松本大洋

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■作家名:松本大洋(まつもと・たいよう)
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「花」 フリースタイル A4 [bk1][Amzn]

「花」  劇団黒テントの公演用に脚本として描かれ、ペン入れしたものがビッグコミックスピリッツ1998年7/6号、7/13号に掲載、さらに雑誌掲載時のものに大幅な加筆・修正を施した本。やけに装丁がカッコイイなと思ったら、これ平野甲賀がやってるんですな。なるほど。

 内容のほうは精霊を呼ぶ舞のときにつけるための面を作る、「面打ち師」の家に生まれた兄弟の物語。兄のユリは天性の面打ちの才能を持つが外に出ることを拒否し家にこもり続け、弟のツバキは才能には恵まれないが兄に憧れなんとかそれに近づこうとする。しかし両者の間には超えられぬモノが確かに存在する。真っ暗な森、そこに潜む精霊たち、捧げられる舞、異形の面など、構成アイテムがそれぞれ非常に神秘的。内容自体は分かりやすいとはいわないけれど、表現の冴えにはいちいちハッとさせられるし、霊的なモノの描写には凄みもある。松本大洋の筆には淀み、濁りがなくてたいへんカッコイイ。