2000年6月中旬

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2000年6月20日(火)

クッキー 7月号   集英社 <漫画・雑誌> 352円

 私の住む近辺ではそれこそあっという間に売り切れてしまい、もうないものとあきらめていたのですが、偶然入った本屋で売れ残りを発見。内容はやっぱり充実してますね。対象にしている年齢層も広く、幅広い読者を獲得したというのも頷けるものです。おかざき真里、藤末さくらを載せる一方、谷川史子、池野恋を載せるのですから。それが矛盾・破綻なくまとまっているところが面白いと思います。

モーニング マグナム増刊15号   講談社 <漫画・雑誌> 286円

 アヴァンギャルド性が薄れてしまった…ということは、もうすでに何回も書いたことです。単体として一般に受ける漫画でアピールする、という方法は確かに販売戦略上いいのでしょうが、それでは物足りなくなっている読者もいると思うのですが。安田弘之「ちひろ」、佐藤マコト「サトラレ」、安彦良和「蚤の王」、郷田マモラ「MAKOTO」といったところが、着実にこの雑誌の「安定性」を高めています。確かにそれぞれは面白いのですね。マモラを除き。「ちひろ」はかつてちひろに関わった人を描き、その滑稽さ、酷薄さを描きだしていますし、「サトラレ」は可愛い棋士希望の女の子を出してくることで、興味深い展開となっています。安彦良和の手堅さは何をいわんか。また、積極的に読み切りを載せているのは評価できます。今回目立つのは長澤啓介「塾講師丈六司郎太」と東海林英明の「トンネル」。前者は血圧の高そうな、ですが面倒見が非常にいい塾講師を描き、教育のひとつの側面を描きだしています。後者はトンネルに憑かれる男を描くことで、自然と対決することの面白さを描いています。どちらもストレートな漫画で、じつに楽しめるものです。ですが、やっぱりアヴァンギャルド性が低いのですね。もう少し冒険してもいいのでは、などと思ってしまいます。予想より小さくまとまって終わった「バカとゴッホ」に象徴されているかもしれません。

ウルトラジャンプ 7月号   集英社 <漫画・雑誌> 410円

 なんだか薄くなってませんか?今回目立つのはまずピンナップでの西炯子の登場。なるほど分っていらっしゃる。こうした漫画雑誌のカラーに非常に似合ってますし、こうした雑誌により求められているのはさらなる女性作家の進出。確かに見た目は男性向け雑誌なのですが、内容的にはもはや男性も女性もありません。おたく文化のひとつの到達点である「ジェンダー差の無力化」が、ここに象徴されているように思います。
 漫画で目を引くのがまず六道神士「アラハバキ」。何度もいうようですが、本気ですか?先生? 次はaloha「TT」。オートマトンと人間の違いを鮮やかに描きだす手法は美しいといえましょう。単に「ロボット三原則」的ではない、現代風の解釈が加わっているところも注目されるところです。あとはクライマックスに向かって一直線の寺田克也「大猿王」といったところでしょうか。このほかの漫画も非常に手堅く盛り上げています。あなどれん雑誌になってきましたなあ。なお「水中騎士」は休載。騒動抜きにして面白かったのにちょっと残念です。

増刊ヤングチャンピオン ラブピース   秋田書店 <漫画・雑誌> 371円

 「美少女とCGの合体!」なんて書かれていますが、実際はいっそうエロ寄りになった青年漫画誌といえましょうか。青年誌と美少女漫画誌の中間を行っている、という感じです。それは作家のラインナップからも知れましょう。最初に葉月京、次に尾崎未来。たがみよしひさもエロを描き、最後に百済内創で締める。って百済先生二連発ですか!ちゃんとタッチを変え、別の作家の作品のように見せているところは凄いです。上手い人ですなあ!エロも上手ですし。全体にエロで固める、増刊だからこそできる構成でしょう。加えて興味深いことに、そうしたエロ・オリエンティッドな作品の中にひとつ、須藤真澄の作品が。しかも最近ついぞ見なかったファンタジイの作品ですよ!まさにはきだめに鶴。いや他の作品が「はきだめ」というほどつまらない訳じゃないのですが、汚れ仕事と考えられてきたエロのなかに、一本だけエロとまったく無縁の作品があるという…。「アクアリウム」再発記念なのでしょうが、吃驚した次第です。

電撃大王 7月号   メディアワークス/角川書店 <漫画・雑誌> 590円

 吃驚することに、3年ぶりに山下いくとの「ダークウィスパー」が載ってます。やっぱりざっくりとした線には惹かれるところです。「あずまんが大王」は特別編のコマ漫画が載ってます。しゃっくりが止まらなくなる大阪…は実はどうでも良くて、神楽さんがクローズアップされる内容になってます。いやあ!がさつで豪快だ!胸もでかい! あと、最近注目しているのは井原裕士。漫画的にメリハリのある線と、電撃大王らしくおたく的な内容。上手い作家だと思います。
 この雑誌でも目立つのは、女性作家の進出です。こうした「新・少年誌」を読んでいると、「少年まんが」「少女まんが」の区別がなくなってきていることを、如実に感じるところです。

メロディ 7月号   白泉社 <漫画・雑誌>  円

 簡単に。雁須磨子先生の「どいつもこいつも」ですが、今回はみんなでプールですか?音犬と朱野のラブコメですか?君たちちょっとは日本を守れ!!ですがもちろんそこがいいのです。自衛隊漫画なのにバトル要素がほぼまったく出てこない。むしろそこから離れよう、離れようとしている。そのズレた感覚こそがこの漫画のキモなのだと思います。

美術手帳 7月号   美術出版社 <一般・雑誌> 1524円

 特集は奈良美智。私はこの人についてはずいぶん前から…95年くらいから…知っており、引っかかっていたのですが、まさかここまでブレイクするとは。忸怩たる思いです。詳細な経歴が載ってますので、資料的価値は高いです。加えて松本大洋が1ページ寄せてますので、そっちに興味のある人も。

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2000年6月16日(金)

エースネクスト 7月号   角川書店 <漫画・雑誌> 619円

 新連載は渡瀬のぞみ「まりんとメラン」。いいですねえ、少年漫画と少女漫画の要素がきちんと融合していて、なかなかに萌えさせてくれます。主人公のまりんちゃんは捨て子で、ビンボーなんだけど町内のみんなに慈しまれている…ってのがいいじゃあないですか。あとは「Niea_7」。アニメの方はほのぼのした昭和30年代的要素の復刻とでもいったものですが、漫画の方はニアのお馬鹿さ加減が大爆発。どっちもいいですが、私としては漫画の方が好みかな、といった感じです。

コミックバーズ 7月号   ソニー・マガジンズ <漫画・雑誌> 467円

 新連載は(またかよ)グループSNE/田島安恵の「アクア・ステップ・アップ」。ゲームマニアの女の子、明羽(アクア)。彼女はゲーム好きがこうじるあまり、ゲーム屋の一角を借りてプレイできるブースをつくる。しかし誰もそれに見向きもしない。そこに現れるなぞめいた少年…と。見た目はヒッジョーにキャッチーで、なんとも特殊なのですね。ゲーム好きの女の子、という「ブルヴァール」を思わせる設定、誇張を上手く使った独特の絵柄、なぞめいた少年の登場の仕方など、どこかに行ってしまってさえいるような印象を受けます。「そんな女の子いねーよ」って思いません?ですがこの漫画は面白いことに、ゲームはゲームでも、「ボードゲーム」を題材にしているのですね。海外で出された人生ゲームのような皆でやるタイプのゲームを取りあげているのです。今回は「エルフェンランド」。すっげーマニアックですこと!一見絵と展開だけで見せるイマドキの漫画(上の雑誌に載っていてもおかしくない)ですが、ボードゲームの面白さと魅力を伝える、というひとつの芯が通っているのですね。上手くやれば大化けする可能性を持っているといえましょう。次は「フンタ」とかどうすか?「ディプロマシー」なんかも期待してますよ。新しいバージョンが出たことですし。
 とにかく転機を迎えているといえましょう。この新連載もそうですし、ほかに竹美家らら、阿部忍の新連載も始まっています。一方で「いのち短し恋せよおとめ」「愛をあげよう」は最終回。何処へ向かうか不安でもあり、楽しみでもあるところです。南京ぐれ子先生!

ネムキ 7月号   朝日ソノラマ <漫画・雑誌> 543円

 何がいいかといえばやっぱりTONO先生の「チキタ☆GUGU」でしょう。今まで人食い妖怪と一緒に暮らしていることを自分なりに受け止めてきたチキタが、妖怪と人との乗り越えきれない「ちがい」に気付いてしまう。流石はTONO先生、簡単なギャグ路線に移行することなく、「痛く」攻めてきます。あとは波津彬子、篠原烏童、今市子、諸星大二郎などと実に堅実かつ快調であるといえましょう。「観用少女」は?と聞きたくもありますが。

快楽天星組 12号   ワニマガジン社 <漫画・雑誌> 476円

 マーシーラビット「ラブ☆バイブレーション」が秀逸です。見た目も実際も幼妻の蕾。ダンナさんはスーパーヒーロー。ダンナさんのために一生懸命尽くす蕾だが、ダンナは帰宅するといつも機嫌が悪い。壊した建物の損害賠償などをしなくてはならないからだ。それを癒すために、おしっこまみれで尽くす蕾。ああ、エロすぎます!残念なことに上連雀三平「飲尿女神」は第一話の再録。そりゃないよ!と思いますが、これで飲尿とおちんちんに目覚める人が増えれば幸いと思います。この作品にピンと来た人は「アナル・ジャスティス」を読むべきです。

アップルパラダイス 2 竹本泉 ノアール出版 <漫画・単行本> 571円

 「うさぎパラダイス」もそうでしたが、この作品になるとさらにヘンでセンス・オブ・ワンダーにあふれた作品が並ぶようになります。ちょっとしたドラッグよりも効くかもしれません。宝物の一冊です。

エクセル・サーガ 6 六道神士 少年画報社 <漫画・単行本> 495円

 何を説明する必要がありましょうや。今回もテンション高く畳みかけてくれます。発売が遅れた分、加筆修正が強烈に加わっていますので、雑誌で読んだ人も要チェックでしょう。「月に代わって…」。

スクリーントーン 数枚   エスイー株式会社 <その他> 一枚240円

 ふふふふふ。

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2000年6月12日(月)

ガロ 7月号   青林堂 <漫画・雑誌> 743円

 特集は「泉昌之リターンズ」。年表やビブリオなども載っていて実に充実の内容。こういう特集はいいですな。泉と久住の対照的な経歴がまた興味深いです。漫画はデビュー作の「夜行」の続編というべき「天食」。やっぱり泉昌之は変わりません。新しいネタを古い革袋に入れようとしているのでちょっと危惧していたのですが、見事にまとめています。面白いわ、これ。それから初登場の駕籠。全くもって似合いすぎ。雑誌にあわせて縦横無尽にネタを使い分ける駕籠の実力は流石です。それから津野裕子と逆柱いみり!最近の津野裕子は明確にエロスを含意させてくる(しかも上品に!)ので、まったく魂のふるえる思いがします。噛みつき(甘がみ)のやらしさときたらありません。そろそろ単行本なんていかがでしょうか。いみりはもう素晴らしすぎです。カッパ女工の哀しさよ!

零式 18号   リイド社 <漫画・雑誌> 362円

 巻頭カラーは大人気・二階堂みづき。「あざとい!」と思ったりもしますが、やっぱりキャラクタの造形や展開、そして肝心のエロ描写は優れています。それから目立つのはむつきつとむ「としうえの魔女たち」。随分年上なのに造形はロリ、加えてオトナなのでセックスはまったくオッケー、という小鳥さん。上手いキャラクタを考え出したものです。それだけでもすでに勝ったも同然なのに、エロ描写のパワーもある。いい漫画です。目黒三吉の不在はやや寂しいですが、これだけ作品が揃っていれば十分といえましょう。

コミックビーム 7月号   エンターブレイン <漫画・雑誌> 467円

 巻頭カラーはこの上なく盛り上がっている「敷居の住人」。近藤ゆかさん!あなたって人は!だがそこにこそこの作品の良さと「リアル」のさまがあるのだと思います。あとは安井誠太郎、深谷陽が登場。深谷はあまりにもビームにとけ込んでいる感じがしますね。全体に今月もイヤというくらいテンションが高くて素晴らしいです。漫画好きはとにかく何も言わず全員買え、って感じでしょうか。

女の子deエトセトラ 百済内創 コアマガジン <漫画・単行本> 648円

 すでに青年誌でも活躍している作家ですが、エロもいいです。なんといっても女性の体の描き方、特に成熟した女性の色気を描くことに長けているのですね。フタナリの子(女の子ベース)が、海で色っぽい叔母さんをヤリまくる「渚DEエトセトラ」なんかは実用性も美しさも素晴らしいものがあります。また身長20センチ、体重350グラムのおそらく悪魔の「黒川さん」が、漫画家のもとにやってくる…という「可愛い小悪魔」もいい作品です。黒川さんはグラマーな女性で、漫画家のデッサンモデルをやったりするのですが、これがまたいい色気なのですね。しかも人間の言葉は喋らない小動物扱い。実力のある作家だと思います。

puppy Love 海明寺裕 三和出版 <漫画・単行本> 876円

 ああ!私がどれだけこの作品を待ち望んでいたことか!おなじみK9シリーズの最新作です。今回はK9が一度社会の裏側に隠れ、再び「正常に」(つまりわんこがわんことして生きるのが当然の世界に)なるシーケンスが描かれています。いままで一緒に、叔母、従兄弟として生活していた「人」が、一夜にして「イヌ」になる。そしてイヌたちも自らの立場に目覚め、ご主人様の命令を待つようになる。この鮮やかな相の変化に酔います。「下等動物なんだから」「犬畜生なんだもの」「家畜」という台詞もスーパーナイス。しかも今回はごく数が少ないという「オスイヌ」も登場します。四つん這いで全裸、常にちんちんを勃起させているオスなんて…と思うかも知れませんが、これはこれで興味深い存在です。素晴らしい作品、としかいいようがない迫力があります。是非ご一読を。

Elrond Herald of Gil-Galad
Legolas &Gimli
  Mithril <立体> 1410円
900円

 誘惑に耐えきれず二つ目を買ってしまいました。「指輪」に出てくるエルロンドではなく、「人間とエルフの最後の同盟」のとき、ギル=ガラドの伝令使をつとめたエルロンドが再現されているのが渋すぎます。エアレンディルの息子ですからねえ…。下の方は「指輪」でおなじみのキャラクタで、普及版です。このほかにも指輪版エルロンド、呪文を唱えているガンダルフ、パランティアとセットになったサルマン、ボロミアなどがあって迷ったのですが、結局オトクげな感じのするこのセットにしました。…今めきめきと記憶がよみがえってきたのですが、明らかに高校時代買ったような気がしてきましたよ!

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Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:16:48 JST