プチフラワー99年1月号

西王母

諏訪緑

吉本 6 自然と人との共生ねぇ。ややテーマを現代よりのものにし過ぎなのではないか、という印象を受ける。ただこの作品は古代中国をネタにイマジネーションの世界を描くものなので、さほど問題ではないが。しかし何故妹だけ描き方が適当なのだろう?
久遠 6 確かそんなにレベルの高くない地母神だったよなあ。
ねこねこね

小道迷子

吉本 2 世界はあるが閉じている。この閉鎖性に馴染める人はいいのだろうが、私はちょっと…
久遠 4 ビリー松本かと思った。
残酷な神が支配する

萩尾望都

吉本 8 少しづつジェルミが心を開いてゆく様が感じられ、終わりも近いかと思わせる。が、望都先生のこと、きっとあと何回かヒネってくれるでありましょう。グレッグおじさんが相変わらず好調なのも好もしすぎる。
久遠 8 幽霊が幽霊らしく見えない。それだけ二人にとってはリアルだということか。
心臓のない巨人<後>

佐藤史生

吉本 8 船母クララをめぐるお猿と王の三角関係、と書くと身も蓋もないが、その後影のように船を覆う敗者=猿の思念は、実に切なく、悲しい。繊細な心理描写がまた作品に力を加えている。SFを舞台にしながらきちんと人間を描くところ、さすがである。単行本購入決定。
久遠 7 ユートピア?そんなもんは未来にはないのではないか?あるとしたら、それは今現在存在しているところじゃないのか?
天使のラッパ

名知未佐子

吉本 6 坂田靖子に比べれば数倍読める。
久遠 7 ああ、いいねえ。心がのんびり出来るねえ。
真珠は寂しがり屋

名香智子

吉本 4 さすがに時代遅れになっているのは否めない。絵柄といいオハナシといい。今風のボーイズラブもの(苦笑)を勉強なさっているのは分かるのだが。
久遠 4 平坦な構図、そしてあまり魅力のない絵。それが、こんなに長いのか。
真夜中のMidnight

西烱炯子

吉本 6 わざとやっているのであろうが、描線の揺らぎがちょっと気になる。過剰な描写は楽しいのであるが…。あと、保健の先生の色っぽさはとてもよい。
久遠 7 幅の広い人だなあ。ネムキとか、WINGSとかでも仕事しているんだものなあ。でも、やってる内容は、あまり変わらないのか?
ジャングリズム

大竹サラ

吉本 3 ネタが寒いので余り楽しめない。線も過剰すぎるような…。
久遠 3 そうですか、楽しそうdeathネ。
濃蘇芳(こきすおう)

竹宮惠子

吉本 9 美しく、気高い少年を力づくで、というシチュエーションなのだが、ソレに至る心理描写が丁寧に描かれているのでぐいぐい引き寄せられる。そしていつの間にかソレを許容してしまう少年の気持ちの変化!ご都合ではあるが深い描写ではある。流石。まだまだ全然現役ではないか!!
久遠 8 俺様ちゃんはホモにどうこういうつもりはないが、俺様ちゃんにだけは声をかけないでくれたまえ。
落ち葉のロンド

坂田靖子

吉本 2 オハナシそのものはとても良いと思うのだが、ぞんざいに見えてしまう線にとてつもない抵抗を感じる。もっと以前は洗練されていたはず。何故にこうなってしまったのか。
久遠 5 すごいっ。玉置勉強にかったっ。何が?そりゃあ、白ささ。
仏師

下村富美

吉本 8 ああ、安心する。緻密に書き込まれた線の世界。そして暗闇へと一直線に向かう姫。絵と線のバランスが高度なところで取れている。オハナシも緊迫してきて見逃せない。皆注目せよ!せよ!
久遠 8 ずいぶんと山田章博の影響が強いねえ。でも、結構好きだよ、こういうの。

<総評>

吉本 前回に比べるとやや低調気味ではあるが、巨匠先生方(萩尾、佐藤、竹宮)は相変わらず飛ばしている。だいぶ錬成されても良いはずのお年なのにこのハイテンション!!うならされるばかりである。また、下村などの力ある作家も育ってきている。相変わらず見逃せない雑誌。
久遠 今更ながらに気付いたが、世は平安ー江戸初期ブーム?

<ベスト>

吉本 王子の気高さとどきりとするような美しさ。そして結局ヤラれちゃうその悲しさに捧げよう。「濃蘇芳」だっ!
久遠 仏師にしませう。

Back