フロクレッシフロック

〜突然段ボール

 CDレヴュでも紹介しているが、もう少し細かく説明しよう。突然段ボールとは、蔦木栄一&俊二の兄弟によるユニット。「不備」のジャケットで植木を刈っているのが兄の栄一である。70年代から既に活動を始め、ファーストアルバム「成り立つかな」は海外でも高く評価される。何とロル・コクスヒルと、フレッド・フリスと共演したアルバムを一枚づつ作ってもいるのだ。90年代始めまで徳間からアルバムを出し続けていたが、95年以降は自前のレーベル「日本カセットテープ・レコーヂング」から作品を発表するようになる。

 突然段ボールの音楽は、他の誰とも似ていない。詩はかなり往年の反体制プロテストソングを彷彿させるところがあるが、それにしてはあまりにシュールだし、抽象的だ。そして、曲はまさに他の誰とも似ていない。最近の基本となるのは、兄、栄一のエフェクトをかけまくったグロッケンと、弟、俊二のリズムマシン&ギターという構成だが、これが本当に「何これ?」という音なのだ。ぺらぺら、へなへなのリズムに乗せて、突拍子もない「ひよーん」「くわーん」「ぽよーん」というグロッケンが流れる。それは、リズムとテンポによっては猛烈なドライブ感を生み出し、あるいは根本敬いうところの「ぺったらぺたらこ感」を生み出す。変幻自在にして唯一の音楽がここにあるのだ。

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