「艶母」の裏表紙 みやびつづる
Tsuzuru Miyabi

「艶欲」「艶母」

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「最近の美少女漫画はセンシティブでセンチメンタルでスピリチュアルなのばかり多いが、もっとこうドロドロでねっとりいやらしくてスカッと抜けるものはないんかっ！」とお思いの方はいらっしゃるだろうか。そういう人にオススメなのが、司書房系雑誌である。司書房系の雑誌（コミックドルフィン、ラッツなど）は、ストーリーよりも実用性（まあようするに「ヌケる」「オカズになる」ってことだ）を重視した作品が多い。たいていの作品は、語るほどのストーリーをとくに持たないが、とにかく女の子の乳がデカくて体液が多く、物語の最初っから最後までわらわらとやりまくっている。「実用！実用！実用！」と勢い良く押してくる割り切った路線は爽快でさえある。

　とはいえ、司書房系の雑誌は、実用面だけでは終わらないイキのいい作家を多数輩出しているのも事実。米倉けんご、井ノ本リカ子、KASHIみちのく、田嶋安恵、世棄犬などなど、枚挙にいとまがない。割り切った実用系という面ではじゃみんぐ、MGジョー、草津てるにょといったところが俺の注目株。そういった人たちにも増して、最近とくにブイブイいわしてるのが、ここで紹介するみやびつづるだ。

　正直言って最初のころは、「八神ひろきとうたたねひろゆきを足して2で割って下品にした」って感じのイメージしか持っていなかった。ちなみに初単行本「艶欲」のカバー裏でも、八神ひろき、うたたねひろゆき、NAS-O、萩原一至、世棄犬、天竺浪人、高河ゆん、山根和俊、三浦建太郎などの影響を正直に告白してたりする。そのあたり非常に正直な人だ。このころから十分パワフルではあったのだが、現在では他人からの影響を完全に自分の中で昇華、融合させた感じで、すでに自分だけの領域を作り上げてきている。第2単行本「艶母」ではその成長ぶりをまざまざと見せつけている。

　みやびつづるの良さは一言でいうと「いやらしい」ってことだ。どちらかといえばまだ青臭さの残る少女がメインである現在の美少女漫画界だが、みやびつづるの得意とするところはズバリ人妻。脂が乗って、つくべきところに肉がつき、だらしなくなる寸前のトロトロに熟れたあたりをまあなんともいやらしく描写してくるのだ。ケツの青い小娘にはない、大人のいやらしさ満載である。そして行為も激しい。豊満、という言葉が非常に似つかわしい女体がゆっさゆっさと揺れ、盛大に体液がまき散らされる。汗ばんだ肉体と、いちおう感じまいとはするんだけど敏感すぎる身体からわき出してくる快楽に堪えきれず思わず声が洩れちゃうって感じの風情、表情がたまらない。

　それからやられまくるヒロイン達のキャラクターがなかなかに健気で良かったりするのだ。「艶欲」収録の「欲」に出てくる、生徒の一人が好きで好きでたまらなくて身体で誘惑して彼の気を惹こうとする女教師。それから「艶母」で息子と関係を持っちゃうお母さん。二人とも、相手の気を惹こうとしておねだりしたりするさまが妙に子供っぽくて、熟女ではあるのだけどかわいさも垣間見せてくれるのだ。「艶母」のお母さんは、第一部の時点ではまだ息子と関係を持ち始めたばかりだが、現在コミックドルフィンでときどき掲載される続編ではもう恥も外聞もなく息子のちんちんをねだりまくる。ページ最上部に貼ってある画像（「艶母」裏表紙）のように、裸エプロンもお手のものだっ！
　あと、「艶母」収録の「冬ぬくし」のような罪のないお話を描かせても案外うまい。そのほかの作品のサブタイトルを見ただけでも、いかにコテコテのエロをやっているかが想像できるのではないだろうか。なんか「エロシーンを描いてて楽しいんだろうな〜」とか思ってしまう。パワフル＆濃厚。しかも成長中。いい仕事してまっせ。
「艶母」

「艶欲」
  • 出版社：司書房
  • シリーズ：TSUKASA comics
  • ISBN：ISBN4-8128-0214-8 C9979
  • 価格：900円（本体857円）
  • 初版発行：1999/01/15
  • 判型：A5
  • 収録
    • 「艶母」第一部
      • 第1話「頽れる良妻」
      • 第2話「身悶える継母」
      • 第3話「堕ちる性母」
      • 第4話「染まる義母」
      • 第5話「わななく熟母」
      • 第6話「ねだる牝母」
    • 「蝉時雨」
    • 「姉弟〜おとうと。〜」（「姉弟」の部分は、本当はへんが「女」、つくりの上の部分が「市」、下の部分が「弟」といいう字）
    • 「嬲る娘たち」
    • 「濡れ色の囁き」
    • 「冬ぬくし」
※……「艶母」の「母」の字内の点は「女」という字になっている。表紙画像参照。 > 		「続・艶母〜ふたり〜」

「続・艶母」表紙
  • 出版社：司書房
  • シリーズ：TSUKASA comics
  • ISBN：ISBN4-8128-0339-X C9979
  • 価格：900円（本体857円）
  • 初版発行：1999/12/25
  • 判型：A5
  • 収録
    • 「艶母」第二部
      • 第7話「溺れる淫母」
      • 第8話「貪る叔母」
      • 第9話「発情する濡母」
      • 第10話「すがる犯母」
      • 幕間「隷母の朝」
      • 第11話「よがる痴母」
      • 第12話「噎ぶ禁母」
      • 第13話「焦がれる姦母」
      • 第14話「艶母」 終章
    • 「夏色」
    • 「艶衣」
「艶欲」

「艶欲」
  • 出版社：司書房
  • シリーズ：TSUKASA comics
  • ISBN：ISBN4-8128-0073-0 C9979
  • 価格：900円（本体857円）
  • 初版発行：1997/10/25
  • 判型：A5
  • 収録
    • 「欲」全五話
      • 第一話「誘惑」
      • 第二話「微熱」
      • 第三話「関係」
      • 第四話「泣濡」
      • 第五話「微笑」
    • 「雅綴集」
      • 「鎖」
      • 「恋結び」
      • 「誘う女」
      • 「哀願 愛玩 愛願」
      • 「猥婦」
      • 「書簡集」