キューティーコミック99年11月号

バッファロー5人娘

安野モヨコ
吉本 自由を求めて戦う女たち、という構図はかなり古典的なウーマンリブのものであるといえよう。だがモヨコはそんなに簡単にはオハナシを進めない。それは男女に関係なく訪れるこころの暗闇と、そして求め合うこころを描いているから。ひゃあ、すげえや。
久遠    
ひめきみ

いわみえいこ
吉本 独自の味はあるが、それだけ、ちゅう感じですか!?ギャグがいちいちありきたりなのが辛いですな。
久遠    
ラブリー!

桜沢エリカ
吉本 なるほど。入籍して幸せだから冒険しないわけだ。ヒリヒリするような「痛さ」は、満たされた精神状態では生まれない。仕方のないところ。逆に「誠実な恋愛」ものとしてみると微笑ましくて面白いかもしれない。
久遠    
daydream believer

小野塚カホリ
吉本 てゆうか「そどむ」はほぼ落ち。昔の原稿の再録なのだが、アドゥレセンスを通過して行く少年少女たちの「さま」が描かれていてちょっとグッと来る。やや終わり方が甘いのが残念だが…。
久遠    
夢の温度

南Q太
吉本 うーん!線が荒れまくっている。どうしちゃったのだ?オハナシそのものは進んでいるが、不安を感じてしまう画面。何か別の要因がありそうで切ない。
久遠    
さみしい熱帯魚

かわかみじゅんこ
吉本 かわかみは危険な作家である。視線の描き方、だ。先生のことを好きになってしまう14歳の少女、という、オハナシの危うさもあるのだが、ともかくもそこで描かれる少女の視線が、きわめて悩ましいのだ。視線は常に宙を泳ぎ、「焦点」を作らない。その視線に誘導され、分散して行く読者の視線が、オハナシの切なさとリンクして行く。かわかみの恐ろしいところはそういう高度なテクニックを体得しているところだ。やばすぎ。
久遠    
愛ラブSHOCK!!

オーツカヒロキ
吉本 ピロンタン先生、今回もパワフルに攻めてます。元気があるのが良いじゃないですか。願わくばこのペースを維持されんことを。
久遠    
地獄のサラミちゃん

朝倉世界一
吉本 そうすか。
久遠    
トゥルーラブ

朔田浩美
吉本 読者投稿をもとにした初体験告白もの。何だか漫画的に出来上がりきっていて、「ホントに投稿?」などと勘ぐってしまいたくなる。ま、それだけオハナシ的にも完成されているということだが。絵は普通。もうチョイ個性が欲しいようにも思う。
久遠    
日曜日にカゼをひく

魚喃キリコ
吉本 キリコ先生はやっぱし女に惹かれてしまうようで。その原理的/社会的に「どうにもならない」閉塞的な感じがキリコの良いところなのだが。「南瓜とマヨネーズ」単行本化は嬉しい。
久遠    
高校生なあたし

橋本ライカ
吉本 うむ。やっぱしライカは伸びてきた。オハナシそのものはたいしたことはないのだが、絵柄と演出に「スジ」が通っていて、漫画全体が生きてきているのだ。毒気のない絵柄を生かすことができるようになってきているのは心強い。そしてその絵柄を切ないオハナシに継ぎ合わせることができるようにもなっているのだから。次の作品が楽しみ。
久遠    
ホモとサピエンス。

室田朋美
吉本 絵柄のせいか、どうもオハナシが薄っぺらく見えて仕方がない。ギャグならギャグで攻めるべきだと思うんだがねぇ。
久遠    

<総評>

吉本 メイン連載陣がやや不調な一方、脇を固めていた作家の伸びが今回は目立つ。この雑誌の良いところは、今は「二線級」だが今後伸びそうな作家を多く抱えているところだ。…雑誌間の使いまわしもまた、多いのが難ではあるが。
久遠  

<ベスト>

吉本 伸びてきたライカも捨て難いが、やっぱりかわかみしかないでしょう。最後まで通わない視線がタマラヌじゃないですか。
久遠  

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