2000年4月中旬

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2000年4月15日（土）

　久々の登場、という感じですか。目立った作家は小野塚カホリ（やっぱり）、町田ひらく、安田弘之、ひろもりしのぶ（懐かしい）、砂、駕籠真太郎、古泉智浩といったところでしょうか。佐伯俊男を思わせる安田、いつもながらの痛さ炸裂のひらく、相変わらずの駕籠と、読める作品が多いです。中でも面白いのは砂。かれの昔の絵を思い出させる可愛い絵柄で、ちんちん（でかい）のついた女子高生を描く。そしてそれには「靴下」を履かせる…。ヤロウ、考えてやがるな、へへへ、って感じでにやりとしてしまった訳ですね。ギャグとしても、現状に対する洞察としても、二重に読み込みができて脳が嬉しがります。"Better Blush up on your Fieldwork!"

　加速しまくる展開が好ましい『GO!ヒロミGO!』、静謐な展開が好ましい『陰陽師』、みずみずしい感性が好ましい新人礒田わたこ『青空』…と、かなり読み応えのある雑誌だと思います。今回は桑田乃梨子『男の華園』がグッと来ましたね。男が男に告白するも、それはかなえられない。告った先輩は、最後に一緒に遊園地に行くことを頼む。観覧車の頂上で先輩は一言もらす…このやりきれなさ。男が男に恋愛感情を持つのは、別に不自然なことじゃないわけですが、現在の状況ではまだまだ辛いものになってしまいがち。そのつらさをきちんと描いているところに共感しますね。男性読者のあなた、人間的に尊敬している先輩から告られたらどうします？？
　当然忘れてならないのは『どいつもこいつも』。今回は銃剣道大会がネタで、テレシコワの「わたしはカモメ」って台詞がキーになっているのですが、これがわけわかんないのですね。どういう風に私はカモメなの？という疑問が生じるのです。「私の気持ちはカモメのようよ」というのでもないし…どう解釈したら良いのでしょう？で、当然、そこがいいんです。この滑った感覚がたまらないのです。恐らくは綾瀬三曹のような人物がカギを握っていると思います。この辺についてはスズキトモユさん（＠メビウスひみつきち）がうまい解説をしてます。

　高雄右京『宇宙人プルマー』が新連載。東鳩（TAGRO先生風）の頃に比べても、随分と線が洗練されてきているように思います。これからきっともっともっと人気が出るでしょうね。そうか、美術系短大／専門学校か、そこに形成されるコミュニティに「ハイエンド」の秘密があるに違いない！と思ったわけですね。その辺どうですか、更科修一郎さん？
　あとはやっぱり『あずまんが大王』ですか。iモードにちよちゃんが？早速ダウンロードしようっと！
　それにしてもどのページを開いてもおんなじ絵が出てくる雑誌だと思います。もちろんこのことに危惧も抱き、小言のひとつもいいたくなったりもします。ですが、それをやっても仕方がなかろう、とも思います。現在の漫画状況は「すでにこう」なのですから。

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2000年4月14日（金）

　何といっても『Marieの奏でる音楽』が面白いです。『月の書』などにも通じる「錬金術的ファンタジイ」が感じられ、そして何より、世界に「人が生活する深み」が感じられるのが素晴らしいです。読みながら背筋がぞくぞく来ました。初の本格連載コマ漫画ということもあるのでしょうが、背後にある「何か」が良いのですね。詳しくはクロスレヴュを。

　TONO『チキタ☆GUGU』が何だか凄いことになってます。「人の死が意味を持たない」という、人を食ったギャグで始まっていたかと思っていたのですが、いつの間にかテーマは「絆」へと転化している。このさりげなさが良いじゃないですか。あとは『晴明。』とか、コミティア系（？）の絵柄が心あたたまる本山理咲『Mr. hoodoo』など、引き込まれる作品が多いです。

　「フラミンゴ」に掲載された作品を集めたものです。天竺の魅力は、もちろん明るい「いいオハナシ」にもあると思うのですが、何より「暗黒への探求」にあるのだと思います。抑えが効かない欲望、抑圧された忌まわしい記憶、人間理性の届かないくらい領域。掲載誌がフラミンゴであったせいもあってか、暗黒が炸裂しています。とくに『ひる』の連作はエロといいオハナシといい、恐るべき完成度。これを読むだけでも買う価値があるというものです。ファンならずとも買い。

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