塀内夏子単行本リスト

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■作家名:塀内夏子(へいうち・なつこ)
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「Jドリーム完全燃焼編」

「Jドリーム完全燃焼編」表紙 ■出版社:講談社
■シリーズ:少年マガジンコミックス
■巻数:全8巻
■判型:新書判

■第1巻
ISBN:ISBN4-06-312563-7 C9979 本体価格:390円(定価:410円) 初版発行:1998/06/17 判型:新書判
収録 ……( )内初出
・「Jドリーム完全燃焼編」1〜3話 (週刊少年マガジン 1998年16〜18号)
・番外編「戦士よ牙を研げ!」 (週刊少年マガジン 1988年4・5合併号)
・特別編 〜The Road to France〜
 「地獄に仏を見た!」 (週刊少年マガジン 1988年1号)
 「なつこの取材日記」 (マガジンスペシャル 1998年No.4)

 フランスW杯を目指して予選がスタート。1次予選は楽勝で飛翔編のユースメンバーに、左サイドバックのスペシャリスト吉川と、防衛大学在学中の軍人系FW伊達を加えて、順当に勝ち進む。そして2次予選に向けての代表選考、新旧交代の波、といったあたりが描かれていく。
 俺としては特別編の、塀内夏子によるW杯予選観戦記が面白かった。予選時の苦しい展開、そして出場を決めたときの歓喜が甦ってきて意味もなくジーンとしてしまった。

■第2巻
ISBN:ISBN4-06-312585-8 C9979 本体価格:390円(定価:410円) 初版発行:1998/08/17 判型:新書判
収録 ……( )内初出
・「Jドリーム完全燃焼編」4〜12話 (週刊少年マガジン 1998年19〜28号)

 フランスW杯、最終予選がスタート。初戦サウジ戦と第2戦のオーストラリア戦。W杯出場のため、いつになく自己犠牲の精神を発揮する鷹。しかし、メンバー各自の思い入れが空転し、波乱の幕開けに。ピンチを迎えた代表に、新キャラクター、アビスパ福岡のDF緒方哲が急遽合流。

■第3巻
ISBN:ISBN4-06-312611-0 C9979 本体価格:390円(定価:410円) 初版発行:1998/10/16 判型:新書判
収録 ……( )内初出
・「Jドリーム完全燃焼編」13〜20話 (週刊少年マガジン 1998年29〜31、33、35〜39号)
・特別編 仏W杯観戦記「アレ!アレ!フランス!!」 (週刊少年マガジン 1998年34号)

 フランスW杯最終予選、日本は大苦戦。アウェイでの悪質な妨害や、鷹に対するラフプレーなどで弱小国相手に痛恨の引き分け。精神的支柱のいないDF陣は崩壊の危機を迎えるが、そこにこれまで予選メンバーから洩れていた前回予選のメンバー、嶋が復活。ところが、鷹は連戦の疲れがたまりベンチ入りメンバーから落ち。日本は鷹を欠いたメンバーで試合に臨むことになる。
 併録の「アレ!アレ!フランス!!」は、タイトルどおり塀内夏子の観戦記。3戦全敗に終わった日本代表ではあるが、W杯の楽しさは伝わってくるレポートとなっている。

■第4巻
ISBN:ISBN4-06-312647-1 C9979 本体価格:390円+税 初版発行:1999/01/14 判型:新書判
収録 ……( )内初出
・「Jドリーム完全燃焼編」21〜29話 (週刊少年マガジン 1998年40〜46、48、49号)

 W杯アジア地区予選もいよいよ佳境である。大一番、サウジアラビア戦で日本は伊達を失い苦戦を強いられる。予選の厳しさがだいぶ出てきて面白くなってきたが、人の出入りが激しくてドラマ的にはいまいち軽く思えてしまう。ただ、予選の厳しさに関してはすでに「Jドリーム」で十分語り済みなので、今回はこんなものでもいいのかな、とも思う。W杯本大会の話に早く入りたいところだろうが、予選をあんまり簡単にクリアしてしまうと「Jドリーム」での闘いはなんだったのかということになりかねないので微妙なポジションであるとはいえるだろう。
 まあ、それはともかくサッカーのプレイ一つひとつの描写は、技もいろいろと利いていて見ごたえがある。ダイレクトパス、ループシュートなど通好みのプレイがさりげなく描かれているあたりはさすが。

■第5巻
ISBN:ISBN4-06-312668-4 C9979 本体価格:390円+税 初版発行:1999/03/17 判型:新書判
収録 ……( )内初出
・「Jドリーム完全燃焼編」30〜38話 (週刊少年マガジン 1998年50〜52、1999年1〜8号)

 W杯アジア予選、日本代表はサウジアラビア戦で、伊達に続き富永を退場で失う。試合も惜敗。残りはたったの2試合。崖っぷちに追い込まれた日本は旧ソ連ジュベスタン戦に臨む。アウェイであることに加え、ジュベスタンは日本のホームゲームではチームに合流できなかったダイナモ・キエフの大型FWラド・ペトレスクを投入する。W杯予選初勝利を狙うジュベスタンの猛攻に、日本は苦戦するが……という展開。前巻に引き続き、W杯予選大詰めを迎えて展開が緊迫してきた。ダイナモ・キエフ(ウクライナの強豪クラブ)を出してくるあたりがシブイ。

■第6巻
ISBN:ISBN4-06-312704-4 C9979 本体価格:390円+税 初版発行:1999/06/17 判型:新書判
収録 ……( )内初出
・「Jドリーム完全燃焼編」39〜46話 (週刊少年マガジン 1999年9〜13、15〜17号)

 崖っぷちに追い込まれた日本代表のW杯アジア予選、第7戦のジュベスタン戦と第8戦のオーストラリア戦が描かれる。紆余曲折あった代表だが、ようやく攻撃のパターンが確立し、一時は自信を失いかけていた左サイドバックの新星・吉川も復活。初出場に向けて態勢はすべて整い、あとは闘うだけという状態。吉川の左サイドからの攻撃は、ただ上がってクロスを上げるというだけでなく、サイドチェンジを積極的に活用するなど通好み。こういったところはさすがにしっかり描けている。ここまでにも共通していえることだが、お話は軽めでアッサリ。とっととW杯本大会に入ってくれないものか、とも思ってしまう。

■第7巻
ISBN:ISBN4-06-312729-X C9979 本体価格:390円+税 初版発行:1999/08/17 判型:新書判
収録 ……( )内初出
・「Jドリーム完全燃焼編」47〜55話 (週刊少年マガジン 1999年18〜21、25〜27号、30〜31号)

 フランスW杯を目指す、アジア予選もいよいよ大詰め。グループを2位で終わった日本は、第3代表の座を賭けて、マレーシアはジョホールバルでイラン代表と決定戦を行う。勝てば天国、負ければ地獄の苦しい中で、鷹は今までの苦しい予選とは打って変わって実に楽しそうにフィールド内を駆け回る。サッカーを楽しもうとする日本と、厳しく激しくサッカーに臨むイラン代表の意地と技が激突する。フィジカル面ではイランに劣る日本だが、鷹の力はどこまで通用するかといった感じ。
 さすがにこのあたりまでくると状況がかなり切羽詰まってきて面白い。この巻は今まで目立たなかったボランチの柳木が活躍したり、ベテラン嶋が復活したりと見どころはわりと多い。

■第8巻
ISBN:ISBN4-06-312781-8 C9979 本体価格:419円+税 初版発行:1999/11/17 判型:新書判
収録 ……( )内初出
・「Jドリーム完全燃焼編」56〜最終67話 (週刊少年マガジン 1999年32〜44号)

 最終巻。サッカーW杯最終予選の最終局面。長らく続いた「Jドリーム」シリーズもこれにて完結。後書きで塀内夏子が、アトランタ五輪で現実の代表がブラジルに勝利したあたりから漫画が完全に後追いになってしまったと述べているように、この完全燃焼編はもの足りないものになってしまったように思える。試合の各場面、予選全体の展開などなど、要所要所で少しずつ「もう少しみっちり粘って描いたら面白いのに」という点が見られた。展開をはしょっているような印象さえ受けた。最初の「Jドリーム」は、まずはプロの厳しさ、そしてアジア予選の厳しさを十分に感じさせ、さらにキャラクターもしっかりと立っていて良かったのだが、「飛翔編」で鷹のトモダチ探し色を強くしすぎたあたりから全体にお話がヌルくなっていったように思える。あとせっかく「Jドリーム」で立っていたキャラクター、レッズにおける鷹の前のエース・本橋、日本代表の黒崎・上條・本郷と、せっかくのおいしいキャラクターを後まで生かさなかったのもちょっと不満。とくに上條はせっかく見つけたスゴイGKだったはずなのに。
 とまあけっこう不満はあるが、面白かったかというとやはりそれなりには面白かったと思う。端々でいかにもプロの技と思えるプレーが織り交ぜられていたし、リアルな範囲でスゴいプレーを演出していた。また、ラストのあたりの鷹のプレーはかっこよかったのだ。