りっちゃんのくちびる

綾坂みつね

講談社

 「ジャンキーズ」「コムナビ」で結構褒めていたので、買ってみたはいいのだが、正直なところ、それほどのものかね、という感想である。

 イメクラ嬢りっちゃんは、着けたコスチュームの職業になりきってしまい、素顔やプライベートのときではとてもできないようなことも可能にしてしまう、不思議な力を持った女の子。そのりっちゃんは、イメクラ嬢として、客の要望に応えながらも、客の抱える心の悩みを解決していく。「ちょっといい」系のオハナシ。また、イメクラが舞台だけあってエロネタも満載。盛りだくさんである。

 作者が裏表紙でも描いているように、この作品は魔女っ子もののアダルト版(エロネタあり、っていう意味で。そういやなりきりっこってのは旧モモそのまんまやないけ!)という位置づけである。オハナシの構造もまったく同じで、市井の人々の些細な悩みを、主人公が不思議な力で解決するという、4クールものの魔女っ子ものの2クール目の半ばごろくらいのオハナシそのまんまである。まあこれはこれでよく、特に責めるつもりはない。話が良くまとまってさえいれば(いくつか本当にいい話があるのは言うまでもないが)。

 また、イメクラという場所自体、秘められて=抑圧されてしまいがちな欲望を解放する場であるため、救いをもたらすものである。だからエロネタはマイナス要因としては考えられず、不可分なものである。これもこれで別によく、特に責めるつもりもない。

 よろしくないのは二つの要素のバランスである。魔女っ子的イイ話と、エロ描写という要素がどうもバラバラになっているように−−特にエロ描写が過剰になりすぎているように−−思えるのだ。結果、「私の秘めた欲望をりっちゃんにうまく処理してもらいました。気持ちよかったです。ああ良かったなあ、めでたしめでたし」になってしまっているように見受けられるのだ。まァ男の悩みなんて抜いてもらやあ解決してしまうことも多いのでこんなものかもしれないのだが。

 この原因は明らかに「エロマンガのフォーマットそのままである」というところにある。綾坂みつねはエロで長い人だが、その癖が抜けきってないのだろうか。あるいは編集がエロのままでやらせてしまっているのだろうか。どちらかはわからないが、とにかくアンバランスに見えて仕方ないのだ。CH系の雑誌にこの漫画が載るのであったら「エロだ」と前提して読むので、これでも十分面白い漫画となるのだが、掲載誌は限りなくエロに近いとはいえ一応青年誌だ。前提の違いからどうもちぐはぐに見えてしまうのだ。

 なんともかみ合わない作品。ひどい出来ではないのだが、持ち上げられるような漫画でもないように思う。良くなる要素は多いのに、ちと残念である。

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