■著者名：能田達規 （のうだ・たつき）■出版社：秋田書店
■シリーズ：少年チャンピオン・コミックス
■判型：新書判
■巻数：全24巻
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主人公は町の電器屋「ピース電器店」を営むピース一家の長男、ピース健太郎。ピース電器店の店主で、健太郎の父親であるピース貫太郎は実はNASAにもいたことのある天才科学者だったりするのだが、町の電器屋の主人としてオリジナルの電気製品を製作して販売している。その才能は健太郎にも受け継がれていて、自分でいろいろと発明して店で売ったり、日常の生活に利用したりしている。
彼らの作り出す製品は非常に優秀なんだけど、思わぬ欠点を持っていることが多い。魚屋さんを助けるために作った全自動魚穫り潜水艦が原子力潜水艦を呑みこんじゃったり、冬にお花見するために開発した「ある一帯だけ気温を上げる人工衛星」はアメリカの人工衛星を撃ち落としちゃったりする。そういったちょっと困った発明品をめぐるドタバタギャグが「おまかせ！ピース電器店」のメインである。
科学万能に疑念が投げかけられているこの時代に、「科学の力でなんでもやってやる」って感じの強引さ、「不便だったら科学の力で便利にすればいい。ないものがあったら自分で作っちまえ」という無闇で乱暴で、プリミティブな科学ダマシイの爆発が非常にかっちょいい。男の子だったら、子供のころそこらへんにある機械という機械をドライバーで分解しまくった経験があると思うが、そういう「科学、そして機械というかっちょいいもの」へのストレートな憧れがこの作品には詰まっている。
ケンタローたちはいろいろと騒動は起こし、家族ゲンカもよくするのだが、最終的には家族みんなで立ち向かって解決してしまう。ケンタロー、ピースパパ・ママ、弟、妹。ほのぼのとまとまったピース一家の姿はすごく心暖まる。またピース一家を取り巻くサブキャラクターたちも気のいい人揃いで心が和む。「科学」の魅力もあるけど、下町人情的なところもたっぷり。女の子もかわいい。ケンタローの幼馴染みでガールフレンドのモモコ、ピース一家の秘密を探るべく地球防衛軍から派遣された少女・月影アイ、ピースパパのライバルで現在巨大電機メーカーの社長をしている東和彦の娘である麗子など、実にいい。俺のイチ押しは月影アイ。いや、もうかわいいんだから。
あと、忘れちゃいけないのがケンタローたちの作り出すメカたち。タイムボカンシリーズのミニメカみたいな感じで非常に愛敬があってかわいらしい。能田達規の丸っこくてほっとする絵がさらに和み度を高めている。なんというか、実に「腕白」って言葉がよく似合う漫画である。もう素直に楽しいので、素直に買って、素直に読んで、素直に面白がるべし。
なお、能田達規にはこのほかに、「がらくた屋万太」とサッカー漫画の「GET！フジ丸」という単行本がある。