「夢で逢いましょう」表紙 山本直樹

夢で逢いましょう

光文社 全1巻
ISBNコードなし 価格:本体680円
初版発行:93/04/30 判型:A5 2色カラー含む

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 これは山本直樹の中でもとくにオススメ。それは傑作「のんきな姉さん」が収録されている単行本だからだ。
「のんきな姉さん」は、ベストセラー作家である弟がスキー場から、「これから自殺する」と姉に電話をかけてくるところから始まる。弟のもとにたどり着くまでに階段から落ち、頭にけがを負い、現実と非現実の区別がつかなくなる姉。そして、弟もこれまたクスリを飲んで自殺を図っているわけだからとうぜん同じような状況。そして、そのストーリーの成り行きを見守っている読者にとっても、これが現実に起きていることなのか、それとも弟の作品である小説が劇中劇として展開しているのか分からない。
 こういった恐ろしいほどの多重構造を持たせながら、場面はいろいろと錯綜しつつ進んでいく。山本直樹一流の読者を幻惑するテクニックの精髄ともいうべき、技巧に富んだ作品だ。それでいながらストーリーとしても面白く読める。
 余談だが、弟がいるスキー場は「あたま山スキー場」。「あたま山」というのは、ある男の頭の上に池ができてそこで人々が船を浮かべたり花見をしたりして、あんまりうるさくて悩まされた男が最後にその池に飛び込む、というなんだかすさまじい落語なのだが、こういうところもまた山本直樹らしい仕掛けだ。

 この単行本は、スカトロ専門でウンコ食べたら日本一のAV男優と、不潔恐怖症の女性の話である「夢で逢いましょう」、幻想的で不可思議な「×つのき駅」もそれぞれに面白いので、未読の人はぜひぜひ買うべし。

●収録
「夢で逢いましょう」
(初出:コミックBE! 1992年1月〜5月号)
  その1 犬の生活
  その2 犬にインタビュー
  その3 メドレー
  その4 管理人さん
  その5 Listen to my heart beat
「×つのき駅」
(初出:コミックBE! 1992年10月号)
「のんきな姉さん」
(初出:コミックBE! 1992年10月号〜1993年1月号)
  Part1〜3