ヤングキングアワーズ99年7月号

トライガン・マキシマム

内藤泰弘

吉本 7 無限の住人、という観念的な存在を持ってくることは、得てして非現実性を語るために行われがちであるが、内藤の場合はそんな簡単ではない。彼はより辛い「戦い」を描くために、主人公を非・現実的な存在にしているのだ。観念的ではあるが、戦いはよりいっそう辛くなる。
久遠 7 ベヘリットを持っていると、ナイブズの手の中にいけるんですか?
音羽 6 昔の写真が出てきたところで、ヴァッシュの過去の話にでも移行するのかな?
龍門亭的姑娘

宇河弘樹

吉本 7 軽妙なコメディとしてよくまとまっている。ウェイトレスの女の子を魅力的に描くことで、独自の作品世界を作り上げることに成功している。こういった短編やコメディで実力を発揮するタイプなのかも知れない。
久遠 6 何故中華料理屋のウエイトレスさんはカンフーの達人ですか?
音羽 3 なんだかよくわからないのだが・・・
ジオブリーダーズ

伊藤明弘

吉本 7 新キャラを登場させて状況の変化を図るといったところか。オハナシ自体が静かに盛り上がっているところに水を差さないとよいのだが。おそらくは「例の手法」で取り込んでゆくのであろうが、そればっかりではちょっと、という気もする。
久遠 7 今更キャラを増やしてどーすんですか?次号からオタク女との確執?
音羽 7 新キャラ登場か〜。なんか普通っぽい感じだが、意外な場面で活躍してくれるのかな?
少年頃(わずかなとしごろ)

森見明日

吉本 3 恋は遠い日の花火ではない。だがその恋があまりにも都合のよい状況で提示されるとなると、どうも胡散臭さを感じざるを得ない。漫画だからどのような展開にしたって良いわけだが、それもリアルさの裏付けがなければ単なる絵に描いた餅にすぎない。「ちょっとイイ話」を描こうとする意図は分かるが、頭でっかちになりすぎている。これじゃあ…
久遠 6 じゃあ次回はジターリングですか?
音羽 4 う〜む・・・なんか無理があるな〜。もう少しテーマを選ぶべきじゃないかな〜。
HELLSING

平野耕太

吉本 8 まったく編集部に信頼されてないのだなぁ。らしいと云えばらしい話であるが。せっかく上手い具合に展開しているのだから、編集部も作者もこのノリを維持すべく努力すべきだ。それにしても力を「抜いた」ところと「入れた」ところのメリハリは流石。
久遠 8 キャラはだいたいそろいましたが、二重人格のシスターとかは出ないんですか?
音羽 6 ようやく復活か。ポスター描いてる暇があったら、連載がとぎれないように頑張って欲しい物だ。
エクセル・サーガ

六道神士

吉本 7 いやあ面白い。いかにも六道らしいオチではあるのだがついつい笑ってしまう。「悪くなる可能性があるときは必ず悪い目が出る」って奴ですな。この5人目のメンバーがどう生きてくるのか期待される。ところで「ホーリーブラウニー」、あれ、何?噴飯もの!?
久遠 8 ホーリーブラウニー書いてるのに載りましたね。次回新たな5人目でダイデンジン結成ですか?
音羽 7 新キャラはアンドロイドか?それにしても、あの時限爆弾って何処に持っていく予定だったんだろ?
コミックマスターJ

余湖/田畑

吉本 8 最初から論理的にネタが読めてしまうのが残念。むさ苦しさの極みのような存在が少女趣味の極みに達するってのはわかりやすい構図。ただ「J」はそれだけでは終わらない。簡単に終わってしまいそうなネタをきわめて、きわめてアツく語る手法には頭が下がる。
久遠 8 あつい、あついぜっ。このところは安心ですね。ところで4巻はこの回までですか?
音羽 4 う〜む・・・イマイチだな〜。かなり中途半端な感じがするな〜。あれじゃ、男気があるんじゃなくて、タダのむさ苦しい野郎にしか見えないしな〜。
だいらんど

がぁさん

吉本 9 いよいよ盛り上がる物語。漫画に設定されがちな枠を完全に踏み越えて、魂の真実を求めようとしている。がぁさんは手塚や石ノ森、そしてしりあがりが達した境地に足を踏み入れつつある。いや、それはすでにこの作品が構想された時点からそうだったのであるが。結末をどうつけるのか。きわめて楽しみである。
久遠 恐いですねえ。単行本はいつ発売ですか?
音羽 5 夜の国は夢か〜・・・もう一ひねり欲しかったな〜。まぁ、これであっさりと終わりというわけでもないんだろうな。どうやってまとめるのか楽しみだな。
まつりの景色(前編)

やまむらはじめ

吉本 8 やまむらはわれわれに謎をかけている。一目見ただけでは単なる深刻そうな漫画であるが、丹念に読むとそこに潜んだ情報はきわめて多いことが分かる。「読解」が必要なのだ。主体的にこの漫画に関われば関わるほど、いろいろなことが見えてくる。後編への期待が高まる。
久遠 8 ああああああああああああああああああっ。1ページ目ですべてが語られていますね。単行本はまだですか?
音羽 4 よくわからんな〜。とりあえず、次回を待つしかないかな。
うさぎちゃんでキュッ!!

佐野タカシ

吉本 8 …いや、ホントに、ほとほと「ダメ」な漫画だことで。ちょっとシリアス寄りな展開であってもちゃーんとどうしようもないエロネタを持ってくる。そのあたりの「手堅さ」にはまっこと感心するほかない。どこから生まれてくるのであろう?このテンションは?
久遠 6 もうだめですね。佐野先生の脳味噌はどうなってるんですか?
音羽 6 な〜んか良い感じだね〜。でも、稲葉はキツめの方がいいな〜。
ブルヴァール

日生かおる

吉本 0 「頭文字D」が美しいのは、そこに登場する人々がみなストイックだからだ。「走る」ことにすべてを賭け、他の要素には目もくれない。そこで社会的背景を抜きにした勝負が可能になる。対してこの漫画では、本来あるべきであるそうしたストイックさが、おかしな(曲解された)「思いこみ」で歪曲されようとしている。真実はどこへ行った?それで何が見えるのか?永遠のぬるま湯の世界か?
久遠 3 もう終わらせて新しい人材に門戸を開きませんか?
音羽 2 今度は何?レースでもやるのか?もう少しテーマを絞って深く描いていった方がいいんじゃないのかな?
KAZAN

宮尾岳

吉本 7 舞台は回り、役者は揃う。謎は解かれ、次へのステップが明らかになる。心躍るではないか。少年はこうした次の一歩に弱い。
久遠 5 サイン会に行って妖子描いてくれっていうのは可ですか?
音羽 3 パーティーが集結してダンジョンに突入か〜。脇道にそれずにあっさりと展開して欲しいね〜。
夜の燈火と日向のにおい

鬼魔あづさ

吉本 5 いやあ、まったくよく分からない展開。論理性が一切欠如している。他の漫画だったらケナされるところのものなのだが、この漫画ではまったく腹も立たない。いつもこんなものだからねぇ。この「いつも」ってのには引っかかるところではあるが。
久遠 5 野望としてショタものを描くんじゃなかったんですか?
音羽 4 ほのぼのしてはいるが・・・なんなんだかね〜。
LOAN WOLF

山田秋太郎

吉本 6 可愛い男の子を描かせたら、やはりかれの右に出るものはいないだろう。そろそろ怖いお姉さまがたに騒がれていてもおかしくない頃であるが?
久遠 6 氷の世界はアンドレ版ですか?筋少版ですか?
音羽 7 相変わらず構成が上手いね〜。解りやすくて読みやすいね。それにしても、1億の借金が有る割には小さくまとまってるな〜。大博打でもやってくれないかな〜。

<総評>

吉本  誰もが言うことであろうが、やはり「HELLSING」を予告抜きで載せるのはどうかと思う。そこには作者と編集の重大な相互不信があるように見て取れる。平野は前例だらけだから下手に予告をうたない、ということは賢明な方策ではあるのだが、よくできた作品をつぶす可能性もそこには潜む。「HELLSING」が完全にブレイクするか否かはまさに今月、来月にかかっている。チャンスを逃さないで欲しいものだが、平野も編集も。
 他の漫画は相変わらずテンションが高い。そしてやまむら。いつになく見逃せない内容である。
久遠 安心して読めますね。読み切り陣が安定してるし。
音羽 連載はどれも良い感じなのだが、今月はどれももう一押し足りない感じかな。読み切りはなんだか元気が無かったな〜。読み切りなんだから、後先考えずに思い切った作品を描いて欲しいな〜。全体として、パワーダウンを感じてしまったかな。

<ベスト>

吉本 次回はやまむらで決まりだろうから、今回は「だいらんど」にしよう。がぁさんは呼びかけているのだ、静かに、静かに。誰に?
久遠 今月は、キテルゾ!!ってのがないな〜。再会祝いってことで、「HELLSING」にしておくかな。あくまで、ご祝儀ってことで・・・
音羽 どーすっかにゃー。こんかいはむずかしいにゃー。じゃあ、高校生のまつりに惚れたので、やまむら。

Back