2000年10月上旬

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2000年10月10日(火)

ガロ 11月号   青林堂 <漫画・雑誌> 743円

 私もとうとうガロデビュー。長年あこがれてきただけに感慨もひとしおです。まだまだ文章が硬いですね。精進しないと。まあ自分の載っている雑誌についてとやかくいうのもヤボですんでこんなところで。

ヤングアニマル 20号   白泉社 <漫画・雑誌> 248円

 やっぱり「愛人」ですか。どんどん色気づいているあいとイクル。なるほど、1巻での蛇足きわまりなく見えたハルカ先生とのセックスシーンはこれの伏線だったのですね。あとは「ハニモーンサラダ」ですか。磔になってよし!

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2000年10月8日(日)

Visor DX(グリーン)   Handspling <PDA> 29800円

 たった一日で携帯用コンピュータへの禁断症状が出まくりです。それほどまでに私の日常生活はコンピュータに依存しているのですね。そこで以前から欲しかったこいつを購入。買ってみて大満足。ひとつはPDAとしての機能が非常に充実していること。スケジュールやアドレス帳などの本格的な入力は母艦に任せ、PDA自体はほぼヴューワとして割り切っています。「あれも、これも」と機能を増やそうとして結局中途半端になっているCEマシンと違い、動作の軽快さやデータのハンドリングの点で、非常に優れたものになっていると思います。もう一つはソフトウェアの開発環境がオープンになっていて、非常に多くの個人制作のソフトウェアがあること。確かに機能的に高くはないのですが、「オープンになっている」ということがいいじゃないですか。社会全体のソフトウェアのオープン化の流れにも合っていると思います。スタイラスがすり切れるまで使ってみたいと思っています。

エースネクスト 11月号   角川書店 <漫画・雑誌> 619円

 玉置勉強の「BLOOD」が始まっています。謎の組織から指令を受け、ヴァンパイアを狩る女子高生。絵の魅力は流石に高いですが、オハナシが随分と懐かしいものなのですね。主人公の制服の野暮ったさも相まって。「スケバン刑事」?なんて思ってしまったことですよ。あとは「ニア」と「まりんとメラン」と田丸の漫画しか読んでいません。

桃姫 11月号(創刊号)   富士美出版 <漫画・雑誌> 505円

 コミックハウスが編集している雑誌です。登場しているのは唯登詩樹、琴義弓介、木村義浩、美女木ジャンクションなど。全体的にでっかいお乳のオナゴがハードに責められる作品が多くなってますね。「ムガ」「ムジン」などの系列を狙った雑誌なのは明らかです。内容は、というと、消しがひどく薄いせいもあってか、かなり実用性が高くなっていると思います。唯、琴義、亜神和美、Sengoku-Kun、木静謙二と、絵の上手い(密度が高い)作家を前半に固めているために、その印象はさらに強くなっています。お買い得感が高いというのでしょうか。まあ後半はまだまだこれから、という作家が多いのですが、最後の方にぐんぱんと名乗るどっかで見たような作家が。デブでヒマな主婦が、お隣の奥さんにけしかけられたボクサー犬にさんざんに責められます。快楽を求めるあまり、犬でもいいとさえ叫びます。もうおわかりですね。白井薫範先生でいらっしゃいます。こうしたベテランでシメルあたり、編集のワザを感じるところです。これは定期購読してもいいかな、と。

夢雅 11月号   桜桃書房 <漫画・雑誌> 514円

 うーん、「桃姫」の密度が高い分だけ、こっちは見劣りして見えますね。全体に作品が白いのが気になります。浦島礼仁や、やまたのをろちなんかは濃くていいんですが。当然海明寺先生は別格です。今度は金髪の白人女性を家具へとおとしめる訳ですが、人種的コンプレックスなどのような要素をすべて抜きにして楽しめる作品になっていると思います。いつしか必然的に訪れるであろうK9世界とのリンケージが楽しみでなりません。

ルチル Vol.6 V.A. ソニー・マガジンズ <漫画・アンソロ> 950円

 続き物のアンソロ、という形式は結構つらいものがあるように思うのですが、このシリーズはそれを補ってあまりある内容があると思います。今回の執筆者は今市子、緋色れーいち、テクノサマタ、富士山ひょうた、山田ユギ、南京ぐれ子、伊吹美里、斎藤岬、梶原にき、吹山りこ、竹美家らら、南野ましろ。少女漫画オリエンティッドな伊吹や吹山を除けば、力あるボーイズラブになっていると思います。今回目が止まったのは今市子、富士山ひょうた、梶原にきの三人。今市子は相変わらずちょっと詰め込みすぎの印象がありますが、端正な絵柄が雰囲気を出しています。富士山ひょうたは、「男から告られたのちも、その男と友だち関係を続ける」男の心の動きを、実に繊細に描いています。そこには非常に強い緊張関係が生まれるのですね。友人以上恋人未満、という表現は陳腐ではありますが、そこから強いドラマトゥルギーが生まれるのは間違いありません。梶原にきは次第に惹かれ合っていく二人の少年のさまを、実にリリカルに描き出しています。少年だからこそ表現できる同性への愛。そこに着目したところに感心するところです。絶対少年への視線があるといえましょうか。…そして何より別格なのは山田ユギ先生。前回のヒキがこういう形で現れるとは!ギャグ漫画化としてのユギ先生の魅力にうたれるところです。

初恋☆電動ファイト 西川魯介 ワニマガジン社 <漫画・単行本> 505円

 今月は魯介が2冊。なんていい月なんでしょう。「Chuッ」に隔月ペースで連載された作品と、「コミックドラゴン」に載った「へなちょこヴェアヴォルフ」が掲載されています。メインはショタ。そうショタですよ。「○○モン」や「○○ロット」とかに出てきそうな少年が、あるいは学ランよりセーラー服の似合う少年が、あんなことやこんなことをされていますよ?面白いのは、エロネタにはすべて「ギミック」が加わっていること。ロボット同士のバトルや、邪神召還といったオカルト要素が、実に上手く(人を食った状態で)エロに関わっているのですね。あとは細かいところのギャグが。「しびれガス」「KRAFTWERK」とかには(ナガノ先生の本歌もあって)大笑い。巻末ゲストページは藤井ひまわり。何ともシブい人選ですなあ。テナ訳で全体に後込みするほど面白いです。買った方がいいかも?早く買わないとダメかも?

どいつもこいつも 4 雁須磨子 白泉社 <漫画・単行本> 390円

 待ちに待った4巻です。なんだかもの凄いのであとで感想を書きます。ヤーチャイカ!

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2000年10月6日(金)

コミックフラッパー 11月号   メディアファクトリー <漫画・雑誌> 429円

 安定感が出てきましたね。相変わらず和田&新谷はやや痛いですが、ほかの連載が調子を上げてきているので気にならなくなっています。特に「スカルマン」と「韃靼タイフーン」、そして「パラノイアストリート」「ひっち&Go!!」ですか。今回の読み切りは佐々木泉の「禁(jin)」。むかしの中国を舞台にした伝記もの。ちょっと絵が整いすぎているかな、という気もしますが、まあ贅沢な要求でしょう。この絵でオハナシがついてきたら、ちょっと凄いことになるかな、と思います。四季賞にも応募しているようですが、こっちで精力的に活動してもいいかな、と楽しみにしています。あとは米沢嘉博のコーナーに「太陽特使ガガ」(佐藤直大)が挙げられていますね。以前ティアで読んで「これだからティアっていいよな」と思った作品と、こうした形で再会するとは。読み返してみても、「いい作品だよな」としみじみ思います。

ホットミルク 11月号   コアマガジン <漫画・雑誌> 838円

 漫画で気になるのはみかんの「KISS Me」。父親に性的虐待を受けている少女。彼女はつきあっている彼氏とセックスしたいと思っているのだが、それに踏み切ることができない。なぜなら彼女の体には、父親がつけた傷やタバコによる火傷が無数にあるから…というものです。心と体の両方についた傷を、実にイヤーな形で描き出しています。末期の梅毒や癩のような描写は、おそらくそうした病気を持っていることを暗示しているのでしょう。ラストこそちょっと尻窄みですが、脳にガツンと来る作品だったと思います。あとはタカハシマコといったあたりでしょうか。…ナヲコ先生は?
 「ジャンキーズ」の方は特集「水着」。インタビューは森見明日。いつものことながらハズさない人選ですこと。次は山田タヒチ?どんな人なんでしょう。

水中騎士 3 木城ゆきと 集英社 <漫画・単行本> 800円

 この作品の面白いところは、一見分かりやすい善悪構造を取っているようでありながら、実は誰も悪いわけではないところにあると思います。それぞれの目的に沿って行動した結果対立しているに過ぎないのですね。尊大なアルカンタラにも、冒険をするためのしっかりとした目的があり、それをきちんと描き出す。そうした多重的な視線があるところに惹かれるところです。ところで「アルジャン」ってぜんぜんきちんと読まないのですが、これで終わりなんですか?

またたび荘は猫屋敷 3 新名あき ぶんか社 <漫画・単行本> 543円

 …………。
 いや、あまりのくだらなさに完全に脳が溶けました。大学に入学してバイトを探す主人公の勝平。そこは当然またたび荘のお姉さんたちが働いているバニーガールクラブで働くわけです。そこで出会った巨乳のお姉さんは、実は大学の先輩で、そのうちまたたび荘に入り浸るようになる訳です。新名先生の素晴らしいところはその「猫」性にあるわけですが、つまり猫が考えたようなオハナシであるところが面白いのですが、いやすべてがなめらかにくだらないスケベ描写に収斂していくところが面白いのですが、ここで存分にその才能が発揮されています。オハナシはさらに凄いことになります。またたび荘のお姉さんのリーダー格であるところのさやかさんは、実は大財閥の一人娘で、自分の意志で家を出てボロアパートで暮らしていることが明らかになるのです。…山ほどツッコミが入るこの展開!まあここでは「家を出て自活する」ことと、「バニーガールクラブでバニーさんとして働く」ことが全く調和点を持たないところだけを指摘しておきたいと思います。なんでバニーなんじゃあ!!

日本チョコエッグ動物大百科 魚フィギュア版   平凡社 <ムック> 950円

 「日本の動物」編を中心に、それぞれの動物を種ごとに分類し、詳細に解説を付けた本です。「チョコエッガーズ」と同じ狙いの本ですが、こちらの方が遙かに説明が詳細で、含蓄があります。あえて番号順にしていないところが好感が持てるところです。そしてそれぞれのフィギュアには松村しのぶの簡単な解説が付き、どういう意図で作られているのかが明らかになっています。加えてまだ発売されていない第五弾のフィギュアについても解説されています。…「チョコエッガーズ」が見劣りして見えること!
 ちなみにこの手のムックらしく、これにもフィギュアが付属しています。アリャマタコリャマタ先生が選定したという「マツカサウオ」と「カンムリツクシガモ」が。パッケージは2種類あり、それぞれのパッケージにはどちらかひとつしか付属してきません。そして本の内容は同じだという…お、美味しい商売してますなあ!

小林源文リアルフィギュアシリーズ 東亜総統特務隊   イエローサブマリン <立体> 2940円

 すべての仕事をキャンセルして行った鮫洲からの帰り、やさぐれ気分を脱するために消費することを決意。そこでアキバに繰り出した訳ですね。もちろん最初に入るのはラジ館。いまや世界最高のオタクビルになっている場所です。7階(と4階)にはイエローサブマリン、6階にはボークス、4階には海洋堂、3階にはケイ・ブックス…間違いなく世界でもここほどタクい情報とモノが集中している場所はないでしょう。ボークスが出す予定の「文車館来訪記」のイアンの人形を見学したあと(冬目というよりドルフィーだったのでややがっかり)、入ったイエローサブマリンでこいつに出会ったわけです。佐藤と中村ですよ!ほかには「黒騎士物語」のバウアーや、ハーゲン&ゴロドクなんかがあるわけですが、やはりこれを買わないわけには行かないでしょう。いいボックスじゃあないですか。うまく再現されてるじゃあないですか。35分の1の人形2体で3000円は随分高いようにも思いますが、レジンキャストですし、中村の眼鏡用のエッチングパーツもついていますから、まあ納得です。なにより源文先生の諧謔精神をきちんと了解しているのがいいじゃないですか。これで心やすく眠れるというものです。

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2000年10月4日(水)

マンガエフ 11月号   太田出版 <漫画・雑誌> 552円

 うーん、前よりはずっと読めるようになっていると思うのですが、まだどこか引っかかるのですね。雑誌としての一体感やグルーヴがないというのでしょうか。駕籠、松本次郎、砂、安田弘之、安彦麻利絵、雁須磨子と、それぞれ強力な作家を揃えているのに、そしてそれぞれの内容はそこそこ面白いのに。また新人発掘を積極的に行っているにもかかわらず、その印象は拭えません。おそらく「戦犯」は福山庸治と畑中純のように思います。この二人の作品がつまらないというつもりはないのですが、雑誌全体のリズムを崩しているように見えますから。革袋のたとえを思い出します。
 それぞれの作品について。松本次郎「熱帯のシトロン」は、ヤクによるトリップ感覚が画面からにじみ出てきて引き込まれます。回を重ねるごとにトリップ感覚が増してくるところに妙なリアリティを感じます。マンガの根本的な魅力のひとつを描き出しているのですからあなどれません。大久保ニュー「男衾人志の愛」は中年ホモもの。遂にここまで来たか、としみじみとさせられます。妻を失った中年の男やもめ。息子達はみんな揃いも揃ってホモらしい。そんななか、彼も若い男にホレてしまい、だんだんハッテンし…というものです。以前からこの人のそこはかとないホモ傾向を感じるところでしたが、こっちの方でもなかなか微笑ましいオハナシを描けるではないですか。ある程度メジャーな雑誌でガチの中年ホモを描いているのも画期的なところです。出島!次はお待ちかねの砂「ポスト・イディプス」。これは「ザ・掲示板」で沼田さんも指摘なさっているように、きわめて多重的、多層的な作品です。多くの場合悪とされるであろう、つねに犯罪を犯していたいと願う男=黒塗と、それを追うはずの官憲は、奇妙な、そしておそらく意図的な共通点を持っています。また別に黒塗を追う達人、涼子、もう一人の学生服の少年は、おそらく三位一体的なつながりを持っています。今からいろいろ解釈をすることはやめておきますが、とにかく様々な、読者それぞれの解釈が可能なメタファーに、この作品は満ちています。解釈に対して開かれている作品。おそらくそれこそが、すべての価値や倫理が再考を強いられている現在において、力ある言説を作り出すのだと思います。楽しみにしていた甲斐があったというものです。あと、新人が5人載ってます。千木良ノエミ「Stigma」、黒井常吉「チャイム」、若松綾乃「消える!」、伊藤チカ「靴ずれ」、北村眞吾「先生」。なかでも注目すべきは千木良ノエミと伊藤チカですね。二人とも絵が実に達者です。ほかの新人も絵に味はあるのですが、この二人は完成されているように見える、という点でアドバンテージがあるように思います。次回作はいかに。最後に挙げるべきはやはりカリスマ先生でしょう。メタルスラッグですか…。

恥液のニオイ ゼロの者 一水社 <漫画・単行本> 819円

 はやいもので6冊目の単行本です。今回も汁気たっぷり、おっぱいたっぷり、大きな乳輪もたっぷりです。実用性の高さという点ではトップクラスに位置する作家でしょう。注目すべきは、この本に収録されている作品には、フェティッシュな要素が頻出しているということです。唾液、汗のぬらつきとにおい…。そうした要素が、セックス描写を一本道のものにせずに、多様なものにしています。まだまだ伸びようというのですか!ということで満足の内容です。残念なのはカラーページがほとんど再現されていないところ。ほとんどすべての作品が巻頭カラーを飾っているはずなのに、単行本でカラーになっているのは最初の作品のみ。是非再現して欲しかったものですが。

ギバウス・ムーン 上巻 みなづきゆず ヒット出版社 <漫画・単行本> 874円

 谷内和生改めみなづきゆずの新刊です。「D-Ange」連載作品。女たらしの信一郎が出会った女、沙斗子は盲目で、どうやらいいところのお嬢様らしい。家出してきたとのことで、帰る場所がないという。信一郎は沙斗子を泊めてやる代わりにカラダを要求する。しかし…という出だし。エロ要素は流石に達者です。女性ならではの繊細さがあるというのでしょうか。それを絵柄が強化しているのはいうまでもありません。そして背後にあるオハナシ。沙斗子が盲目であり、セックスのときには豹変する、という設定には、オハナシに変化を与える以上の寓意がこもっているように思います。いろんな意味で注目している作品です。実用性を求める人にも、ひと味違うエロ漫画を求める人にも。

アリスくらぶ 未発表セレクション V.A. コアマガジン <漫画・アンソロ> 1200円

 「アリスくらぶ」「ぷちみるく」に載った作品のうち、今のところ単行本に収録されていない作品を集めたものです。質は高いのですが、おいしい商売のような…。それはさておき、登場している作家は次の通りです。わんぱく(×3)、馴染しん(×3)、町田ひらく、タカハシマコ、Ash横島、OKINA、トウタ、きお誠児、ひぽぽたます、MITAONSYA、天織龍樹、夕凪薫。見事にそれぞれの作家のおいしい部分を集めたアンソロになっています。今のところ単行本に恵まれていないわんぱくの作品がまとめて読めるのはいいですし、ほかの作家もロリということをきちんとわかってやっています。ロリの全体像がある程度つかめる網羅的な作品集といえましょうか。あとは黒崎まいりやほしのふうた、そしてもりしげ、鎌やんを加えれば完璧ですね。出版社に対しても、読者に対してもおいしい作品集といえましょう。

いつまでバグを買わされるのか マーク・ミナシ ダイヤモンド社 <一般> 2300円

 全くその通りです。なぜ我々はバグだらけでその情報が公開されていないOSを使い続けなければならないのでしょうか?まだ細かく読んだわけではありませんが、この本では現在のソフトウェア産業が我々に強いている不合理を指摘しています。我々の権利は、ソフトメーカーが提示する使用許諾契約書によって随分と制限されているのですね。お手元の許諾契約書を読んでみてください。きわめてソフトメーカーに有利な契約であることがわかるでしょう。我々はものによっては高額な使用料を払いながらも、ごくわずかな権利しか手に入れることができないのです。Linuxの登場によって、それは改善される可能性が見えてきましたが、まだまだ根本的な解決は先でしょう。Linuxが産業化してしまう可能性もありますし。ですからそれは我々が考えなければならない問題だと思います。その議論の前提として読まれるべき本といえましょう。

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2000年10月1日(日)

まかせてイルか! 大地丙太郎/たかしたたかし 徳間書店 <漫画・単行本> 533円

 「アニメージュ」に連載されている作品です。連載当初は「あのたかしたが」と話題になったものでしたが。湘南で何でも屋を営む海、空、碧の三姉妹。イヤミげなおっさんの依頼は受けないが、困っている人を見捨てることはできない…というオハナシです。いやあ、やっぱり大地ですなあ。ある特定の地域、ある特定の季節をキチンと感じさせるオハナシ。ある意味からっぽでありながら、だからこそひとのこころに引っかかるあの「夏」を描こうとするとは。思えば「十兵衛ちゃん」も「いま、そこにいる僕」もそういう面を強く持っていました。だからこの人の作品は、その上にレイヤー状に被さっているオハナシを別にしても、訴求力を持っていたと思います。そしてもう一つ特筆すべきはたかしたの筆の達者さ。初期の頃のアクやクセを上手く漂白しつつ、かといって個性を失っていない絵柄。海沿いの街の表現の上手さ。コントラストの高さを上手く描き出しています。メージュなんて普段はぜんぜんチェックしていないのですが、これだけでも読む価値はあるかな、と思い直した次第です。

SFフェチ・スナッチャー 西川魯介 白泉社 <漫画・単行本> 581円

 待ちに待った単行本です。喜び勇んで買ってきたら同居人も買ってきていたのでややギャフンですが、何冊あってもいいんです!「女子高生栗本玻璃の眼鏡は宇宙刑事である。刑事と玻璃は女子校に潜入した犯人(スクール水着やうわ履きなどに擬態している)を日夜追い続けるのだ」という設定がまずナイスじゃあないですか。内容の底抜けのくだらなさは私が保証しましょう。今回は「キャプテン」に載った作品(デビュー作を含む)が半分ぐらい載ってますので、最近の「フェチ・スナッチャー」シリーズはあまり載ってませんが、まあ次に期待ということで。私の記憶が間違ってなければ、かの伝説の雑誌「ジャパンダ」に載っていたように思うのですが…。ちなみに一番笑ったのは「ブラ・アンジェリコ」です。

ヤングアニマル増刊嵐 No.3   白泉社 <漫画・雑誌> 343円

 ほかのサイトでも話題になってますが、やっぱり宮野ともちか「肌色ソーダ水」が引っかかりますね。オハナシは他愛ないのですが、それを他愛なく描く。間の取り方や線の引っ張り方が何ともスカスカで、それが逆に「いま」を現しているように思います。ほかは宇仁田ゆみ(単行本発売はめでたい)、魯介といったところでしょうか。ラブコメ禁止!魯介!

ヤングキングアワーズ 11月号   少年画報社 <漫画・雑誌> 324円

 前半はいいのですね。遂に同人ネタに手を出した「J」、盛り上がってる「カムナガラ」、静と動の対比が美しい(やっぱり展開は遅いけど)「トライガン」、一応少しはオハナシが動きそうな「エクセル」。何よりいいのは「朝霧の巫女」。前回も登場しましたが、今回はオハナシの鍵を握るこま(化け猫)が本格的に登場。ラブと本格伝奇ものの節合を果たそうとしているところ、目が離せません。しかし後半は…。柴田昌弘の読めねえこと!結局何も解決していない「ジオブリ」(単行本で読めば面白いんでしょうが)!まずい方向に行きまくりの大石!さらに噴飯ものの展開の「迷彩君」!…やれねー!

快楽天 11月号   ワニマガジン社 <漫画・雑誌> 314円

 最近のこの雑誌の盛り上がりぶりには目を見張るものがありますが、今回も相当なもの。まずは陽気婢がいいんですね。アベレージが低いとさんざん言われている作家ですが、上手くハマればその破壊力は高いです。今回は周りにナイショでエロ漫画を描いている教師・陽気婢が描かれます。もちろんご存じでしょうが兼業漫画家だったときの陽気婢の職業は教師ではありませんので、このオハナシはフィクションなんですが、上手くリアリティを絡めてあるのが面白いところです。生徒にすでにバレつつありますし。ほかにはヨネケンも朔も月野も道満も載ってて非常に盛りだくさん。詳しくはクロスレヴュをご覧ください。

増刊エース桃組 Vol.1   角川書店 <漫画・雑誌> 476円

 エースのなかでももっともタクい部分をこりかためて作った雑誌、といえましょうか。とにかくアニメ絵でハレンチなコスチュームを着た女の子がバリバリバリバリ出まくっております。あまりに濃いくちで辟易してしまいますが、ここまで来るとバッドテイストの魅力さえ感じるものになっていると思います。それぞれの漫画は結構読めますよ。たとえば丸川トモヒロ「魔砲少女四号ちゃん」。「成恵の世界」の作品内アニメを漫画化したものですが、一方でオヤクソク(かなりお馬鹿)をやりながらも、もう一方で四号ちゃんの心理描写をきちんと行うことで、「読める」作品になっているのですね。決してひけらかさないミリタリー描写もニヤリ。四号は48口径、五号は70口径!あと気になるのはやまさきもへじの「プロバイダーアコ」と、清水栄一+上田智裕の「死神少女」。どっちもアニメ的に誇張された絵が引っかかるのですね。もちろん悪い方に曲がってるんですが(わかりますよね)、曲がり方にセンスがあるというのでしょうか。そしてずーっとアニメ系で責めたあと、最後に平野耕太とは。「俺は昨日思いついたのよ アニメのキャラとセックスする方法 ってヤツをな」「………バキでさ」「空想・妄想・現実逃避ならこちとら筋金入りだぜ」。一緒に出ている方々は亮太郎さんとすがわらくにゆきさんですか???

チョコエッガーズ   講談社 <立体・ムック> 980円×2

 「チョコエッグ」のムックです。東北地方特徴色ムササビのフィギュアと、田中政志によるパラパラ漫画が付属してこのお値段。田島昭宇の漫画も有るので、まあ妥当なところかと。資料的価値もありそうですし。テナ訳で二つ買った次第です。それにしても私、田中政志がダメだというのを再認識しましたね。人間的「強さ」を動物に仮託して描く方法がなんとも鼻につくのですな。強者の論理。

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Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:16:49 JST