オススメ漫画レビュー

オスマントップ / OHPトップ / 掲示板 / メール / リンク


「BOiNG」

「BOiNG」表紙(画像は2巻のもの) ■著者名:山口譲司 (やまぐち・まさかず)
■出版社:集英社
■シリーズ:ヤングジャンプ・コミックス
■判型:B6
■巻数:全7巻
■オンライン書店bk1で購入する場合はこちら

 うひょほほほほ。面白い〜。すんばらしい〜。と、まとめて読みして思ったことですよ! なんかくだくだしくストーリーを説明するのが非常に馬鹿馬鹿しくて仕方がない。のんびりやってちゃこの漫画の躍動感は失われてしまう。主人公・椿座丸は極上の美巨乳=ボイン大好き高校生男子。そんな彼が、究極のボインを求めてなんかいろいろする。以上あらすじ終わり! というわけにもいかないので一応説明……うーん、やめた。とにかくボイン大好き、ボイン至上主義に浸りきった男たちが、ボインにこだわりまくる、そんなお話。座丸が桜の木の中から見つけ出した究極の美乳の持ち主モネ、それから超貧乳の幼なじみといったキャラも登場するけれど、それはこのさいどうでもよろし。とにかくボイン! ボイン!! ボッ・イッッ・ンッッッ!!! とまあそんな感じだ。まさにボイン暴食。

 で、この作品で素晴らしいのがその馬鹿馬鹿しいまでのスケールのデカさ。村中の女(全員ボイン)が欲情して男を襲いまくる「乳追い祭」、全国のフェチたちが集まって究極の女体に挑む「日本一フェチ決定戦」ときて、最後は最強のボインの達人を決める祭典「ボインピック」に至る。ボインピックでは乳に口だけで吸いつき落ちた者は失格〜とか、かなりムチャなことをやってて、これがまあとんでもない展開を見せるのだ。主人公の座丸はボイン好きの高校生でしかなかったのが、いつの間にやら「ボインマスター」と呼ばれるようになり、「ボイン握って天下取り」とか言い出すし。ボインは世界を救う。いうは易く行うは難し。描くのも難しかろうが、ホントにそれをそのまんまやってしまったこの作品は、むやみにおめでたい。ありゃ、いつのまにかあらすじ説明しちゃってるわ。

 思うにこの作品、ボインに対する愛があふれている、というわけでもない。この世の中に蔓延する巨乳幻想そのものをいじり倒して遊び倒すことがむしろ主眼である。面白うて、やがて悲しきボインかな。いや、それはまあどうでもいいんだが、ボインという一つの概念だけでも煎じ詰めればここまで面白くできるんだなあと感心する。それにしてもこの作品、始まったときから「なんかすげえなあ」くらいには思っていたのだが、そのあとどんどんエスカレートに次ぐエスカレートを重ね、しかもラストも実にキレイだった。最後まで痛快に遊び倒してくれ、このうえなくお見事であった。

 山口譲司って固定ファンはつきにくいタイプだと思うんだが、すごく器用な人で、漫画がとてもうまい。今まであんまり意識してなかった人でもコレ読んだら認識変わると思う。この物語におけるボインの扱いについてはとてもスゴイんだけど、入れ込むことなく飄々としていて、なんだか大人の作家らしい懐の深さも感じる。だから妄想爆発系の作品とはいっても暑苦しくもならないしジメジメもしない。あくまでカラッと料理する手際はなんとも鮮やか。それが顕著なのが、ヤンジャンの増刊枠のほうに掲載された「『悲しいボインの話』が聞ける巨乳酒場」のエピソードあたりだろうか。ちゃんとここらへんが単行本に収録されたのはうれしい限り。この作品で改めて、山口譲司に惚れた。

単行本データ
ISBNコード初版年月日価格
1ISBN4-08-875830-7 C99791999/09/22本体505円
2ISBN4-08-875861-7 C99791999/12/18本体505円
3ISBN4-08-875897-8 C99792000/03/22本体505円
4ISBN4-08-876033-6 C99792000/06/24本体505円
5ISBN4-08-876061-1 C99792000/09/24本体505円
6ISBN4-08-876100-6 C99792000/12/16本体505円
7ISBN4-08-876122-7 C99792001/02/24本体505円