殺したい奴ら

佐川一政
データハウス


 

 どうしても「あの」がついてしまう佐川一政の久々の著書。装丁その他、本丸ごと一冊根本敬のデザインによるもので、まるで「ディープ歌謡」とか「ディープコリア」を読んでいるような感覚にとらわれる。  「てやんでえベラボーめ一度くらいてめえらも喰ってみろい!」(By根本敬)のように、常日頃佐川君が感じている怒りを書き綴った第1章、くだけた文体で事象に評論を加える第2章(イラストはならやたかし!)、ぬいぐるみへの愛をちょっとものすごい形で語る第3章(イラストは友沢ミミヨ)、真面目な評論の第4章、根本&ならや&友沢&佐川の対談(全然話が噛み合わない)である第5章から政っている。

 この本をプロデュースした根本敬のスタンスも、佐川君の怒りの対象となっている好奇の目に近いものがあるとは思うが、それでも「人肉喰った男」として簡単に切り捨ててしまわないところが、根本敬のよいところだと思う。その愛が嵩じてか、この本は限りなく「佐川一政の本」ではなく「根本敬の本」になっている。佐川一政のことは良く分かるのだが、どうも根本臭が強いのではないかな、と感じる。

 

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