トオジョオミホ

Miho Toojoo
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「東洋綺談」収録の「竹夫人」で、第1回ミスターマガジンコミック大賞、大賞&弘兼憲史賞をW受賞した。俺がトオジョオミホの作品に初めて接したのは、やはりこの「竹夫人」だったが、デビューはガロのようだ。まさに「東洋」って感じの、淡白ながら妙に上品な色気がある画風が特徴。あの「デブ専漫画家」として名高い友沢ミミヨの友人で、一緒に海外旅行に行ったりしているらしい。ここらへんは、アフタヌーンにシリーズ連載された「アジアでごはん」に詳しいのだが、まあ間違いなく単行本化はされまい。
 コミックトムで「換骨奪胎」というお話を時々描いているらしいのだが、こちらもなかなか単行本にはなりそうにない。

 お話は基本的に一話完結のものが多いのだが、どのお話もヒネリがきいていて実にうまい。中国系のお話が多いんだけど、絵柄も本当に中国の人が描いたんじゃないかと思ってしまうほど、しみじみと雰囲気がある。
 友沢ミミヨいうところの「黒目がちの娘娘(しばた注:にゃんにゃんと読むべし)」が、鮮やかに一幕の夢を見せてくれるさまは、本当に鮮やか。もっともっとたくさん、素敵な作品を描いてほしい漫画家だ。

 一番最近読んだのは前述の「アジアでごはん」だが、これはメシ食ってどっか行ってーという感じの単なる旅行記。これはこれで面白いんだけど、俺としてはこの人にはファンタジいお話を描いてほしい。これだけ鮮やかに、夢物語をつむぎ出してくれる人ってなかなかいないんだから。

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「東洋綺談」

東洋綺談

講談社 ミスターマガジンKC37
ISBNコード:ISBN4-06-328037-3 C0379 価格:550円
初版発行:93/05/08 判型:B6・モノクロのみ

 トオジョオミホの初単行本。講談社だから、今は絶版かもしれない。
 トップページでも述べた「竹夫人」は以下のようなお話。
「時とところは、清代の中国。范家には明代から伝わる竹でできた抱き枕(中国では「竹夫人」と呼ばれる)があった。范家の跡取り息子は女にはからっきしモテない男だったが、欲求不満で悶々としていたある日、この竹夫人の竹と竹の隙間の穴に布でこしらえた袋を取りつけることを思いつく(まあ、要するにダッチワイフ)。で、それ以来、その竹夫人をご寵愛になっていた。その後、この跡取り息子は嫁をもらうのだが……」
 話運びも実にうまいし、最後のオチも気がきいている。ミスターマガジン漫画大賞を受賞するのも、うなずける出来だった。このほかの話も非常に面白い。とくにお勧めはラストの「阿里山」。ファンタジー魂あふれる作品で、非常に美しいお話。

●収録
タイトル初出
竹夫人MR.マガジン91年11号
山中乳母MR.マガジン92年2号
顕の矢MR.マガジン92年17号
呉先生と小龍兒MR.マガジン92年11号
花信風MR.マガジン92年9号
月玉MR.マガジン93年3号
幽霊邸MR.マガジン92年19号
月下の別離MR.マガジン92年23号
荘子歌を歌うMR.マガジン92年21号
螺鈿紫檀五弦琵琶MR.マガジン92年15号
阿里山MR.マガジン93年1号

「風水譚」

風水譚

双葉社 ACTION COMICS
ISBNコード:ISBN4-575-93411-9 C9979 価格:880円
初版発行:95/10/12 判型:A5・モノクロのみ
解説:友沢ミミヨ

 トオジョオミホ2冊目の単行本で、これが発売されて以降長らく3冊目が出ていない。解説を友沢ミミヨがやっているが、これがまた実にうまくトオジョオミホを評していて面白い。お勧めは「春街姑娘」。春街に生まれた少女、小紅が纏足をするという話。要約するとそれだけになってしまうのだが、纏足というわけのわからん文化に込められたファンタジーが伝わってくる。すごく痛い、でも天子様にも嫁げるような綺麗な女の人になりたい、その思いがなんだか切なくて、健気で。もちろん、ほかの短編も面白い。

●収録
タイトル初出
風水譚 其の一89年ガロ11月号
風水譚 其の二89年ガロ12月号
風水譚 其の三90年ガロ1月号
井戸の怪91年ガロ5月号
春街姑娘90年ガロ6月号
葉限91年ガロ4月号
精進93年MR.マガジンハッピー増刊10月20日増刊号
夢幻城市92年MR.マガジン15号