塀内夏子単行本リスト

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■作家名:塀内夏子(へいうち・なつこ)
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「Boy Meets Gril 〜マウンドの少女〜」 [bk1]

「Boy Meets Girl」表紙 ■出版社:講談社
■シリーズ:少年マガジンコミックス
■巻数:全2巻
■判型:新書判

 塀内夏子、久々の単行本は野球モノである。スポーツ漫画についてはすでに十分キャリアのある人だが、マジモンの野球漫画はこれが初めて(ギャグについては「夢千代パラダイス」掲載の「さよなら甲子園」があったけれども)。

 この作品の特徴は、なんといっても主人公(の一人)が女の子である点。物語は背はちっちゃいけれども頑張り屋で駿足のショートストップ・森田文武(通称モリタケ)と、ヒロインの少女投手・神崎しおりを中心として進む。二人はともに12歳、リトル・リーグで同じチームに属している。しおりの実力はかなりなもので、長身のサウスポーから繰り出す速球と変化球は、男子でもなかなか打てないキレがある。モリタケのほうも、自慢の脚を生かして相手を攪乱し持ち味を発揮していた。そんな二人の頑張りと、実力があってカッコよく、そしてキレイなしおりに対する、まだ芽生えた程度であるモリタケの恋がこの作品の中心となっている。

 初恋の甘酸っぱさ、むずがゆさは「Jドリーム飛翔編」などでも見られたパターンであるが、今回のシリーズはその風味がかなり濃厚になっている。そんなわけでおセンチな雰囲気が苦手な人には、今回の作品はちとつらいかも。野球シーンのほうだが、さすがにスポーツ漫画経験豊富な筆者だけあって、初めてに近いわりにはよく描けていると思う。とくにしおりの投球フォームは、女の子ならではの身体の柔らかさを生かしたしなやかなものになっていてなかなか美しい。頑張る女の子の魅力を出そうという意図が伺える。あと野球シーンについては、登場人物たちがあんまり野球がうますぎないところもホンモノのリトル・リーグらしい。ただ、その分、試合内容は地味になっているけれども。

(以下2001/01/21加筆)
 結局、通しで読んでみたところ、テーマは完全に恋愛方向だったようでだいぶおセンチな話となった。この人の恋愛モノは、得てしてクサくなってしまう傾向があるんだが、この作品もだいぶそんな感じ。個人的には、恋愛だけに偏りすぎず、もう少し野球のほうもガッチリやっていただきたかったところ。きれいにまとまっているんだけどももの足りなくもある。


ISBNコード初版年月日価格収録(初出)
1ISBN4-06-312899-7 C99792000/10/17400円1〜4話(マガジンスペシャル2000年No.5〜8)
2ISBN4-06-312932-2 C99792001/01/17390円5〜8話(マガジンスペシャル2000年No.9〜12)