インターネット中毒者の告白

J.C.ハーツ
大森望&柳下毅一郎訳
草思社 刊



 一見ありふれたインターネット入門書。または最近よく見る「インターネット無用論or害悪論」。装丁も実に地味で、一見ビジネス書を思わせる。ところがどっこい、この訳者がそんな本を出すわけがないのであった。WWWなんて一切出て来やしない。全編UsenetやIRCなんかで交わされるネット方言丸出しのしょーもないをたく的会話で充満している>おーる。をいをい:-)。チャットから落ちるときはちゃんと挨拶しましょうね。では、おふ!と、日本語訳もばっちり。「WELLなど糞食らえ」なんていうハワード・ラインゴールドに是非聞かせてやりたいようなくだりも(沢山)ある。でも実に含蓄あふれる内容だったりする。「ネットワーカーは部族である」「グラフィックベースのシステムでは想像力が入り込む余地はない。『ゾーク』を思い出せ」「ネットでは、私たちはみな、機能的には幽霊なのだ」なんて、どきりとさせるような文章があちこちに現れる。さすがはコアなネットワーカー。実地での経験は説得力あるわ。ビジネス系のインターネット本100万冊分の濃さがあるといえよう。

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