コミックフラッパー 6月号

レヴュ担当 吉本松明
WestRiver

韃靼タイフーン

安彦良和
吉本 いやあ、安彦先生エロさ爆発ですなあ。突如スーパーマン化した卓馬という表現はちょっとご都合のような気がするが。全体的に謎を示しつつ進んでいるので期待できそうな感じ。「トロツキー」みたいにならないように慎重にやって欲しいもの。
W.R. 話の展開が唐突すぎると思うのは、私だけなんでしょうか・・・? ただ、ここまでくれば、あとは設定終了で、面白くなる可能性もありますが・・・。けど「今」で見たらちょっと辛いです。 
超少女明日香

和田慎二
吉本 はあ…。
W.R. 物語の筋書きが、だんだんと分かってきた感じでしょうか。マイペース状態ですが、まあ特別なにかしなきゃいけない、というわけでもないので、このままマイペースで突き進んで欲しいですね。
串やきP

SABE
吉本 ちゃんと格闘シーンが合理的に描かれているのがよろしい。妙に力が入っているのが興味深い。リハビリ完了で本格的に非・エロに打って出ているSABE先生、今後も期待。
W.R. 迫力の展開の連続と、謎の展開。さて、この少女の考えてることは何でしょうね? なんか見事に作者に填められてる気が・・・。
刀神妖緋伝

新谷かおる
吉本 構造的に「ヒカルの碁」と同じなのがやや気になるが、内容的には大古のものなので安心(?)。番長ですか!アイパッチの女子高生ですか!和田と違い、「わかってて」やっているところが好ましい。
W.R. ちょっと展開早めですが・・・。というか急ぎすぎでは? これでいいのかな? 妙に端折ってるように見えて仕舞うんですが・・・。大事なところを。
フィギュアモリス

守安啓之
吉本 勢いがいいのが好ましい。メダロット的な描き方はまさしく現代的雰囲気の現れ。もうちょい一般性のあるネタがほしいような気もするが、連続して描けばよくなるのではないか。
W.R. コミティアにも出ていましたね。ノリはいいんですけど、プロット自体が、なんか児童向け漫画のノリになっています・・・。正直、他の作品読んでみないと、これだけでは判断保留というか・・・。勢いだけは認められるので、他にどんな作品描くかによるでしょうね。
そして船は行く

雑君保プ
吉本 随分引っ張ったあげく、オハナシの本筋に突入ですか。今回は「抜き」のバランスが良かったので楽しめたと思う。
W.R. 前置きが長かったということですか・・・。今回の分で、やっとこ物語の筋書きが分かりました。前置きが長かった分は、あまりいいとは思えないですけど、結構今回は気合い入れて描いている、というのが伝わってくるので、そこを評価して今までの最高点。
パラノイアストリート

駕籠真太郎
吉本 黒田の昔の恋人、小夜ちゃん登場により一気にオハナシはへんな方向に。だがそのへんな方向も意図されたもの。「世界」の構築を徹底的に行っているのが面白い。
W.R. 10 時間の流れが違うというのか、また面白いネタを・・・。死体まで踊り出す暴走ぶりは大喝采。
かみちゃまの電堂

たけだみりこ
吉本 この人は確かパソコン歴が長かったはず…
W.R. 神さまをウィルスかバグか、そのあたりに置き換えてますが、ここまでいくとせこいというか・・・。本としてまとまったら、そこそこ楽しめるかもしれませんけど、パソコンをある程度知っている人には、これは”かなり”面白くないと思う・・・んだけど、どうでしょう?
注目の人

ふじのはるか
吉本 たけだみりこと同様、独特の時間が流れ、独特の雰囲気に包まれている作品。それに適した「読み方」をすれば面白いのだろうが、ちょっと私には合わないような。
W.R. ちょっと面白くなかったです(感想がそれだけですいません)。
トランジスタにヴィーナス

竹本泉
吉本 異種族なので違いがわかりにくい、というネタは「モジャ公」でもありましたなあ。で、それをホントーにやるんですか!「〜パラダイス」のごとき凄まじさがここにも現れてきていてタマラヌ、という感じ。
W.R. スパイアクションしている・・・。ほのぼのと(そこかミソ)。ある意味新境地なのかもしれませんね。この人の過去の作品を改めて読み返してますが(汗)。
スカルマン

島本和彦
吉本 ピンチに陥る竜生。そのピンチの描き方も非常に達者なもの。派手なアクションこそないので盛り上がりはそれほどでもないのだが、次のオハナシが待ち遠しい展開。
W.R. 石ノ森氏の原作あっての作品とはいえ、ここまでしっかり描画出来るというのは、やはり力の入れ方が違うんでしょうね。充分、仕事を全うしてます。
サウンド

波多野秀行
吉本 非常にちいさな音でも聞くことができる、という繊細な設定({Marieの奏でる音楽」参照)は非常に好ましい感じ。オハナシのまとめ方もいい。だがちょっと絵柄とオハナシが適合していないように思う。繊細なオハナシには繊細な描線が似合う。
W.R. お話はいい感じなんです。とても私の好みです。しかし、この少年系の絵柄は、こういうファンタジーな作品に合っているかといえば、非常に微妙な気がします・・・(背景の描き込みが、案外少なくて、キャラが線が太く、前面に出すぎている気がするんですよね・・・)。もう少しコマ割りも練った方がいいような気がしますが(って、描きもしない私が言うのも何ですが・・・)。音=サウンドが主人公であれば、もう少し画面内の空間の扱いに、気を使った方がいいというか、ちょっと手直しすると、この作品もっと良くなるような気がするんですが・・・。時間がなかったのかな?
ひっち&GO

永野のりこ
吉本 ひきこもり…ですか!
W.R. 舞台が整ったら、何かキャラの個性とかで結構うまいこと回転しますね。これはこれで、暴走する様子を眺めていても、結構楽しいかも。
アタゴオルは猫の森

ますむらひろし
吉本 完成された線と世界に酔うところ。
W.R. なんか狸の子どもが健気でいい。相変わらずの不思議な物語ですな。
にこぽこ2

和六里ハル
吉本 いかに「るるる的世界」に対する需要があるか、ということであろうか。るるる先生と違って、積極的にエロ要素を取り入れているのが好ましい。
W.R. 楽しいですね〜。アクションの迫力もしっかりあるし。次号から新連載とのことで、御祝儀に。
砂月ちゃんの秘密のバイト

いちこ
吉本 ちゃんと読者層を考えてか、女子高生がバイトで死神をやるというキャッチーなネタと、しっかりとエロネタを入れているのが好ましいところ。やや絵柄が固いように思うので、そこを解決すれば、新・少年誌系で活躍できるのではなかろうか。
W.R. 新人さんと思いますが、荒い絵柄とネームの割には、結構読ませるだけの勢いが、キャラクターにありますね。もうちょっと主人公のキャラが立ってれば、文句ないと思いますが、このレベルでも結構充分かと。
Lekio's Radio

田中伸介
吉本 たむらしげる的ファンタジイがあるのはいいのだが、ちょっと泥臭すぎるところが気になる。
W.R. 前にも書いたんですが、唯一私の感性に合わない作品・・・。まあ、どうしても苦手な食べ物ってあるでしょ? 個人の嗜好ですから・・・。
ファンタスマゴリア デイズ

たむらしげる
吉本 総集編もこういう形なら。
W.R. この世界の世界観をしっかり「エンサイクロペディア(=百科事典)」というネタで語ってしまうとは・・・。ビックリですね。このページ飛ばして読んでる人もいるかもしれませんが、私には清涼剤のような、安らぎを与えてくれます・・・。

<総評>

吉本 新人の読み切りを多く載せるのは非常に良いと思う。いままで「フラッパー」の弱点は何処にあったかというと、漫画家の層が薄そうに見えたところ。ページ数に対して「使える」作家が少ないように見えたのだ。また創刊したばかりなので仕方ないところなのだが、生え抜きの作家がいなかったところもやや辛かったように思う。だがこの調子ならその弱点もカバーできると思う。どんどんやって欲しいもの。
W.R. 新人をどんどん発掘する姿勢は、かなり前向きに評価できます。正直、荒削りなまま載せるのはどうかと思いますが(汗)。このあたりは、編集者の腕の見せ所という気もします(単に面白い人を連れてくる、といだけが編集の仕事ではないでしょう)。そういう部分が、その雑誌の編集部に、どれだけ人材がいるのかのバロメーターにもなります。「見るに耐える最低限のレベルの確保」を勉強して下さい。
上の意味は、どんなに良い企画でも、プレゼンで失敗したら、クライアントは見向きもしない、ということ。プレゼンだけで強引に良く見せちゃうのも問題ですけど(たまにメディアミックスとかでありますけど(汗))、やはり最低限のレベルはクリアしましょうということで。 

<ベスト>

吉本 駕籠特有の「世界に対する諧謔精神」がたっぷりと堪能できる「パラノイアストリート」にしよう。駕籠は「永世ベスト」にしてもいいかも。
W.R. やっぱ、アイデアで勝負な「パラノイアストリート」になってしまう・・・。次点は「トランジスタにビーナス」ということで。 

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Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:16:05 JST