス 文庫
 これも今さらという感じの物件。宇宙、惑星、エスパーで壮大な物語。考えてみると、最近ではこの手の話は存在しにくい。残念な話ではある。超能力モノって最近は、せいぜい読心術程度になってしまっているだけに、これだけ壮大だとけっこう新鮮に感じる。古本で1冊100円にて5巻まで購入。


7/8(土)……味噌猫耳うどん

 外に一歩も出ず。休みの日は寝っ転がってる率高し。読まなきゃならない漫画が山積みなんだけど今日はなんかサボり。時間はそこそこあったのに、眠かったりなんだりでいまいち読む気になれず。というままではさすがにヤバいのでこれから寝るまでの間にいくらか読んでおくとしようとか思った朝5時半。寝る時間が8時としてー、エロ漫画単行本なら10冊くらいはいけるかな。意識を失わなければ。

【雑誌】漫画ホットミルク 8月号 コアマガジン B5平
 見本誌が到着。
 智沢渚優「カム淫マリコちゃん」が巻頭カラー。男一人と少女二人が草原でピクニック……という1ページめをめくると、おもむろに女の子が微笑みながら「抜く?」と一言。ああ、いい世界ですなあ。瓦敬助「菜々子さん的な日常」。今回も菜々子さんはいい。毎度いってるけどいい。これからも言い続けるだろうけどいい。みかん(R)「煙突の女」。今回もまた白黒コントラストが利いた細かいペンタッチの絵が良い。ナヲコ「綺麗」。うっまいなあ。綺麗な同級生に憧れる女の子だが、その娘にも実は複雑な事情が……。スッと抜けるような筆致がとても鮮かでハッとする。赤らんだほっぺたの描き方とか、雰囲気があってとても良い。田沼雄一郎「G街綺譚」はお嬢さまがかわいい。リボン、袴。むふー。でも一部仕上げがされてないページがあるのは残念。ここらへんは単行本出してリベンジしてほしい。
 今回のコミックジャンキーズの特集はネコミミコミック。インタビューは船堀斉晃とぐれいすの2本立て。新刊レビューは84冊。そのうち21冊を担当してます。

【単行本】「春よ、来い」3巻 咲香里 講談社 B6
 女の子たちがとてもかわいく華やか。青春でラブストーリーな漫画として、手堅く楽しめる。わりと広い層に受け入れやすそうな作風だ。髪の長いのよりもやはり眼鏡っ娘であろう、とは思うのだが。眼鏡っ娘のほうがバンドのボーカルとしての特技もあるし。でも三角関係は続く。なんで髪の長いほうの女の子がこんなに高史にこだわっているんだか、いまいち納得できないものはあるのだが、まあ恋愛は論理だけでは割り切れないってことで。面白いのでこれはこれで良しとも思う。

【単行本】「コリドラー」1巻 サガノヘルマー 講談社 B6
 好きなものを自分の内面世界に取り込んでしまう特殊能力を持つ少女、八木みみこ。彼女が好意を持った者は、身体の一部を取り込まれてしまう。彼女が最も愛する者である兄のクチヒコなぞは、まるごとみみこの内面世界に閉じ込められているが……。サガノヘルマーらしい、異様にクセが強くズルズルしただらしなく、さらにエロティックでもある絵柄はこの作品でも健在。まだあんまりイカれっぷりが激しくなく、サガノヘルマーとしては大人しいかなという印象。もっともっとむちゃくちゃやってほしいところだが。

【単行本】「犬・犬・犬」1巻 花村萬月/さそうあきら 小学館 B6
 人間的な感覚がマヒしているケンちゃん、通称「マヒケン」の戦慄すべき生き様を描写していく物語。痛みをまったく実感できない者の怖さ、そして実感がないことの怖さ。内面がポッカリ虚無であるキャラクターというのは漫画にはわりとよく出てくるが、マヒケンはその中でも恐ろしい。物腰が静かであるだけに余計そう感じる。さそうあきらによる、寒々しさも感じる絵柄もうまいことキャラにマッチしている。

【単行本】「富江(全)」 伊藤潤二 朝日ソノラマ 四六判
 ぶ厚い愛蔵版。初版は今年の2月20日。血液やら分裂した身体の破片からも甦ってくる、魔であり美である女・富江を中心とした連作ホラー。なんで富江はそうなのか、という説明はもちろんされずに、富江はこういうものなのだとして不条理な恐怖世界が展開。一歩踏み外せば滑稽になるところだが、その一歩を踏み外さずに、しっかりグロテスクな恐怖モノに仕上げている。富江はキャラクターが立っているというか、いちキャラクターの枠をはみ出ている概念的存在にまでなっている。怖いかといわれると個人的にはそれほどでもないんだけど、不吉なムード作りはとても巧みであると思う。

【単行本】「ザ・ワールド・イズ・マイン」11巻 新井英樹 小学館 B6
 ユリカン、アメリカ大統領といったデカい舞台の人々まで巻き込み、トシモン現象は世界を揺るがしていく。個人の世界をあっという間に消し去り、群衆の世界を攪拌する。殺される者の視点からの記録という形式で語られる第121話「殺されました」の絶望感、破壊される恐怖の描写などは実に確信的でゾクゾクしてしまう。後半、多数の人々の死の中心で解放されるマリアの姿も非常に鮮烈だ。ものすごい圧力をもって物語は読む者に迫る。いまだに行き着く先は見えないが、大きな物語に呑み込まれる快感を存分に味わわせてくれる。


7/7(金)……四角めの肉

 ちょっと遅めに帰ったら、台風のせいか電車が空いててわりと快適だった。台風も悪いことばかりじゃないな。

【雑誌】別冊ヤングジャンプ 8/15 No.10 集英社
 八神健の読切「フォーチュンブレイカー」が掲載。45P。カミナリに打たれたショックで予知能力を手に入れた大学の先輩(男)をひきずり回して、占師をさせてみる女の子。シンプルだけど暖かみのある絵柄は健在で心地よく読める。女の子の顔つきが、まっすぐでハツラツとしていて惹かれる。「密・リターンズ」でもそうだった。小手川ゆあ「おっとり捜査」は最終回。殺人犯と刑事の、ある種の信頼感に支えられた複雑な感情を描いていて読みごたえがあった。ただ、この人の作品の場合、絵がスッキリしすぎてて、なんとなく導入部をあんま意識せずに読み流してしまいがちなところがある。もう少しツカミの部分でパンチが利いてくるといいんだけどな〜とか思う。藤崎周一郎「風の一平」。新連載スタート。画風は清涼感があってわりといい。ただ、ヒゲの濃い主人公のクラスメイトの顔の描写がイマイチなのがどうも気になってしまう。スクリーントーン1枚べろんと貼っただけというのはどうも。わりとうまげな人だけにかえってそういうのが目立つ。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 7/21 No.15 小学館 B5中
 もりやまつる「親父」。親父が問答無用で強い。あんまりしゃべらないけど、やるときはバシッと決める。そこにシビれる憧れるゥ。作:鶴岡雄二+画:永松潔「孫がゆく」が最終回。案外きっちりまとまっていたような。とりあえず終わってくれて少しホッとした。作:花村萬月+画:さそうあきら「犬・犬・犬」。前回の鼻&指におろしがねに引き続いて、さらにエグい拷問が。見ているだけでチリチリしてくる手口、それからマヒケンの底なしの虚無に慄然とする。うう、痛そう。

【雑誌】YOUNG YOU 8月号 集英社 B5平
 鴨居まさね「雲の上のキスケさん」。お互い忙しくってこのごろ会っていない二人だけど、会わなければ会わないなりにラブラブな部分もあったりする。楽しそうな恋愛模様で眺めていてもウキウキした気分になれる感じ。谷地恵美子「明日の王様」。恋愛ターンに突入も、やはり手堅く面白い。今回は十也のマネージャーのお姉さんのキャラクターが、ビシッと気合い入ってて魅力的に感じた。榛野なな恵「Papa told me」。くそー、なんだか地球にまで優しい視線を向けやがって。しかも「ほし」とかふりがなつけやがって。くー、イヤなガキだぜ的場知世。いやまあいいんだけど。

【雑誌】FEEL YOUNG 8月号 祥伝社 B5平
 内田春菊が巻頭カラーで登場。タイトルは「見せつけないでこれ以上」。今号と次号で連続掲載予定。独身の自称イラストレーターの女性が、実家に戻ってきて既婚の姉にはイヤミをいわれ、つき合っている男は妻子持ちで肉体関係だけはずるずると。なんだかムシャクシャ楽しまぬ日々。その鬱憤からネットに逃避しようとするが、そこもまた安住の地とはいえない状況で、彼女のハンドルを騙ってオフで男と会ったりしている人間がいるらしい……という感じ。わりと絵は軽めにしてあるけど、自分のハンドルが他人に使われ、自分でない自分がネットに生まれつつあるという状況はなかなか怖い。引き込まれる展開で、後編も楽しみ。南Q太「恋愛物語」。妊娠して、夫との関係が恋愛というより家族愛になってしまっていくことにちょっとブルーであるような女性の物語。一般的な意味での大事件が起きているわけではないけれど、しかし大きな変化を体感している妻の心情がうまく描かれている。
 魚喃キリコ「strawberry shortcakes」。いろいろなモノが好きなんだけど、どうも恋には胸がトキメかぬ女性がクールにいろいろ考える。告白されてもトキメかぬという腹の据わりっぷりは、全然いいことじゃないのかもしれないけど、サバサバしてて何やら羨ましい。作:岡田ユキオ+漫画:柏屋コッコの、濃厚顔カップルのラブコメ「ラヴ・エスプレッソ」。登場人物たちの眉毛が太かったり下睫毛がバリバリだったりする濃い顔だけでかなり勝っている作品だが、展開もコミカルで面白い。美人でも美男でも暑苦しいものは暑苦しい。こいずみまり「CUT×OUT」が復活。普通のコマ割りのストーリー漫画もなかなか読ます。コミカルにもシリアスにも対応。うまいですなあ。

【雑誌】花とゆめ 7/20 No.15 白泉社 B5平
 日高万里「世界でいちばん大嫌い」。あっちもこっちもラブが幸せに進行。ヌルくて心地いい。でも今回のラストで、それにもちょっと暗雲が漂ったり。花とゆめ掲載作品は安定して読める作品が多いが、これもまたしかり。羅川真里茂「しゃにむにGO」。なかなかきちんと熱血テニスものしている。キャラとかはけっこう立っているので、あとはテニスの技術部分とかプレイシーンそのものがさらに充実するとうれしいんだけど。

【単行本】「目隠しの国」2巻 筑波さくら 白泉社 新書判
 触れた人の未来が分かってしまう能力の持ち主である女の子・かえで。それから逆に過去が分かる男子・あろう。この二人のラブを中心に、さらにもう一人未来が見える男子でこちらもかえでのことがお気に入りの並木。この3人を中心とした、優しくて爽やかで端整な物語。キャラの設定がよくできていて、絵も清潔感があってうまい。平成8年、というと4年前だが、そのころに掲載された読切「百花事務所の悪魔」も併録されているが、それと比べても「目隠しの国」はずいぶん読みやすくなっている。癒し効果もバッチリな感じの、きれいな、よくできた作品であります。ジャケットのイメージが中身の作風にけっこう合っているので、ジャケ買いしても後悔ないタイプと思われる。

【単行本】「露出教室」 鋭利菊 心交社 A5
 いやあ、実に立派ですなあ! この見事なまでの妄想ワールド。とくに巻頭作である「みなと川分校物語」なんか最高。どこの学校と比べても自慢できるくらいみんな仲がいい、小さな村の分校の男子女子が、親睦を深めるためにみんなでキャンプ合宿。そこで行われる、お楽しみナイトタイムの演技の数々。おおむね女子が男子を喜ばせるために演技を披露するって感じなのだが、とにかく女の子は恥ずかしいかっこうをし、男の子はそれを喜び続けるという光景がえんえんと描写される。コマ割りもブチ抜きがほとんどで、とにかく「こんなことをやってほしい」という夢が、ここでは炸裂し続けている。まあある意味アクの強い絵柄でもあるのだが、女の子はこれはこれでこれなりに可愛くて健気。そして男はやたら記号的。男の雑魚っぷりが、かえって女の子たちの恥ずかしい状況を際立たせている。というのは、あんまりかっこよかったり邪悪だったりと特別な男に辱められるよりも、フツーの取り立てていいところのない下っ端的な男に辱められるほうがより恥ずかしいとかまあそんな意味合いだ。あと、この人は女の子がズラーリと並んでいたり、はりつけになっているシーンがどうもお好きな模様。こういう姿を見ると、ウルトラ兄弟大集合とかゴルゴダの丘での磔とかを連想してしまうのだが。


7/6(木)……エリーヤン3

 かっとび〜。というわけでおうちにCATVインターネットが導入された。小田急ケーブルビジョンが町田エリアでのサービスも始めるようになったのだ。工事が終わったらそこはもうつなぎっぱの世界。……といいつつ、一部の人からは「そんなことしなくてもいつもICQにいるじゃんかよー」とかいわれそうだが、まあそれは置いといて。今までアナログの電話回線で56K接続だったのだが、ウチのほうは回線品質があんまり良くないので、接続がブチブチ切れることがけっこうあった。それが切れなくなったってだけでもう萌え萌えだ。速さのほうだが、速いことは速いんだけど、ISDN使ったことないから相対的にどんなもんなんだかはいまいちよく分からない。会社の回線と比べると……うーん、これも同じ作業してるわけじゃないからよく分からんなあ。とりあえずアナログのダイヤルアップより数段速いことは確か。ついでに親にもインターネットの使い方を教えたけど、これはいろいろ面倒くさかった。まあそんな難しいもんでもないからすぐ覚えるとは思うけど。
 それにしてもまたインターネットに金つぎ込むのかー。うーむ。世界に向かって自分という人間を広告するための必要経費だと割り切るしかないですな。まあ幸い、金を使った分に見合うくらいの、いろいろ面白い出会いや体験はさせていただいているとは思うし。

【雑誌】ヤングサンデー 7/20 No.32 小学館 B5中
 佐藤秀峰「海猿」。大輔は要救助者を救出するも、今度は思いもかけぬ悲劇に直面。この作品は、なかなか登場人物を甘やかさない。厳しい現実をつきつけ続け、決断を迫る。甘えのない力強さだ。山本英夫「殺し屋イチ」。イチのことを語る垣原の、期待と不安とトキメキと恥じらいが入り混じった表情は、ゾクリとする迫力がある。垣原組長は、改めていうまでもないが恐ろしいほどにキャラが立っている。すごい男だ。新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」。トシモン包囲さる。危機的状況において、モンちゃんが何をしでかすのか。またしても期待大。

【雑誌】モーニング 7/20 No.32 講談社 B5中
 作:西村ミツル+画:かわすみひろし「大使閣下の料理人」。巻頭カラーで登場。かわすみひろしの描く女性はけっこう好きなのだが、今回は市場の少女・アインがとてもかわいかった。弘兼憲史「部長島耕作」。Nyaccoが大ヒットするなか、島耕作は娘と一緒に野球観戦。会社を辞めるという娘の言葉にドスーンと暗い顔つきになりつつ、しっかり外野席のウェーブに参加している島耕作の図がとてもナイスな光景だった。あとは高市さんがちょっと可愛くなってきているのがポイントか。高橋ツトム「鉄腕ガール」。トメの胸のすくようなピッチングが展開。足を高々と上げるピッチングフォームが美しいねえ。あと投げ終えた後、顔も上げずこともなげにベンチに戻っていこうとする格好も決まっている。高橋は高橋でもお次は高橋のぼる「リーマンギャンブラーマウス」。女体盛りが使えずピンチなインドまぐろ子に新たなる技が。今回のは一回しか使えないネタのような気もするが果たして。それにしても今回の相手も濃厚だ。男二人を付き従えて、勝負が終わるとおもむろに股間や乳を揉ませ出す有閑マダム。ものすごく派手で悪趣味なドレスもまた大事なアクセントである。福島聡「DAY DREAM BELIEVER」。カスミが能力を開放し始める。ここからどのように話を進めていくんだろうか。すごく楽しみ。それにしても絵の達者なことよ。

【雑誌】ヤングジャンプ 7/20 No.32 集英社 B5中
 奥浩哉「GANTS」。死んだと思った人々が集まっているヘンな空間に、今度は全裸女が登場。というわけで役者は揃いつつあるが、まだ展開は見えない。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 7/20 No.33 秋田書店 B5平
 おおひなたごう「おやつ」。今回のパワーホライズンの舞台はテニス。ちょっと顔が良くなったモンブランが2点リードするなか、おやつがホライズンポーズをとれるかが見どころ。……パワーホライズンを知らない人にとっては、なんの説明にもなってないな。瀬口たかひろ「オヤマ!菊之助」。今回は超有名同人作家の少女、秋葉原おにゃるが登場にゃる! 本当にこういう言葉遣いをしているにゃる! 眼鏡っ娘にゃる〜。

【雑誌】コミックフラッパー 8月号 メディアファクトリー B5平
 うーん、なんかますますとっちらばった印象だなあ。第9号めになるけど、いまだに何を狙ってるんだかよくわからん雑誌である。
 SABE「串やきP」。新たな闘いの予感に、串P武者震い。ギリギリの緊張と血を求める邪悪なる大海ガラス。外見と歪んだ精神性のアンバランスさに惹かれまくる。和六里ハル「魔法のエンジェル グリグリビューティ」。キャワイイ男の子の変身シーンで、きっちり半裸にしているあたりのサービス精神がたまらない。そして巨乳&美少年のおふろシーンまで。ヌルくてちょいとHでキャッチーなことのこの上なし。人間をダメにしてくれるぞ。駕籠真太郎「パラノイアストリート」。今回はいろんなものを分解する町のお話。バラバラ殺人とかバシバシ。毒はたっぷりながら、コメディらしい軽さもきっちり出しているあたりうまい。柳沼行「アスミ」。再登場。ロケットの事故により母親を失った女の子が、図工の時間に、母の最後の記憶である包帯グルグル巻の姿を描いてクラスの男の子たちに馬鹿にされる。しかし彼女には、今はそれしか描けないのだった。そんな彼女が、ある日川で溺れ、死と生の境界的世界で不思議な体験をする。切なさと暖かさが同居した、しみじみとするいいお話。前回の一発のみで終わらずちゃんと再登場してきてくれたのが何よりうれしい。

【単行本】「エリートヤンキー三郎」1巻 阿部秀司 講談社 B6
 ヤンキー果汁を濃縮しまくって、本来の果物の味からもかけ離れたナイステイストに仕上がったヤンキー漫画の超新星。というわけでオスマンにラピッドリー追加してみた。拙速を尊んでみた。

【単行本】「殺し屋イチ」7巻 山本英夫 小学館 B6
 今回はジジイが主役な巻だ。不調のイチをイジったり、自分の美学に反する夾雑物を自らの手で始末したり。ジジイの奏でる旋律に合わせて、ここまで人々が動いてきていたということがだいぶ見えてきた。グイと読者をわしづかみにして引き込んでくる。次巻あたりからは、また血みどろ復活のはず。恐ろしい惨劇といえばそうなんだけど、それを見たいとワクワクする自分がここにいる。次の巻も楽しみだ。


7/5(水)……断・同罪

 池袋にて、今年2月に初単行本「フェミニズムセックスマシーン」(太田出版)が発売された気鋭の漫画家・砂さん、それから吉本松明さん、沼田さん、スズキトモユさん、アンド俺の5人で飲む。主たる目的はマンガエフで発表する新作を準備中の砂さんと、松明さんの対面を実現するといった感じだったのだが、まあ要するに漫画のことを中心にいろいろ語ってカリカリ呑むといった感じの集まりだったわけだ。1次会で日本酒をくいっといっていたせいで、2次会の間はちと気分が悪くなっていたが、3次会のカラオケボックス内で大幅回復。そのころには砂さん、スズキトモユさんと俺の3人になっていて、結局その後喫茶店に行ったりして夜を明かしたのでありました。そんなわけで今日は3冊しか読めてないよ〜ん。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 7/19 No.14 講談社 B5中
 作:夢枕獏+画:板垣恵介「餓狼伝」。泣き虫サクラの泣きっぷりがものすごい。のたうち回りながら何十リットルあるのか分からないほどの涙をふりまく。これだけ出せばさぞかし気持ちよかろう。泣くというアクションも、板垣恵介が描くとここまでダイナミックに、ここまで痛快になる。すごいなあ。はっとりみつる「イヌっネコっジャンプ!」。今回の見どころは、いつものお尻ではなく、フロントサイドからのビューを実現したパンチラシーンであろう。ユウキはやはりカワイイ。

【雑誌】週刊少年サンデー 7/19 No.32 小学館 B5平
 新連載、作:坂田信弘+画:万乗大智「DANDOH!! Xi」がスタート。ちなみに「ダンドー ザイ」と読む。まあ要するに「DANDOH!!」の続きで、今度は舞台が海外になるらしい。藤田和日郎「からくりサーカス」。フランシーヌの幸せそうな笑顔が印象的だが、物語は悲劇的に進行中。瑞々しくてイキイキとした表情を描けるというのはやはり強い。

【雑誌】週刊少年マガジン 7/19 No.32 講談社 B5平
 寺沢大介「将太の寿司」。審査員たちの寿司をがっついて感動するさまがたいへん大げさでユーモラス。ブ・ブ・ブ・ブラボーといった風情。実に愉快な食いっぷりだ。


7/4(火)……バッティンぱーんち

 今の俺には気力が足りていないぜ。原稿書きもコンテンツ作りもはかどらないんだ。でも、そのうちなんとかなると俺は信じている。いつだって、俺たちはそうやってきた。そしてこれからもそうしてやっていくんだ。

【雑誌】キングダム 7/18 No.29 少年画報社 B5中
 法田恵「こんすとらくたーず」。手だけなんだけど、なかなかH。身体のラインが柔らかくて肉付きのいいキャラクターたちの、熱にうかされたような表情がいい。大石まさる「みずいろ」。今回は青インクと赤の2色カラー。前もいったけど2色カラーは暖かみがあって好きだ。とくにこの作品の場合は2色が合っているように思う。青インクの色合いも爽やかでよろしい。そして今回は後輩女の子、かつみちゃんが活躍。今回はロリ度が高まっているような。

【雑誌】漫画アクション 8/4 2000/8 双葉社 B5中
 高倉あつこ「修平でもう一杯!!」。巻頭カラーで新連載。結婚を間近に控えたビール会社の優秀な若手スタッフ・大杉とその会社で営業をしている婚約者の女性。幸せ一杯の二人だったが、結婚式直前に大杉が交通事故に。で、そのとき偶然事故現場に居合わせた、酒造りを夢見てここまでの人生を過ごしてきた居酒屋のオヤジの魂が、大杉の身体に乗り移ってしまった気配だが……といった感じの出だし。このオヤジさんが、最後の夢を叶えて自分ビールを作るとかそういう話になるのかな? ビールができたら「原宿ビール」という名前にするとめっちゃ売れそうな気がするんだよ。かわのひろし「バッティングセンター職人」がなかなか面白い。バッティングセンターで、バッティングマシン代わりにボールを投げ続ける職人一家のお話。彼らは規定の速度から誤差が0.5km/h以内しか許されず、黙々とボールを投げ続ける。当たり前のようにヘンな一家のヘンな生活が展開されていて、なかなか味のある作品。


7/3(月)……電光石火 碁

 会社の近くにあるインド料理屋にいってナンを頼んだところ、全長40cmくらいありそうな物件が出てきてサプライズド。あれがもしかして「ナソ」だったとしたら。いやそもそもイソド料理屋だったとしたら。恐ろしい(鵺の泣く夜レベル)。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 7/17 No.31 集英社 B5平
 岸本斉史「NARUTO」。眉毛ボーン、てらてらおかっぱの濃い師弟の愛がなかなか暑苦しくて楽しい。こいつらはきっとプリケツ(茶羽根太一参照)だと思う。作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」。日韓少年碁ボーイ対決が盛り上がっている。キツイ目つきの相手方はなかなかキャラも立っている。ワクワクする展開。作:真倉翔+画:岡野剛「ツリッキーズ ピン太郎」は最終回。子供向けを狙うには少しスパイスがキツかったかもしれぬ。キテレツな楽しさはあったけど、ちょっと変化球すぎたか。

【雑誌】ヤングマガジン 7/17 No.31 講談社 B5中
 阿部秀司「エリートヤンキー三郎」がついに巻頭カラー。いきなり見開きで三郎がワナワナしてるすごい顔がドドーンと。そしてついに三郎の力がまた発動するのか。最近、三郎の影が少し薄くなっていたので、ここらでドカンと爆発しとくと良さそう。単行本が6日に発売するというのもいいお話です。ロクニシコージ「すべてに射矢ガール」。とある男子が転校してきた学校には、頭に矢が刺さったままの女の子がいる。という状況での日常ギャグ漫画ってところか。絵はギコチない感じだが、女の子の描写とかはなんとなく気にかかる。面白くなりそうなならなそうな。とりあえず様子見。福本伸行「カイジ」はようやくギャンブルに突入。なんかいわれると、ちょっとだけ抗ってみてすぐ「確かにそうかもっ…!」となってしまうあたり、相変わらずカイジの意志の弱さが伺える。最初は見でいったほうがいいと思うんだけど、今のカイジだとなんか性急に勝負に行って大損こきそうな気がする。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 7/17 No.31 小学館 B5中
 盛田賢司「電光石火」。最近お話がけっこう動いていて面白くなってきている。キチガイだと思っていた殿様が実は……ときて、かなり物語の骨組みが見えてきた。一條裕子「犬あそび」は今回で最終回。単行本は7月29日とのこと。この作品は、ところどころ飛ばしがちだったので、単行本読んでからじっくりと感想は書こうと思う。柳沢きみお「SHOP自分」。大家さんがまたしてもサラリと暴論の連続。いやあうさんくさくていいですな。ある意味この作品も全然先が読めない。先を読む必要などまったくないんだが。

【雑誌】エンジェル倶楽部 8月号 エンジェル出版 B5平
 今回は奴隷ジャッキーとかあずき紅がいないので、若干パワーダウンな印象。そんな中、草津てるにょ「ダークウィスパー」は汁気がたっぷり滑らかかつハードなエロで相変わらず高い実用性。ミルフィーユ「水野くんの部屋」は、ふくよかな人妻さんがHでかわいく、かつちんちんゴツゴツで俺好み。奥さんが足とか細くなくて、垢抜けないけどほっとする魅力があっていいなあ。

【単行本】「乱交絵日記」 春籠漸 ヒット出版社 A5
 絵柄的には平均的美少女漫画絵って感じで正直そんなに特徴があるわけではないし、お話もさほど良くはないんだが、実用的な側面で個人的なツボにハマる。結合部分が液体でよく潤っていて常識外れでないレベルでベトベトしているあたりもポイント。吸いつくような感じがH。軽めの「アニメ絵」タイプな絵柄とちょうどいい力加減でしつこいエロがソソるのですな。


7/2(日)……よく知っているバスルーム

 面白い漫画はもちろん好きだが、「面白くない漫画もいいなあ」とかしみじみ思うようになってきた。ここでいう面白くない漫画というのは、積極的につまらない作品というよりも、読んでもまったく心に残るものがないような作品のことだ。プラスでもなくマイナスでもなく、ゼロなもの。「そういう作品の向こうにも漫画家さんがいて、そういう人たちがこの作品で得たお金によって生きている。そうやって漫画家を続けていられればいずれ面白い漫画を描くこともあるかもしれない」とかそういうドラマチックな気持ちは、ないとはいわないまでも今の心情にはあんまり当てはまらない。こういう、まったく気にならないけれども確実に存在している数々の作品は、面白い作品やつまらない作品にはないのっぺりした感触、いうなれば「ドキドキしない感」がある。一つ一つの作品がどうのこうのではなく、そういう作品の数々が頭をとおり抜けていったとき、なんだか落ち着いてしまう。かっこよくもなければステキでもない。自分の部屋の、生ぬるい空気の中でくつろいでいるようなそんな感触。こういうのは、読者としての感覚の摩耗だったりするんだろうし、読者としての自然な形ではないんだろうとは思う。実際、自分は読者としては、かなりイカモノであり、片輪者なのであろう、たぶん。それはともかく、どんな作品が存在してもしなくてもまったくかまわないものだなあとか思うのであります。

【単行本】「幽玄漫玉日記」3巻 桜玉吉 エンターブレイン A5
 漫画家一人、編集者二人。いい大人3人がより集まって、ああだこうだくだまいたり喧嘩したり。恐ろしくローテンションだったり、狂騒的にハイテンションだったり、物理的にはそれほどでもないけど精神的に非常に振れ幅の大きい日常を描いたおなじみ日記漫画。日記漫画でありつつ、描写はズバッと筆描きだったり、嫌なデフォルメが利きまくったりしていて大胆。笑いをとるための周到さ、身の削りっぷりがハンパでない。これだけ自分の日常を切り売りするのは、やはりそれだけの覚悟がいると思うのだ。

【単行本】「プロファイリング師 朕集院犬清」2巻 石井達哉 小学館 B6
 オスマンでも書いたことのある「プロファイリング師 朕集院犬清」の第2巻が久々登場。作品の掲載も近ごろごぶさた気味だが終わっちゃったんだろうか。奇抜なファッション、スケベ心丸出しで強引なプロファイリング、そしてそれになぜか納得してしまう人々などなど、非常にC調なノリが目立つ。とてもくっだらなくてベタなギャグなのだが、そこが面白みでもある。アクの強い妙ちきりんな絵柄とか、けっこう好きな作品だった。

【単行本】「昴」1巻 曽田正人 小学館 B6
 ビッグコミックスピリッツの目玉連載の一つである熱血少女バレエ漫画第1巻。正直バレエのことは全然知らないし、バレエ漫画のいろはも知らないのだが、ドラマとしてのテンション、キャラクターの立ちっぷりは目を瞠るものがある。幼いころ、脳の障害で言葉を失いつつある双子の和馬の記憶を保つべく、毎日毎日病室でたった一人のために渾身のダンス、というよりパントマイムとでもいうべき肉体を一杯に使った表現をしていた少女・昴。結局、和馬は治療も虚しく死亡し、昴は哀しみにくれるがその中で彼女に「ダンス」が残された。命を賭けた目的のために、自分の全てを爆発させる昴の踊りは見るものを呑み込まずにはおかない。日本人離れした小さな顔、細くて長い手足を持つ昴は、激しさもまた持ち合わせている。ゾクゾクする躍動感と灼熱の熱さ。赤々と燃えた金属のように鮮烈な美しさがある。力強く登り詰めていく表現の数々は、とてもかっこいい。

【単行本】「バスルーム寓話」 おかざき真里 飛鳥新社 A5
 個人的には短編のほうのイメージが強いのだけど、初短編集なのだそうだ。収録作品は「1996年の夏休み」「バスルーム寓話」「夏草子」「拍手喝采ピエロ」。華麗だけど鋭利でもあり、どこかエロティックで艶めかしい描線。ゾクリとするような鮮烈な印象を残す物語。変幻自在のコマ割りなどなど、感覚の鋭さを感じさせる。かっこよく、美しい本だと思う。

◆覚え書き:「真理」ではなく「真里」。


7/1(土)……ヨガ牛

 雑誌のモノクロページを取り込むときは裏に黒い紙をあてがっとくといいと聞いてさっそく実践、しようと思ったら黒い紙がなかったので画用紙を買いに。色画用紙10枚セットの中から黒い奴を取り出しおもむろにスキャン。おお真っ黒だ。黒い紙をスキャンしたらたしかにそうなりますな。気を取り直して取り込むページの裏にあてがいスキャン。なるほどたしかに裏の図版が写り込んでいない。色は多少暗めになるけど、そんなのはあとでレタッチすればなんとでもなる。余った9色の画用紙には、ファンキーな落書きでもするとしよう。

【雑誌】アックス Vol.15 青林工藝舎 A5平
 特集は西岡兄妹。インタビュー、作品リストがあって、さらに漫画「空を飛ぶ」も掲載。クセ者兄妹のインタビューも面白いけど、漫画が載っているというのが何より重要なことだと思う。古泉智浩「チェリーボーイズ」第一話。25歳童貞3人組が徒党を組んで、なんだかだらだらした日常を送っている物語。とくに爽やかでなく前向きでもなく、情けなくて人畜無害。ありのままであるあたりが得も言われぬ味わいで面白い。東陽片岡「チンポが見えた」。とある男が例の畳、木造なアパートの一室でダイエットに成功し、おなかの向こうにチンポが見えた、ああ幸せというお話。この人の漫画は読んでて本当にくつろぐなあ。最近復活気配の早見純「ラブレターフロム彼方」。古来から男を動かし少女を犯させしめるパワーである「オレ」の視点がぐるりぐるりと世界を巡る。オチはいまいちかなあと思うのだが、序盤部分のセリフなしでググッと引き込んでくる描写力はさすが。
 そして花輪和一先生のムショ漫画シリーズが8月に単行本化されるとの報が。これはメデタイ。まあ青林工藝舎だけにスケジュールどおり出るかどうかは甚だ疑わしいけれども、いつか出るその日まで、首を長くして待ちますぜ。

【雑誌】ビジネスジャンプ 7/15 No.15 集英社 B5中
 甲斐谷忍「ONE OUTS」。雨中の試合はいよいよクライマックス。17-16の場面から、どんなことをして150億をチャラにするんだろうか。なかなか読めないなー。うん、面白い。作:夢枕獏+画:谷口ジロー「神々の山嶺」。毎度面白い。山岳モノは、生命のギリギリの部分での二者択一の選択が本当に必然性をもって展開できるジャンルだけに面白い作品が多いけど、その中でも谷口ジロー作品は絵の緻密さといいやっぱり抜けている。

【単行本】「夢の島で逢いましょう」 山野一 青林堂 A5
 初単行本の内容に、単行本未収録だった「たん壺劇場」をプラスした改訂版。この単行本ではやっぱりなんといっても、畸形てんこ盛りの「DREAM ISLAND」がスバラシイ。夢の島を封鎖して犯罪者どもを重罪人をそこに強制収容。一切外界と接触せず、そこからわき出る不潔な虫を退治するため強力な殺虫剤を散布され続けたアンタッチャブルな世界の中で、畸形に畸形を交配してできたバケモノどもの乱痴気を描く。んでもって、そのフリークスどもに女子大生が拉致されたりして、お話はどんどんヤバい方向に突っ走る。クラクラするほどにスパイシーで、なんとも気ん持ちイイィーのである。「たん壺劇場」は1997〜1999年連載ってことでわりと近作だけど、内容的にはかなりしでえこともしてます。エヴァンゲリオンのパロデーな回もあったりするあたり、さすが山野先生、なんでもやりますな。

【単行本】「黄金のラフ」1巻 なかいま強 小学館 B6
 理論はあるけど体力がない、コースは読めるが度胸がない、パワーはあるけど頭がない。それぞれに欠陥を持っていて獲得賞金ゼロなプロゴルファー3人が集まって、チームえを結成。パワーはあるけど頭がない主人公・藤本草太に、理論と読みを託して、ゴルフエリートどもに泡を噴かせる大活躍を目指す……という物語。なかいま強の作品は、コミカルだけれども見せるべきところはビシッと見せるし、表現力は確かなものがある。絵柄的にも話的にも読みやすい。実際、ハズレ作品は少ないし、とてもいい仕事をしている漫画家さんだと思う。この作品も、実に安定して力を発揮していてしっかり面白い。雑誌で読んでないだけに、次の巻が早く読みたいという感じ。

【単行本】「龍−RON−」25巻 村上もとか 小学館 B6
 上海の裏社会でのし上がった龍にちかづく、ていにそっくりな中国人女性で女スパイであるピンユー。彼女もまたていと同じように龍に惹かれていくが、その想いは届かず。そしてともに上海にある龍とていはしだいに距離を縮めていって……といった具合。時代の大きなうねりの中で、お話はドラマチックに展開。すでに25巻となったが、まだまだ先は長そう。読みごたえのある大長編となっている。これから読み始めるのはさすがにツライ巻数ではあるけれど、トライしてみる価値は十分あると思う。


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