「素ッ裸の幸せ。」 槻城ゆう子
Yuuko Tsukishiro

「素ッ裸の幸せ。」
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 単行本が出たときから紹介しようしようとは思っていたのだけど、なんだか書きそびれていた作品。そんな折1999年3月25日に、スコラが経営不振により事業停止になったというニュースが飛び込んできて、この本も絶版になる可能性が非常に高くなってしまった。そんなこともあって「今のうちに買える人は買っとけ」という意味も込めて紹介しておくことにした。ただ、発売当初からさほどたくさん部数は出てなかったみたいで入手しにくい本ではあったので、現在手に入るかどうかは定かでない。手に入らなくても恨まないでほしい。
 とまあどうでもいい前置きが長くなってしまったが、そんな事情なんかあろうがなかろうが、この作品はオススメなのである。

 一人暮らし歴1年、生活のたいていのことは自分でできるようになり、誰も干渉してこない気ままな生活を楽しんでいた高村ヒサ壱の部屋に、ある日突然美人のお姉さんが飛び込んでくる。彼女の名前は松川須磨子。実は隣りの部屋と間違えてどなり込んできたのである。虚勢を張るものの、ヒサ壱はいまだ童貞。実の伴わない彼の姿が気に入った須磨子によって、いいように転がされる。しかし、大人の女の雰囲気を漂わせる須磨子も実は寂しがり屋だったりと、かわいいところも多い。そんなこんなで二人は愛に満ちた日常を送るのであった……。

 ストーリーを要約すると以上のような感じである。で、この作品の良さ。とにかく幸せなのである。紆余曲折はあるものの、お互いを好きと思う心がストレートに出ていて、こっぱずかしくなるくらいである。そして須磨子サンがたいへんかわいい。しかも巨乳。大人の女! お互いがいなければ日も夜も明けぬ。それまで束縛のない生活を送っていたヒサ壱だが、手を伸ばせば人肌のぬくもりというのは病みつきになる気持ちよさ。愛がある実り豊かな生活。たいへんヌルい。激ヌルである。しかし、こんだけヌルいとこれはこれで見事。幸せな恋愛の姿を見て嫌というほど癒されまくりたい人にオススメ。読むと恋愛したくなるぞ。
 絵も好み。このページに貼り付けてある表紙画像を見ると、少しアダルトな雰囲気なのかなーと思うかもしれないが、実際にはもっと簡略化されて滑らかな感触のスッキリサッパリした絵柄である。

 槻城ゆう子はこのほかだと、RPGマガジンでクトゥルーものの漫画を描いたりしている人のようだ。俺はRPGマガジンは読んでないのでどんなもんなんだかよく知らないが、俺の知り合いの人にいわせると「クトゥルーをここまでヌルいラブコメにした人は初めて」とのこと。槻城ゆう子、侮りがたし。