カラフル萬福星6号(99年6月末発売)

Lord of Trash

A-10

吉本 CGとしての質感が良く出ていて魅力ある画面内容になっている。オハナシがとってつけたようなものなのはやや残念ではあるが、「暗さ」を描くことができる能力を持っているのは好ましい。
久遠    
P-メイト

Maruto!

吉本 まあ、ありがちなメイドロボもの。てゆうかオハナシそのものは完全にマルチ。絵自体は洗練されているのだが、もう少し「くふう」が必要なところ。
久遠    
星に願いを…

月野定規

吉本 うむ。光るものを持っているとは思っていたが、本格的に光り始めてきたようだ。精神的な感応という不自然なものを題材にしているが、それでオハナシ作りを放棄するのではなく、「痛みを共有する」という方向に持ってくるとは。優れて現代的なテーマを取り上げるところ、実力を感じる。柔らかい線も魅力的だ。今後大化けが期待できる。
久遠    
家政画報

呼我たかひろ

吉本 微笑ましい4コマでけっこう面白い。もっと家政学部独特のジャーゴニック(?)なネタを読ませて欲しい。
久遠    
バハムートの眠り

前嶋重機

吉本 オハナシはワケ分からないが、イラストとして見るとレベルが高い。
久遠    
アライブ

NAKADO+橘セブン

吉本 オハナシの都合上ここまでしかストーリーを進めることができないのは分かるが、それにしてはページ数が多すぎる。もっとコンパクトにしても良かったのでは。
久遠    
タワーゆみこちゃん▽

町野変丸

吉本 コンピュータネタ、という新境地を得て変丸はきわめて生き生きしている。コンピュータに対するリテラシが高ければ高いほど笑える特殊な作品。いいわ、これ。
久遠    
She's

芹沢克己

吉本 ちょっと懐かしいタイプのエロ漫画ですネ。あ、きみおたまこなんかはこの画風でまだ大ウケしているか。
久遠    
DIVE INTO...

ひよひよ

吉本 ワイヤードにダイブしてゆく少女の物語。「いかにもCG」って画面なれど、こういう画面の作り方こそ今後の漫画の可能性を広げてゆくのだと思う。4ページは短すぎるが。
久遠    
ハラペコキング

原田雄一

吉本 これも4ページ。スラップスティックギャグとしても、CGとしても良くできているので、もうちょっと先が読みたいところ。
久遠    
Book Diver

羽衣翔

吉本 うむ。良い塩梅で「閉じて」いる。ネタはまったく他の要素との連関を持っていないし、オハナシも何のことやらまったく分からない。一応魔力を持った本の中に入り込むという筋はあるようだが。悪しきオタクの自家中毒状況にまんまとはまっている上に、自分でそれを認識していない。CGもやや稚拙。だからこそ見いだされなくてはならない。注目せよ。
久遠    
愛は萌えているか!!

西木史郎

吉本 そうですか、マルチですか。あまりにもネタは引用にすぎる。でもこの人が持っている独特のドライブ感は悪くないと思う。
久遠    
ぼくの伯父さん

あるまじろう

吉本 CGだからこそ可能になった鉛筆風の柔らかい主線。2ビット的なベタ/白の構図から抜け出した薄墨的表現。そしてその表現手段を引き出すメロウなオハナシ。良いではないですか。てゆうか注目すべき作家。
久遠    
迷えるココロ

藤岡タマエ

吉本 寸足らずのキャラクタは微笑ましいが、エロとの親和性が低いように思える。セックス占い師というネタはいくらでもエロくできるはずだが、オハナシはまさに「何じゃそりゃ」の世界。トホホ。
久遠    
弔う鐘の音は森を抜けた丘の上に。

いるまかみり

吉本 やはり連続で来たか、というのが第一印象。空間の大胆な使用はオハナシを引き立たせ、印象深いものにしている。そしてオハナシ自体もダークで読ませる。センスの良さはいうまでもないし、批判するところの見当たらない作品である。しかし、私にはどうしてもひっかかってならない。なぜならこうした表現様式もなんらかのスタンダードに依拠しているか、あるいはスタンダードを構成する可能性があるから。注意深く見守る必要がある。
久遠    
隣星1.3パーセク

粟岳高弘

吉本 最後まで説明不足の展開。そして独特なセクシュアリティ。余人の追随を許さない特殊さがここにある。まとめて読むとおそらくかなり面白いであろう。単行本にはならぬものか。
久遠    
「P」

大藤玲一郎

吉本 オハナシは予定調和のものであるが、絵柄のオリジナリティと魅力は高い。オハナシをもう少し練り込むことができればよい作家となろう。
久遠    

<総評>

吉本 この雑誌の徳目は単に先進的なテクノロジーを導入しているということだけにとどまらない。オハナシの面でも優れたものが多いのだ。それはおそらくテクノロジーの進展と関係を持つのであろうが、それをまとめるのは単にテクノロジーの問題ではない。編集の眼力が優れているのだ、この雑誌は。結果としてかなり読みでのある作品が揃うことになる。侮れぬ。
久遠  

<ベスト>

吉本 普通に見るといるまかみりしかないのであるが、ここはあえて選択しないことにしよう。作為のにおいが強いので。それよりも荒削りながらも自然体で描いている月野定規を選びたい。
久遠  

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