コミックビーム 2000年8月号

レヴュ担当 吉本松明
久遠永遠
音羽平八

幽玄漫玉日記

桜玉吉
吉本 お、恐ろしい!画面から漂うすさまじいばかりの負の波動。読者を鬱に落とし込むテンションの低さ。「ぱそみちゃんとしたいな」の一言が読者の気分を滅入らせる。もう今月から載らないものだとばかり思っていたのでうれしい掲載であるが、こう来るとは…。存分に休んでほしいもの。
久遠    
音羽 おろ?また休載なのか?ダイジョブなのかな〜?
おさんぽ大王

須藤真澄
吉本 ネズミーランド、ですか。特定の場所を挙げないようにしながら、強烈にその場所をアピールする姿勢が面白い。あとは編集ふたりの態度の豹変!
久遠    
音羽 バレバレじゃないか〜。確かに、あそこはいろいろとうるさいからなぁ。
真・女神転生カーン

柳澤一明
吉本 ページ数が短いのが残念なところか。
久遠    
音羽 なんか・・・短いんだけど・・・
ミズトカゲのいる沼

安井誠太郎
吉本 意外や意外の連続掲載。やはり先月以来の苦悩が見て取れる。今度はコマ割りも単調にし、新たな表現を目指しているようだ。この場所での掲載といい、皆注目しているのは間違いない。頑張って来月も掲載だ!
久遠    
音羽 なんなんだか・・・
敷居の住人

志村貴子
吉本 ゆかさんを足蹴にするちあき…というイヤーな展開なれど、今回はそれほど振り回されず、ちあきが存分にリフレッシュしているのが面白い。たまには息抜きがないと。そしてこうしたヌルい展開であればあるほど、後の揺り戻しが強くなるというもの。楽しみ楽しみ。
久遠    
音羽 時には気分転換が必要だよな〜。人生、悪いことばかりじゃぁやってらんないよね。
100万円!ベガスくん

肉柱ミゲル
吉本 この位置といい内容といい結構いい感じ。「とにかく100万円」という世界設定の面白さが成功の秘訣か。
久遠    
音羽 つまらん。
LAZREZ

TKD/竹谷
吉本 確かに、世にあふれまくる情報や、日々作り出される芸術は、様々なジャンルをなし、奔流のようにわれわれに襲いかかる。それは一面で虚無を生むのだが、それに抗おうとする人もいる。漫画として面白い展開になるよう努めている一方、毎回毎回きちんと「批評」を行っているのが興味深い。歌詞の引用は知らない人にとってはちょっとつらいのであるが、基本線は良し。
久遠    
音羽 またまたイカレた野郎が出てきたね〜。いいね〜。それぞれ個性的で、日々、生活の為ってのじゃなくて、自分の人生の為に生きてる感じがするな。
非国民

ハーツ&マインズ
吉本 やられました。プロットの巧みさ!それを淡々と描き出し、可笑しくしているいましろの筆もまたよし。
久遠    
音羽 ハイテクって・・・少し考えればそんな馬鹿なって思わないのかねぇ。
てきぱきワーキン▽ラブ

竹本泉
吉本 そうそう、これですよ。「何の説明もなしに異世界」ってのがいいじゃないですか。それは読者を「置いていき」、放置プレイにも似た快感をもたらす。しかもエダルトだし!久しぶりの大ヒット。
久遠    
音羽 いつの時代が良いのかってのは難しいい問題だよな。でも、今の日本なんかは比較的平和で戦争も無いし過去の歴史の中でもマシな方なのかなぁ。
サルぽんち

鈴木マサカズ
吉本 ギャグの衣をまとったビルドゥングス・ロマンなのは相変わらず。とうとう「影」(「ゲド戦記」参照)まで登場ですか。非常に深い領域に足を踏み込んでいる。このままギャグの衣をまといながらやってほしいところ。応援してますぜ。
久遠    
音羽 ひっそりとささやくのは心の中の孤独な影?悪い心に囁かれるよりはましだよな。
砂ぼうず

うすね正俊
吉本 ちょっとデウス・エクス・マキナ的に終わってしまったのは残念だが、巨大なオアシス国家権力の登場といい、痛くなりそうな今後の展開といい、楽しみな感じ。ちゃんと伏線を生かしつつやってほしいところ。
久遠    
音羽 おお?なにやら意味ありげだな。どんな話の伏線になってるのかな。期待大だな。
オールナイトライブ

鈴木みそ
吉本 水中出産のレポートですか。カラーでやるのが毒々しくていい感じ。たまにこうしたリアルなオハナシをやると随分締まって見えるもの。表紙はちょっときついかな、とも思うが、漫画は面白かったので良し。
久遠    
音羽 グロいからカラーで写真はやめれ〜。
橋無醫院

林光默
吉本 …なんて美しい漫画なのであろうか。アクションに入るとその美しさはさらに強化される。無骨なオハナシも良し。
久遠    
音羽 派手なアクションはいいが、イマイチ状況がわからないな。もう少し解りやすく描いて欲しいものだな。
東京カイシャイン

タイム涼介
吉本 最近この作品の重要な働きに気づく。徹底的なナンセンスの魅力。やっぱり私には合わないのだけれど、雑誌の中では不可欠な存在。
久遠    
音羽 見合い・・・縁無いなぁ・・・
恋の門

羽生生純
吉本 やっぱり門が社会との接点を持たないのが切ない。そして一気に四畳半フォーク的世界(現代風にアレンジされた)に突入デスカ?
久遠    
音羽 追い詰められてるね〜。追い詰められて何がどう変わっていくのかが楽しみだな。
弥次喜多 in DEEP

しりあがり寿
吉本 いのちのケイオティックな暴走と、死の誘惑。バランスを崩した生と死というモチーフは、すでに何度も描かれたことであるが、今回は弥次さん喜多さんがその主体となっているのが切ない。
久遠    
音羽 虚無か・・・何もないってのはいやだねぇ。
夜は千の眼を持つ

上野顕太郎
吉本 ちょっと今回は外した感が。いまどきさわやか君ですか〜? ミニマル漫画をお願いしたいところ。
久遠    
音羽 相変わらず、意味不明ですな。
秋桜

茶谷明茂
吉本 久々登場。トーンを使わずに、太い線で構成された独特な画面が心地よい。そしてオハナシは、諸星大二郎を思わせる「日常に潜むなにか」を描いたもの。少女はそれを見ることができるのだが、絵柄によってもきちんとそれが説明されているのが面白い。「いい目をもっている」のだから。シリーズ連載なのは非常に嬉しいところ。次回も期待。
久遠    
音羽 絵柄といい、話といい、面白そうだな。
テルオとマサル

市橋俊介
吉本 10 今まではキャラクタの造形のヤバさが主に光る印象だったが、今回はオハナシも随分とやばすぎ。問答無用の展開といい、ケミカル加工の紙を食らうところといい、「ならば殺す」ってのもいいし、ちんちんはみ出てるのも素晴らしい。この人の才能をちょっと見くびりすぎていたようです。
久遠    
音羽 まぁ、よく、ここまでくだらないことを思いつくものだな。
やさしい女は何処にいる

須田信太郎
吉本 十分に予想のできる展開だったとはいえ、やはりきつい展開となるとぐっと惹かれるものがある。それもこれも、簡単なやさしさを提示するのではなく、本当のどん底から紡ぎだされるやさしさに視線を注いでいるからであろう。
久遠    
音羽 哀愁漂うな〜。
マンドレイクの驚異の旅

摩訶国彦
吉本 線の古臭さは相変わらずながら、今回のネタはセンス・オブ・ワンダーのある古代の地理誌なので面白く読める。またエロネタを含みこんでいるのが微笑ましくてよい。ちょっとビームには合わないかな、とも思えるが、荒井の努力は評価したいところ。
久遠    
音羽 いいね〜。面白いじゃないか〜。解説もしっかり入ってるし。
釣れんボーイ

いましろたかし
吉本 菅野修と似た位置にありながらも、この作品はエンターテイメント性という点で大きく上回っている。菅野が自らのオヤジ性を「武器」にしようとしているのに対して、いましろはオヤジ性に対してきわめて淡白である。だから嫌味が出ずに、純粋に楽しめるのである。
久遠    
音羽 相変わらず冴えないね〜。
小粋なパリジェンヌ

カネヒ・ラ・モリヒト
吉本 現在の状況に対する批判だけでなく、フレドリック・ボワレに対する痛烈な批判になっているところにも注目。もっとやってくれ!
久遠    
音羽 なんだか・・・普通すぎるかもなぁ。

<総評>

吉本 桜玉吉に頼らない誌面づくり、というオプションもありかもしれない。玉吉休載がどう雑誌に影響するのか、楽しみなところ。
久遠  
音羽 夏の暑さに負けないぐらい熱い魂のこもった漫画がもっと欲しいな〜。なんだか、冷やし中華始めましたみたいな感じじゃなくてねぇ・・・

<ベスト>

吉本 「ならば殺す」ってのが素晴らしすぎる「テルオとマサル」。
久遠  
音羽 やっぱ「LAZREZ」でしょ。熱いぜ〜〜。

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Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:15:54 JST