モーニングマグナム増刊7号(2月発売)

ネオデビルマン

三山のぼる

吉本 7 節度ある線が、派手ではないにせよ読み手に訴えかける。緊張しているのがありありと分かるところが微笑ましいが、よくできた短編となっている。
久遠 5 こんなことで悪魔になれるのなら、フラミンゴの漫画は悪魔で一杯ですね。
ゴン

田中政志

吉本 4 そりゃあ線はきれい。ただヒネクレ者の私はこうした意思表示に皮肉のひとつも言いたくなる、ってものだ。ゴンが「強者」として描かれているからねぇ。
久遠 5 どうせなら背景ナシ、とかにすれば良かったのに。
バカとゴッホ

加藤伸吉

吉本 8 きわめてよくできたビルドゥングス・ロマン。現代において「成長」とは、健全なところからは決して生まれてはこない。バカをやるのだ!
久遠 9 自分の目指す先が見えるというのは素晴らしいことです。うらやましいなあ、ゴッホ。
雨太

正木秀尚

吉本 6 高橋ツトムの影響が感じられる線と構図。全体的に悪くはないがいただくときは分からないようにやるべきだろう。
久遠 5 絵は綺麗では、ある。ただそれだけ。
家族と私のための

佐藤典明

吉本 7 確かに素晴らしい作品ではある。グッと来るものを持っている。しかし、しかしだ。あまりにも展開なり描写なりが写実的に過ぎるように思える。漫画には漫画ならではの「異化」のための文法があるはずだ。後述する「キッチン」と比べてしまうと尚のこと描写の弱さが目立ってしまう。惜しい。もう一工夫。
久遠 9 淡々と日常が描写され、何事もないように話が進んでゆく。何故か俺様ちゃんは宮沢賢治を思い出しました。
Forget-me-not

鶴田謙二

吉本 5 大変なのは分かるが8ページじゃあねえ。もうちょい頑張って欲しいものだ。
久遠 6 チクショウ、小金がたまりやがったな。
笑ですか?

中吉繁幸

吉本 4 伸びる可能性はあるだろう。どことなく人を喰った表現などに独自のものを感じるからだ。ただ上手くやらないと…
久遠 2 箸休め、箸休め。
文車館来訪記

冬目景

吉本 9 流石、である。ちょっとした掌編なのに、キャラクタの魅力を詰め込むことに成功している。カラーの美しさも言うことなし。ほれぼれするような作品。
久遠 10 ああ、浅草に行かねば、傘を買わねば、肉球をさわらねばー。
デビルマンゴースト

永井豪

吉本 5 この雑誌では本家のほうが「息抜き」になっているのが面白い。明らかに噛ませ犬、である。ただ「デビルマンレディー」がそこそこ盛り上がっているのにリンクして、以外と読めてしまったりする。難しいところ。
久遠 4 すごいね、ストーリーものの中で一番これがへっぽこってのも。でも、永井豪とダイナミックプロじゃなくって、ダイナミックプロと永井豪だろ。
Paint it Blue

松田洋子

吉本 9 …読み終わった後イヤーな気分になることが請け合いの素晴らしい作品。まずはのたくるような描線にグッとくる。そして描かれるオハナシの絶望的なこと!こうしたアプローチは山野一によってすでに行われていたが、徹底的にアッパー系の視点になっているところが異なっている。清田同様特殊漫画の新たな姿が感じられる。とてもよい。
久遠 9 ノーフューチャー!すべては悪い方向にしかめぐらないんだよ。
キッチン

小田扉

吉本 10 「ティアズマガジン」を読んでいて、「しまった!買っておけばよかった!」と思っていた作品にこんなところで出会えるとは。決してストレートに思いなり感情なりを表さない兄弟三人であるが、そういう描写であるからこそ、また淡々とした描写であるからこそ、家族の間の「絆」が見えてくる。「家族と私のための」も似たようなテーマであるが、訴えかける力はこの作品の方がはるかに強い。それはおそらく時代性と関係があるだろう。現代とは「素直さ」を素直にあらわすことが一種許されない時代なのだ。素直さは胡散臭い。ヒネた描写のなかにちらりと現れるものにこそホンモノがある。
久遠 9 そこはかとないへっぽこ感が漂うなかに内包された寂しさ、悲しさ、そして、あふれんばかりのいとおしさ。たまりませんね。ところでレア・テレホンカードって、鶴謙の例のブツに入っていたのと、どうちがうんですか?
たごにご

ながいさわこ

吉本 4 かわいいキャラクタで売る、という意図は分かるが、いまいち滑っているように思う。
久遠 4 たこ焼き喰いたい。
ミキ命!

清田聡

吉本 8 …おっと。主人公とミキのどろどろの闘争になるかと思っていたら、完全な奴隷になってしまっているとは。どちらにしてもその描写はきわめてどろどろで、ほんとにぺしゃんこ。素晴らしいことこの上なし。
久遠 8 めくるめくカンノーの世界。フラミンゴ以上だっ。
そのワケは。

サラ・イイネス

吉本 4 ちょっとイイ話。まあ長さからいってもそれ以上は語りにくい。
久遠 4 買い物か・・・,GB版WIZ復刻版を買わねばならぬか。
象夏

黒田硫黄

吉本 10 ものすごい問題作。彼氏に逃げられたちょっと頭が春の女の子と、6畳間に押し込められた象の交歓が描かれているわけだが、その背後にある「もの」に強くこころ動かされる。純粋に描かれたもの以上に、ここには様々な要素が描きこまれている。物理的に不可能な状況に置かれた象が喚起する、きわめて多様なイメージ。ボトルシップとしての象。しりあがり寿の「ドウブツマンガ」にも描かれていたような絶対的な他者性。それが引き起こす日常と乖離した空間。だがそれは単なる祝祭空間とは、一部で重なりながらも、一部ですこし異なっている。この多層性を解明するにはもう少し時間が必要だ。少なくとも、その描写の力と漫画的美しさはため息がでるばかりである。また主人公の女の子=幸南と、「大日本天狗党絵詞」の幸南との関係は?などの、謎ときの楽しみがあるところだけでも強く評価できる。凄い作品だ。
久遠 9 俺様ちゃんをヒモにしてくれて、なおかつ絶対に捨てない美人でお金持ちの女性を募集しています。連絡はテレパシーで。
カザフスタン旅行団

駒井悠

吉本 3 例のアレとどこがどう違うのですか?
久遠 4 魚川って難読なのかなあ。漢字変換一発ででるし・・・。
代謝都市

木内亨

吉本 8 神経症の頂点のような描写には戦慄する。谷口ジローに通じる静謐さがここにある。そして描かれるオハナシも、ジャン・ジローのごとく、現実に巧みにリンクしながら想像世界へと羽ばたいてゆく。SF漫画はこういう形で生き残ってゆくのか、と感じさせる。なあ?きお?山下?加藤(唯)?あさり?
久遠 5 なんかアップが多くないですか?まあ、いいけど。まあ、この話はマグナム増刊の中では俺様ちゃん的にはおまけに属しているから。
ねこロジカル

高田三加

吉本 4 微笑ましくはある。
久遠 2 そうですか。

<総評>

吉本 一見「ネオデビルマン」および「デビルマン」を軸に据えているようだが、それに限らない広いエリアで、心に残るような良い作品を載せているところが実に頼もしい雑誌。或は「アフタヌーン」で拾いきれなくなった作品を積極的にフォローする、という役割もあるのかもしれない。全体的に良い作品が多く非常にテンションが高い。
久遠 スゲエ!そごすぎる!テンションたけえ!鼻血でるぜ!

<ベスト>

吉本 ここはちょっと反則ではあるが、黒田硫黄の「象夏」と小田扉の「キッチン」を両方ベストに推そう。黒田硫黄は本当に彼しか描けないであろうファンタジイをやっているし、その含蓄は非常に深い。小田扉はその現代性において目を見張るものがある。どちらかを落とすことは私にはできない。
久遠 みんな凄いなあ。でもここはあえて、家族と私のために、にしましょう。ところで、とあるカラーページが欠損してしまったので、もう一冊買ってきまーす。

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