オス単:2004年3月の日記より


 このページは、「OHPの日記から、その月に読んだ単行本の中でオススメのものをピックアップする」というコーナーです。

 日記形式だと、どうしても日にちが過ぎてしまうと大量の過去ログの中に個々の作品が埋もれてしまうため、このコーナーではダイジェスト的にまとめてみました。文章の中身は、すべて日記からのコピー&ぺーストです。加筆・改稿等は原則としてしませんので、普段日記を読んでくださっている方にとっては読む意味がないかもしれません。手抜きといえば手抜きなんですが、まあその点はご容赦ください。

 なお、ここで取り上げる単行本は「その月の日記で取り上げたもの」です。「その月に発売されたもの」ではありません。だから古い本でもどんどん入れていきます。ピックアップした単行本は多少分類してますが、これはあくまでページを見やすくするための便宜上の分類です。かなり適当に割り振ってますのであんまり気にしないでください。あとシリーズものの途中の巻は、わりと省略しがちです。


▼強くオススメ

【単行本】「おれはキャプテン」1〜2巻 コージィ城倉 講談社 新書判 [bk1][Amzn:1巻/2巻

 コージィ城倉らしい周到な仕掛けが光る中学野球漫画。タイトルロゴからしてちばあきおの「キャプテン」など、古き良き野球漫画を連想させるものがあって、いかにも「ひたむき」「純真」「努力」「根性」というイメージを漂わせているのだが、実はそんな一筋縄では行かないところが面白い。単行本の表紙が、いかにも昔の少年漫画コミックス的なデザインとなっているあたりもニクい。コージィ城倉のトータルでの演出力に感心させられる作品。

 お話は、将来スポーツライターになることを夢見、いちおうの経験を積むため野球部に所属していたパソコンオタクの少年、霧隠主将(キリガクレ・カズマサ)が、顧問の先生の思いつきで野球部主将に任命されるところからスタート。彼がネットや本などで仕込んだ知識と自分なりの周到な計算を組み合わせて、思いもよらぬキャプテンシー、というか独裁性を発揮してチームを作り上げていくさまが描かれる。このカズマサのキャラがものすごく良くて、最初はキャプテンになったことに戸惑っているように見せながら、腹にイチモツありまくりでさまざまな計略を用い出す。チーム内ではすこーしずつキャプテンとしての権利を濫用し始め、自分の思い通りの練習や戦術をチームメートに強要。それから相手チームを油断させておいて偵察し、ごっそりデータを集めてきてゲームに生かすなど。とにかくチーム内でのイニシアティブを握るべく、一つ一つ実績を積み上げていく過程がやけに綿密に描かれていて、中学野球漫画ながらなんとも得体の知れない邪悪さを湛えているところがとても刺激的。このじわじわと読者をからめとっていくような話の進め方がたまらんのです。

【単行本】「おおきく振りかぶって」1巻 ひぐちアサ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 アフタヌーンで連載中の高校野球漫画。ひぐちアサが野球漫画を描くというのはけっこう意外だったが、これがなかなかに面白い。その年から新設された高校野球部が、少しずつ成長していく様子は読んでいてなかなかに手応えがあるし、意外と野球の理論面も押さえている点は面白い。実際にその理論が正しいのかはよく分からないのだけど、ちゃんと説明をしながらいろんなことをするので説得力がある。とくに中学校時代の3年間、学校の経営者の孫だからという理由からエースをやり続け、チームの皆にシカトされた経験がトラウマとなっている投手の三橋のキャラがいい。オドオドしまくってて付き合いづらいが、そんな彼が捕手の阿部の好リードに助けられ、じょじょに自分の才能に目覚めていく様子はカタルシス十分。そのほかのメンツも個性的で、読んでいて楽しい。

 考えてみれば野球漫画といえばもう散々描き尽くされたかに思われたジャンル。最近はちと下火になってきつつあったが、この作品やコージィ城倉「おれはキャプテン」を見ていると、まだまだ面白くできる余地はあったのだなあと感じさせられる。この二つに共通するのは、ともに考えて野球をやっており、理論面の裏打ちを用意して説得力を持たせている点。素質のある型破り系の選手や、とにかく努力・根性ってわけでもない、頭と身体をともに使っていくスタイル。どちらも新鮮な面白みがあります。

【単行本】「変人偏屈列伝」 荒木飛呂彦+鬼窪浩久・藤井伸幸 集英社 A5 [bk1][Amzn]

【単行本】「ゴージャスアイリン」 荒木飛呂彦 集英社 A5 [bk1][Amzn]

 荒木飛呂彦作品集2冊が同時刊行。とくに「変人偏屈列伝」は待望の作品。実在した奇人変人たちの生涯を描き出した作品。取り上げられている人物は、生涯打率最高記録を持つ伝説的メジャーリーガーのタイ・カッブ、オリバー君現象を仕掛けた興行師の康芳夫、腸チフスのキャリアながら自分は発症せず周囲に病をまき散らし続けた「腸チフスのメアリー」、生涯を賭けて謎の館を増築し続けたウィンチェスター夫人、罠を張り巡らせた自宅に生涯閉じこもり続けたコリヤー兄弟、そして発明超人ニコラ・テスラ。腸チフスのメアリーとウィンチェスター夫人については作画も荒木飛呂彦、そのほかについては鬼窪浩久(ニコラ・テスラについては藤井伸幸も参加)が作画、荒木飛呂彦が原作・構成を担当している。

 このシリーズはとにかく登場人物たちの個性が強烈。もともと世間を騒がせた奇人変人たちであるうえに、濃厚で過剰な荒木節で演出が施されているのだからインパクトは強い。オラオラオラオラ、とはいってないけどそういう勢いで観客をタコ殴りにするタイ・カッブ、樽のような体型で強烈な面相の腸チフスのメアリー、やたら邪悪な表情のオリバー君など、キャラクターがみんな濃くて圧倒されてしまう。セリフや演出も迫力があって面白い。機会があったらそのうちまたやってほしいシリーズ。

 「ゴージャスアイリン」のほうは、「ゴージャスアイリン」を2話、「魔少年ビーティー」を1話、「バージニアによろしく」「武装ポーカー」「アウトロー・マン」を収録。「アウトロー・マン」は原稿散逸のため、これまで単行本未収録だった荒木飛呂彦のデビュー2作目を、掲載誌からデジタル復刻したもの。まだこのころの作品は荒削りでそんなに面白いというほどではないが、今まで読んでなかったのを読めたというはうれしい。

【単行本】「Honorable」 チ川ユポ 双葉社 A5 [bk1][Amzn]

 こちらも週刊アクションに掲載されていた作品。美術モデルをやっている友長さんが、いろいろなことを思いながらモデル道を追求していくといった感じ。友長さんは絵描きさんが自分のおならを堪えている表情に興味を持っていると察知して、その願望に答えてみたりといろいろ考えながらモデルをやっていて、その独特のアプローチが面白い。相手は学生さんがメインだが、ヘンな人が多いし、その欲求を見抜いて答えてしまう友長さんの行動もユニーク。安易にエロ方向に持っていかないストーリー作りとか、のったりした絵柄とか、独特な風味に満ちている。どこか浮き世離れしたカラッと明るい雰囲気も面白い。売れ筋なタイプの作風じゃないとは思うけど、すごく存在感がある作品。単行本化してくれたのはとてもうれしい。描き下ろしも4本ほど入ってて得した気分になりました。雑誌に載らないってことは追加の原稿料も出てないだろうから、作者にとっては損だったのかもしれないけど……。

【単行本】「トニーたけざきのガンダム漫画」 トニーたけざき 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 ガンダムエースでやってるトニーたけざきによるガンダムパロディ漫画がついに単行本化。けっこう難しそうな安彦良和タッチを書き文字まで緻密に真似して、くだらないギャグネタをガンガン繰り出す。すごく達者な絵柄ですごくくだらないことをやるタイプのパロディギャグとしては出色の出来で、たびたび爆笑させられる。さすがにセンスがいい。ガンダムは面白いなあ。

【単行本】「美しい人生」 清水おさむ 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 いや〜すごい。情念こもりまくった描線からビシビシ異様なオーラが発散されててうなった。そして作品のほうも狂おしい迫力があってシビれる。

 冒頭の「回顧ものがたり 昭和へび女」からして強烈。お話は昭和30年の日本が舞台に、見世物小屋で働いていた少年少女の生き様を描いていくというもの。少年・哲はともに暮らしていた少女・星子を幸せにすると誓ってプロレスラーを目指すが、見世物小屋に残った星子は経営に困った親方によって人間ポンプ男に犯されるエログロショーに出演させられる。その後、哲は覆面レスラー「へび仮面」としてデビュー。星子は巨大なへびを身体に巻き付けながら哲の成功を祈ったりするし、へび仮面のマスクもまんま本物のへび。でも表記がひらがなの「へび」だから、凶悪なわりになんだかしまらない。そしてラストの、ヤクザの組長に重症を負わせた哲が星子を迎えに行ったところで繰り広げられる、ヤクザと見世物小屋一同の抗争は壮絶の一語。熊、猪、亀、犬、トカゲなどの皮をかぶった異形の芸人たちが日本刀、槍、ヌンチャクなどを振り回して斬りかかっていき、星子も地面にはいつくばって口から火を噴いて奮闘。怒涛の展開はまさに圧巻。

 「美しい人生」は女装趣味のある敏腕サラリーマンの人生。筋骨隆々としたやたらゴツい身体の人物が女装しているさまがぶっ飛んでいる。前後編で首切り人足の家に生まれた青年と、その妹の禁断の愛を描写した「最後の首斬り浅右衛門」は、非常に濃厚な味わいで妖しい美しさを放っている。濃い描線、激しい情念、鬼気迫る表情、波瀾万丈な物語、エロチックな味付け……どれをとってもメチャクチャに激しくて、崇高とさえいえるレベルに達している。ビシッと一本、背骨にスジの通った作品集。濃すぎて読者を選ぶところはあるものの、気合いを入れて読みたい1冊。


▼一般

【単行本】「鈍器降臨」 古屋兎丸 メディアファクトリー A5 [bk1][Amzn]

 ダ・ヴィンチに掲載されている、読者によるエッセイを古屋兎丸が4コマ漫画にするというコラボレーション連載が単行本化。月1ページなので単行本までかかった時間は7年。よくもまあちゃんと続けているもんです。内容のほうも面白い。読者エッセイなのでどんなのが来るか事前には予想がつきにくいだろうけど、どんなものでも古屋兎丸はきっちり漫画にしてるし、自分なりに料理して笑えるギャグに仕上げてちゃっている。作画もハイクオリティ。さすがと思わせる技巧が光る。

【単行本】「KANEHIRA-DEATH」 金平守人 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 金平DEATH&REBIRTH。というわけでコミックビームの巻末漫画、「カネヒラデスカ?」→「KANEHIRA-DEATH」→AZUSA漫画と収録した単行本。超有名作家の作品を畏れ多くもパロディしてみたり、ペンネーム変えてまったく別の作風で描いてみたり、子供の落書きふうな絵柄にしてみたり……と次から次へといろんなことをやる。とにかく器用。こういっちゃうとなんだか、その第一級の器用貧乏っぷり自体がギャグになってしまっているシリーズ。ギャグ自体はスベっていることもけっこうあるんだけど、そのサムささえ面白かったりもするので、結果としてハズレがないともいえる。きっと作者も「コレ書いたらこう思われるだろう」という通りいっぺんな反応は当然予想してるはずで、さらにそれを踏まえたうえでもう一ひねりしてさらに反応を予想して……みたいなことはやってるだろうし、こうやって書いてても読者としての距離感の取り方が難しい。そんなこんなまで引っくるめて、トータルで楽しむのが吉かなあと思ったりします。

【単行本】「あまえないでよっ」1巻 宗我部としのり ワニブックス A5 [bk1][Amzn]

 コミックガムで連載中。宗我部としのり名義では初単行本。お話としては凄い霊力をもつ見習い僧侶の逸剛(いっこう)が、かわいい尼僧たちと共に修行を続けていくというもの。逸剛はふだんはあまり大した能力は持っていないが、Hなシーンを見て理性が吹っ飛ぶとその秘められた霊力が爆発。悪霊などを鎮めることができるようになるという設定。今のところストーリーの本筋となる部分はまだ見えてきてないんだけど、とにかく女性キャラがみんな魅力的に描けているのがこの作品の特長。宗我部としのりのみずみずしいピチピチした作画が生きていて、頻出するちょっとHなシーンも鮮やかに印象を残す。あとキャラ造形としては、やっぱり大きくてちょっとうるんだような目の描き方がいいと思う。表情がパッと目を惹く。ラブコメっぽさも微笑ましいところがあって、なかなか心が華やぐ作品。

【単行本】「でろでろ」1巻 押切蓮介 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 祝・初単行本。ホラー系のネタを扱いながら、その実、日常的で味のあるギャグを展開。押切蓮介の、ディティールはおどろおどろしげでありながら、全体ではカラッとした作風は個性的で前からけっこう好き。「でろでろ」ではちょっと不良っぽい主人公の妹が案外可愛いのも気になる。そのうち「カースダイアリー」や「悪霊ドリル」とかも単行本に収録されるといいんだけど。

【単行本】「日本凄絶史」 平田弘史 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 日本の歴史の中で自分の信念を貫き通した武士たちの、凄絶な生き様を力強く描いた作品。これまで単行本未収録だった3作も収録。強烈に力強いタッチで語られていく「男の意地」がこれでもかとあふれ出した物語は、ドスンとくる読みごたえがあってさすがに面白い。


▼エロ漫画

【単行本】「化粧くずし」 しろみかずひさ メディアックス A5 [Amzn]

 短編8本を収録した作品集。肉感的な女・麻理果に対し、愛とザー汁をぶちまけていく情熱的な語り口は今回も健在。短編メインだし、プロローグだけで終わってしまった作品も含まれていたりするので、物語的には若干読み足りないかなという気はする。今回の収録作品の中では、ちょっと前のものになるけど「雪の様に熱い瞬間」がイイと思う。脳腫瘍とガンによって倒れ、寿命を縮める危険を承知しながらも自らをアンドロイド化し、恋人と結婚式を挙げることを夢見た麻理果の最後の日々を描いた作品。ピンと張り詰めた切ないストーリー運びで泣ける逸品。あとこの人については文章も好きなのだが、今回はカバー裏に長いあとがきが用意されている。ファンならそちらも必見。

【単行本】「サイバーポルノ」 砂 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 「フェミニズムセックスマシーン」[bk1]に続く2冊めの単行本。実に4年ぶりの単行本となってしまったが、その特殊な作風は相変わらず強烈な存在感を放っている。この人の持ち味といえば強固な論理武装と、それをぶっ飛ばすかのような爆発的なバカ漫画。過剰なセリフ、過剰なセックス、過剰なギャグ、なんだか底流を流れているらしき理論。そういったものが全部ごちゃごちゃとまぜこぜになって、頭にうわーって飛び込んで来るところがいい。とりあえずまずはその奇抜なストーリー展開に身を任せてブハハハと笑って読む。その後で深読みするもよししないもよし。

 収録作品の中では「新聞記者 涼子」がとくに好きだ。バイブ付きのトレーニング用自転車に乗り、コーチの指導を受けつつ涼子がペダルを踏む、踏む。アングルは後ろから。揺れる尻、パンパンに張るホットパンツ。「おしりの穴」では5文字使うから「おしり」は「ケツ」、「の」も省略可能。それが新聞記者の心得。思わず「なんじゃこりゃ?」と思う主張を、怒涛の勢いで刷り込んで来る。それから普通にコマ割ったページがあって、ページをめくると1ページぶちぬき、というのの繰り返しでだんだん笑いをこみ上げさせる構成もリズムがあってイイ。

 「SOX」も好きだ。コギャルの股間からぶらぶらぶら下がる第三の足。そこにはずっぽりルーズソックスが。あるものはブーツ、あるものは紺の長靴下。ルーズソックスについて語っているインチキくさい評論家の、どこを見ているんだか分からない目つきも笑える。オリンピックの正式競技となったセックスを描いた「ASSTLESS」は、漫画としてもバカげてて面白いけど、TINAMIXでいってた「スポーツを主題にすることの出来るおそらく唯一のジャンルとしてのマンガ、という論点」を意識しながら読んだりするのも興味深い。

 しばらく漫画方面ではナリを潜めていた砂だけど、最近はじょじょにまた執筆活動も復活気味。特異な才能であることは間違いないんで、もっともっとたくさん作品を発表していってほしいもの。

【単行本】「とわにみるゆめ。」 三浦靖冬 ワニマガジン A5 [bk1][Amzn]

 セピア調のくすんだ色使いと、細部まで描き込まれた美しい画風を特徴とする三浦靖冬2冊めの単行本。1冊めは「おつきさまのかえりみち」[bk1][Amzn](→感想)。エロ漫画雑誌連載作品ながら、繊細で品が良く、奥行きも感じさせる絵柄はパッと見て心を惹かれる人も多いはず。今回も表紙からして非常に美しい。

 内容のほうはギイチという貧しくも純朴な青年が拾った少女型のロボットと、彼女の本来の持ち主であったミクニという名の「少年」の数奇な運命を描いた、センチメンタルなストーリー。哀しい運命を背負った彼らの姿は、崇高な美しさを感じさせる。ただ全体で見ると画面構成の問題か、ちょっと読みづらく感じるところもあって、ストーリーがスッと頭に入ってきづらいようにも思えた。あと「おつきさまのかえりみち」の時点と比べて、さほど伸びてないかなという気もした。作画がとてもいい人なので、もう一段上のレベルに行ってくれることを期待してます。

【単行本】「Baby Hips」 チャーリーにしなか コアマガジン A5 [Amzn]

 この人の描く女の子は、誘うようないたずらっぽいまなざしがいいです。出会い系サイトで知り合った二人が合ってみたら兄妹だった……という「Tighten Up」などなど、フェティッシュな中にけっこうラブラブな味を溶け込ませた雰囲気も良好。やってることはちょっと変態っぽいけど、それをごく自然に、明るく読ませるお話作りは読んでいてとても楽しい。劇画調のハードな作風ではなくコミカルなタイプなんだけど、なんだか妙にソソられるところがあって、実用面でもけっこうイケる。気の強そうな女の子がHなことをされて、顔を赤くしてぷるぷるしてる様子とかがとてもいい。ただこの単行本については、だいたいがハッピー・エンドでかわいいんだけど、最後に配置されている「憂鬱な日々」だけ救いのない話になっている。そこまでがわりと幸せな話が多いので、そこで一気にダークになっちゃうのは全体の構成としてあんまり良くないかも……と思った。

【単行本】「宮崎摩耶大図鑑」 宮崎摩耶 晋遊舎 A5 [Amzn]

【単行本】「宮崎摩耶大百科」 宮崎摩耶 晋遊舎 A5 [Amzn]

 宮崎摩耶作品は、独特のメタリックな質感の派手な絵柄が最初はなじめなかったんだけど、ちゃんと読むとけっこう天然系でぶっ飛んだ味わいの作品が多くて面白いことに気づいた。そんなわけで単行本を2冊購入。例えば「大百科」のほうに収録の「リトル・マーメイド」ではなんかやけにリアルな魚のかぶりものをかぶった男が人魚姫とHなことをおっぱじめたり、「スパルタすもう部」ではマワシをつけた女の子が股間から体液を飛び散らせながらどすこーいと四股を踏んでたり、よく分からないけど強引でぶっ飛んだノリの漫画が多い。アブノーマルかつポップでキレが良く、作者がノリノリで描いてるな〜というのが伝わってくる。まあいくぶんアクは強いけど、ユニークで楽しいエロ漫画です。


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