ヤングキングアワーズ99年9月号

What a Shiny Day!

藤倉和音
吉本 既存の漫画の文脈を逸脱した作品であるが、コンピュータグラフィックを活用した作品がどうなるかという可能性を示している。既存の漫画が和声音楽的(中心になる絵←→背景というヒエラルキー構造)であるとすると、この作品は背景でもう一つの物語が進行している多声音楽的になっている。読みづらいといえば読みづらいのだが、脳には心地よい。
久遠 出席カードですか。そんな高等なモノはうちの大学ニャあ有ませんねえ。
音羽 なかなか面白い構成だね〜。バックが白いところの白字がほとんど見えないのが残念かな。 
ジオブリーダーズ

伊藤明弘
吉本 情報量が多いせいか展開が遅く感じられてしまう。もっとページ数が欲しいところ。神楽の連中の活躍に期待。
久遠 まやがかわいいっ。ところで俺様ちゃんのロリな友達は、社長とまやが同格なのだそうですが、それは違うんじゃあないかなあ。
音羽 主役がアクションに絡んでこないな〜。いったいどうなるのかな〜? 
ダラスの熱い日

伊藤伸平
吉本 …なるほど。こうして「キャプテン」は補完されてゆくわけだ。次は田丸ですな!伊藤伸平の腑抜けきった(無論誉め言葉である)長編も期待したいところ。
久遠 Kサントモダチ?
音羽 トトロのコスプレってのも凄いな〜。
トライガン・マキシマム

内藤泰弘
吉本 拝み屋ウルフウッドを描いた番外編。ウルフウッドが内面に抱えるやさしさが上手く描かれている。内面性の深みを感じる。
久遠 閑話休題ちゅうヤツですか?しかしこのオヤヂは「キムタク」にでてきそうだね。
音羽 いきなり何かとおもえば、ウルフウッドの外伝か〜。良いじゃないの〜。
A FAR STEP

大石まさる
吉本 都合の良すぎる展開なれど、絵のしなやかさにはやはりうならされる。そして人間に対する「都合の良い」そして無前提な信頼も、他意がないぶん嫌味がない。単行本発売決定は嬉しいところ。
久遠 ・・・まあ、「みずいろ」がいいから。ちゅうか、銃夢?
音羽 こういう設定って好きだな〜。ただ、ツメが甘いな。もう少し、話の展開を良く練ってまとめれば良いのにな。
エクセル・サーガ

六道神士
吉本 アニメ化とはねぇ。確かにアニメ化してもおかしくないネタだとは思っていたが。「おれの」エクセルがなくならないように期待したいものだ。展開はシリアス寄りになりつつあるが、おそらく盛り上げておいてへっぽこなオチをつけるというものなのだろう。どこまで「落として」くれるか。楽しみなところである。
久遠 やはりアニメになるか。深夜、だよねえ。
音羽 物語も徐々に核心へといったとこだろうか?どういう展開になるか気になるな〜。
KAZAN

宮尾岳
吉本 「ベルセルク」同様ニアミスを繰り返すカザンとファーナ。このじらし感覚!少年はこういう構造に弱い。カタルシスが強くなることを知っているから。
久遠 王道だねえ。って、こいつはヒロインじゃないよねえ。
音羽 あれ?結局ファーナとカザンは合流できないのか?
コミックマスターJ

田畑&余湖
吉本 今更ながらであるが、田畑&余湖の絵のうまさに脱帽させられる。今までこの作品が力を持っていたのは、そのオハナシにもよるが、絵の雄弁さも大きかったためであることがよく分かる。Jの微妙な表情と来たら!…ところで、今回はひょっとしてアフタヌーン「鉄道員」のパロディ?
久遠 キングか。だからパロディになるんですよね。って、かっこいいなあ、J。
音羽 作家陣を総動員しても、画風の差とかで上手くまとまらないような気もするが。
ほたるのかわ

森見明日
吉本 ふむう。今までのリアリティのないオハナシを脱出して、急に力強いオハナシ。面白いじゃないですか。勝因はひとえに「安易にエロに走らないこと」。男の子も女の子も欲情しているのに(ときめいているのに、という方が甘くて良いか?)、ふたりは接触することがない。それぞれの個人が張り巡らせているATフィールドがぶつかり合い、火花を散らすような緊張感が生じているのだ。それを乗り越え、ひとは大人になるのだ。
久遠 いいねえ、夕立に降られてスケスケってゆうのは基本だね。
音羽 うう・・・なんだかまどろっこしいぞ〜〜。まぁ、これはこれで良いものだが・・・
だいらんど

がぁさん
吉本 うーむ!最後で甘口のラストにしてしまったか!!もっとハードな展開を期待していたのでかなり残念。だががぁさんにハードなラストを期待する方も間違っている。作家にしたがって「読む」と、きちんとまとまっているといえよう。そしてラストがややあっけなくても、途中までの力強さがスポイルされる訳ではない。早期の単行本化を強く望む。
久遠 ハッピーエンドなのが気にくわねえ。男には、負けると分かっていても、闘わねばならないときがある、ってかんじだったら良かったのに。
音羽 堂々の最終回か〜。なかなか綺麗に終わってるね。ところで、だいらんどの時間の流れってどうなってるんだ?ひょっとして、未来から過去へと流れてるのかな?
まつりの景色

やまむらはじめ
吉本 やまむらの短編作品で顕著であった、カミソリのような視線の鋭さが影を潜めてしまっている。だがそれは過剰さを排した、逆説的な雄弁さを醸し出す。3回になって冗長になった分やや減点だが、感服しうる作品であることは間違いない。
久遠 所々ハッとする描写があるけど、こんなん2回でやれヨオ。
音羽 なんだか、期待させといて、見事にコケたな〜。中途半端にひねりすぎだな。
夜の燈火と日向のにおい

鬼魔あづさ
吉本 夏の風物詩ですな。
久遠 さあ、これで今月も終わりか。
音羽 扉絵が・・・やはり視線の先は小さな女の子がいるわけだな・・・
聖忍者伝

長谷川裕一
吉本 堂々と「まんが大明神」のオフダを振りかざす人は少なくなってしまいましたなぁ。その点でこの人は「保護」されねばならないのだが、いかんせんこの作品はエロ寄りにすぎてセンス・オブ・ワンダーに欠ける。「マガジンZ」の「クロノアイズ」がかなり良い分、評価が下がってしまう。
久遠 ぷ。
音羽 あら・・・また載ってら・・・ホントに好評だったのかな〜?
ブルヴァール

日生かおる
吉本 どこまで行っても都合がいいんですね。
久遠 ぷぷ。
音羽 凄くつまらない!!車という物を通しての人間模様が描きたいのかな?それにしても、車に関して描くための基本的な知識が無いんじゃないかと思ってしまうな〜。さっさと他のエピソードを考えるなり連載を終わらせるなりしたほうが良いのでは?
LOAN WOLF

山田秋太郎
吉本 うむ。この作品が最後にあると非常に落ち着く。最後をシメるのにこれほど適した作品も珍しい。今回はオハナシがあまり動かなかったのでちと残念だが、次回以降はかなり期待できる。
久遠 ああ、まだこれが残っていたか。けど、これはやっぱり巻末が似合ってるねえ。ってゆうか、巻末以外認めないよ。
音羽 なるほど。ヒトミとモリはドラマがあるのだね〜。だから面白いんだね。

<総評>

吉本 エクセルもアニメ化ねぇ。雑誌全体の勢いがある結果ともいえるのではないか。テナ訳で今月もテンションが高い。特に森見明日の大バケには吃驚。また藤倉和音の「フーガ漫画」(J.S.バッハを想起せよ)も実験精神にあふれていて好もしい。このテンションを維持してほしいものだ。
久遠 やっぱ、安定しているよねえ。さすがじゃ。読んでいて安心できるもの。でも何故に長谷川のこのへっぽこ漫画を載せるのかねえ。
音羽 だいらんどが終わってしまったが、だらだらと連載を続けずに、綺麗に終わらせたのは良いことである。つまらない漫画をだらだらと未練がましく連載している人は見習って欲しいものだな。引き際を見極めて後進へと道を開いて欲しいものだし、そうすることで雑誌に新鮮な風を送り続けられるのではないかな?

<ベスト>

吉本 点数はそれほど高くないものの、完結記念ということで「だいらんど」にしよう。この作品は単行本になるときわめて力を持つであろう。早期の単行本化を願う意味も込めて。
久遠 むずかしいね。うん、時事ネタのジオブリにしよう。
音羽 最終回ということもあるし、「だいらんど」かな。他はどれも今月はパワー不足な感じがややするしな〜。

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