2000年1月中旬

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2001年1月20日 (土)

みずいろ 2  大石まさる  少年画報社 <漫画・単行本> 535円

 これにて完結。谷間をわたる涼風のような、爽やかな連載でありました。得てしてこの手の自然を愛するといった作品は、得てしてイヤミになったり選民思想に満ちてしまうものですが、この作品は巧みにそれを回避しています。川上清美という、自然と密接なつながりを持った娘を背景に後退させたためです。アニメ「ナウシカ」がイヤミなのは、まさに虫愛づる姫ナウシカが無垢で特権的な存在だったため。ですがこの作品では清美の魅力をクローズアップするのではなく、主人公が次の一歩に進む際の通過点として、清美を描いているのですね。そして彼女は夏が持つ独特のはかなさの象徴として消えていくことになるのです。そしてオハナシはよくできた、現在のモラトリアム状況にふさわしい青春ドラマになるわけです。お疲れさまでした、と言いたくなるようなナイス作品です。

奴隷立國  海明寺裕  三和出版  <漫画・単行本> 876円

 マニア誌の頂点であった「フラミンゴ」。筆者はそれに6年連載を続けたとありますが、この作品はその集大成とでもいうべきもの。「K9シリーズ」をさらに発展させ、国家がいかに「制度的に」家畜奴隷制を受け入れたかが描かれています。「権利としての人権は永久にこれを放棄する」…どこかの国の憲法を思い出しませんか?そしてこの国の民は(国民、という表現は適切ではありませんな)、その奴隷制を性的快楽の点から、すなわち「ヤプー的観点」から、進んで受け入れるのですね。「フラミンゴ」休刊のあおりを受けて、やや早足の展開になったのは否めませんが、海明寺裕のひとつの到達点として強烈な印象を与える作品になっていると思います。

そこに布団はないけれど うらまっく 蒼竜社 <漫画・単行本> 524円

 男と女の間には…なんて歌がありましたが、この本のテーマはまさに男女間の越え難いディスコミュニケーションにあると思います。男心と女心のどうにもならない行き違い。結婚なさって以来、どんどんディープな方向に向かっているのが好ましいところです。他のオハナシも全体にスマートでいい感じ。これが「劇団くさくってだめ」だって?不幸ですなあ。

OURsLITE 3月号   少年画報社  <漫画・雑誌> 305円

 ふふーん。面白いじゃないですか。まずは石田さまのテンションが高いのがいいですね。トキメキを与えることを生業としながら、自分の気持ちがわからないという女の子を描く。石田さまお得意の展開で、さすがに手慣れたもの。それからおがきちかの「ハニー」がずいぶんと全体の面白さを高めているように思いますね。その分ヌルくもなっているわけですが。そして西村竜、山名沢湖とティア系作家で引きつけ、伊藤伸平でメリハリを与える。伊藤伸平は非常にいいですね。淡々とした中に強い緊張感があって。「パードル」後の代表作になるのは間違いないでしょう。この作品のためだけでも買う価値はあります。

GoType! for Visor   LandWare  <PDA・パーツ> 6980円

 Visor用のキーボードです。この文もキーボードで書いているのですが、なかなかいい感じですね。なんといってもPalmデバイスが本格的なライティングマシンとして使えるようになるのがすばらしいです。以前使っていたDOSモバ用のケースがぴったりなのもうれしいところです。…まあ、モバと同じ大きさだと考えると微妙な気持ちですが。

Windows2000 Professional   Microsoft <ソフトウェア> 14800円

 動きませんでした。新しいマザーを買うべきでしょうか?

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2001年1月19日 (金)

サンデーGX 2月号    小学館 <漫画・単行本> 410円

 面白いじゃないですか。最初に「吠えペン」でハッタリをかまし、小野「ネコの王」でつかみ(「インカちゃん」と同じネタなどと言ってはいけません)、えのあきら「ジャジャ」で引っ張り、キクニで締める。後半こそややダレはしますが、全体的に強いグルーヴがあるのがいいと思います。対象年齢層を広くとっているのが成功の秘訣かと。

ウルトラジャンプ 2月号    集英社 <漫画・単行本> 410円

 一方こちらはすっかり「読めない」雑誌になってしまったようで。「バスタード」や「銃夢」の昔の遺産にすがっていてはいけないと思うのですが。わずかに「火星人刑事」は読めるのですが。

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2001年1月18日 (木)

ニッポン昔話 花輪和一 小学館 <漫画・単行本> 3600円

 非常にしっかりした造本なのが好ましいです。作者直筆の護符がついていたり、きちんとしたハードカバー製本だったり。ものとしての魅力にあふれているのですね。マイナーではあるが長く、熱く愛される作家であるという花輪の魅力を良く理解している出版形態なのがいいですね。内容?悪いわけがないではないですか!あとは各所にちりばめられた名台詞に酔いましょう。りっぱよのう、おとう!

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2001年1月17日 (水)

ぼくたち男の子 1  こなみ詔子 角川書店 <漫画・単行本>

 再発を機に購入。うーん!阿漕!あこぎすぎ!田舎の少年は、ハーフで美しい少年のことが好き。きれいなのは外見だけで、性格はがさつ、しゃべる言葉はもろ日本語、色っぽいお姉さんにはふらふらついていく…というようなかなりダメな奴。だけど彼に対する思いは一途。どこかに行って欲しくない、いつまでも一緒にいたいという。阿漕すぎる展開に、ボーイズの底に流れる「甘さ」を見るところですが、一方で基本的な構造は実にしっかりしています。なるほど、と思う次第です。

花音 2月号   芳文社  <漫画・単行本> 638円

 

ビート読本 現代詩手帖特集版   思潮社 <一般> 262!円

 池袋「ぽえむ・ぱろうる」にて。いつか買ってやろうと思ってた本で、古本を探していたのですね。それが半額というのですから、なにも考えずに飛びついたわけです。値段を聞いてみたら250円とのこと。聞けば表紙に破れがあるので500円にしていたものを、さらに半額にしたとか。神様、ありがとうございます!

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2001年1月16日 (火)

Naive 月野定規 ビブロス <漫画・単行本> 895円

 待ちに待った単行本。「カラフル萬福星」に載ったものだけを集めたものです。萬福星に載ったのは比較的最近なのに、単行本は一番先とは…ワニとかコアとかいったい何をやってるんでしょうね。ところで。月野定規の徳目はその融通無碍な作風にあります。ワニとかコアの仕事ではギャグが多いですね。「快楽天」の天使のオハナシなんて脳が溶けるかと思いましたよ。またエロについてもかなりのものですね。昔はおそるおそる、という感じでしたが今はぜんぜん。汁気たっぷりのドエロな作品もものしています。ですが何よりオハナシを描けるところがいいのですね。カラダを売っている少年。かれは女性をイカせることは知っているが、愛するとは何かを知らない。学校の先生などが上客なのだが、ある日買われたのは自分の生活の面倒を見ているお姉さんだった…というものです。まあたまにはハズレもありますが、それは当然。それよりも非常に多彩な作品を発表し続けるその精力と勤勉さ、出来の良さに注目したいと思います。早く単行本出せよ、特にコア。

D-ANGE 2月号   ヒット出版 <漫画・雑誌> 333円

 みなすきぽぷり、ミルフィーユが去ってしまったあとは、さすがに寂しいですなあ…。めげずに新人発掘を続けて欲しいと思いますが。編集であるところのミルキー氏原作の作品はなかなか良かったので、今後もひと味違った誌面構成で頑張って欲しいものです。それにしてもにしまきとおる先生って。

コミック燃絵 2月号   松文館 <漫画・雑誌> 552円
純愛果実2月号   光彩書房 <漫画・雑誌> 524円
メロディ 2月号   白泉社 <漫画・雑誌> 381円
ガスト 2月号   桜桃書房 <漫画・雑誌> 571円
電撃大王 2月号   メディアワークス  <漫画・雑誌> 590円

 

AICコミックLOVE 2001冬号   AIC <漫画・雑誌> 800円

 今回も特殊なこと。ゆうきまさみ/とり・みきの「土曜ワイド」、田丸浩史「マリアナ伝説」とテンション高いです。さすがはキャプテンの遺産を引き継いでいるだけのことはあります。CD-ROMをつけて800円という価格設定は、ちょっと微妙だと思いますが。

戦国魔神ゴーショーグン DVD-BOX   パイオニアLDC <DVDボックス> 32400円

 久々の大きな買い物。私ブンドル局長には人生の借りがあるのですよ。ブンドル局長なしには私は美学を学ぶことはなかったでしょうし、現在の文化に対して関心も抱かなかったでしょうから。塩沢兼人追悼の意味も込めてどーんと買ってしまいました。見てみたらこれがまたヒネた内容なんですね。一応こども向けの新人類ネタがありはするんですが(それはそれで盛り上がるのですが)、メインは味方三人組の会話とぼやき。それに敵側三人組の濃いキャラクタが加わって、じつに「素直じゃない」作品に仕上がっている。いま見ても非常に刺激的な作品です。それにしても当時消防にしてこの作品を喜んでみていた私ってなんてやなガキだったんでしょう。

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2001年1月15日 (月)

女心はゆれるのだった。 安彦麻利絵 ぶんか社 <漫画・単行本> 900円

 やっぱ安彦は面白いです。性に関する女性の本音はなかなか聞けないもの。ですが安彦は「まさに・そこから」語り始めます。ですから内緒の話を盗み聞きしているようなドキドキした印象があります。徹底したモノローグが印象を強めます。…まあ、一番面白いのは、ギャグ仕立て訛り丸出しの田舎もののオハナシなんですが。

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2001年1月12日 (金)

ガロ 2月号   青林堂 <漫画・雑誌> 743円

 特集は新人漫画。「ガロ」といえば新人登用がウリだったわけですが、なかなか有力な新人は出てこないようで。めげないで募集を続けてほしいと思います。漫画でいいのはやはり津野裕子といみり。ただ、他が寂しいように思います。漫画のページ数をもっと増やしたらいいんじゃないでしょうか。

メジャー漫画家への道 1 舞登志郎 オークラ出版 <漫画・単行本> 952円

 アツい。アツいです。マッチョなエロ漫画家舞登志郎(単行本1冊あり)が、メジャー漫画家を目指し様々な人に会う。そこで諭されたり、説教されたり、対立したりして、「漫画とはなにか」を知っていくというものです。主人公舞登は、自分なりの漫画を目指して、苦悩する存在として描かれています(実際は線の細い人だといいますが)。上手く行かないといっては叫んだり暴れたり。その点でこの作品は異種の成長譚になっているのですね。「まんが道」などと同様に。
その一方で「メジャーの強さ」も強く感じるところです。メジャーがすべて正しい、メジャーがすべて面白いということは決してないと思うのですが、メジャーになるということは厳しい試練をくぐり抜けた結果なのは間違いありません。ですからマイナーだけにとどまるのは逃げかもしれないなあ、と思った次第です。

貧乳学区   あまとりあ社 <漫画・アンソロ> 900円

 安定していますね。やはり破壊力が高いのは流星ひかる、フェニキア雅子の女性作家。あ、桐原小鳥も。エロを前提とした場所で可愛い絵柄で攻めるのですから侮れません。

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Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:16:50 JST