このまちだいすき

火曜日 午前11:30〜11:45

木曜日 午前9:30〜9:45

対象 小学校3年生・社会科


 地域社会とそのはたらきがメインテーマ。

 もうすっかり知れ渡っていることと思うが、主題歌はあの山本正之。まちかど買い物ハマチハウマッチ。このドライブ感あふれる主題歌は、決して他の番組…民放も含む…では味わえないだろう。そういや最近この人のアニソンをテレビで聞かないよなあ。

 お話はこうだ。静岡県・沼津に、宇宙アカデミーから学生・マナベルがやってくる。マナベルの目的は、地球の地域社会を調べること。一定の目的を達成するまで、マナベルは宇宙に帰ることができない(この辺良く知らない)。そこで、調べたら、目的が達成できたかどうかを判定してもらうために、宇宙アカデミーのシゴック先生(青野武)にレポートを提出する。シゴック先生から合格の印をもらい、ペンダントがその印でいっぱいになったとき、マナベルは宇宙に帰ることができるのだ。マナベルは沼津の干物屋一家に下宿し、沼津の地域社会を調べはじめる。

 一見、普通の啓蒙的「社会科」番組であるように思えるだろう。ところがこれが普通じゃないのだ。まずは設定の根幹部分が「ミンキーモモ」のパクリ。懐かしく思う人も多いのではなかろうか。出演している役者で、ちゃんとした演技ができるのはシゴック先生役の青野武唯ひとり。しかしこの青野武っていうキャスティングもまた凄いなあ。もちろんマナベルの演技はヘタヘタだし、マナベルが出会う街の人々は、当然のように素人。素人に意図的にせりふを棒読みさせているようにさえ見える。マナベルの下宿先のおじさん、おばさんも当然素人で、会話を聞いていると頭が痛くなるほど。また、最近(去年あたり)のシリーズでは影を潜めてしまったのだが、以前は一年を通したストーリーさえあった。これがなかなか凄く、マナベルと近所のお姉さんとのラブストーリー。最終回などは特に凄かった。少々記憶があいまいだが、ここに書き記してみよう。

 もう宇宙に帰らなくてはならないマナベル。しかしお姉さんのことが忘れられない。結局告白する勇気が出せず、そのまま帰ろうとするマナベル。しかしその時、下宿先の住職(そのシリーズでは寺に下宿していたのだ)から一言。「悔いのないように生きなさい」と。もう宇宙に帰らなくてもいい。この気持ちさえ伝えられればと、マナベルはお姉さんの元に走る…。

 というものだったのだ。この間社会科的な要素は一切なし。丸ごと1本青春ドラマに仕立て上げてしまったのだ。何という確信犯的な行為!残念なことにこの最終回は視聴者には好評(?)だったものの、クライアントには不評だったと見え、それ以降のシリーズではここまで割り切った表現は成されないようになってしまった。が、今でも、そうしたスタッフたちの意気込みは随所に見ることができる。マナベルは落ち込んだり、家出したりするのだ。既存の「社会科」の枠を逸脱し、エンターテイメントを追及するという点で、実に画期的なのだ。そしてあふれるアニメ的テイスト。おたくが心惹かれてやまぬ何かが、ここにある。

 幸いなことに、今年のシリーズでも、最近、「憧れのお姉さん」が現われた。マナベルはこのお姉さんの気を引こうと失敗したり、間抜けなところを見せたりしていて、実に期待が持てる。以前のようなラブストーリーになるかどうかはまだ分からないが、可能性はある。これから「暖かく」見守っていこうと思う。

 ちなみに、マナベルについてであるが、あまりに演技が下手なので、きっと小劇団の出身か何かだろうと私はたかを括っていた。確かに俳優で、結構あちこちで仕事をしているらしい。今は日曜日朝のNHKの紹介番組でもかれ、野地将年(のじ まさとし)の姿を見ることができる。NHKの若手アナウンサーかと思ったわい。