オス単:2006年4月の日記より


 このページは、「OHPの日記から、その月に読んだ単行本の中でオススメのものをピックアップする」というコーナーです。文章の中身は、すべて日記からのコピー&ぺーストです。加筆・改稿等は原則として行っていません

 なお、ここで取り上げる単行本は「その月の日記で取り上げたもの」です。「その月に発売されたもの」ではありません。だから古い本でも入ってくることがあります。ピックアップした単行本は多少分類してますが、これはあくまでページを見やすくするための便宜上の分類です。かなり適当に割り振ってますのであんまり気にしないでください。あとシリーズものの途中の巻は、取り上げないことが多いです。


▼強くオススメ

【単行本】「Daddy Long Legs」 勝田文 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 いやー、これはイイですよ。オススメ。「天馬」「パーラー」「シンガポールの月」「Daddy Long Legs」の4本を収録した短編集だけど、なんといっても表題作が素晴らしい。タイトルを見れば分かるとおり、「あしながおじさん」を元にした作品で、それを昭和初期の日本で展開。とある金持ちのお坊ちゃんが、孤児院にいた女の子・いつきを援助し、女学校に通わせてあげることに。お坊ちゃんはいつきに顔を見せたり名乗ったりはしないが、彼女に対して月に一度、手紙を書くことを義務づける。

 まずこの作品で楽しいのがいつきの書く手紙。文章がほわほわ天然系で、思わず笑みがこぼれる。彼女自身もなかなかにかわいらしく、その学園生活の様子にもほのぼのする。その後、いつきは「手紙のおじさま」であることは知らないままお坊ちゃんと知り合い、彼に恋していくようになり、後半ではその進展の様子が描かれていく。生活→手紙→生活→手紙……というサイクルが繰り返されていくにつれ、いつきが成長し、想いも深まっていく様子が描かれていて、ユニークかつなんとも気持ちのいい恋物語に仕上がっている。ラストも、最後のお手紙の文面などを含めて気が利いているけっこうジーンとくるものがある。白っぽくて品が良いけど軽妙でもある作画も、お話の内容にしっかりマッチしている。

 勝田文は天然系でマイペースなほんわかした作風が持ち味で、なかなか面白い作品を描くだけど、「Daddy Long Legs」は今まで読んだ、この人の作品の中では個人的にイチオシ。他の3編もそれぞれ味はあるけど、やっぱこの単行本は表題作でしょう。

【単行本】「ちまちま」 かがみふみを 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 今週のにゅーあきば.comでの漫画レビューはコレにしました。コミックハイ!での連載時点からすごく楽しみにしていたんだけど、不器用で奥手な少年少女の恋愛物語を、実に初々しく描いててとても良いです。とても背がちっちゃくて引っ込み思案な女の子・千村さんと、背は高いけど気は優しい男の子・黒川くん。この二人の、ホントーにちょっとずつ進んでいく恋愛模様をとても丁寧に優しく微笑ましく描いた一作。

 この作品については、とにかく二人がたいへんピュア。一緒にいるだけでもドギマギ、見つめ合ったらもう顔が真っ赤。手をつなぐのが一大イベント……という感じの、今時珍しいほどの純情っぷりがやたらかわいらしくて、見ていると思わず顔がニヤついてしまう。1巻まるまるかかってもキスさえしないという控えめさ加減、二人のトキメキっぷりがもうたまらんのです。千村さんはちんまりしててもちろんかわいいんだけど、黒川くんの純情少年ぶりもこれまたいとおしい。こんな初恋ができたらどんなにか良かったことだろう、とたいへんうらやましい気持ちになると同時に、思わず二人を応援したくもなってしまう。実にかわいらしく、後味の良い作品でございました。


▼一般

【単行本】「090〜えこといっしょ〜」1巻 亜桜まる 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 主人公・ヒロシくんが壊れた携帯電話を拾って修理に出したら、それがどう見ても女の子な形になって送られて来て……というところから、携帯電話少女えこと、ヒロシくんの楽しい日常が始まっていくというドタバタコメディ。亜桜まるはヤングアニマル系列で読切とかを描いていたころから、かわいい絵柄で気になっていたけど、週刊少年マガジンでもなかなかいい感じで活躍している。「携帯電話が女の子になっちゃった」という状況自体はかなりシュールだが、周囲の人々はわりと抵抗なくそれを受け入れちゃって、学園生活はほのぼの展開。カラッと明るく嫌味のないストーリー運びは見てて楽しいし、えこの天真爛漫な振る舞いもかわいらしい。あと素朴な少年であるヒロシくんに片想い中の、生徒会長さんもグッド。一人称が「ボク」で一見ツンツン系だけど、たいへん乙女チックで恥ずかしがりやさんなところが微笑ましい。ここで一発ドーンと名前を売って、ヤングアニマル嵐でやってる「14(ジューシィ)」やその他の短編も単行本化されてくれるといいなと思います。

【単行本】「もずく、ウォーキング!」1巻 施川ユウキ 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 なんだか理屈っぽいけど、実は経験とかがあるわけではなく大したことない室内犬・もずく、それからそのご主人様であるサチたちの生活を描いていくお話。まあ施川ユウキなのでヒネったギャグもあるんだけど、主人公が犬である分、ずいぶんほのぼのした感じになっている。なんかぐちゃぐちゃ考えてるけど、ご主人様にかわいがられると素直にうれしがったりするもずくの様子がけっこうかわいい。

【単行本】「ALL WORKS」 川畑聡一郎 講談社 B6 [公式]

 昨年の11月に急逝した漫画家、川畑聡一郎の短編作品を収録した単行本。ネット通販で400部のみ限定発売された。川畑聡一郎といえば、子供たちの日常をシニカルに描いた「S60チルドレン」(全4巻)が代表作だが、ここに収録されている短編群もなかなかに読みごたえがある。収録作品は「DOGDAY」「ジダラクノウタ」「無頼犬テイル」と、「S60チルドレン」の未収録話。

 収録作品でとくに面白かったのが「DOGDAYS」。顔はすごくイイんだけど、自分はすごくつまらない人間だと思い込んでいた男が、ちょっとイカれた感じのカメラ青年と出会ったことで自分を解放させていくという物語。無力感に支配されていた主人公が、自分の殻を破ろうとするさいの逡巡や屈折した感情をありありと描いた物語には、熱さと力がある。「ジダラクノウタ」や「無頼犬テイル」も、川畑聡一郎独特のハードボイルドな視点が生きている。「S60チルドレン」もそうだったけど、絵はパッと見「うまい」というタイプではなかったものの、魂のこもった作品を描く人だった。改めて夭逝が惜しまれる。

【単行本】「ハルジャン」1巻 小山宙哉 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 モーニングで連載された新鋭の初単行本。運動神経は抜群だが頭は悪く、高所恐怖症だった主人公・梅田晴気が、転任してきた教師によって、スキーのジャンプ競技の世界を知る。そして高所恐怖症を克服するとともに、生身で空を飛ぶことの魅力に魅せられていく……という物語。絵柄的には井上雄彦系で、まだ洗練されていない部分もあるものの、これはなかなか面白かった。主人公・梅田の奔放なキャラが面白いし、ジャンプのシーンもダイナミックに描かれていてなかなかの爽快感。とにかく高く遠く飛ぶことを目指して、バカな主人公がど根性で突っ走っていく様子は痛快で良かった。いちおうこの単行本1冊でお話としてはまとまってるが、1巻ってことは続きもあるのかな。勢いがあって読みやすいし、荒削りながらもなかなか愉しみな新鋭だと思う。

【単行本】「甘詰留太短編集 きっとすべてがうまくいく」 甘詰留太 白泉社 A5 [bk1][Amzn]

 甘詰留太がヤングアニマルで描いた短編を集めた単行本。「きっとすべてがうまくいく」「ぼくの○○ペット」「ふたりでもひとりエッチ」「雨の日はカレー」「あ行のプロ!」「星の王女さま♥」と、単行本用のおまけとして、それぞれの短編の後日談的なストーリーを収録。甘詰留太といえばエロ漫画出身だけに、短編作品は描き慣れている人だけど、今回の単行本収録作品もそれぞれ面白い。

 個人的にとくに気に入っているのが、表題作である「きっとすべてがうまくいく」。40台の冴えない助教授にその生徒である女子大生が恋をして、強烈なアタックで彼と恋人同士になってしまうというお話。それまでずっとモテないで彼女一人いなかったおっさんが、とてもかわいい娘ほどの年齢の彼女ができて恥ずかしがりまくる様子がかわいいし、二人の甘ったるいラブラブ模様も楽しい。また駆け出しの声優さんがエロゲに挑戦する「あ行のプロ!」とか、異星の王女様と地球人青年のラブストーリーである「星の王女さま♥」あたりもお気に入り。

 甘詰留太の絵は瑞々しさと熱があるし、何よりキャラの表情が魅力的なのがいい。いつも書くことだけど、とくに女性の笑顔は素晴らしいなあ。あと画面作りにメリハリがあるのも良い点。最初は一般誌だとちとエロっぽさが濃厚すぎるかなあと思っていたけど、それをきちんと誌面の中で生かしている編集サイドの力量も評価したい。

【単行本】「犬ガンダム 地上編」 唐沢なをき 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 ガンダムのキャラをみんな犬にしてお話を展開するというギャグ漫画。ただ犬なだけではなく、犬たちがやたらアムロ犬の尻を舐めるのにこだわったり、モビルスーツが牛ベこだったりする様子が面白おかしく描かれている。最初はまあ普通の唐沢漫画かな……という印象だったけど、ずっと続くにつれてだんだん面白みが増してきた。ギャグの基本である「繰り返し」の効果が存分に発揮されて、お決まりのパターンがどんどん楽しくなってきている。あと何気に張り子的なモビルスーツのデザインもかわいくて良いと思ったりするのですが……。


▼エロ漫画

【単行本】「初犬」 犬 一水社 A5 [Amzn]

 美少女的快活力で活躍中の、犬による初単行本。ピチピチとフレッシュでムチムチ感のある女体を描く人だが、それでいつつちゃんと萌え的なキュートさも同居しているのが良いです。

 この単行本の中で、とくに読んでて楽しいのが「ストレンジ♥カインドオブウーマン」シリーズ。学校ではほとんど誰とも口を聞かない美少女・藤乃さんと、いつも電車で一緒になるクラスメートのあんちゃんが、とある出来事をきっかけに彼女とつき合い始める。実は彼女は無口ではあるけれど、実はバイブをあそこにくわえたまま通学電車に乗るようなスキモノ少女だったのでした……といった具合。何もいわないので、彼のことが好きなのか、それともエッチが好きなのか全然分からないけど、二人の生活が甘くエッチに、コメディ色もたっぷりに描かれていく。不思議な女の子の藤乃さんがかわいく、エロシーンもなかなかに充実。

 ただあまり作品数がたまっていない状態での単行本発売となってしまったのはちと惜しい。「ストレンジ♥カインドオブウーマン」シリーズは3話のみの掲載で、単行本になってみるとボリューム感に欠けるきらいがある。また3話めのラストが次の話へのヒキのシーンとなっているので、ブツ切りな印象も受けてしまう。連載のほうは新キャラが出てきてちょっと盛り上がりつつあるので、もう少しためてからのほうが良かったなあと思うんですが。


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