快楽天　98年9月号

＜総評＞

●吉本 今回は板場広しなど、普通っぽいエロ漫画が載っているため、普通のエロ漫画とそう変わらなく見える。ただそれは快楽天の持っているオルタナテビテが弱くなっていることを意味する。「エロくないエロ雑誌」に親しんでいただけにやや違和感を感じることしきり。
●久遠 今月はいまいち。みんなコミケで忙しいのかなあ。

　

　 吉本松明 久遠永遠
Shi・Ta・Ta・Ka

陽気婢

 4 うむ。駄作があるから名作が生まれる。 5 この子供らは小学生？それとも中学生？うーんわからん。ただひとつわかるのは、こういう女嫌いだっちゅうことかな。
虚空の果て

華沢れな

 6 うむ。ちと突っ込みが浅いが、こころの暗黒面を追及する方向性やよし。人はかくも我が儘で、業が深い。 5 Ｍ１号っ。電脳タヌキっ。
ゆらさん日記

さべちん

 4 うむ。かわゆいのう。ゆらさんは。 4 親バカってのは、見ていて恥ずかしいね。
透明なエのぐ

OKAMA

 7 うむ。オハナシはよいのだが、最早エロである必要を失いつつあるように思う。この方向でも悪くはないのだが、できることならエロと人間存在への志向を上手いこと共存させていって欲しい。 8 絵が元に戻った。それにしても、救いのある話って良いね。
視線を感じて

板場広し

 6 うむ。アニメ・オリエンティッドな絵柄ながらも、よいすけべえ感を出している。エロとしてはよし。が、快楽天ではすでにこの手の汁気系の作品は似合わなくなっているように思う。 6 痴漢じゃなくて、痴女でしょ。
天界公路

琴吹かづき

 5 うむ。オハナシが見えないのは仕方ないものとして、やはり少々雑誌全体の雰囲気から浮いているように思える。エロの濃度が高い分なおのこと。 5 異色だ。これって、巻末マンガじゃなかったのか。
プログラム　イド

イサカミナミ

 8 うむむむ。「じぶん」の姿すらあいまいななかで、そうだからこそ他人を求めてゆく。だがそれはなかなか難しいこと。そこに現代の悲劇が隠されている。この作品は図らずも現代の悲劇の一番深いところを突いているのかも知れない。カフカ的舞台設定がそれを強化している。エロ的にもパジャマ姿の女の子がよい。 5 あれーなんだっけなあー、こんなはなしどっかでよんだぞー？
ウェルカムメルヘンワールド

大塚ぽてと

 10 うむ…うむむぅ。くはあ。ふう。ここまでくると最早ヤバい領域にまで達している。冷静にオハナシのみを見た状態でもかなり怖いのだが、恐ろしいのはぽてと先生が「正気で」この作品を描いていること。自分自身を完全に相対化しているようにも見えないし、かといってぽてと先生が完全に「かわいいもの」にはまっているようにも見えない。一体何がぽてと先生をしてこのようなトンでもない作品を描かせるのか。背筋が寒くなる大名作。 6 だって、だって、くまちゃんが俺様ちゃんに電波で「買って」てめいれいするんだもの。
PIANO

さつきのそのいち

 6 む。実に快楽天らしい作品。既存のエロ漫画のカテゴリを楽々突破しているところ、好もしい。残念なのは思い込みが激しすぎるところか。 5 あれー？これもどっかでよんだことあるぞー？
妹よ

うらまっく

 7 うむ。一見シリアス仕立てに見せかけておいて、実は大馬鹿なオハナシ。シチュエーションの順列組み合わせの結果は時として素晴らしい妙味（変な味）を生み出す。うらまっくの場合はある程度それをコントロールできるところが侮れぬ。 6 あれー？これもだー。妹は花屋で働いてたりするんじゃないのかー？
青春のバカヤロウ

秋葉凪樹

 2 うむ。才能はあるのに、惜しいことだ。あるいは安請け合いし過ぎるのかもしれない。本当に自分が描きたい作品だけに絞るべきなのだろう。あるいは同人とか。この調子を続けていたら間違いなくそっぽを向かれるだろう。 5 ダーメダーメダメダメダメ人間にんげーんにんげーん。

＜ベスト＞

●吉本 私も漫画を読んで長くなるが、こんなに凄い漫画にはなかなかお目にかかったことはない。衝撃度でいえば根本敬の「21世紀の精子ん異常者」に匹敵する。そう、その作品の名は「ウェルカムメルヘンワールド」。「ときめきの引力」あたりからかなり「怪しい」と思っていたが、ぽてと先生はやはり「ホンモノ」であった。ベストとまではいかないが、加えてイサカミナミも高く評価しておこう。
●久遠 こんげつは、ＯＫＡＭＡ以外に考えられないでしょう。

Back