オス単:2007年8月の日記より


 このページは、「OHPの日記から、その月に読んだ単行本の中でオススメのものをピックアップする」というコーナーです。文章の中身は、すべて日記からのコピー&ぺーストです。加筆・改稿等は原則として行っていません

 なお、ここで取り上げる単行本は「その月の日記で取り上げたもの」です。「その月に発売されたもの」ではありません。だから古い本でも入ってくることがあります。ピックアップした単行本は多少分類してますが、これはあくまでページを見やすくするための便宜上の分類です。かなり適当に割り振ってますのであんまり気にしないでください。あとシリーズものの途中の巻は、取り上げないことが多いです。


▼強くオススメ

【単行本】「羽衣ミシン」 小玉ユキ 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 人は良いけど冴えない大学生・陽一が、ある日工事現場でロープにからまってもがいていた白鳥を助けたところ、彼の部屋に突然一人の女性が恩返しがしたいとやってきて……という現代版「つるのおんがえし」ストーリー。小玉ユキは前単行本の「光の海」(感想は2007年1月のオス単参照)に引き続き、女性向け漫画の中では今自分的に大プッシュ中の作家だが、この作品もなかなかに面白い。

 まず白鳥が変化したという、ヒロインの美羽に天然系でほわほわした美しさがあるし、とてもいい人である陽一との生活もほのぼの微笑ましい。途中まではほんわかムードで、終盤になり別れのときが近づくにつれて、どんどん切なさが増してくる。そしてラストはキュッと胸は締めつけられるけれども、暖かい余韻を残す優しいものとなっていてとても気持ち良く幕を引いてくれる。

 小玉ユキの絵柄は、どこか素朴で楚々とした美しさがあって元々良かったんだけど、最近は洗練されてきてだんだんパッと目をひくような華やかさも加わってきた。黒目に光を入れないこともあって、キラキラしすぎず、どこか落ち着いたムードがあるのも魅力。シャレた感じではあるんだけど、カッコつけすぎた感じはしない、暖かみも共存しているのがとてもいい。お話もけっこう作れる人だし、これからも楽しみにしております。

【単行本】「GENTE 〜リストランテの人々〜」1巻 オノ・ナツメ 太田出版 B6 [bk1][Amzn]

 「リストランテ・パラディーゾ」で描かれた老眼鏡紳士たちばかりのイタリア料理店、「カゼッタ・デッロルソ」に集う人々、それぞれにスポットを当てて物語を展開。前作ではあまり触れられることのなかった、素敵メガネ老紳士たちのお店以外での顔がいろいろ見られて、なんだかお得感がある。また各人の物語もそれぞれ小粋。まあ自分的には老眼鏡紳士萌えといった属性はさほどないとは思うんだけど(心の奥底には眠ってるかもしれませんが)、作者の愛情は十分伝わってくるし、萌えゴコロ自体はやはり読んでいるほうにも伝染してくる力がある。読んでると老紳士たちが非常にチャーミングに見えてくるし、思わず笑みが浮かんでもくる。各話とも完成度が高いし、うまいなーと思います。


▼一般

【単行本】「アベックパンチ」1巻 タイム涼介 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 現在コミックビームで連載中の作品。地元では無敵状態だった無頼な幼なじみ男2人、イサキとヒラマサ。彼らがある日、街で出会ったアベックにからんでいったところ、二人の強烈なパンチにより一敗地にまみれる。それが引っかかりとなって残り続けた二人は、アベックをタダモノでないとにらんでその素性を調べ始めるが……といった感じで始まる物語。

 お話のほうは、カップルが実は男女二人が一組になって闘う「スポーツアベック」という格闘技の選手だったことが判明するが、イサキもヒラマサも女にはからっきし縁がなし。とくに超乱暴モノでヤクザ顔負けのヒラマサには誰もよりつかない。というわけでスポーツアベックでも組む相手がおらず、前途は多難という状態。

 という本筋のほうも面白いけど、男二人の青春物語として読んでも面白い。「あしたの弱音」同様のキレのあるセリフはこの作品でも各所にちりばめられているし、イサキ&ヒラマサのくされ縁的友情も、強固な絆を感じさせてくれて、泥臭いけど独特の輝きを放っている。なかなかカッコ良く、痛快な物語になりそうな気配でこれからも期待大。

【単行本】「舞-乙HiME嵐」 佐藤健悦(シナリオ:樋口達人+吉野弘幸) 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 佐藤健悦による漫画版「舞-乙HiME」の後日談的エピソード。本編のほうは、主人公がマシロ姫の替え玉としてガルデローベに派遣された男の子という、アニメとはまったく異なる設定だったが、マシロ=男の子という設定は「嵐」のほうにもそのまま受け継がれている。

 お話のほうは、本編の後、アリカ、ニナ、エルスの3人娘に守られて超モテモテ状態なマシロ君だったが、ガルデローベがナギの双子であるアラシによって借金のカタに差し押さえられてしまってさあタイヘン……というところからスタート。その結果、ガルデローベのオトメたちは借金返済のためにキャバレー的なところで働かされたり、マシロ君はアラシの専属メイドにさせられたりとムチャクチャな状態に。そこからの復活を目指してみんなが頑張るという内容。

 というわけで、いきなりぶっとんだ始まり方をするこの作品だけど、すでにキャラができていることもあって、最初っからノリノリで面白かった。ニナはバイト先のキャバレーで、こぶしのこもった演歌を披露。意外と器用なところを見せつける。エルスの巨乳もぶるんぶるんと大活躍。アリカはいまいち影が薄いけど、マシロはメイドをソツなくこなしちゃったり、危機的状況なクセしてみんなそれぞれイキイキ動き回っている。それを眺めているだけでも楽しい。ラブコメとしても軽快でなかなか。

 あとこの単行本には、チャンピオンREDに掲載された乳首出し「舞-乙HiME SUPER H」シリーズも収録というサービスもあり。佐藤健悦版の「舞-乙HiME」は女の子連中もかわいかったし、賑やかで面白い作品だったので、機会があったらまた新シリーズも描いてほしいところ。

【単行本】「オレたま〜オレが地球を救うって!?〜」1巻 作:原田重光+画:瀬口たかひろ 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 20××年の7月、童貞の主人公・航太のタマに、ひょんなことから世界に滅びをもたらす恐怖の女王が封印されてしまう。7月中に射精してしまうと恐怖の女王を目覚めさせてしまって人類滅亡となるため、航太はオナニーもできない状況になってしまうのだが、彼を射精させるべく美少女小悪魔・エリスが送り込まれてくるし、バイト先の片想い相手の女の子といいムードになったりと、航太にとっては辛抱たまらん日々が訪れるのだった……。

 といった感じで「射精できない」「でもモテモテ」という状態で繰り広げられるドタバタエッチコメディなんだけど、なかなか賑やかで面白い。原作を担当するのは最近では「ユリア100式」も手がけている原田重光だが、この手のエロコメはさすがの腕前。サービスシーンは入れつつも、寸止めし続けるギャグはユーモラス。カラッと明るいギャグに仕立て上げていて、身構えることなく楽しめる。

 あと最近はラブコメとして良い具合で、とくに小悪魔のくせにけっこう純情なエリスがいい。航太にだんだん惚れちゃって、彼が見せるちょっと優しい態度とか、キスとかで真っ赤になってメロメロ〜ンとしている様子は実にかわいい。色惚けでトロけたような表情がたまんないんですな。小悪魔なのにウブというのも見てて楽しいものはあるし。まあそんあわけでお手軽に読める、楽しい一作です。

【単行本】「大関ヶ原」 深谷陽 リイド社 B6 [bk1][Amzn]

 関ケ原の戦いに向かうまでの戦国大名たちの思惑、策動を描いていく歴史物語。深谷陽といえば東南アジア系のエスニックなかおりのする作品のイメージが強いけど、こちらはけっこう骨太な和風の歴史活劇。各武将の生き様や信念に触れながら進行する物語は読みごたえもけっこうある。まあ「深谷陽でなくてもいいかな?」という作品ではあるけど、まずまず楽しめた。

【単行本】「ミヨリの森の四季」 小田ひで次 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 ミステリーボニータに掲載された「ミヨリの森」の続編が単行本化(前作の感想は2003年12月11日の日記参照)。祖母から役目を受け継いで、森を守る者となった少女・ミヨリが、精霊たちの住まう森と触れ合いながらで生きていく物語。といっても今回お話の中心となるのは、ミヨリと触れ合う人々。ミヨリの森を訪れた大学生・守村朔也と、朔弥の妹で引きこもり心を閉ざしていた少女・華枝。とくにミヨリと同じく精霊が見える体質でありながら、そのことを頑として認めないでいた華枝との出会いは丁寧に描かれている。

 「ミヨリの森の四季」では、ミヨリはすっかり森と共に生きていくと腹を決めており、精神的にも安定したキャラとなっている。そんなミヨリが華枝を導いていく様子は、彼女の成長を感じさせる。あと「ミヨリに友達ができて良かったなあ」とも思う。このほかミヨリの住む村に都会から越してきた妹分的な存在の夢子も登場し、華枝同様にミヨリによって心を開いていくことになる。

 小田ひで次の柔らかいタッチで描かれた自然には独特の質感がある。五十嵐大介の描く自然とはまた違った、もこもこした暖かみのある感触で、うっそうとした雰囲気。そんな自然を通して、人と人、人と精霊が心を通じ合わせていく様子には心暖まるものがあり、よくできたファンタジーとなっていると思う。

【単行本】「Present for me」 石黒正数 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 石黒正数初の短編集。フラッパー掲載の「ススメ サイキック少年団」「Present for me」「なげなわマン」「カウントダウン」「バーバラ」、アフタヌーンシーズン増刊掲載の「ヒーロー」、雑誌未発表の「泰造のヘルメット」を収録。

 石黒正数については最初は主にフラッパー掲載の短編群で「達者な人がいるなあ」と注目していた。その後、フラッパーで「アガペ」の連載を始めて、これが原作者との相性も悪かったのがハチャメチャな出来で少々ガッカリしたのだが、「それでも町は廻っている」が成功して「よかったなあ」と一安心したしだい。

 短編のほうは今読んでみるとまだ肩に力が入っている感じで、うまくて気も効いてるけど少し空回り気味に思える作品もけっこうある。しかし作画はすでに完成されててうまいし、今につながるものも十分見せてくれている。この中では孤独な少女と打ち捨てられたロボットが出会うハートウォーミングなストーリーである「Present for me」、それから変身ヒーローと敵役の中の人の物語である「ヒーロー」あたりがよく出来ていると思う。両方ともさほどギャグっぽい話ではないけど、その分、小知恵が鼻につくところがなくてスッと読んでいくことができる。

 ギャグ系の話にもそれぞれキラッと光るものはある。「それ町」で石黒正数を知った人は、そのルーツを知るためにも読んでみてほしい。「アガペ」は……うーん、あんまりオススメはしないです。ぶっ壊れた作品を見たいという人はどうぞ。

【単行本】「おとめ恋々」 石田敦子 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 猫耳女生徒たちが集まって恋愛について語るクラブ「白薔薇恋クラブ」の活動内容を描いていく学園ストーリー。議題は『「友達でいよう」はありなのか』『「いい人」を恋人にはできないのはなぜか』『恋と愛の違いとは何か』などなど。女生徒たちのクラブということで、語りは全面的に女の子目線。その目線から「乙女心」を描いていく内容はわりと興味深いものはあります。

 とはいえ、まあこういうのを読んでると、身勝手な男である自分としては、興味深いと同時に居心地がいくぶん悪くもあり。これ読んで乙女心を分かったような気になっちゃっても、それはそれで困ったもんでしょうしな。それにこれが「今どきの女の子たちの気持ち」をどれだけ映し出せているかは、若くもなければ女の子でもない自分には分かんないし。まあそれを意識しすぎちゃうのもなんだし、ある程度は参考にしつつ、あとは普通に物語を楽しむっていう程度の接し方が自分的に無難なラインかなーと思います。

【単行本】「毎月父さん」1巻 ヒラマツ・ミノル 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 格闘技界では地上最強と恐れられる鈴木・グレーテスト・総四郎が、妻との賭けに負けて、家庭ではマイホームパパになると宣言。しかし、ものすごく頭が悪くてマイペースを強力に押し通す実行力もある総四郎は、勘違いだらけの行動を繰り返していく。……といった感じの御家庭ギャグ漫画。

 「アグネス仮面」なんかでもギャグっぽいシーンの多かったヒラマツ・ミノルだけど、今回はギャグ方面のウェートをよりアップ。総四郎の猪突猛進な馬鹿っぷりを面白おかしく見せる。あと脇役勢でも、彼の属する格闘技団体の総帥である高田みたいな人とか、総四郎の兄とかが、出てきてはインチキくさい活躍をして笑わせてくれる。まあこの人にはアツい作品もまた描いてほしいところではあるけれど、たまにはこういう軽いのも息抜きとしては悪くない。

【単行本】「おやすみプンプン」1巻 浅野いにお 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 小学生男子・プンプンの初恋などを描いていく学園青春ストーリー。プンプンはフツーの小学生なのだが、なぜか彼とその縁者だけは鳩サブレみたいな感じの落書き調のキャラとして描かれていて、そのほかは普通に人間として描かれる。また出てくるキャラもイカレ気味な人が多めで、独特のシュールな世界を作り出している。

 で、お話の中核となっているのは、プンプン少年と、彼が一目惚れした転校生少女・愛子ちゃんの物語。周囲のキャラたちがシュールな存在で背景に溶け込みがちな分、愛子ちゃんのかわいさ・瑞々しさ、それからプンプンと彼女のやりとりがパッと印象に残る。

 これが現時点で面白いかといえば、なんともいいがたい。浅野いにおといえば、いかにも今風な感じで「スカしてる」といった印象も持たれがちな作家さんではある。この作品は逆手に取ってるんだか知らないけど、「スカしてて鼻につく」といわれそうな部分をあえて前面に押し出している印象。表現自体は面白いし、先の展開が読めない物語には「なんかすごいことやってくるかも」という期待感がある。ただ技巧に走りすぎにも見えるし、どう解釈したものか迷う部分もある。意欲作であることは間違いないと思うけど、それが吉と出るか凶と出るかはやはり今後の展開しだい。まずは期待しつつ続きを追っかけていきたいところ。

【単行本】「クレイジー大亜門道」 大亜門 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 「太臓もて王サーガ」の大亜門の短編集。やはり売れるとこういうもんまで出るのでいいですね。収録作品は「もて塾へ行こう!!」「もて塾恋愛相談」「怪傑h」「伝説のヒロイヤルシティー」「一九ポンチ咄」と、あと「無敵鉄姫スピンちゃん」のプロトタイプ読切3本。

 「もて塾」シリーズと「伝説のヒロイヤルシティー」は「太臓もて王サーガ」につながり、「スピンちゃん」シリーズも連載につながった作品だけあって、さすがにこのころから面白い。「太臓」ではパロディネタが目立ったけど、オリジナルのギャグもしっかり笑えるし。あとスピンちゃんはけっこうかわいいなあと改めて思ったりとか。まあここらへんの短編を読んでも、大亜門のギャグセンスの良さはうかがえる。次回作も楽しみ。

【単行本】「私立トアール学園2年☆組物語」1巻 石川マサキ メディアファクトリー A5 [bk1][Amzn]

 石川マサキもう1冊。こちらはコミックアライブでやってる学園モノのドタバタギャグ。人格破綻者の教師、ロボ娘、クトゥルー系の妖怪つれてる女子などなど、奇天烈な教師生徒の集まる学校はいつも大騒ぎ。石川マサキは昔っから絵が非常に達者な人だけど、この作品でもそれは健在。線がしっかりしててパッと見映えがする。まあその絵を見てるだけでもかなり満足感はある。

 ギャグのほうはいろいろ頑張っている。短いページ数にネタをぎっちり詰め込んでいて、楽しい雰囲気は作っている。ただちょっと気張りすぎかなあという気もする。至るところにギャグを入れようってのは分かるんだけど、とくに最初のほうは詰め込もうとしすぎな感があった。あと「そこはツッコミ入れないでぶん投げちゃったほうがスッキリするんでは」と思えたシーンもいくつか。

 まあ爆笑を期待するというよりは、ガチャガチャした賑やかさと、絵の良さを楽しみながら読んでいくのが良いかなあという気がします。それにしても繰り返しになるけどやっぱり絵はいいな。


▼エロ漫画

【単行本】「星の王子サマ」 月野定規 コアマガジン A5 [Amzn]

 天文部に入部しようとした主人公少年・星野隆広くんが、有名無実化していた天文部の先輩女子2人に御主人さまとしての資質を見込まれて、ドロドロの愛欲の日々を送ることになる……という物語「星の王子(ゴシュジン)サマ」がメインの単行本。見た目はすごく地味でマジメだが、けっこう流されやすい星野少年は、顔に似合わぬゴツい肉棒と、何発出しても止まることを知らない精液タンクの持ち主で、流されつつもガッツンガッツンやりまくり、最初は偉そうだった先輩2人を精液漬けにしていくのでした。

 ってなわけでまあわりとラブラブ色も強い調教ストーリーという感じだけど、主人公の意志で調教がスタートするのではなく、奴隷側の意志で主人公が御主人様に仕立てられるってのがポイントかな。エロシーンはそんなわけでガッツリ濃いです。ヨガリ顔は派手で女の子たちはイキ狂い、精液の虜になるし、膣内描写、液体描写もたーっぷり。これでもかとズンズン攻めてきて、開けっぴろげでハードなエロスを展開している。その中に濃厚な甘ったるさを溶かし込んでいるのも重要なポイントで、読んでいるときの心地よい感触につながっている。

 ただお話的にはもう一つ弱いかなあという感も否めず。主人公を天文部へと招待した顧問の女性教師ももう少し生かせた感じはするし、野外調教時とかもなんか牝犬ファッションが派手すぎて少し違和感がある。なんというかいきなり目の前で「オーイエー」「アイムカミング!」ってな感じのアメリカンポルノが始まってしまったような感じで、エロ描写が過激なわりに淫靡さが欠けるように思えてしまう。そういう点では、後半収録の短編3作「Sugar babe」「プライベートレッスン」「待濡虫」の3作のほうが良いかなーって気がします。

【単行本】「萌乳☆」 みつや コアマガジン A5 [Amzn]

 つやつやと肉付きのたいへんよろしい女の子がエロっちいみつやのコアマガ系では初の単行本。一つの学校を舞台に、いろんな男女がそれぞれ関係を作っていく、学園モノシリーズが中心。きのした順市ほどではないものの、出てくる女の子の肉体はいずれもボリューム感があって見応えあり。ぷりんぷりんしたお肉が盛大にゆれるセックスシーンはエロ度十分。さらにこういう肉付きのいい系の絵を描く作家さんらしく、ちょいと癒し系な雰囲気もあり。女の子たちはけっこう明るくかわいげがあって好ましい。基本的に和姦モノでラブラブな作品が多いんで、後味は良く、楽しんで読めます。

【単行本】「あなたがそれをのぞむなら」 天竺浪人 A5 [Amzn]

 最近劇画っぽい濃厚な路線の作品を志向しているらしい天竺浪人の新刊。特殊な性癖をお持ちのマニアックなカップルの濃い〜いエロ行為を描いててねちっこい。とくに個人的に好きなのは、ヒモの元カレのせいでフェラチオ癖のついてしまったヒロインの物語「精癖」あたりが徹底してて良かった。ずっと顔にべっとり精液へばりつけたまま日常生活させらたり、口に精液残したまま通勤、カラオケなどなど。さらにレストランでさりげなく精飲、観光地で精液つけたまま顔出し写真とったり、シチュエーションもさまざま。やってることは濃いんだけど、妙に楽しそうな精液ライフが印象に残る。あと、この人の描くファラチオはやはり独特のねちっこさがあって良い。

 全体的な方向性としては、作者自身も後書きとかで試行錯誤中みたいなことを述べているけど、いろいろ描ける人なのは確かなんで、いろいろ試せるうちに試すってのはいいんじゃないでしょうか。

【単行本】「あねSWEET」 狩野蒼穹 松文館 A5 [Amzn]

 にゅーあきば.com(おた☆スケ)のレビューでも描いたとおり、ほのぼのかわいい姉弟エッチ漫画ばかり描く狩野蒼穹の最新刊。内容的にはいつも似たような感じで、えっちなことに興味のある姉が、かわいい弟を巻き込んでヤリまくるというお話ばかり。でも毎回かわいく、ほんのり甘く、そしてドタバタ楽しい作品を描いてくるので、だいたいいつも同じように楽しめるのがイイところ。昨今ではますます絵柄にちんまりしたかわいさが加わり、コミカルなデフォルメ描写も効果的に使いこなすようになって、安定した楽しさを保っている。あとあっさりめな絵柄ながら、意外とエロもちゃんとやってるのも良いところではないかと。

 まあそんなわけで、「ほのぼのしててかわいく楽しくエロ漫画」を読みたいという人にはオススメできる一作。

【単行本】「ギリギリSisters」 如月群真 コアマガジン A5 [Amzn]

 いやー、如月群真の漫画はエロいなあ。今のエロ漫画界全体で見ても、こと実用度でいえば間違いなくトップクラスだと思う。今回の単行本のメインとなる「ギリギリSisters」シリーズは、親の再婚でクラスメート女子&その妹と家族になった主人公が、むやみやたらと自分を好いてくる姉妹とエロエロな関係に。さらに以前から片想いしていたクラスメート美少女も主人公が好きだったと分かって、男1人女3人のハーレム状態が形成されるという内容。

 この作品に限らず、如月群真の描く作品は、ストーリーはおおむね男にとって都合良すぎだし、ちょっと浮き世離れもしてて淫靡なシチュエーションともいいづらいものがある。そして絵のほうも、一般に「技巧的」とか「超絶画力」とかいわれるタイプではなく、キャラ造形とかにはいささか野暮ったいところがある。

 でもこれが、ことエロシーンを描かせると抜群にエロい。なんかもう「エロを描くためにできてる」ってくらいに、全体からぷんぷんとエロっちさが漂いまくっている。目尻に涙を浮かばせたよがり顔や、乳揺れ、むっちりした身体のラインなど、なんともたまらんものがある。あととくに個人的にそそられるのが、お口関連の描写。舌を靴べらのような形にして押し当てて、ちんちんに吸い付く描写はなんともねっとりしたエロさ。

 性器描写とかはそんなにゴリゴリリアルタッチで露骨に描き込むほうじゃないし、むちゃくちゃ克明というわけでもないんだけど、とにかくちんこを刺激するパワーがある。この人の場合、適度な泥臭さがエロさにつながっている面もあるし、あまり絵が洗練されるとこのエロさは出ないのではないかという気もする。まあとにかく「ヌケる」という意味においてはノー文句。非常に使い勝手の良い1冊といえましょう。

【単行本】「憧れの女」 藤原俊一 富士美出版 A5 [Amzn]

 この人もなんだかエロい作風を持った人。お話のほうは長編で、オタク系サークルに入部した主人公と、その先輩女子のラブストーリーという感じの作品。二人のはじめてのエッチから、同人誌即売会会場でのトラブル、主人公の浮気、仲直り……とオタ系青春ラブストーリー的なことを積み上げていく。

 まあそんなわけでお話的にもそこそこまとまったボリュームがあるが、自分にとってとくに良かったのは、寝取られ系のシーンがなかなかエロっちいところ。同人誌即売会のときに、ヒロイン女子がチンピラ連中に犯されそうになるシーンでまずグッと来て、さらにストーリー終盤の展開でググッと。終盤では大手雑誌とつながりがあると名乗る業界男にだまされて、ヒロインが薬を飲まされた挙げ句、何度となくそやつに犯される。このシーンがとてもねちっこくていやらしい。フェラチオシーンのヒロインの表情もソソられるし、主人公である彼氏の前でヤラれちゃうシーンとかもこれまたいい。

 この人も絵的な面ではちょっと垢抜けないところがあるんだけど、ヒロインさんが欲情していくシーンの表情とかはかなりいいし、独特のねちっこさもある。ストーリー的にはちょっととっちらかってるし、最後もわりとあっさりしすぎかなとは思うけど、まあそれなりに楽しめる。前半でラブラブしていた積み上げがあったおかげで後半の寝取られがより生きているってのもあるし。何よりこのエロさは買いたい。この人のエロも如月群真同様、微妙なバランスの上に成り立ってる感じはするけど、うまいことエロさを失わずに伸びていってほしいなーと思う。

【単行本】「こいねえ」 BENNY’S マックス A5 [Amzn]

 ポプリの版元がマックスになったのに併せてコミックスシリーズも「ポプリコミックス」に。装丁も上品で華やかでええ感じになっておりますな。で、この単行本には9本の短編を収録。いまやすっかり年上おねえさんモノの名手という感じになってきたBENNY’Sだけど、ここでもそれは健在。まあラブラブカップルものもあって、年上モノオンリーというわけでもないが、いずれも豊満なおっぱいを駆使したラブラブエッチが堪能できてとても華やいだ気分になる。

 帯に「魂の双子」と書かれたりもする、井ノ本リカ子と同時発売だが、単純な実用度では個人的にはBENNY’Sのほうがヒット率が高い。あまりセンチメンタルでない分、後腐れなく使いやすいといいますか。軽いノリながらも密度の濃いエッチをしているし、柔らくてたっぷりした巨乳も良い。まあ最近はちょっとデカくなりすぎな気はしないでもないですが。まあ自分の場合は、パッツンパッツンの風船巨乳も好きだけど、こういう持て余し気味な垂れ乳もわりと好きなんでノープロブレム。これはこれでいいんです。

【単行本】「くすりゆびハニー」 井ノ本リカ子 マックス A5 [Amzn]

 この単行本では、ポプリクラブで連載された「くすりゆびハニー」全6話が中心で、「僕のおねえちゃん」「にゃんにゃん♥」「わからないけど」「雨はきらい」の4作も併せて収録。「くすりゆびハニー」は、海外転勤した親と離れて暮らすことになった主人公・匠に、実はいいなづけがいたことが判明。その相手は隣のクラスのすごく地味な女子・白鳥さん。しかし、彼女と一緒に暮らすことになり、エッチもするようになった匠は、だんだん彼女の秘められたかわいさに気づいていき、相思相愛ベタボレ状態になっていくのだった……というラブラブHストーリー。

 てなわけで全6話かけて、たいへん甘ったるいエッチありの恋物語が展開されていく。あとがきによると井ノ本リカ子は現在、地味女子がマイブームだそうで、本作のヒロイン・白鳥さんも、たいそうかわいらしく、かつ愛情たっぷりに描いている。「あの娘は学校では目立たないけど俺だけが魅力に気がついているのじゃぜー」ってなところが萌え心をくすぐったりもする。あとエロシーンは甘ったるいうえに、ちゃんとしっかりエロさもキープしていて、相変わらずの安定した仕事っぷり。ただストーリー面ではちょいと唐突な部分が多く、少し食い足りないかなという部分もある。出だしの「実はいいなづけがいたんでした」「いきなりエッチ突入」「すぐにラブラブに」ってところもそうだし、お話の畳み方もちょいとバタバタしている。雰囲気が抜群にいいので流されてしまうのも可だけど、キャラがとても良かっただけにもう一ひねり欲しかったかなあという気はする。

 そのほかの短編については、お話が短いだけにきっちりまとまっている。井ノ本リカ子の描くふわふわ柔らかいキャラはやっぱすごくかわいいし、甘やかな感情を激しくくすぐってきてたまらない。感触といい味わいといい、「マシュマロのような」という形容がとてもよく似合う。うまいですよねえ。

【単行本】「乙女の恋愛情事」 木谷椎 一水社 A5 [Amzn]

 ピチピチした絵柄が特徴で、フレッシュで瑞々しいエロを描く。女の子の造形もきちんと萌え度が高めでかわいいし、実用度もなかなかのもんでて、最近のエロ漫画のトレンドをしっかり押さえた感じの作風。お話的にはさほど際立った特徴はなく、あまり印象に残るような話はなかったけれども、いずれもまとまってて、使い勝手も良い。お話のほうは、ラブラブからさほど痛々しくはないレベルの陵辱までこなし、ヒロインもカップル、近親相姦と偏りなし。安定感があり常に一定水準はクリア。なんというか「普通に使える良いエロ漫画」っていう印象。

【単行本】「おともだち」 春籠漸 ヒット出版社 A5 [Amzn]

 けして「うまい」「きれい」というタイプの絵柄ではないが、ねっとりした体液にずるずるまみれて、オールドファッションな萌え少女たちがあえぎまくるSEXシーンが抜群のエロさを誇る春籠漸の最新単行本。今回は珍しくロリものに特化しているが、この人の特徴の一つでもあるみっちりした乱交シーンは健在。学校やおうちで、美少女が男子生徒や父親連中などとサカりまくる様子はしっかりエロい。まあ個人的には巨乳派なのだが、春籠漸はもともと巨乳がウリなタイプではないので、ロリに特化したことによるエロ面でのマイナスはないと思う。

 エピソード的には「秘湯〜乱れの宿〜」がいいいです。主人公をはじめとした少年少女がみんなで温泉に行くんだけど、主人公以外のメンツはあるいは隠れ、あるいは公然とお互いにエッチしまくり、主人公だけが仲間外れ。主人公は、旅行中にいいムードになりたいと狙っていた女の子たちが他の男子とやっているところを次々目の当たりにし、最後は幼なじみ女子が乱交の中心人物となっているのを目撃してしまう。いわば「総寝取られ状態」という一風変わった構成が面白い。

【単行本】「えっちぃカンジ」 上乃龍也 一水社 A5 [Amzn]

 相変わらずつやつやぷりぷりした肌の質感にとてもソソるものがあって、エロシーンは汁気たっぷりで充実。彼女、元かてきょ、女教師、妹、姉貴分……とある程度のバラエティがあり、プレイ内容もラブラブHから痴漢、露出プレイと揃う。まあ痛々しいレイプものとかはないので、ちゅるんとした質感の気持ち良い女体での汁だくエロスを気軽に楽しむことができ、実用物件としては使いやすい。ただページ数は140程度とちょいと少なめか。


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